競馬好きのライターが送るウマ娘コラム。今回はアニメのシーズン3開始に合わせた番外編、アニメに登場する主なウマ娘たちを紹介していく。
あのウマ娘登場で話題沸騰!
キタサン世代を中心に描かれる新たなストーリー
待ちに待ったアニメ「ウマ娘プリティーダービーseason3」が放送開始された。今回の主人公はキタサンブラック。キタサンブラック世代と、そのひとつ下のサトノダイヤモンド世代を中心に描かれる新たな物語だ。
事前に発表されていたメインキャラクターは、下記のキービジュアルで大きく描かれたウマ娘たち。キタサンブラック、サトノダイヤモンド、サトノクラウン、シュヴァルグランらすでに知られていたウマ娘たちに加え、2.5周年関連の発表時にサウンズオブアースの登場が予告されていた。
そして、このキービジュアルが第1話放送後には下記のものに差し替えられた。
引用元:TVアニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season 3」公式サイト
同じ構図だがキャラクターの配置が変更され、右下には新たなウマ娘の姿が。アニメ内でサプライズ登場したことでトレーナーを歓喜の渦に巻き込んだあのウマ娘である。
今回のコラムはアニメ3期のスタートを祝して、主な登場ウマ娘を予習する番外編。それぞれのキャラクターの史実はネタバレになりすぎないように控えめに、見どころなどを予想しながら紹介していく。
引用元:TVアニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season 3」公式サイト
ドゥラメンテ
サプライズ登場!
10/5の深夜0時にアニメ第1話が放送開始されて間もなく、ものの1分も経たないうちにその瞬間は訪れた。
アニメ内のレース実況「外からドゥラメンテ!」
全国のトレーナー「!!!?」
というわけで、リアルタイム視聴したトレーナーたちは突然呼ばれたそのウマ娘の名前に歓喜し、まさにお祭り騒ぎとなった。「ドゥラメンテ」は瞬く間にXのトレンド入りし、「外からドゥラメンテ!」「これほどまでに強いのか!」「ドゥラメンテかっこいい!」「ドゥラメンテのおかげでアニメ本編がまったく頭に入ってこない」といった喜びの声で溢れかえった。
史実のドゥラメンテ
基本情報 | 2012年3月22日生 牡馬 鹿毛 |
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血統 | 父キングカメハメハ 母アドマイヤグルーヴ(父サンデーサイレンス) |
公式プロフィール
クールな表情とシックな衣装を身に纏い凛とした佇まいは、あからさまに強者の雰囲気を漂わせる。プロフィール文にも注目。
「代々優秀なウマ娘を輩出してきた一族」「レースを前にすると闘志が漲る」
といった生まれや性格面の特徴に加えて、エアグルーヴとの関係性を匂わせる文章も。
エアグルーヴとの関係
ドゥラメンテの母アドマイヤグルーヴは、エリザベス女王杯連覇の実績を持つ活躍馬。そしてその母は言わずと知れた名牝エアグルーヴ。
つまりドゥラメンテはエアグルーヴの孫にあたり、エアグルーヴの母ダイナカールから続く4世代でのG1制覇を成し遂げた、国内有数の名門ファミリーである。アニメ内ではエアグルーヴとどんな絡みが見られるだろうか?
皐月賞
予告PVの段階から話題になっていたのが、皐月賞のレースシーン。キタサンブラックの外からコーナーを駆け上がるような一人称視点が、まるでドゥラメンテの目線ではないかと話題になった。
そしてアニメ本編では、まさにそのシーンの延長線上でドゥラメンテの名前が明らかになったというわけだ。さすが目の肥えたウマ娘トレーナーというところだが、コーナーを上がっていく動きでわかるほど、ドゥラメンテの皐月賞が印象的だったとも言える。
印象的どころか衝撃のレースぶりだった皐月賞のレース映像を見てみよう。
レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
後方のインにつけていたドゥラメンテは、3,4コーナーで内から進出すると、直線入り口で横っ飛びのような動きで大きく外側に斜行。そこから体勢を立て直すと、他の馬が止まって見えるほどの異次元の末脚を繰り出し楽々と差し切って優勝した。入線後、鞍上のミルコ・デムーロ騎手が信じられないといった様子で首を振るシーンも印象的だった。
因みにアニメ中の実況「外からドゥラメンテ!」「これほどまでに強いのかー!」はカンテレバージョン(フジテレビ系列)が再現されたもので、斜行の様子もこちらのほうがよくわかる角度からの映像になっているので、こちらのほうも是非とも検索して視聴してみてほしい。
アニメ注目ポイント
1話から皐月賞・ダービーの二冠を圧勝して、主人公のキタサンブラックをどん底に突き落とした。世代の頂点に立ったドゥラメンテが、2話以降のストーリーでどのように描かれるか、史実を知る人もそうでない人にとっても非常に気になるところだ。
1話ではレース前の独特なステップが再現されるなど、相変わらず細かい描写でファンを喜ばせるウマ娘だけに、この先もどんなエピソードが盛り込まれてくるのか楽しみである。
そして、アニメの進行とともに最も注目されるのは、どのタイミングでドゥラメンテがゲームに実装されるのか?今からその時が待ち遠しい。
兎にも角にも、
ありがとう、ウマ娘。
ありがとう、ドゥラメンテ!
キタサンブラック
国民的お祭りウマ娘
引用元:TVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』公式Xアカウントより
アニメ3期の主人公ウマ娘。今さらここで語る必要もないほど、ウマ娘としても史実馬としてもみんなに愛される国民的ウマ娘・名馬である。
史実のキタサンブラック
基本情報 | 2012年3月10日生 牡馬 鹿毛 |
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血統 | 父ブラックタイド 母シュガーハート(父サクラバクシンオー) |
現役時代は2年連続の年度代表馬、歴代最多獲得賞金ほか数々の記録を打ち立てた。2020年にはJRA顕彰馬にも選ばれた。
公式プロフィール
アニメウマ娘ではお馴染みの通り、トウカイテイオーに憧れを抱いている。そして、幼馴染のサトノダイヤモンドとともに成長してトレセン学園に入学してきたところまでは、3期がスタートする前までに描かれてきた。
アニメ注目ポイント
サトノダイヤモンド以外のライバルたちの詳細はアニメまで大事に温められてきた。そして春のクラシック最大の強敵ドゥラメンテのサプライズ登場で幕を開けた3期第1話。
皐月賞・ダービーでドゥラメンテの前に屈したキタサンブラックが、今後どのように成長していくのか。初回はドゥラメンテに話題をさらわれた感もあるが、キタサンブラックの物語はまだまだ始まったばかりだ。
待ちに待ったキタサンブラックの物語を最後まで見届けよう。
サトノダイヤモンド
サトノ家の悲願を胸に
引用元:TVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』公式Xアカウントより
キタサンブラックの幼馴染にしてライバルであるサトノダイヤモンド。ゲームのほうでは新衣装も追加されて人気は増すばかりだ。
史実ではキタサンブラックのひとつ下の世代にあたり、アニメでもキタちゃんがクラシックレースでドゥラメンテやサトノクラウンらと走る様子を我が事のように見守っている。
史実のサトノダイヤモンド
基本情報 | 2013年1月30日生 牡馬 鹿毛 |
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血統 | 父ディープインパクト 母マルペンサ(父Orpen) |
良血揃いのサトノ家の中にあって、ダイヤモンドの名を与えられたことから期待の高さがうかがえる。
公式プロフィール
メジロマックイーンに憧れるのは、それぞれメジロ家とサトノ家の名を継ぐ名家の令嬢という似た境遇のためか。
サトノ家の悲願であるG1制覇を果たすという強い使命感を内に秘める。
アニメ注目ポイント
キタちゃんを応援する立場から、同じ舞台で競う立場になっていく過程でダイヤちゃんがどんな成長を見せてくれるだろうか。
ゲームの育成シナリオでも知られている通り、凱旋門賞への挑戦も見どころになりそうだ。
キタちゃんや同じサトノ家のクラちゃんらと切磋琢磨して成長していくダイヤちゃんの活躍は、アニメ第2話以降に観られるはずだ。
サトノクラウン
もう一人のサトノ家
引用元:TVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』公式Xアカウントより
ウマ娘への登場が発表されてからずいぶん経つが、育成ウマ娘やサポートカードとしての本格的な実装はまだ。そのためサトノクラウンがどんなウマ娘なのか詳細はベールに包まれてきた。
そんな中アニメ3期がスタートして、ようやく彼女が活躍する姿を存分に観ることができるというものだ。
史実のサトノクラウン
基本情報 | 2012年3月10日生 牡馬 黒鹿毛 |
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血統 | 父Marju 母ジョコンダII(父Rossini) |
キタサンブラックと同世代で、誕生日が同じ。という情報を見ると、サトノクラウンこそがキタちゃんの幼馴染にふさわしいのではないか?とも思えるが、サトノダイヤモンドのほうが血統面や対戦成績などの面で適任だったのかも知れない。
公式プロフィール
ダイヤちゃんと同じくサトノ家の悲願であるG1制覇という使命を持っている。ただし、明るい性格で悲壮感のようなものはないようだ。
「マジックのように物事を鮮やかに解決」という表現は、史実で「マジックマン」の異名を持つJ.モレイラ騎手の手によって大レースを制したことが元になっていると思われる。
アニメ注目ポイント
すでに放送された第1話では、1番人気を背負っていた皐月賞、そして続くダービーでともにドゥラメンテの前に敗れた。
挫折を味わった春のクラシック以降、彼女もまたキタちゃんとは別の歩みで徐々に成長していくはずだ。サトノ家の、そして自身の悲願を追い求めるクラちゃんの物語にも注目したい。
シュヴァルグラン
アニメでベールを脱ぐ
シュヴァルグランもサトノクラウンと同じようにアニメ3期まで長らく温められてきたウマ娘。アニメでもまだ登場シーンは少なく、本格的に活躍する姿が観られるのはもう少し先だろうか。
史実馬の馬主は「大魔神」の愛称で有名な元プロ野球選手の佐々木主浩氏。所有馬の馬名には「ヴ」がつくことでも有名だ。
史実のシュヴァルグラン
基本情報 | 2012年3月14日生 牡馬 栗毛 |
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血統 | 父ハーツクライ 母ハルーワスウィート(父Machiavellian) |
母ハルーワスウィートは、シュヴァルグランの他にヴィルシーナ、ヴィブロスというそれぞれG1を勝った姉妹を輩出した名繁殖牝馬。いずれは姉妹そろっての登場にも期待したいファミリーだ。
公式プロフィール
史実を反映して、才能ある姉と妹にコンプレックスを抱く真ん中っ子という設定になっている。マリンテイストの衣装は、佐々木主浩氏が所属した球団のイメージを連想させる。
アニメ注目ポイント
キタサンブラックと同世代だが、出世は遅くクラシックには不出走だった史実を反映して、アニメでもシュヴァルグランの活躍が観られるのはもう少し先になるだろう。
優秀な姉と妹を越えようと努力を重ねる様子や、やがて報われる日が来るであろうと想像するだけで泣けてくる。3期の中でも感動的なストーリーになることは間違いない。
サウンズオブアース
個性派の名脇役
最後は、少し前に公開した番外編「善戦ホース」特集にも登場したサウンズオブアース。強者揃いのアニメ3期の主要メンバーに入っても、個性ではヒケを取らない存在になりそうだ。
史実のサウンズオブアース
基本情報 | 2011年4月12日生 牡馬 黒鹿毛 |
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血統 | 父ネオユニヴァース 母ファーストバイオリン(父Dixieland Band) |
世代としてはキタサンブラックのひとつ上の世代にあたる。長く第一線で走り続けたため、キタサンブラックとの対戦数では3期に登場するウマ娘の中でも随一だ。
公式プロフィール
プロフィール文から漂う強烈なネタ‥いや、個性派ウマ娘感。ただならぬ眼力に胸がザワつく。芸術家という点も踏まえて、世代を超えてオペラオーとの絡みが観たい気もする。
アニメ注目ポイント
プロフィールの情報だけで断定はできないものの、名脇役という史実の立ち位置を守る気がなさそうな個性を放っている。ただし、ひとたびレースとなればキタサンブラックに肉薄するような力走も見せてくれることだろう。そのギャップも含め、3期にアクセントを加えてくれるようなキャラクターとなりそうだ。
アニメ3期、本格化する戦いに期待
ドゥラメンテの登場で最高潮に盛り上がった第1話を終え、次からは少し落ち着いて観ることができるだろうか。キタサンブラックとライバルたちの戦いはこれから本格化していく。
キタサンブラックが「みんなの愛馬」になるまでのドラマチックな物語を、アニメ ウマ娘を通じてもう一度リアルタイムで観ることができることにワクワクが止まらない。
ありがとう、アニメ ウマ娘 season3
引用元:TVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』公式Xアカウントより
二世の活躍がアツい!秋競馬
それぞれの産駒たち
これから秋のG1シーズンが本格化するリアル競馬が、ウマ娘ファンにとってもアツい。なぜなら、アニメ3期を彩るウマ娘たちそれぞれの実際の産駒が各所で活躍しているのだ。
ドゥラメンテ
まずはドゥラメンテ産駒の牝馬リバティアイランドが、牝馬三冠をかけて秋華賞に挑む。そして初年度産駒の人気馬タイトルホルダーは、競走中止した春の天皇賞以来となったG2オールカマーで復活を印象づける2着。今後はジャパンカップや有馬記念での完全復活が期待されている。
他にも2022年の二冠牝馬スターズオンアースやホープフルステークス勝ちのドゥラエレーデ、今年2023年のNHKマイルカップを勝ったシャンパンカラーなど層の厚い産駒がスタンバイしている。
キタサンブラック
初年度産駒のデビュー以来、あっという間にトップ種牡馬となったのがキタサンブラック。その代表産駒が初年度産駒の一頭であるイクイノックスだ。
2022年に皐月賞・ダービー2着のあと秋に飛躍を遂げ、天皇賞(秋)と有馬記念を制覇して年度代表馬に輝いた。4歳になった2023年の初戦には海外G1ドバイシーマクラシックを圧勝して世界ランク1位に位置づけられるまでになった。国内初戦の宝塚記念も勝って、目下G1レース4連勝中。
この秋は、同世代のダービー馬ドウデュースとの再戦やジャパンカップで世界の強豪たちを迎え撃つ戦いに注目が集まっている。
また、皐月賞の勝ちっぷりがドゥラメンテのようだと話題になったソールオリエンスが、菊花賞でサトノクラウン産駒のダービー馬タスティエーラと雌雄を決する。
サトノクラウン
今年のクラシック世代が初年度産駒となるサトノクラウン。その中から早くもダービー馬が誕生した。混戦と言われた春の牡馬クラシック路線の中、タスティエーラが皐月賞2着から挑んだダービーを見事に制覇した。菊花賞でキタサンブラック産駒のソールオリエンスやサトノダイヤモンド産駒のサトノグランツとの争いを制して二冠となるか。またその後の古馬勢との対戦にも注目したい。
サトノダイヤモンド
サトノクラウンと同じく今年のクラシック世代が初年度産駒。その中でも、同じ「サトノ」の冠名を継ぐサトノグランツが、秋初戦の神戸新聞杯を快勝して菊花賞の有力馬に名乗りを上げた。
サトノダイヤモンドは名馬ディープインパクトの後継種牡馬候補でもあり、さらなる産駒の活躍が期待される。
シュヴァルグラン
今年の2歳世代が初年度産駒。執筆時点(10月5日)までにまだ1頭が勝ち上がったのみだが、シュヴァルグラン自身も歳を重ねて力をつけた晩生タイプだけに、まだまだ本領を発揮するのはこれからと見られる。秋以降にデビューを控える産駒たちにも注目だ。
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キャラクター関連コラム
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ディープインパクト | 緑スキル持ちの競走馬たち |
名牝達の競演 | 一時代を築いた名門・メジロ家 |
本格参戦が待ち遠しいウマ娘① | 本格参戦が待ち遠しいウマ娘② |
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菊花賞 | 天皇賞(秋) |
エリザベス女王杯 | マイルチャンピオンシップ |
ジャパンカップ | 有馬記念 |
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