競馬好きのライターが送るウマ娘コラム第131回。今回は、最強のライバルに敗れてもなお返り咲いた女王、「ラッキーライラック」について熱く語ります。
目次
耐え抜いて咲き誇る
同世代に最強のライバル

5周年で実装されたアーモンドアイに続き、ついにラッキーライラックも待望の育成ウマ娘として登場。
最強のライバル、アーモンドアイの前にクラシックでは無冠に終わるも、自身の道を歩んで見事に返り咲いた女王「ラッキーライラック」の史実を追っていく。
ウマ娘のラッキーライラック
一見クールで古風なウマ娘のラッキーライラックは、内に秘めたツッコミ心を堪えながらトレセン学園に通うウマ娘。

先に実装されたアーモンドアイの育成シナリオでもティアラ路線を争うライバルとして登場し、大きなギャップを感じる心の声を随所で見せてくれていたが、自身の育成ストーリーではついに彼女の個性的な魅力が全開になっている。
公式プロフィール

淑やかな関西弁が特徴的なウマ娘。憧れの先輩であるオルフェーヴルのような、気品あふれるレース界の花形となるべく日々自分を磨いている。それゆえ常にたおやかなふるまいを心がけており、それに反する心の声は内にとどめるよう努力しているとか。
史実のラッキーライラック
血統
ラッキーライラックの母ライラックスアンドレースは米G1勝ち馬で、繁殖牝馬として日本へやってきた。その父Flower Alleyは日本ではあまり知られた名前の種牡馬ではないが、母プリンセスオリビアが日本で産んだ兄弟にはトーセンラー(2013年マイルCS)、スピルバーグ(2014年天皇賞・秋)らG1ウィナーがおり、日本向きの血脈であることが示されている。
そして父は暴君こと三冠馬オルフェーヴル。父譲りの栗毛を受け継ぎ、初年度産駒の1頭として皐月賞馬エポカドーロらとともに父の種牡馬としての名声を一躍高めることとなる。

2歳時
メイクデビュー
2歳になると母から花の名を継いでラッキーライラック(五弁のライラックの花。幸運のシンボルとされる)と名付けられ、栗東の松永幹夫厩舎に入厩。
デビューは8月20日の新潟競馬場、芝1600m新馬戦。石橋脩騎手を背に2番人気で発走を迎えた。

レースでは4枠8番から好スタートを決めて4,5番手の好位につけると、直線半ばで先頭に躍り出る。そのまま危なげなく後続の追い込みを振り切って先頭でゴール。フルゲート18頭の若駒が揃ったデビュー戦で見事勝ち名乗りを上げた。

連勝で重賞制覇
続いて牝馬限定のG3アルテミスステークス(東京・芝1600m)に出走。デビュー戦に続いて2番人気の支持を集めてスタートを迎える。
ゲートが開くと、好スタートから3,4番手の外につけて追走。道中やや力むシーンも見られたものの、直線で仕掛けられると逃げ込みを図るサヤカチャンを捉えて先頭に立ち、3/4馬身差をつけてそのまま押し切った。

抜け出してから気を抜くようなところもあったが、2連勝で重賞初制覇を果たした。
無敗の2歳女王へ
阪神ジュベナイルフィリーズ

世代最初のG1、2歳女王を決める阪神ジュベナイルフィリーズへ駒を進める。1番人気に推されたのは、ラッキーライラックと同じくオルフェーヴル産駒で、ひと足早く札幌2歳ステークスで産駒としての初重賞勝利を父に捧げたロックディスタウン。ラッキーライラックが2番人気で続き、オルフェーヴル産駒の無敗馬2頭にもう1頭の無敗馬リリーノーブルを加えた3頭に注目が集まった。

スタートすると、ラッキーライラックは中団8番手あたりに控えて折り合いをつける。好位先行のロックディスタウン、続いてリリーノーブルを見る位置でレースを進める。
最終コーナーを回って直線に差し掛かると、ロックディスタウンら先行勢の脚色はいっぱいとなり徐々に後退。先に抜け出したリリーノーブルを追って末脚を繰り出すと、最後までしっかり伸びて3/4馬身差をつけて先頭でゴールした。

レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
これでデビューから敗けなしの3戦3勝でGIタイトルを獲得。父オルフェーヴルに最速で産駒G1初勝利をプレゼントした。また、満票でこの年のJRA最優秀2歳牝馬に選ばれた。

3歳時:アーモンドアイとの戦い
チューリップ賞
年が明けて3歳のシーズンが開幕。2歳女王として牝馬クラシック戦線の中心を歩むラッキーライラックは、桜花賞トライアルのチューリップ賞から始動する。
阪神ジュベナイルフィリーズの上位勢が集まった一戦は、単勝1.8倍の1番人気に応える走りでラッキーライラックが快勝。道中3番手から危なげなく抜け出し、2馬身差の完勝。
阪神ジュベナイルフィリーズ3着のマウレア、2着リリーノーブルを退け桜花賞へ向けて視界は良好だった。

桜花賞
いよいよ牝馬クラシックの一戦目、桜花賞を迎える。ここまで4戦4勝と順調に進んできた2歳女王ラッキーライラックに死角は見当たらない。単勝オッズ1.8倍の1番人気に支持された。

阪神ジュベナイルフィリーズ組とは前走でも再戦して鮮やかに勝利。ラッキーライラックのライバルになり得るのは別路線組から、ということで牡馬相手にシンザン記念を勝ち上がってきたアーモンドアイが2番人気となっていた。

桜花賞のゲートが開くと、最内1枠1番から好スタートを決めてすんなり好位3番手につける。アーモンドアイは出遅れて後方から。
道中スムーズに追走し、最終コーナーを回って最後の直線へ。ラッキーライラックは満を持して仕掛けられると余裕のある手応えで抜け出し先頭に立つ。あとは栄光のゴールへ向かって一直線かと思いきや、後方から大外を回ってきたアーモンドアイがケタ違いの末脚を繰り出して強襲。

最後は余裕すら感じる脚色で一気に抜き去ると、ラッキーライラックに1馬身¾差をつけてゴール。ラッキーライラックは初めて他馬に先着を許し2番手でゴールした。
レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
桜花賞レコードで勝ったアーモンドアイの強さが際立つ結果となったが、ラッキーライラックも2歳女王らしい走りは見せており、距離が延びるオークスでの巻き返しが期待された。
優駿牝馬
牝馬クラシック二冠目のオークス。ラッキーライラックは1番人気を桜花賞馬アーモンドアイに譲り2番人気。

それでも、父が三冠馬オルフェーヴルという血統背景からラッキーライラックにとって距離延長はプラスと考えられ、対するアーモンドアイの父は短距離王のロードカナロアということで逆転を期待する声も。ロードカナロアは今でこそ万能タイプのトップ種牡馬に君臨しているが、オルフェーヴルと同じくこの世代が初年度産駒だったため当時はまだ産駒の適性が未知数であった。

スタートすると、1枠2番ラッキーライラックはいつも通りの好スタートから先行勢を見ながら5,6番手につけ、7枠13番アーモンドアイも五分のスタートを決めてラッキーライラックの直後で折り合いをつけた。
小気味良く逃げるサヤカチャンが後続を引き離す縦長の展開。離れた3番手グループに有力馬が固まって追走しレースは終盤へ。
最後の直線に入ると、3番手から早めに抜け出しを図るリリーノーブル。その外から抑えきれない手応えで上がってきたアーモンドアイが早くも先頭を伺う。ラッキーライラックも3番手に上がり前を追うが、リリーノーブルを交わして悠々と先頭に立ったアーモンドアイとの差は広がっていく。

最後はアーモンドアイに食らいつくリリーノーブルと脚色が一緒になり交わしきれず、3着でゴールした。
レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
春のクラシック、終わってみればアーモンドアイが圧倒的な強さで二冠を達成し、開幕前は最有力候補と見られていた2歳女王ラッキーライラックは無冠に終わった。

秋華賞へ向けて
オークス後は休養を経てローズステークスから秋華賞へ向かう予定だったが、8月に右後脚の球節に腫れが見られたため大事を取ってローズステークスを回避することが陣営から発表され、秋華賞へはぶっつけでの参戦となった。


追い討ちをかけるように、秋華賞の1週前の開催で主戦の石橋脩騎手が落馬負傷。秋華賞に騎乗できなくなり、鞍上は北村友一騎手が務めることとなった。
秋華賞
迎えた牝馬三冠のラストを飾る秋華賞。

三冠がかかるアーモンドアイはオークスから直行プランは予定通りのもの。プラス14キロの馬体重も成長分とみなされ単勝オッズ1.3倍の圧倒的1番人気。
7.3倍の離れた2番人気ラッキーライラックもプラス18キロと馬体重を大きく増やし、中間のアクシデントはありながらもひと夏を越しての成長が見込まれる馬体を披露した。

しかしながらレースでは対象的な結果に。アーモンドアイが盤石の強さで牝馬三冠を達成した一方で、ラッキーライラックは中団から見せ場をつくることができず9着に沈んでしまった。

3歳シーズンを終えて
秋華賞ではデビュー以来初めて馬券圏内どころか掲示板も確保できないという結果に終わり、ついにこの年G1タイトルを手にすることはできなかった。一方アーモンドアイは、三冠は通過点とばかりに3歳牝馬ながらジャパンカップに挑戦。そして驚愕の世界レコードで制し、またたく間に3歳牝馬の枠を超えて頂点に立ってしまった。

チューリップ賞まで完璧な道を歩んでいたラッキーライラック。アーモンドアイという強烈な光の出現によって、次第に大きな影が落ちていくような様子は、ウマ娘の育成シナリオにおいてもつぶさに描かれており、かつての2歳女王の輝きを取り戻してほしいとついつい感情移入してしまうのである。

4歳時:耐え忍んで咲く花
もどかしい春
4歳を迎えたラッキーライラックはG2中山記念から始動。復活を期して陣営がじっくり時間をかけて立て直しを図り、心身ともにいい状態でレースを迎える。
相手にはスーパーG2と言える豪華な顔ぶれが揃った。世界を渡り歩く女傑・ディアドラに前年の大阪杯勝ち馬スワーヴリチャード、同世代の牡馬からは皐月賞馬エポカドーロやマイルCS勝ちのステルヴィオといったG1馬がずらり。

鞍上には石橋脩騎手が戻り、6番人気と伏兵評価ながらも復活を見せたいところ。
そしてレースでは道中2番手につけて直線で早め先頭から押し切りを図る積極策。あと一歩で久々の勝利かというところで、ウインブライトに差されてクビ差の2着惜敗となった。
このレース連覇の中山巧者ウインブライトにはわずかに及ばなかったものの、他の実力馬を最後まで凌ぎきり、復調を感じさせる内容だった。

牝馬路線で復権目指すも
その後は春の目標をヴィクトリアマイルに定めるも、1番人気に推された阪神牝馬ステークスでよもやの8着。それでも、道中不利があったことと着差は0秒2差と着順ほど敗けていないとの評価でヴィクトリアマイルでも1番人気に支持された。
混戦模様となったヴィクトリアマイルでは、早い流れを好位5、6番手で追走し、直線では馬場の真ん中を抜け出していったん先頭のシーン。しかしながらゴール直前でノームコアらの末脚に捉えられて僅差の4着。レコード決着となったレースで敗けて強しという走りを見せたものの復活Vはお預けとなった。
レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
エリザベス女王杯へ
秋は大目標をエリザベス女王杯とし、府中牝馬ステークスをステップに本番へというローテーション。
秋初戦の府中牝馬ステークスでは、好位追走から先行抜け出しを図ったがスカーレットカラー、フロンテアクイーンに差されて3着。2歳時から幾度も対戦して先着を許したことがなかったスカーレットカラーがこの夏の上がり馬としてラッキーライラックの前に立ちはだかった。
ついに復活の勝利
エリザベス女王杯
3歳時のチューリップ賞以来、勝ち星から遠ざかっているラッキーライラック。狙いを定めた大一番でついにその時が訪れようとしていた。

レベルが高いと言われるこの年の3歳牝馬勢から、無敗のオークス馬ラヴズオンリーユーと秋華賞で悲願のタイトルを手にしたクロノジェネシスが参戦。鞍上に名手C.スミヨン騎手を迎えたラッキーライラックは2頭に続いて3番人気となった。

ゲートが開くと、ラッキーライラックは1枠2番から絶好のスタートを決めて好位のインにおさまる。2年連続2着のクロコスミアが積極果敢に先手を取り、ラヴズオンリーユーが2番手につけて隊列が固まる。
徐々にリードを広げて気持ちよさそうに逃げるクロコスミア。離れた2番手以下はゆったりしたペースで進む。
最終コーナーを回って最後の直線を迎えると、クロコスミアのリードはまだ5,6馬身。さらにリードを拡げて逃げ切り態勢に入る。2番手からラヴズオンリーユー、そして内からラッキーライラックがスミヨン騎手のアクションに応えて伸びてくる。

クロコスミアとの差はなかなか縮まらないが、それでも内ラチ沿いにツッコんで真一文字に伸びるラッキーライラックが一完歩ごとに差を詰め、ついには差し切って突き抜けた。
レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
ラッキーライラックの上がり3ハロンはメンバー中唯一33秒を切る32.8。名手に究極の末脚を引き出されたラッキーライラックが、阪神ジュベナイルフィリーズからおよそ2年ぶりとなる2つ目のG1タイトルを獲得。
アーモンドアイとの対戦で敗北を知ったかつての女王が、長い我慢の時代を耐え忍んで見事に返り咲いてみせた。

香港ヴァーズ
エリザベス女王杯制覇後は国際G1香港ヴァーズへの招待を受託して出走を表明。スミヨン騎手とのコンビ継続で海外G1制覇に挑む。
同レースにはラッキーライラックのほかにディアドラとグローリーヴェイズの日本馬3頭が出走。外国馬の筆頭格は前年の同レース覇者であり、ここシャティンでG1レース3勝をあげている強豪エグザルタント。
レースではエグザルタントが逃げる展開を後方で追走し、直線ではエグザルタントを目標によく追い込んで交わしたが、叩き合いから1頭突き抜けたグローリーヴェイズが31/2馬身も先にいた。
敗れはしたものの、エリザベス女王杯制覇から1か月後の海外G1でも強豪相手に2着と結果を残したことで、ラッキーライラックは完全復活どころかまだまだ進化していることすら伺わせる一戦となった。
5歳時:牝馬の時代を牽引
大阪杯へ向けて
5歳のシーズンを迎えると、前年と同じ中山記念から始動。新たにM.デムーロ騎手とのコンビで前年2着の雪辱を狙う。
ひとつ下の4歳牡馬世代でトップクラスの実績を持つダノンキングリーが1番人気。差のない2番人気にラッキーライラックとなった。
好位4番手でダノンキングリーをぴったりマークする展開となったが、直線では先に抜け出したダノンキングリーとの差が詰まらず2年連続の2着となった。
中山記念後は前年のヴィクトリアマイルではなく大阪杯を選択した。
女王、咲き誇る
大阪杯
大阪杯が2016年にG1に昇格後、牝馬の優勝はまだない。出走自体が2018年のスマートレイアーただ1頭だったのだからデータとして参考になるかは別として、この年はラッキーライラックとクロノジェネシスの2頭が牝馬として初の大阪杯制覇に挑む。

迎え撃つ牡馬勢のダノンキングリー、ブラストワンピース、そしてワグネリアンまでを加えた5頭が僅差で上位人気を形成する大混戦の様相となった。

スタートすると、ポンと好スタートを決めたラッキーライラックとM.デムーロ騎手のコンビはハナをきったダノンキングリーを見ながら控えて3番手のインで折り合いをつける。並んで外にクロノジェネシス。
平均ペースで逃げる1番人気ダノンキングリーとの差が最終コーナーでギュッと縮まり勝負は最後の直線へ。ワンテンポ早く仕掛けていったクロノジェネシスがダノンキングリーの外から交わしにかかる。内で追い出しを我慢したラッキーライラックも満を持して追い出されると、二頭の間を割るようにツッコんでいく。

追いすがるクロノジェネシスを凌ぎきって、ラッキーライラックが先頭でゴール。抜群の勝負根性を発揮して牝馬による大阪杯ワンツー決着を勝利で飾った。
レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
ラッキーライラックは3つ目のG1制覇で自身初となる牡牝混合のG1タイトルを獲得し、牝馬の時代を牽引する1頭として歴史にその名を刻んだ。
宝塚記念
大阪杯の後はファン投票に応えてグランプリ宝塚記念に出走。
当日の阪神競馬場はレース直前に大雨に見舞われ、稍重発表ながら水分を多く含んだ馬場に。ラッキーライラックはサートゥルナーリアに次ぐ2番人気に支持されていたものの、馬場の影響もあってか好位から伸びあぐねて6着。
そんな馬場をものともしなかった重馬場巧者クロノジェネシスが圧勝して、春の中距離G1を牝馬が制圧した。
夏に札幌記念に出走して1番人気に支持されたがノームコアの3着。その後は放牧を経て秋に備えることとなった。
エリザベス女王杯連覇
仁川の舞台で
前年に続いて、連覇がかかるエリザベス女王杯に出走。この年は京都競馬場の改修工事のため、阪神競馬場での開催。阪神2200mは春に敗れた宝塚記念と同じ条件だが、阪神競馬場で過去2つのG1を勝っているラッキーライラックにとってマイナスであるはずはない。1番人気の支持を集めた。

そして鞍上にはC.ルメール騎手。アーモンドアイの主戦騎手として幾度となくラッキーライラックの前に立ちはだかった男が今度はラッキーライラックの手綱を任された。

レースでは、大外8枠18番から好スタートをきるも無理にポジションを取りに行かず中団馬群の中に入れて折り合いをつける。ノームコアが気分よくレースを引っ張る流れを追走し、向正面から徐々に仕掛けて早めに進出を開始。

最終コーナーでは早くも先団に取り付くと、直線早めに先頭に立って馬場の真ん中を堂々と駆け抜ける。ラヴズオンリーユーとサラキアがゴール前で迫ったものの、凌ぎきって先頭でゴール。見事エリザベス女王杯連覇を達成した。
レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
牝馬の時代を牽引した
ラストランの有馬記念でも初めての2500mにも大崩れせず4着に入り、1,2着のクロノジェネシス、サラキアらとともに牝馬が強いこの時代を印象付ける結果に。
3歳時の牝馬クラシックこそアーモンドアイの前に無冠に終わったものの、その後は2歳女王では終わらない不屈の走りと成長力で3つのG1タイトルを獲得。デビューの頃480kgだった馬体重は成長を重ねるうちに520kgを超えた。

こうして苦しい時代も耐え抜いた末に逞しく成長を遂げ、見事に返り咲いたラッキーライラックは、アーモンドアイ、ラヴズオンリーユー、クロノジェネシスといった名牝たちとともに、間違いなく牝馬の時代を牽引した1頭であった。
最後に、ウマ娘のラッキーライラックのツッコミキャラはどこから?と考えながら彼女のレースを振り返るうちに、印象的ないくつかのレースで狭い隙間にツッコんで鮮やかに勝っていることだろうという考えに至った。そしてウマ娘のラッキーライラックのツッコミを思い浮かべながらそのレースを観てみると、何だかラッキーライラックの心の声が聞こえてくるようで可笑しくて一人微笑む筆者であった。
「もうええわ!」

ありがとう、ウマ娘。
ありがとう、ラッキーライラック。
史実のラッキーライラック概要
| 基本情報 | 2015年4月3日生 牝馬 栗毛 |
|---|---|
| 血統 | 父オルフェーヴル 母ライラックスアンドレース(父Flower Alley) |
| 馬主 | サンデーレーシング |
| 調教師 | 松永幹夫(栗東) |
| 生産者 | ノーザンファーム(北海道安平町) |
| 通算成績 | 19戦7勝(JRA18戦7勝,海外1戦0勝) |
| 主な勝ち鞍 | 17’阪神ジュベナイルフィリーズ,19’,20’エリザベス女王杯,20’大阪杯 |
| 生涯獲得賞金 | 約7億3,746万円(JRA約7億3,746万円,海外約6,174万円) |
エピソード①デビューを待つ産駒
ラッキーライラックは繁殖入り後、2022年に初仔となるレイデオロ産駒の牝馬を出産。残念ながら初仔はデビューに至らなかったが、その後1年空けて2024年に出産したエピファネイア産駒の牡馬が今年2歳を迎えた。どうやらラッキースパークルと名付けられてデビューの時を待っているようだ。
エピソード②夢は次世代へ
最強のライバル、アーモンドアイはすでに二頭の産駒をターフへと送り込んでおり、アロンズロッド、プロメサアルムンドという名で偉大な母の背中を追う。2024年に産まれた3番仔はレジューノワールと名付けられた牝馬。こちらもデビューが楽しみな1頭である。

同世代で牝馬クラシックを競ったリリーノーブル(残念ながら早逝してしまったようだ)の仔はつい先日スプリングステークスを勝ってクラシック候補に名乗りをあげたアウダーシア。
クラシックには駒を進めることができなかったミュージアムヒルという同期の牝馬は、昨年の皐月賞と有馬記念を優勝したミュージアムマイルの母。先日行われたばかりの桜花賞にも2番仔フェスティバルヒルを送り込み、母が叶えられなかったクラシック出走を兄妹で果たしている。
その桜花賞で人気の1頭だったドリームコアも、ラッキーライラック、アーモンドアイと同世代のG1馬ノームコアの2番仔。
現役時代にファンを熱くさせてくれたあの馬たちが繁殖牝馬や種牡馬となり、一代では終わらない物語を見せてくれるのである。

エピソード③4人の騎手と4つのG1
2歳時の阪神ジュベナイルフィリーズは石橋脩騎手、4歳時のエリザベス女王杯はC.スミヨン騎手、そして5歳時の大阪杯はM.デムーロ騎手、連覇のエリザベス女王杯はC.ルメール騎手。
ラッキーライラックは、4つのG1勝利をすべて異なる4人のジョッキーとのコンビで達成した。そのうち、スミヨン騎手とルメール騎手はテン乗りである。繊細な馬も多い牝馬、それもあの気性の激しいオルフェーヴル産駒にしてこのような記録を残せるとは。これもラッキーライラックの隠れた偉業である。
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