第126回:長い旅路を駆け抜けた、ステイゴールドの物語

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【ウマ娘】第126回:長い旅路を駆け抜けた、ステイゴールドの物語

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【ウマ娘】第126回:長い旅路を駆け抜けた、ステイゴールドの物語

競馬好きのライターが送るウマ娘コラム第126回。2025年のラストを飾るのは、ついに実装された大人気ウマ娘。長い旅路を駆け抜けた、ステイゴールドについて熱く語ります。

目次

長い旅路を駆け抜けた

稀代の愛されホース

第126回:長い旅路を駆け抜けた、ステイゴールドの物語の画像

先日、突如として放映されたウマ娘のTVCM。JRAの伝説的CMシリーズ「THE WINNER」をオマージュしたBGMとハイクオリティな映像にウマ娘ファン、競馬ファンが釘付けになる中で颯爽と現れたウマ娘の名は、ステイゴールド。

【ウマ娘 プリティーダービー】CM「ステイゴールド」篇

引用元:ぱかチューブっ!【ウマ娘公式】

多くの名馬と出会った長い旅路の果てに待っていた最高の結末とは。今もなおファンに愛され続ける、ステイゴールドの史実を追っていく。

ウマ娘のステイゴールド

公式プロフィール

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好奇心が旺盛で、無類の旅好き。無茶な旅程を組んでは気ままな放浪を始め、長い間帰ってこないことも多い。常に飄々としながらもどこか達観した人柄に惹かれるのか、学園では主に個性派なウマ娘たちに慕われがち。彼女らいわく、『不思議と、愛さずにはいられないお方』なんだとか。

ウマ娘ストーリーを見るべし!

育成ウマ娘として実装されたことでついに全貌が明らかとなったステイゴールド。ウマ娘のステイゴールドを知るためには、まずは誰でも無料で見ることができるウマ娘ストーリーの4話までを視聴してみてほしい。これからそこで明かされている「ウマ娘のステイゴールド」に関するある重要な設定というか立ち位置の話に触れていきたい。

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「あいつ」の蹄跡を辿る旅

ウマ娘のステイゴールドは、別の世界線のステイゴールド(史実のステイゴールド)の存在を認識していて、別の世界線を生きた自分のことを「あいつ」と呼び、その蹄跡を辿る旅路をしている言う。そしてトレーナーと出会うことで「あいつ」の歩んだ蹄跡を塗り替えるための旅路をスタートさせるのである。

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このウマ娘ストーリーの序盤を視聴した筆者は、思わず感嘆の声を漏らしてしまった。強者として存在するウマ娘のステイゴールドに対し、これから紹介する史実のステイゴールドという馬はどちらかと言えば「もどかしくて応援しがいのある名脇役」である。

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この両者を見事に両立させてしまったのである。そして、ステイゴールドが駆け抜けたあの時代を、ウマ娘のステイゴールドと一緒に追体験できるシナリオは、随所で胸が熱くなるシーンが満載だ。そして同時に、ウマ娘のステゴがその歴史を塗り替えて自分こそが時代の中心に在るというIFのストーリーを違和感なく見せてくれる珠玉のシナリオだと思う。

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彼女と縁を持つウマ娘が多数登場

ウマ娘のステイゴールドは、彼女のことを「アネゴ」と慕っている一族のウマ娘たちはもちろんのこと、ほかにもステイゴールドと何らかの縁を持つウマ娘が多く、彼女たちからも「ステゴ先輩」と呼ばれて一目置かれる存在である。

ステゴ先輩の周りに集まってくるのは、「あいつ」つまり史実のステイゴールドが駆け抜けた長い旅路の途中で出会った、いずれもその時代を代表する名馬たちだ。

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それでは、丸5年におよぶステイゴールドの現役生活を振り返っていきたい。しかし全50戦という戦歴を一つ一つ取り上げるのは難しいため、主に冒頭のCMに登場するライバル達とのレースや、育成において目標レースとなっているものを中心にピックアップしていく。

長い旅路の中でステイゴールドが出会い、レースで競ったライバルたちも併せて振り返りながらステイゴールドの史実を追っていきたい。

幼少期~デビューまで

血統

ステイゴールドは、すでに初年度と2世代目を経て旋風を巻き起こしていた大種牡馬サンデーサイレンスの3世代目の産駒。同期のサンデーサイレンス産駒といえば、他にはサイレンススズカが筆頭格という世代である。

そして母系のほうを見てみると、母ゴールデンサッシュ(父ディクタス)はその母ダイナサッシュ、三代母ロイヤルサッシュに遡る社台ファームゆかりの血統。ゴールデンサッシュの三歳上の全兄にはサッカーボーイがいる良血。シンデレラグレイでは弾丸シュートを代名詞に活躍するディクタストライカというウマ娘のモデルとして知られる。

母ゴールデンサッシュの二番仔、1994年産まれで叔父にサッカーボーイを持つ小柄なサンデーサイレンス産駒が、のちのステイゴールドである。

2-3歳時:下積み時代

6戦目の初勝利

牧場時代からヤンチャさは増すばかり。2歳になったステイゴールドは、かつてメジロマックイーンを育て、のちには三冠馬ディープインパクトを管理することになる名伯楽・池江泰郎厩舎に入厩。デビューに向けて調教を積まれた。

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そして年の瀬も迫った12月、阪神競馬場の芝2000m新馬戦でデビューを迎える。デビュー戦の馬体重は432kg。鞍上にO.ペリエ騎手を配して3番人気の支持を集めた。レースでは中団待機から上がり最速タイの脚で追い込んだが惜しくも3着まで。

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続く2戦目はレース中に脚元を気にしたこともあってレースにならず最下位16着に敗れてしまった。

パートナーとの出会い

明けて3歳になると、これ以降ステイゴールドの主戦騎手を務める熊沢重文騎手と初コンビで3戦目に挑む。レースは京都のダート1800m未勝利戦。

このレースで1番人気に支持されたステイゴールドだったが、最終コーナーで外へ外へと逸走してしまい、挙句の果てに熊沢騎手を振り落として競走中止。どこかで聞いたことがあるような、さすがはあの馬たちの祖であるという暴れん坊エピソードを残し、調教再審査を課される結果となってしまった。

この経験を受けて、熊沢騎手は普段の調教からステイゴールドに跨り、ハミを変えたりと厩舎と連携して左にもたれる癖の矯正に取り組んだ。

初勝利

無事に調教再審査をクリアしてレースに挑むと、左にもたれる癖もマシになり走りが安定。阪神芝2000mの未勝利戦でクビ差2着、京都芝2400mでも連続2着に入りいよいよ勝ち星が見えてきた。

そしてデビューから6戦目、東京の芝2400m未勝利戦に出走したステイゴールドは、数週間後にダービーが行われるのと同じ舞台で待望の初勝利をあげた。

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夏の上がり馬に

この世代の頂点を決める日本ダービーが終わった翌週。中京で1勝クラスのすいれん賞(芝2500m)に出走したステイゴールドはここも快勝して2連勝。春のクラシックには間に合わなかったが、ようやく軌道に乗り始めた。

続いて2勝クラスのやまゆりステークス4着を挟んで夏の札幌開催へ。阿寒湖特別(札幌芝2000m)に出走すると、道中中団待機から3コーナーあたりで早めにまくって進出し、そのまま押し切る強い内容で3勝目をあげた。

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ウマ娘ストーリーの中でステイゴールドが札幌競馬場を訪れるシーンが描かれており、このときにあげた札幌での1勝が印象的だったことも関係しているのだろう。

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この勝利により、秋は菊花賞出走を目指してトライアルから本番へというローテーションとなった。

マチカネフクキタル

京都新聞杯から菊花賞へ

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夏の上がり馬として菊花賞の権利取りに挑んだ京都新聞杯にはマチカネフクキタルやメジロブライトらが登場。

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例のCMにも起用された2頭がステイゴールドの前に立ちはだかり、結果は4着。惜しくも優先出走権に届かずだった。

トライアル2連勝を飾ったマチカネフクキタル、最後方から追い込んで3着だったメジロブライトは菊花賞でも有力候補と見られた。

菊花賞

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ステイゴールドは結局賞金順で出走が叶い、初めてG1の舞台を踏むことになった。この年の春二冠を制したサニーブライアンが故障で戦線離脱しており、混戦模様の菊花賞。マチカネフクキタル、メジロブライトら京都新聞杯組が人気の中心を担った。

そして、マチカネフクキタルがトライアルからの勢いそのままに見事優勝し、4連勝で菊花賞馬にまで駆け上がった。メジロブライトは3着、ステイゴールドは10番人気で8着という結果に終わった。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

新たな出会い

ステイゴールドは自己条件に戻り、ワールドスーパージョッキーズシリーズの一戦に組まれていた3勝クラスのゴールデンホイップトロフィー(阪神芝2000m)に出走。抽選で決まった鞍上は武豊騎手。この出会いがステイゴールドの蹄跡にのちのち重要な出会いとなる。

単勝1.5倍の1番人気に推されたものの、2着と惜敗。レース中に他馬を噛みつきに行こうとするなど気性の若さを見せ名手を驚かせた。

この一戦をもって3歳シーズンを終え、翌年に備えた。

4歳時:シルバーコレクター

自己条件でも重賞でも2着続き

4歳になると主戦の熊沢騎手とのコンビに戻って再スタート。年明け初戦のオープン特別レース、万葉ステークス2着に始まり、自己条件の松籟ステークスでも2着。これで前年から年をまたいで3連続2着となかなか勝ちきれない。

そんな中、格上挑戦で出走したG3ダイヤモンドステークスで2着に入ったことで本賞金の上積みに成功してオープン入りを果たした。

メジロブライト

天皇賞・春

日経賞4着を挟んで天皇賞・春に出走。同期のシルクジャスティスやメジロブライトが人気の中心となっていたが、ステイゴールドは10番人気の人気薄である。

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レースが始まると、ステイゴールドと熊沢騎手は中団あたりで折り合いをつけて脚をためる。人気のシルクジャスティスやメジロブライトを見る位置取りで追走した。

そして最後の直線に入ると、シルクジャスティス、メジロブライトと一緒に伸びを見せ、シルクジャスティスを競り落としてからもバテずにメジロブライトに食い下がり、最後は2馬身差をつけられながらも2着を守りきってゴールした。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

これで未勝利時代から数えて7度目の2着。直近の5戦で4度の2着となり、この頃には2着の多いシルバーコレクターと認識され始めていた。

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サイレンススズカ

宝塚記念

この頃、中距離路線では同期のサイレンススズカが覚醒。年明けから破竹の4連勝中だった。

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そして春のグランプリ宝塚記念。異次元の逃亡者が5連勝でG1初制覇を成し遂げたレースで、ステイゴールドはまたしても9番人気の低評価を覆し2着。サイレンススズカをあと少しのところまで追い詰め、エアグルーヴやメジロブライト、シルクジャスティスといった人気上位馬に先着する激走を見せたのだった。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

天皇賞・秋

秋初戦は、京都大賞典で2番人気の支持を集めたが3歳馬セイウンスカイの4着。

そして迎えた天皇賞・秋。単勝1.2倍と圧倒的な支持を集めるサイレンススズカに注目が集まる中、ステイゴールドは2着候補の1頭として4番人気とG1では過去最高の人気を集めた。

結果としてサイレンススズカ最後のレースとして記憶されるこの天皇賞でも、ステイゴールドは2着を確保した。

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ウマ娘のステイゴールド育成シナリオでは、自身の蹄跡を塗り替えると同時にこの日刻まれた悲しい記憶をも別の結末へと導こうとするステイゴールドが尊いシーンだ。

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エルコンドルパサー

ジャパンカップ

天皇賞のあとはジャパンカップに出走。このレースでは6番人気10着という結果に終わり、人気より着順が大きく下回るステイゴールドらしくない結果となった。

黄金世代の3歳馬の1頭であるエルコンドルパサーが勝ったこのレースは、ウマ娘ストーリーの序盤において行われる模擬レースの元になっており、別の世界線の存在を示す重要なシーンとして描かれているのだ。

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グラスワンダー

有馬記念

年末のグランプリ有馬記念。この年人気を集めていたのは黄金世代の二冠馬セイウンスカイ。ステイゴールドにとっては秋初戦の京都大賞典ですでに一度対戦して敗れた相手だ。そして時代の中心を歩き続けてきた女帝エアグルーヴのラストランでもある。

制したのは、こちらも黄金世代の一角を担うグラスワンダー。骨折休養明けから不振続きで人気を落としていた栗毛の怪物が、完全復活を遂げたレースだ。

ステイゴールドは2着のメジロブライトに次ぐ3着に入り、ジャパンカップの大敗から巻き返してみせた。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

ステイゴールドはこの年、勝ち星こそなかったものの天皇賞・春から有馬記念まで古馬主要路線のG1にフル参戦し、2着3回、3着1回という成績を残した。記憶されるのはたいがい勝ち馬の名前だけであるが、ステイゴールドの名前は、稀代の善戦マンとしてしっかりと記憶された1年だった。

5歳時:ブロンズ色に

勝てずとも王道を往く

5歳のシーズンは、ステイゴールドにとってはさらに我慢の年となる。ちょっと長くなりすぎてしまう都合上もあって少しばかり足早に書かせてもらう。前年の有馬記念から3着が増え、シルバーコレクターからブロンズコレクターになってしまうのだが、黄金世代のグラスワンダーやスペシャルウィークに挑んだレースでしっかりステイゴールドの蹄跡を残している。

勝ち星は遠くとも、この年も王道のG1路線を歩み続けた。天皇賞・春でスペシャルウィークの5着のあとは金鯱賞と鳴尾記念で連続3着。そして宝塚記念ではグラスワンダーとスペシャルウィークから大きく離されはしたものの3着は譲らなかった。

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スペシャルウィークとの激闘

4度の3着という悔しい結果に終わった春を経て、秋を迎える。この秋は、スペシャルウィークが日本の総大将として大きく花開くことになる。

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天皇賞・秋の1番人気はセイウンスカイ。宝塚記念でグラスワンダーに決定的な差をつけられ、秋初戦の京都大賞典で7着と惨敗したスペシャルウィークは4番人気に甘んじていた。

そして、ステイゴールドの単勝人気は12番人気にまで落ち込んでいた。3連系の馬券がまだなかった時代である。ブロンズ色では馬券に絡めないのだから、売れなくなるわけだ。ステイゴールドという馬は人気があるのに馬券は売れないという、実にシビアな世界だ。

しかしレースではステイゴールドが久しぶりにらしさを見せる激走。最後の直線、馬場の真ん中を通って突き抜けそうな脚色のステイゴールドを、大外からスペシャルウィークが一気に差し切ってゴール。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

4番人気スペシャルウィークと12番人気ステイゴールドの馬連は15,770円の万馬券。忘れた頃に馬券に絡んだステイゴールドが波乱の立役者となった。

黄金世代の対決を見届ける

その後はスペシャルウィークが日本の総大将としてモンジューら海外勢を迎え撃ったジャパンカップで6着、グラスワンダーとスペシャルウィークの世紀の大接戦となった有馬記念は10着。それでも、2年連続で古馬王道路線のG1にフル参戦を果たし、98年黄金世代の戦いを見届けた。

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6歳時:勝利を

再び善戦続きの春

ステイゴールド6歳のシーズン。まずはAJCCで2着になると、京都記念3着、日経賞2着。G2であと一歩勝ちきれないレースが続き、天皇賞・春ではテイエムオペラオーの4着。4歳世代が上位を占め新たな時代の到来を予感させた。

目黒記念で悲願の重賞制覇

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大崩れなく好調のまま迎えたのはG2目黒記念。長く名コンビを組んできた熊沢騎手から武豊騎手へと乗り替わりとなり、3歳時に一度騎乗して以来のコンビ結成となった。

雨で重馬場に渋った馬場の中、1番人気に推されたステイゴールド。後方待機策で脚を溜めると、速いペースで流れたレース展開も見事にハマり、直線では渋った馬場をものともせずに追い込んでくる。

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最後はAJCCで先着を許したマチカネキンノホシに1馬身¼差をつけて先頭でゴールを駆け抜けた。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

3歳夏の札幌以来、実に2年8ヶ月ぶりの勝利。通算4勝目にして悲願の重賞初制覇。ステイゴールドと武豊騎手はまるでG1を勝ったかのような歓声に迎えられた。

悪天候の土曜G2とは思えないような盛大な祝福に、池江調教師をはじめ陣営は涙を流して喜んだ。

世紀末覇王降臨

その後は、この年も変わらず王道G1を歩んだステイゴールド。しかしこの路線はことごとく世紀末覇王テイエムオペラオーのために道を開けなければならなかった。

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目黒記念以降の成績は次第に低迷し、宝塚記念4着、オールカマー5着(メイショウドトウ)、天皇賞・秋7着、ジャパンカップ8着、有馬記念7着。

テイエムオペラオーがこの年の古馬中長距離G1を完全制覇するシーンに、ステイゴールドはすべて立ち会ったのだった。

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7歳時:黄金旅程

日経新春杯で重賞2勝目

7歳も現役続行のステイゴールド。年明け初戦はG2日経新春杯から始動した。単勝は5番人気。鞍上は初騎乗の藤田伸二騎手。

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好スタートから3番手につけると、そのまま好位のインで折り合い脚をためる。最後の直線に入ると、逃げ切りを図るサンエムエックスを交わして単独先頭に立つ。なおも粘りを見せるサンエムエックスを振り切ると、そのまま先頭でゴールを駆け抜けた。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

前年の目黒記念以来の通算5勝目、重賞2勝目となった。

ドバイへ

日経新春杯のあと、ステイゴールドはドバイへ遠征することが決まる。同じ池江厩舎の牝馬トゥザヴィクトリーがドバイワールドカップに挑戦することが決まっており、ステイゴールドはそれに帯同する形でドバイシーマクラシック(当時G2)へ参戦することになったのである。

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慣れない海外輸送をクリアして、武豊騎手とのコンビでレースに挑む。前年のジャパンカップ3着など日本でも知られていた地元UAE・ゴドルフィン所属のファンタスティックライトをはじめ好メンバーが揃った一戦。

スタートすると、ステイゴールドは中団馬群のインにつける。馬群は終始バラけずひと塊で進んでいく。

最終コーナーを周って最後の直線に入る。相変わらずタイトな馬群から先に抜け出したのはファンタスティックライト。ステイゴールドはまだ馬群の中だ。

直線半ばを過ぎて馬群を抜けてくるステイゴールド。進路が開くと、ジワジワと加速しながらファンタスティックライト目掛けて末脚を伸ばす。

残り100mあたりで完全に射程圏に捉えると、一完歩ごとに差を詰めてゴール寸前で馬体が並んだ。どちらが先着したか分からない。勝負は写真判定へともつれ込んだ。

そして写真判定の結果、ステイゴールドがわずかにファンタスティックライトを捉えており海外重賞制覇の快挙が達成された。

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まだ日本馬の海外挑戦が今ほど盛んになる前の時代のことである。トゥザヴィクトリーもドバイワールドカップで2着に入り、シーキングザパールやタイキシャトル、エルコンドルパサーといった外国産馬の挑戦で切り開いた海外挑戦の道を日本産まれのサンデーサイレンス産駒たちが繋いでみせた。

宝塚記念

帰国後は宝塚記念に出走。メイショウドトウがテイエムオペラオーを破って悲願のG1制覇を成し遂げたレースで4着。宝塚記念には4年連続、4回出走して2着,3着,4着,4着とすべて掲示板内を確保して相性の良さを印象付けた。

最後の秋

ドバイ後、年内いっぱいでの現役引退から種牡馬入りが決まっていたステイゴールドが現役生活最後の秋に臨む。

初戦の京都大賞典では1位で入線したものの、最後の直線でステイゴールドが左に斜行してナリタトップロードの落馬事故に繋がってしまい、審議の結果失格。

続く天皇賞・秋はアグネスデジタルの7着。天皇賞・秋は4年連続出走して2着,2着,7着,7着だった。京都大賞典もそうだが、左にもたれる癖が顕著になっており、残り少ないレースで好走するために中間は矯正が図られた。

ジャパンカップ

国内ラストランは、こちらも4年連続の出走となるジャパンカップ。過去3年は10着,6着,8着とあまり相性がいいとは言えない。

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それでも4番人気の支持を集めた7歳の人気者は、3歳馬ジャングルポケットが覇王テイエムオペラオーを破って世代交代を告げたレースで4着と過去最高着順。陣営が中間に工夫したもたれ癖対策も効果を発揮したようで、ジャパンカップ挑戦4回目で初めて掲示板内に入る走りを見せた。

黄金の旅路の果てに

香港で大団円

ステイゴールドの現役ラストランの舞台には香港・シャティン競馬場で行われる国際G1香港ヴァーズが選ばれた。

丸5年間に及ぶ現役生活中、大きな怪我もなく走ったレースはこれが50戦目。勝てない時期も長かったが、国内重賞2勝に海外重賞制覇も達成。G1での2着は4回、3着2回。そのラストランを迎える。馬名の香港表記は「黄金旅程」。

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鞍上は武豊騎手。レースでは14頭立ての10番手あたり、馬群の外側を進む。デットーリ騎乗のエクラールが早めに動いて先頭に立ち、最終コーナーを回る。

最後の直線、エクラールが後続を突き放す。ステイゴールドは外からスムーズに加速すると一気に2番手へと抜け出してくる。しかし、内ラチのほうへともたれて一瞬勢いが鈍りそうに見えたところで武豊騎手が手綱を持ち直して立て直す。そこからまた鋭く伸びてエクラールとの差を詰めると、並んで、交わして先頭でゴールを駆け抜けた。

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なんという結末か。あれほど勝てなかったG1を、長い旅路の末に辿り着いた異国香港の地でついに勝った。それが稀代の善戦マンと言われたステイゴールドのラストラン、現役最後の勇姿であった。

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大種牡馬へ

引退後の種牡馬としての活躍は知っての通り。現役時代のもどかしさは何だったのかというくらいに次々に活躍馬を輩出してトップ種牡馬へと上り詰めてゆく。

そうきたか、の連続

最後に、ウマ娘のステイゴールドの育成ストーリーについて今一度筆者なりの感想を述べたい。とにかく、育成しながら感心する場面が何度もあった。それほどよく練られた素晴らしい出来栄えだったと思う。

まずは冒頭にも触れた、史実のステイゴールドの蹄跡を辿るだけでなく、自ら塗り替えていくという大胆なIFの世界に落とし込んだこと。我々競馬ファンが知っているのは、相手が誰であろうが2着、3着と勝ちきれないステイゴールドなのだが、ウマ娘で育成する強いステイゴールドを違和感なく見ることができて痛快な気分すらあった。

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そして、5年間で50戦もの戦歴(しかも主要G1をそれぞれ3回も4回も走っている)の持ち主であるステイゴールドの物語をいかにして2年半という育成期間に凝縮するかという難題を、マルチシナリオにして年代を分岐させることであっさり解決している点。何度も新鮮な気持ちで楽しめる最高の仕掛けではないか。

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あとは、ステイゴールドが旅路の中で出会ったウマ娘たちとの関係性がとてもよかった。同期のフクキタルやスズカとのシーンではなんだかジーンとしてしまった。

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ガチャでステゴ先輩をお迎えできたトレーナーの皆さん、オート育成だけでは勿体ない。ステイゴールドという馬が歩んだ黄金の旅路を、ウマ娘のステイゴールドと一緒に巡ってみてほしい。

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ありがとう、ウマ娘。

ありがとう、ステイゴールド。

史実のステイゴールド

基本情報1994年3月24日 牡馬 黒鹿毛
血統父サンデーサイレンス
母ゴールデンサッシュ(父ディクタス)
馬主社台レースホース
調教師池江泰郎(栗東)
生産牧場白老ファーム(北海道白老町)
通算成績50戦7勝(国内48戦5勝、海外2戦2勝)
主な勝ち鞍01’香港ヴァーズ(G1),01’ドバイシーマクラシック(G2),

エピソード①育成ストーリーに登場する謎のウマ娘

メジロマックイーンとともに最後までステイゴールドに寄り添うこととなる「品のある栗毛のウマ娘」とは一体誰なんだ?

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史実にそんなメジロの子いたっけ?となったのだが、ステイゴールドとメジロマックイーンの関係性から推察すれば、彼女のモデルはドリームジャーニーとオルフェーヴルを産んだオリエンタルアートではないかということになる。「ステマ配合」「黄金配合」と名付けられるほど相性の良かった父ステイゴールドと母父メジロマックイーンの配合で二頭の名馬を送り出した栗毛の名繁殖牝馬がオリエンタルアートである。

第126回:長い旅路を駆け抜けた、ステイゴールドの物語の画像

それにしても、マックイーンに協力してもらうことで、ステゴ自身が「ステマ配合」の恩恵を受けたかのように強くなる(史実を超えてクラシックに挑むだけの力を得る)という展開も神演出だったなぁ。

エピソード②黄金の旅路は終わらない

ステイゴールドの血を継ぐ一族の活躍は一代だけではとどまらず、現在も着実に枝葉を広げ続けている。

オルフェーヴルは初年度産駒からいきなりG13勝の名牝ラッキーライラックを輩出すると、ダートで世界を制したウシュバテソーロやマルシュロレーヌ、芦毛の人気者シルヴァーソニックといった活躍馬を次々に世に送り出している。

ゴールドシップ産駒では今年、待望の牡馬G1ホースが生まれた。数日後に迫った今年の有馬記念にも出走予定のメイショウタバルが、春のグランプリ宝塚記念を勝利。もうすぐ第70回有馬記念。ステイゴールドも縁のある、日高産馬の星として春秋グランプリ制覇に挑む。

黄金の旅路にはまだまだ続きがありそうだ。

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BNW世代(93年~)から競馬を追いかけているガチガチの競馬ファン。最近は少し離れ気味だったが、ウマ娘をきっかけに競馬への情熱を取り戻す。
持ち前の競馬知識を活かして、ウマ娘ファンと競馬の間の橋渡しに少しでも貢献したいと思っている。

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