競馬好きのライターが送るウマ娘コラム。今回は、最近注目を集めるメジロ家を特集。一時代を築いた名門・メジロ牧場をウマ娘から辿っていく。
華麗なるメジロ家
ドーベル、ブライト追加で注目
ウマ娘のなかでも存在感抜群のお嬢様たちと言えば、メジロ家の一族だろう。マックイーンを筆頭に、それぞれの個性はしっかり持ちつつも、共通しているのはお嬢様然とした言葉遣いやちょっとした仕草から滲み出る育ちの良さ。清楚でゴージャスな衣装と相まって、ウマ娘界の華麗なる一族感は際立っている。
最近でもメジロドーベルが育成ウマ娘として追加され、同時に新規キャラクターとしてメジロブライトも登場。益々層が厚くなり存在感を増しているメジロ家のウマ娘たちと、メジロ家そのもののモデルとなったメジロ牧場の史実を追っていく。
メジロ牧場
一時代を築いた名門
メジロ牧場は、生産と馬主を同じくするオーナーブリーダーとして一時代を築いた名門牧場だった。メジロアサマ~メジロティターン~メジロマックイーンによる父子三代にわたる天皇賞制覇に代表されるように、自家生産の馬の血統を大事に繋ぎ、特に長距離を得意とする名馬を多く排出した。2011年に解散するまで「メジロ」の冠名を持つ馬たちにはファンも多かった。
ウマ娘に登場するメジロ家のウマ娘
史実の時系列に沿ってウマ娘に登場するメジロ家のウマ娘を整理してみよう。
・メジロアルダン
・メジロマックイーン
・メジロライアン
・メジロパーマー
・メジロドーベル
・メジロブライト
・メジロラモーヌ(名前のみ登場)
以上。現在までのところ実装されているメジロ家のウマ娘6人の史実の馬たちを順に紹介していく。
メジロアルダン
ガラスの脚に泣いた未完の大器
メジロアルダンは、あと一歩のところでG1制覇に手が届かなかったが、幾度となく脚元の怪我による休養を余儀なくされ、ガラスの脚と評された脚元の弱ささえなければG1馬になれたと言われた。
オグリキャップ世代の強豪たちとしのぎを削った実力は疑いようもなく、中でもサクラチヨノオーにあと一歩のところで交わされた日本ダービーと、スーパークリーク、オグリキャップと接戦を演じた天皇賞(秋)、ヤエノムテキに惜敗した翌年の天皇賞(秋)でその片鱗を見ることができる。
ウマ娘ではサポートカードとして実装済みだが、メジロ家の中でもひと際おっとりとしたお嬢様タイプで、銀髪と気品のある姿が印象的だ。
また、アルダンは姉に日本競馬初の牝馬三冠を達成した名牝メジロラモーヌを持つ。
このラモーヌは、ウマ娘でもメジロドーベルの育成イベントで名前が登場している。姉との競演にも期待したいところだ。
代表レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
メジロアルダン
基本情報 | 1985年3月28日生 牡 黒鹿毛 |
---|---|
血統 | 父 アスワン 母 メジロヒリュウ(父 ネヴァービート) |
通算成績 | 14戦4勝 |
主な勝ち鞍 | ’89高松宮杯(G2) |
生涯獲得賞金 | 2億4,130万円 |
メジロマックイーン
言わずと知れたメジロ家のエース
ウマ娘では主役級の人気を誇る。史実でも史上初の天皇賞(春)連覇、史上初の賞金10億円超えなど数々の記録を残したスーパーホースである。その活躍ぶりと血統の物語は過去の当コラムでも紹介したとおりだ。
父メジロティターン、その父メジロアサマはともに天皇賞に勝った名馬。つまり三代にわたって天皇賞を制した唯一無二の天皇賞血統である。
代表レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
兄のメジロデュレンも菊花賞、有馬記念を制した一流のステイヤーだったが、ウマ娘に兄弟?で登場する日は来るだろうか。
メジロマックイーン
基本情報 | 1987年4月3日生 牡 芦毛 |
---|---|
血統 | 父 メジロティターン 母 メジロオーロラ(父 リマンド) |
通算成績 | 21戦12勝 |
主な勝ち鞍 | ’90菊花賞、’91,’92天皇賞(春)、’93宝塚記念 |
メジロライアン
マックイーンと同期生
メジロライアンは、マックイーンとは同期のライバル。クラシック三冠レースでは常に上位人気に支持され、皐月賞3着、ダービー2着、菊花賞3着。あと一歩のところで勝利に手が届かなかった。
菊花賞で才能が花開いたマックイーンにG1勝利で先を越されたが、4歳となった宝塚記念でそのマックイーンとの対決を制して念願のG1初制覇を果たす。たてがみを短く切りそろえたモヒカン風のライアンカットがトレードマークで、若き横山典弘騎手とのコンビも人気だった。
代表レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
メジロライアンと言えば、オグリキャップの引退レースとなった有馬記念で、競馬の神様こと大川慶次郎氏が競馬中継の実況中、ライアンを応援するあまり発した「ライアン、ライアン」の声が生放送に入ってしまったことは今でも語り草である。
メジロライアン
基本情報 | 1987年4月11日生 牡 鹿毛 |
---|---|
血統 | 父 アンバーシャダイ 母 メジロチエイサー(父 メジロサンマン) |
通算成績 | 19戦7勝 |
主な勝ち鞍 | ’91宝塚記念 |
メジロパーマー
マックイーン、ライアンと同期生
メジロパーマーはマックイーンとライアンと同期で、この三頭が産まれた「メジロ'87年組」はメジロ牧場にとって大変な豊作の年だった。
宝塚記念を9番人気、有馬記念を15番人気の人気薄で逃げ切った意外性のある逃げ馬として知られる。そのグランプリ連覇に至るまでの経歴も特殊で、一度障害レースに転向していることは特筆に値する。そのまま障害レースを走り続けていたら、グランプリ2勝の個性派は生まれていなかったのだ。
代表レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
よくダイタクヘリオスと一緒のレースで逃げ争いをしていたのはウマ娘のアニメでも描かれている。
メジロパーマー
基本情報 | 1987年3月21日生 牡 鹿毛 |
---|---|
血統 | 父 メジロイーグル 母 メジロファンタジー(父 ゲイメセン) |
通算成績 | 38戦9勝(うち障害競走2戦1勝) |
主な勝ち鞍 | ’92宝塚記念,’92有馬記念 |
メジロドーベル
育成ウマ娘として待望の実装となったメジロドーベル。史実でのG1レース5勝は、メジロ牧場でもトップクラスの名牝である。にも関わらずどこか控えめに映るのは、キャラ設定からもわかるとおり、牡馬に交じると能力をフルに発揮することができなかったことに由来する。このエピソードは名牝特集でも書いているとおりだ。
年上の女傑エアグルーヴを下したエリザベス女王杯が代表レースと言えるだろうが、キョウエイマーチという快速馬とのライバル関係で沸かせたクラシック期の活躍も見逃せない。桜花賞ではキョウエイマーチに大きく離されての2着となったが、オークスと秋華賞を制して二冠を達成した。
代表レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
ドーベルはメジロライアンの代表産駒である。
メジロドーベル
基本情報 | 1994年5月6日生 牝 鹿毛 |
---|---|
血統 | 父 メジロライアン 母 メジロビューティー(父 パーソロン) |
通算成績 | 21戦10勝 |
主な勝ち鞍 | ’97オークス,’97秋華賞,’98,’99エリザベス女王杯 |
メジロブライト
メジロブライトはメジロライアンの産駒で、同世代の名牝メジロドーベルとともに父ライアンの種牡馬としての評価を高めた一頭である。
クラシック三冠では人気を集めつつも皐月賞4着、ダービー3着、菊花賞3着。父ライアンと似たような惜敗続きの成績を残した。しかし古馬になると長距離レースで覚醒。4連勝で天皇賞(春)を勝ち、悲願のG1初制覇を果たす。天皇賞にゆかりの深いメジロ牧場最後の天皇賞馬である。
代表レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
ウマ娘ではメジロドーベルの育成ストーリーで初登場し、今後のイベントや育成ウマ娘、サポートカードへの実装も期待されるところだ。
メジロブライト
基本情報 | 1994年4月19日生 牡 鹿毛 |
---|---|
血統 | 父 メジロライアン 母 レールデュタン(父 マルゼンスキー) |
通算成績 | 25戦8勝 |
主な勝ち鞍 | ’98天皇賞(春) |
おわりに
ウマ娘でのメジロ家
名門メジロ牧場。解散から10年経ったいま、ウマ娘の作中ではメジロ家として一族のウマ娘たちが華麗な活躍を見せてくれている。メジロ家という一つのファミリーとして描いたことは、本当にうまい設定だと思ったのは筆者だけではないはずだ。
メジロ家のご令嬢という共通の属性を持つ彼女たちはウマ娘の世界で独特の立ち位置を確立し、史実を知るファンにも、知らないファンにも受け入れられている。
いち競馬ファンとして、これからもメジロ家のウマ娘たちが愛され続けることを願っている。
ありがとう、ウマ娘。
ありがとう、メジロ家。
ウマ娘のコラム記事一覧
キャラクター関連コラム
番外編コラム
ディープインパクト | 緑スキル持ちの競走馬たち |
名牝達の競演 | 一時代を築いた名門・メジロ家 |
本格参戦が待ち遠しいウマ娘① | 本格参戦が待ち遠しいウマ娘② |
凱旋門賞に挑んだウマ娘たち | 『夏の上がり馬』たち |
愛すべき『善戦ホース』たち | アニメ3期ウマ娘予習特集 |
アニメ3期世代の産駒たち |
レース関連コラム
宝塚記念 | 秋華賞 |
菊花賞 | 天皇賞(秋) |
エリザベス女王杯 | マイルチャンピオンシップ |
ジャパンカップ | 有馬記念 |
ログインするともっとみられますコメントできます