第26回:最強の二番手 メイショウドトウの物語

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【ウマ娘】第26回:最強の二番手 メイショウドトウの物語

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【ウマ娘】第26回:最強の二番手 メイショウドトウの物語

競馬好きのライターが送るウマ娘コラム第26回。今回は、覇王のライバルにして最強の二番手「メイショウドトウ」について熱く語ります。

目次

覇王のライバル

最強の2番手

第26回:最強の二番手、メイショウドトウの物語の画像

前回のコラムの主人公、世紀末覇王テイエムオペラオーには、常に良きライバル達がいた。クラシック三冠で三強を形成したアドマイヤベガとナリタトップロード。

そして、覇王に成り上がった2000年から翌2001年にかけてずっとオペラオーの二番手を走り続けたのが、終生のライバルと呼ばれたメイショウドトウである。

最強の二番手

シルバーコレクターではない

第26回:最強の二番手、メイショウドトウの物語の画像

引用元:JRA日本中央競馬会

オペラオーのコラムでも紹介したとおり、メイショウドトウが初めてテイエムオペラオーと相まみえた2000年の宝塚記念での2着から始まり、翌2001年の宝塚記念で悲願を達成するまで実に5戦連続でG1レースでの2着がある。間にG2レースをいくつか挟んで、G1レースではすべて2着。もちろん勝ったのはすべてテイエムオペラオーだ。

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競馬の世界ではよく、2着が多い馬に対して「シルバーコレクター」とか呼ぶのだが、メイショウドトウの場合はちょっと違う。なぜならシルバーコレクターとは相手が変わっても2着。格上相手でも、「今回は勝てそう」みたいな相手でも2着。そういう馬のことだろう。しかし、メイショウドトウの場合は、負ける相手はテイエムオペラオーただ一頭である。

実際、テイエムオペラオーに敗け続けた1年間でG1レースの合間に出走したG2レースが2戦あるのだが、そこでは2戦ともきっちりと勝ちきっている。だからメイショウドトウはシルバーコレクターではなく、最強の二番手という評価なのだ。

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「産まれた時代が悪かった」と言われてしまうこともあったが、それでもテイエムオペラオーに一矢報いて自力で名馬の仲間入りを果たしたのだから大したものである。

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デビュー前

アイルランド産まれ

その力強い和風の名前からは想像がつきにくいかも知れないが、メイショウドトウはアイルランド産まれの外国産馬である。

父のBigstoneは現役時代に英国などでマイルを中心に活躍しG14勝をあげた名馬だが、その産駒が日本に輸入された数は非常に少なく、JRAで出走した累計頭数で10頭以下という超マイナー種牡馬である。

3歳時

メイクデビュー

メイショウドトウはデビューが遅く3歳の1月。デビュー戦から5戦目までをダートのレースで走っている。

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1月1週目の京都競馬場ダート1800m新馬戦は1番人気で2着と惜敗。2戦目は同条件で1番人気に応えて初勝利をおさめる。

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コツコツと勝ちを積み上げる

3月から5月にかけて、間隔をあけながら月1のペースでダートのレースに出走。4戦目の中京ダート1700mで2勝目をあげると、つづく5戦目は同じ条件の中京ダート1700mで8着と大敗。夏場は休養し、9月の復帰戦以降は芝レースに出走する。

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芝のレースでも徐々に調子を上げていくと、10月に嵯峨野特別(芝2000m)、11月にドンカスターステークス(芝1800m)と連勝しオープン入りを果たす。ここまで10戦を要したが、まだまだ成長途上の段階だった。

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4歳時

重賞挑戦

12月の六甲ステークスで自身最低着順となる11着を記録するが、年が明けると一変。ついにメイショウドトウの眠れる才能が開花しようとしていた。

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4歳となった1月。果敢にG2日経新春杯へ出走すると、8番人気の低評価ながら2着と健闘を見せる。先行から直線で抜け出し、あわや、というレースだったが後ろから追い込んできた勝ち馬に差された。

重賞初制覇

そして3月のG3中京記念(芝2000m)に出走すると、3番人気の支持を受けてこれに応える。先行策から抜け出すと、後続を寄せ付けず2着に3馬身差をつける圧勝。重賞初制覇を飾った。

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G1へ向けて

重賞戦線で安定した成績を残し始め、いよいよG1への挑戦も視界に入ってきたメイショウドトウだったが、G2日経賞3着のあとは天皇賞(春)ではなく同じ週に行われるオープン戦メトロポリタンステークスに出走し、断然の1番人気に応えて快勝。

翌日行われた天皇賞は、テイエムオペラオーがナリタトップロード、ラスカルスズカら三強対決に湧いた一戦を制して優勝している。

金鯱賞

春の最大目標を宝塚記念に定め、G2金鯱賞で重賞2勝目を狙うメイショウドトウ。すると、天皇賞でオペラオーに敗れて2着だったラスカルスズカや、同じ「メイショウ」のメイショウオウドウといった強豪と激突。皆、宝塚記念を目指す馬たちである。菊花賞馬マチカネフクキタルもいた。

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レース当日は雨、稍重馬場で行われた。メイショウドトウは中団待機から徐々に進出して直線に向くと、後ろからくるラスカルスズカら他の有力馬が伸びあぐねる中、力強く抜け出して1着でゴール。2着に1馬身半の差をつける完勝だった。

オペラオー登場

宝塚記念

4歳になってから急成長を遂げたメイショウドトウは、ついに最高峰G1の舞台に辿り着いた。そして、宝塚記念で待ち構えていたのは宿命のライバルとなるテイエムオペラオーだった。

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前走の天皇賞(春)で皐月賞以来となる2つ目のG1勝利を挙げたテイエムオペラオーは、4歳になってから負けなしの3連勝。1番人気に支持されていた。対するメイショウドトウは金鯱賞で重賞2勝目を挙げたものの、G1は初挑戦。まだまだ伏兵扱いの6番人気だった。2番人気はグランプリ3勝の怪物グラスワンダー。ここ2走は負けが続いていたが実力は疑う余地もない。

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天候は再び雨。馬場は良馬場。逃げ馬サイレントハンターが軽快に逃げる展開。離れた2番手につけたメイショウドトウと、やや後ろ4番手付近にテイエムオペラオー。グラスワンダーは中団から。最終コーナーでサイレントハンターが馬群に飲み込まれ、内から抜け出すラスカルスズカ目掛けて、外からメイショウドトウやテイエムオペラオーが一気に押し寄せる。テイエムオペラオーが一気に抜き去る勢いかと思われたが、伏兵のジョービッグバンと一緒にメイショウドトウも食い下がる。最後までこの3頭の追い比べとなったが、テイエムオペラオーがわずかに出たところでゴール。メイショウドトウはクビ差まで迫ったが惜敗の2着だった。

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レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

始動:G2オールカマー

怒濤の勢いでG1制覇まであと一歩と迫ったメイショウドトウは、宝塚記念のあと夏場は休養に当てる。

秋はG2オールカマーから始動。ここから、王道のG1路線での飛躍を狙う。重賞レースでは初めて1番人気の支持を集めると、重馬場も難なくこなして快勝。ダートもこなすパワーを備えるメイショウドトウは、重馬場はむしろ得意としていた。

天皇賞(秋)

そして舞台は秋のG1戦線本番に突入する。まずは天皇賞(秋)。京都大賞典を勝って5連勝中のテイエムオペラオーと再戦である。

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1番人気はもちろんテイエムオペラオー。2番人気にメイショウドトウ。またしても馬場は重馬場だった。スタートすると、逃げる2頭を離れて追う3番手集団につけたメイショウドトウ。テイエムオペラオーはそのすぐ後ろの5,6番手の位置取り。最終コーナーで一気に団子状態になった中から、直線に入ると早めにメイショウドトウも抜け出しを図る。しかし、テイエムオペラオーの脚色が一頭違った。あっという間にメイショウドトウを交わすと、そのままリードを広げて1着でゴール。力の差を見せつけられたようなレースだった。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

ジャパンカップ

今度は2頭揃ってジャパンカップで世界の強豪を迎え撃つ。断然の1番人気テイエムオペラオーのあとには、外国馬のファンタスティックライト、3歳世代から2冠馬エアシャカールらが人気で続き、メイショウドトウは5番人気。とは言え2番手候補は混戦模様だった。

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スタートすると、スローペースを3,4番手の好位につけるメイショウドトウに、そのうしろ中団からテイエムオペラオー。これまでと同じような位置取りでレースが進む。直線に向くと、馬場の真ん中から堂々と抜け出すメイショウドトウに、後ろからテイエムオペラオーとファンタスティックライトが襲いかかる。テイエムオペラオーが並びかけると、離されまいと必死に食い下がるメイショウドトウ。3頭の激しい叩き合いを制してテイエムオペラオーが1着でゴール。メイショウドトウはまたしても2着だったが、ファンタスティックライトには抜かせなかった。

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レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

有馬記念

これでG1レースではテイエムオペラオーに3戦連続で敗れてすべて2着。どうすればこの馬に勝てるのか。暮れのグランプリ有馬記念で逆転を狙う。

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メイショウドトウはこれまでの先行策ではなく、中団待機の位置取りとなる。天皇賞もジャパンカップも早めに抜け出して差されている。いつもスタートよく好位につけるため、脚をためて差す競馬は試みたことがなかった。

テイエムオペラオーはさらに後ろ、後方から3番手付近で内側に押し込められているような状況。メイショウドトウは3,4コーナーで外目を回って上がっていく。テイエムオペラオーは馬群の中で行き場を探している。直線は大混戦となり、先に抜け出した古豪ダイワテキサス目掛けて外からメイショウドトウが伸びてくる。そして狭いところで進路を失ったかに思われたテイエムオペラオーが、いつの間にか馬群の隙間を縫うように上がってくる。最後はテイエムオペラオーとメイショウドトウが馬体を並べてゴール。ハナ差でテイエムオペラオーが勝っていた。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

世紀末覇王の強さ

2000年はテイエムオペラオーの年だった。8戦8勝。出走したレースすべてに勝ち世紀末覇王と呼ばれたテイエムオペラオーの強さは、圧倒的な差をつけたりレコードタイムで派手に勝つのではなく、いつも際どい接戦をものにする勝負強さだった。結局この年、その勝負強さの前にメイショウドトウはあとわずかのところで敵わなかった。

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5歳時

非願に向けて

2001年。5歳になったメイショウドトウは悲願のG1制覇に向けてG2日経賞から始動。単勝オッズ1.1倍の圧倒的な人気を背負い、昨秋のオールカマー以来約半年ぶりの勝利をおさめる。メイショウドトウは、ほぼ1年の間を通してテイエムオペラオー以外には敗けていなかった。こういうレースで取りこぼさないことこそが、この馬の強さの証明だった。

天皇賞(春)

春の天皇賞、テイエムオペラオーは前哨戦の産経大阪杯で4着という結果に終わり連勝が途切れていた。長距離を得意とする菊花賞馬ナリタトップロードは順調な過程。メイショウドトウと3強の争いとなった。

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テイエムオペラオーは包まれることを嫌いやや前めでレースを進める。そしてそれを見る位置取りでメイショウドトウが追走。ナリタトップロードはオペラオーの少し前にいる。最終コーナーでそれぞれ仕掛けて上がっていくと、そのまま最後の直線へ。テイエムオペラオーとの差は半馬身のまま最後まで縮まらなかった。これで前年からのG1連続2着を継続して5戦連続となった。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

悲願達成の時

宝塚記念

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今年も勝てないのか、天皇賞を見た多くのファンはそう思ったに違いない。しかしついにその時が来た。ちょうど1年前に初めてテイエムオペラオーと顔を合わせた舞台でついにメイショウドトウが雪辱を晴らすのである。

後ろからでは届かないことはわかっている。本来の先行策で5番手あたりのポジションにつけたメイショウドトウ。それをやや後ろで追いかけるテイエムオペラオー。第3コーナーから最終コーナー、メイショウドトウが早めに仕掛けて先頭に並びかける。

テイエムオペラオーはやや反応が遅れて後方にいる。直線で抜け出したメイショウドトウに、遅れてテイエムオペラオーが差を詰めてくる。

またしても同じ順番でゴールをするのではないか、そんな心配をよそに、ついに、初めてテイエムオペラオーより前でメイショウドトウがゴールを切った。もちろん、前に他の馬はいなかった。

第26回:最強の二番手、メイショウドトウの物語の画像

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

6度目の対戦にして初めて先着を果たし、悲願のG1の頂きに辿り着いたメイショウドトウ。最強の2番手が、頂点に輝いた瞬間だった。

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オペラオーとともに

前回オペラオーのコラムでも書いたとおり、メイショウドトウが悲願を達成したこの宝塚記念を境にテイエムオペラオーとメイショウドトウ2頭の時代が徐々に終わりに近づいていった。

秋は王道のシニア三冠を3着、5着、4着。対するテイエムオペラオーは2着、2着、5着。ともに勝利することができずに有馬記念でラストランとなった。

その後、メイショウドトウとテイエムオペラオーは2頭仲良く合同引退式が行われ、惜しまれつつターフを去った。

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ありがとう、ウマ娘。

ありがとう、メイショウドトウ。

史実のメイショウドトウ

基本情報1996年3月25日生 牡 鹿毛
血統父 Bigstone
母 プリンセスリーマ(父 Affirmed)
馬主松本好雄
調教師安田伊佐(栗東)
生産牧場P. Hardy(アイルランド)
通算成績27戦10勝
主な勝ち鞍’01宝塚記念
生涯獲得賞金9億2,133万円

エピソード①メイショウさん

競馬関係者から尊敬を集める大馬主

メイショウドトウの馬主は関西の大馬主である松本好雄氏。松本氏の冠名であるメイショウ+ドトウ(怒濤)が馬名の由来である。松本氏は年に数十頭の競走馬を所有する有数の個人馬主だが、そのほとんどが中小規模の牧場が生産した、決して流行りの良血とは言えない血統の馬たちだ。

また引退後の所有馬の多くを見放すことをせず、自身で引き取ったり乗馬や誘導馬に転向させるなどして面倒を見る人情派としても知られる。そんなこともあり牧場関係者からは「メイショウさん」と呼ばれ親しまれている。

メイショウドトウのほかにも活躍馬は多く、メイショウサムソンやメイショウマンボなどのG1馬や、ダートで活躍したメイショウバトラー、メイショウボーラーあたりは今後のウマ娘化も期待したくなるところだ。

エピソード②ヒーロー列伝

ターフを揺るがす“怒涛”の力。

JRAポスター「ヒーロー列伝」のキャッチコピー。(ポスター画像はリンク先で見られる)


引用元:JRAポスター ヒーロー列伝(No.50)

テイエムオペラオーのポスターが制作された1年後、宝塚記念で悲願を達成したメイショウドトウもJRAヒーロー列伝に名を連ねることになった。

エピソード③今も人気者

ネイチャやタイキシャトルとともに

メイショウドトウは2022年現在、26歳になったいまも元気である。認定NPO法人引退馬協会のもとでフォスターホース(引退馬協会の活動支援のための里親制度)として、バースデードネーションで話題となったナイスネイチャや、当コラムでも引退後の様子を紹介したタイキシャトルとともに功労馬代表として元気に過ごしている。

YoutubeTwitterでもちょくちょく近況が報告されており、大変いやし効果の高いコンテンツとなっている。

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この記事を書いた人
ライターE
ライターE

BNW世代(93年~)から競馬を追いかけているガチガチの競馬ファン。最近は少し離れ気味だったが、ウマ娘をきっかけに競馬への情熱を取り戻す。
持ち前の競馬知識を活かして、ウマ娘ファンと競馬の間の橋渡しに少しでも貢献したいと思っている。

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