第108回:怪物三冠馬に挑み続けた名脇役、ウインバリアシオンの物語

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【ウマ娘】第108回:怪物三冠馬に挑み続けた名脇役、ウインバリアシオンの物語

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【ウマ娘】第108回:怪物三冠馬に挑み続けた名脇役、ウインバリアシオンの物語

競馬好きのライターが送るウマ娘コラム第108回。今回は怪物三冠馬に挑み続けた名脇役、ウインバリアシオンについて熱く語ります。

目次

稀代の名脇役

主役はあの三冠馬

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「あの馬さえいなければ」「生まれた時代が悪かった」…。オルフェーヴルという絶対的な王者と同じ世代に生まれ、主役になるべく何度も何度も挑み続けたウインバリアシオンの史実を追っていく。

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ウマ娘ではライバルに先駆けて実装

ウインバリアシオンがウマ娘に初登場したのは、オルフェーヴルやジェンティルドンナと同じく2024年2月の3周年アニバーサリーでの発表だったが、このたび最恐のライバルより一足先に育成ウマ娘として実装された。

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今年最後の当コラムは、稀代の名脇役で締めくくりとさせていただく。

血統

ハーツクライの初年度産駒

ウインバリアシオンの父はハーツクライ。現役時代は当時無敗だった三冠馬ディープインパクトに国内で唯一土をつけた有馬記念が有名で、種牡馬としてもサンデーサイレンスの後継としてディープインパクトやステイゴールドとともに大成功を収めた名馬である。そんな父が初年度に送り出した産駒の一頭がウインバリアシオンだ。

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母はノーザンダンサー系のStorm Birdを父にもつスーパーバレリーナ。持ち込み馬としてJRAで4戦して未勝利で引退して繁殖入りした。

2歳時

名前の由来

ウインの冠名で有名なウインレーシングクラブの募集馬だったが、ハーツクライ産駒がまだ実績のない初年度だったこともあってか満口にはならなかった。

馬名は冠名のウイン+バレエ用語のバリアシオン(ヴァリアシオン)でウインバリアシオンと命名される。母の馬名スーパーバレリーナから連想され、ヴァリアシオンとはバレエ用語でソロの踊りを意味する。

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果たしてウインバリアシオンは、その名の通りプリンシパル(主役)としてヴァリアシオンを踊れるような競走馬になれるのか。後になって振り返ると、なんとも劇的な名前を与えられたものだ。

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メイクデビュー

2歳になると栗東の松永昌博厩舎へ入厩。師はジョッキー時代に稀代の善戦ホース、ナイスネイチャの主戦を務めたことで知られる。育成ストーリーでちょいちょいネイチャが登場するのはこれが理由と思われ、善戦ホースの大先輩という点でも不思議な縁があるものだ。

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デビューに向けて順調に準備が整ったウインバリアシオンは2歳の8月、夏の小倉開催でデビュー戦を迎える。

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芝1800m新馬戦に出走すると、1番人気の支持を集めた。福永祐一騎手を背に人気に応える走りを見せ、直線で手応え良く抜け出すとそのまま2着に3馬身差をつけて快勝した。

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連勝

続いてオープン特別の野路菊ステークス(阪神芝1600m)に出走し、同じハーツクライ産駒の評判馬メイショウナルト(のちに重賞2勝などの活躍)以下を寄せ付けない走りで快勝。デビューから2連勝を決めた。

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初黒星

ここで2歳チャンピオン決定戦の朝日杯には向かわず、年末の中距離重賞G3ラジオNIKKEI杯を選択。好位から抜け出しを図ったがもう一つ伸びを欠いて4着となり初黒星を喫した。

勝ったのはディープインパクト産駒のダノンバラード。父と同じ武豊騎手とのコンビで出世レースを制してクラシック候補に名乗りを上げた。

3歳時

賞金加算目指すも

年が明けて3歳になると、クラシックへ向けて早めに賞金を加算したいところだったが、なかなか軌道に乗り切れない。年明け初戦のきさらぎ賞で4着のあと、皐月賞の優先出走権がかかるトライアルの弥生賞では7着に終わり、皐月賞出走はならなかった。

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青葉賞

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日本ダービーの出走を目指してトライアル青葉賞に出走。ダービーを目指すライバル勢も素質馬が顔を揃え、兄姉にブエナビスタら活躍馬がずらりと揃う超良血のディープインパクト産駒トーセンレーヴを筆頭に、ギュスターヴクライ(父ハーツクライ、母は秋華賞馬ファビラスラフイン)、ショウナンマイティ(父マンハッタンカフェ)、ショウナンパルフェ(父アグネスタキオン)と上位人気はさしずめサンデーサイレンスの後継種牡馬争いといった様相の一戦に注目が集まった。

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福永騎手から安藤勝己騎手に乗り替わりで臨んだウインバリアシオンは、後方待機策から直線で素晴らしい切れ味を発揮して差し切り勝ち。見事に重賞初制覇を飾り、同時に日本ダービーの優先出走権を手にした。

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皐月賞馬オルフェーヴル登場

日本ダービー

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いよいよ世代の頂点を決める日本ダービーを迎える。待ち受けるのはこの年この東京競馬場で行われたクラシック一冠目の皐月賞を制したオルフェーヴル。兄ドリームジャーニーが果たせなかったクラシック制覇を成し遂げここも1番人気に支持されていた。

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ウインバリアシオンは同じ舞台のトライアルを勝ったわりに10番人気の低評価。台風の影響で降り止まない雨の中、不良馬場となったダービーで波乱を巻き起こせるか。

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ゲートが開くと、ウインバリアシオンは最内1枠1番からポンと好スタートを切ったが、前走と同じように後ろに下げて控える形。後方待機策で脚を溜める。オルフェーヴルもウインバリアシオンのすぐ前のポジションから直線勝負という態勢だ。

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先手を奪ったオールアズワンが軽快に逃げ、馬群は徐々に縦長に。人気薄のウインバリアシオンはともかく、1番人気のオルフェーヴルもドロドロの不良馬場でここから届くのかという位置取りのまま最後の直線へ。

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大きなリードを保っていたオールアズワンが逃げ残りをはかるが、先行勢も一斉に押し寄せる。しかし、不良馬場に手こずってあまり伸びはよくない。そんな中、馬群の外から馬場の真ん中へと切り込みながら力強くオルフェーヴルが抜け出してきた。そしてもう一頭、大外を突き抜ける勢いでウインバリアシオンが伸びてくる。ただ一頭オルフェーヴルに食らいついてあわやと思わせたが、最後はオルフェーヴルに突き放されて2着でゴールした。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

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オルフェーヴルが不良馬場などものともせずに二冠を達成。1馬身¾差の2着に10番人気ウインバリアシオン。その後ろは実に7馬身もの差が開いていた。

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立ちはだかる怪物

菊花賞へ向けて

秋、菊花賞へ向けた始動戦はトライアルのG2神戸新聞杯。春の二冠馬オルフェーヴルも同じステップから三冠制覇を目指すためダービーの1,2着馬がここで再び激突することとなった。

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春から力の差が縮まったことを見せたいところだったが、逆にオルフェーヴルが2着ウインバリアシオンに2馬身半の差をつけて快勝。三冠達成に向けて不安なしという勝利であった。

菊花賞

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クラシック最後の菊花賞。未知の魅力を持った新興勢力の台頭もなく、オルフェーヴルの三冠達成はもはや必然と思われる状況。それを表すように単勝オッズは1.4倍の圧倒的支持を集めた。

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3000メートルはオルフェーヴルとて初めての距離。気性面に一抹の不安もあり、2番人気のウインバリアシオン以下ライバルたちも逆転を狙う。ウインバリアシオンが13番ゲート、オルフェーヴルは14番に入り、7枠に人気二頭が並んで入った。

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スタートすると、ウインバリアシオンは最後方に控えて末脚にかける。オルフェーヴルは、中団馬群の外目につけると、行きたがる素振りを見せるものの鞍上の池添騎手が必死になだめる。馬群の中に入れると落ち着きを見せたオルフェーヴルにもはや死角はなかった。

2周目の3コーナーを過ぎると、坂の下りから徐々に進出を開始して最終コーナーでは先頭集団の外へ持ち出す。あとは余力たっぷりに抜け出し、そのまま後続を寄せ付けずに三冠のゴールを駆け抜けた。

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後方から追い込んだウインバリアシオンは、オルフェーヴルの勝利が揺るがないものになったあとの2着争いを鋭い末脚で制して二番手でゴールした。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

ウインバリアシオンはこれでダービーから3戦連続の2着となり、すべてオルフェーヴルただ一頭の後塵を拝する結果となった。ディープインパクト以来の三冠馬となったオルフェーヴルは、ウインバリアシオンにとって越えなくてはならない壁としてこれから先も立ちはだかることとなる。

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古馬との対戦

続いて出走したジャパンカップには宿敵オルフェーヴルは出走しておらず、古馬との初対戦。この年は日本の最強牝馬ブエナビスタと、当年の凱旋門賞を制した3歳牝馬の天才少女デインドリームの日欧最強牝馬対決が話題となっていた。

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このレースでは後方待機策から早めにまくっていく果敢な作戦で勝ちに行ったが、直線で力尽きて5着にとどまった。それでもデインドリームを含む3歳馬の中ではウインバリアシオンが最先着を果たしており世代トップクラスの力を示した。

勝ったのはブエナビスタ。前年降着の雪辱を晴らすとともに、父スペシャルウィークとの父娘同一G1制覇を成し遂げた。

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4歳時

勝ちきれない日々

4歳の初戦、京都記念では後方待機から伸びを欠いて見せ場なく6着に沈むと、つづく日経賞では青葉賞から6戦連続でコンビを組んだ安藤騎手から武豊騎手に乗り替わり。

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12番人気の伏兵・ネコパンチに逃げ切りを許したものの、今度は後方待機から上り最速の脚で追い込んで1番人気ルーラーシップを交わしての2着と本来の走りを取り戻した。

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勝ちきれないレースが続いていたが、それでもこの馬らしい走りを見せて上り調子で春の大一番、最強のライバルとの再戦へと向かった。

天皇賞・春

古馬になって初めて対戦するオルフェーヴルは、年明け初戦の前走・阪神大賞典で伝説的なレース(逸走からレースに復帰して僅差の2着という常識外れのレース)を披露するなど話題には事欠かなかった。

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単勝1.3倍の絶対王者に対し、ウインバリアシオンが2番人気から主役の座を勝ち取るべく挑む。

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レースでは中団後方の位置取りから虎視眈々と脚を溜める。オルフェーヴルは後ろから2,3番手をキープ。序盤に人気薄の先行勢ビートブラックとゴールデンハインドが主導権争いをして後ろを引き離していく。

後ろの人気馬が牽制し合い、前の馬との距離がどんどん開いて縦長の隊列のままレースは進む。逃げる二頭が大逃げの形でレース終盤に入ると、ようやく後続のペースも上がっていくが前との差はまだ15馬身はあろうかという状況。まだ後方にいるオルフェーヴルは鞍上の仕掛けにも反応が鈍い。

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直線に入ると、ゴールデンハインドを競り落としたビートブラックの脚色が衰えない。中団からトーセンジョーダンが2番手に上がるも、ビートブラックがセーフティリードを保ったまま先頭でゴール。ウインバリアシオンも最速の上がりを繰り出して懸命に追い込んだが3着がやっとだった。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

なんと早々に手応えが怪しくなったオルフェーヴルは過去最低着順の11着に沈み、14番人気のビートブラックが重賞初制覇で大金星をあげる波乱の決着となった。

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宝塚記念

春の天皇賞ではウインバリアシオンが初めてオルフェーヴルに先着したものの、それで形勢逆転とはいかず、実際に次戦の宝塚記念ではオルフェーヴルが1番人気に応えて復活Vを果たした。

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対象的にウインバリアシオンはオルフェーヴルから主役の座を奪うどころか、過去の対戦で先着したことのあるルーラーシップや同期のショウナンマイティにも先着を許し4着に終わった。

故障で休養

そして残念なことに宝塚記念の後、ウインバリアシオンに左前浅屈腱炎が判明し、長期休養を余儀なくされた。

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5歳時

復帰

5歳の秋、およそ1年5ヶ月もの長期休養を経てついにウインバリアシオンがターフに戻る日がやってきた。復帰戦は中京の名物重賞G2金鯱賞(芝2000m)。

さすがに屈腱炎からの長期休養明けでは厳しいと見られたか、混戦模様のオッズとは言え8番人気の伏兵に甘んじた。しかし、ウインバリアシオンは衰えなど感じさせない走りで3着と好走。まだまだ第一線でやれる力があることを示した。

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オルフェーヴルとのラストマッチ

有馬記念

そして年末のグランプリ有馬記念に出走。ダービーでの初対戦から何度も跳ね返された最強のライバル、オルフェーヴルはこれがラストランと決まっていた。ウインバリアシオンの休養中にも2年連続の凱旋門賞2着などを含め国内外でその強さを誇示し続けていた。

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また、ひとつ下の世代からは同じく凱旋門賞帰りとなるゴールドシップも連覇のかかるこのグランプリで世代交代を狙う。

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有終の美か、連覇か、それともウインバリアシオンが悲願のG1制覇で主役の座を射止めるか。それぞれの想いがかかる有馬記念のゲートが開く。

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ウインバリアシオンは2枠4番からスタートを決めて中団馬群の後方で折り合いをつける。オルフェーヴルもすぐ後ろに控えて前にゴールドシップを見る形で序盤の隊列が決まった。

後方から3,4番手で並んで走るオルフェーヴルとウインバリアシオン。レースが動いたのは2周目の3コーナーから4コーナーにかけて。前をゆくゴールドシップが進出を開始すると、直後からオルフェーヴルもスーッと前へ。ウインバリアシオンもこれに続くが、抜群の手応えで上がっていくオルフェーヴルの加速についていけない。

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直線に入ると、もうオルフェーヴルの独壇場だった。追いすがる後続をあっという間に置き去りにしてリードを広げる。ウインバリアシオンとゴールドシップの2番手争いを尻目に、大歓声の湧き起こるスタンド前を駆け抜けた。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

ゴールドシップとの叩き合いを制したウインバリアシオンが2着を確保。G1でオルフェーヴルの2着になったのはダービー、菊花賞に続いてこれが3度目である。

最強のライバル

通算6度の対戦でウインバリアシオンが先着したのは、オルフェーヴルが大敗を喫した天皇賞・春の1度だけ。あとの5戦はすべてオルフェーヴルの完勝だった。ウインバリアシオンにとって高い壁であり続けたオルフェーヴルは最後まで強かった。

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こうして最強のライバルは最強のまま引退していった。

6歳時

久しぶりの勝利

ライバルは引退しても、ウインバリアシオンは主役の座を目指して現役を続行。6歳のシーズンは日経賞から始動した。

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前年の勝ち馬フェノーメノをおさえて3歳時のきさらぎ賞以来となる1番人気に支持されると、これに応える快走を見せて1着でゴール。実に2年10ヶ月ぶり、青葉賞以来となる4勝目をあげた。

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主役へ

天皇賞・春

日経賞Vで完全復活をアピールしたウインバリアシオンは春の大一番、天皇賞・春に出走。

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強敵はゴールドシップと、前年のダービー馬キズナ。そして連覇がかかる前年の覇者フェノーメノも日経賞で負かした相手とは言え得意の舞台で侮れない。

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直前の乗り替わりが発生して初騎乗となる武幸四郎騎手を背に、悲願へ向けてゲートが開いた。

ウインバリアシオンは好走パターンのとおり後ろから。出遅れ気味のゴールドシップは最後方、キズナも後方2番手と人気馬は揃って後ろからレースを進める。

これといった逃げ馬不在でゆったりしたペースとなり馬群は一団のままレースが進む。3コーナー過ぎから徐々にペースが上がると、後方に構える有力各馬も進出を開始。中団からフェノーメノ、後方からウインバリアシオンも上がっていく。

直線に入ると、フェノーメノが早めに抜け出しを図る。その外からウインバリアシオンが馬体を併せて突き抜けそうな脚色で食らいつく。さらに外からキズナも襲いかかる。

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一旦はウインバリアシオンが交わすかに思われたが、フェノーメノがそこから差し返してわずかに前に出た。最後に人気薄のホッコーブレーヴが急襲したところがゴールだった。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

連覇を達成したフェノーメノとの差はわずかにクビ差。この馬もまたオルフェーヴルと同じステイゴールド産駒。またしてもステゴの血を引く怪物=フェノーメノがウインバリアシオンの前に立ちはだかったのだった。これがウインバリアシオンがG1タイトルに最も近づいた瞬間であった。

脚元との戦いから引退まで

屈腱炎再発

その後は、ゴールドシップが連覇を飾った宝塚記念で7着のあとに屈腱炎を再発。2度目の長期休養に入った。

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療養期間は前回ほど長引かず、この年の秋の金鯱賞で復帰するも15着。有馬記念でも有終の美を飾った女帝ジェンティルドンナの12着といい頃の走りは見られなかった。

7歳時

最後にもうひと花

7歳も現役を続行し、リフレッシュして臨んだ相性の良い日経賞では2着に好走。かつてデビューから2連勝に導いた福永祐一騎手と久しぶりのコンビで復活の兆しを見せ、ファンを喜ばせた。

ラストラン

そしてこの年の天皇賞・春。ウインバリアシオンにとって10度目のG1出走を迎えた。

中団からレースを進め、スムーズなレース運びで最終コーナーを周るウインバリアシオン。福永騎手の手応えも悪くないように思われたが、最後の直線で失速。ゴール板を通過したあとにジョッキーが下馬する様子が見られた。

そしてレース後の精密検査の結果、左前浅屈腱不全断裂による競走能力喪失と伝えられると同時に、引退が発表された。

オルフェーヴルと同じ時代に生まれて

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ついに大舞台で主役を演じることは叶わなかったが、オルフェーヴルという歴史に残る名馬について語るとき、名脇役ウインバリアシオンの名も語り継がれてゆくのである。

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夢の続きはウマ娘で

ウマ娘では、実装されてまだ間もないがすでにトレーナーの心を鷲掴みにしているようだ。(当サイトの年間MVP投票で早くも上位にランクインするほどである)

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育成ストーリーではオルフェーヴルに対して強烈な嫉妬心やライバル意識を覗かせるウインバリアシオン。もがきながらも主役の座を実力で勝ち取るべくトレーナーとともに努力する姿が感動的で、そのひたむきさが共感を集めてファンを獲得している様子は、見事に史実の本馬と重なって見えるのだ。

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ありがとう、ウマ娘。

ありがとう、ウインバリアシオン。

がんばれ、ウインバリアシオン!

史実のウインバリアシオン

基本情報2008年4月10日生 牡 鹿毛
血統父 ハーツクライ
母スーパーバレリーナ(父Storm Bird)
馬主(株)ウイン
調教師松永昌博(栗東)
生産牧場ノーザンファーム(北海道安平町)
通算成績23戦4勝
主な勝ち鞍日経賞、青葉賞(主な2着:日本ダービー、菊花賞、有馬記念、天皇賞・春)

エピソード①青森期待の種牡馬

種牡馬入りか乗馬か、、ウインバリアシオンの引退後の動向については情報が錯綜し、紆余曲折ののちに青森で種牡馬入りすることが決定。

産駒のJRA初勝利を記録したドスハーツはダートで4勝を挙げてオープン入り後、活躍の場を地方に移してからは交流重賞にも幾度となく出走。ウインバリアシオンの初年度産駒を代表する活躍ぶりで、覚えているファンも多いことだろう。7歳となった今でも現役で走っている(2024年12月現在)。

また2024年の今年、5世代目の産駒から現れたのがハヤテノフクノスケ。2戦目の未勝利戦で勝ち上がると、G3京成杯4着と重賞でも好走。夏に2勝目を挙げて秋には菊花賞へと駒を進めた。

青森産馬としては重賞勝ち馬のミライヘノツバサ(父ドリームジャーニー、現在は東京競馬場で誘導馬)が有名だが、ウインバリアシオン産駒のハヤテノフクノスケは久しぶりにクラシックの舞台へ進んだ青森産馬ということで話題になり、今後さらなる飛躍が期待されている。

ウインバリアシオンは、今や青森期待の種牡馬と言っていい。これからも名脇役の血を引いた青森産馬に注目していきたい。

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エピソード②惜敗続きは意外にも父譲り?

ウインバリアシオンの父ハーツクライと言えば、絶対的な本命馬だったディープインパクトを負かした有馬記念があまりにも有名だが、それまではあと一歩のところでG1勝ちに及ばず主役になりきれない時期を過ごした。

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3歳時のダービー2着から始まり、4歳時には宝塚記念とジャパンカップでの2着を経てあの有馬記念に挑んでいたのだ。有馬記念で悲願を達成したあとは5歳で挑んだドバイシーマクラシックを圧勝し、キャリアの最高潮を迎えた。ウインバリアシオンも父の成長力を受け継ぎG1に手が届くかに思われたが、オルフェーヴルを筆頭に天敵ステイゴールド産駒の前に涙をのんだ。

種牡馬として、ハーツクライから受け継いだ成長力を仔にも伝え、大舞台を沸かせる産駒を送り出してほしいものだ。

エピソード③ウインバリアシオンはりんごがお好き?

ウマ娘のウインバリアシオンはりんごが好きすぎて食べられないらしいが、実際のウインバリアシオンはどうかというと、、、実はりんごはお嫌いで食べないらしい。

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BNW世代(93年~)から競馬を追いかけているガチガチの競馬ファン。最近は少し離れ気味だったが、ウマ娘をきっかけに競馬への情熱を取り戻す。
持ち前の競馬知識を活かして、ウマ娘ファンと競馬の間の橋渡しに少しでも貢献したいと思っている。

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