第83回:いぶし銀の逃げで魅了した、タップダンスシチーの物語

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【ウマ娘】第83回:いぶし銀の逃げで魅了した、タップダンスシチーの物語

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【ウマ娘】第83回:いぶし銀の逃げで魅了した、タップダンスシチーの物語

競馬好きのライターが送るウマ娘コラム第83回。今回は、名コンビで花開いたいぶし銀の逃げ馬「タップダンスシチー」について熱く語ります。

目次

名コンビが魅せた巧みな逃走劇

遅咲きの逃げ馬

第83回:いぶし銀の逃げで魅了した、タップダンスシチーの物語の画像

巧みな逃げでファンを魅了したタップダンスシチーは、奥手の血統と激しい気性から出世が遅れたものの、ついに出会ったパートナーとの名コンビ結成で素質が開花した。

今回は、ウマ娘での実装も待ち遠しい遅咲きの逃げ馬タップダンスシチーの史実を追っていく。

血統

アメリカ生まれのマル外馬

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タップダンスシチーはアメリカ産まれの外国産馬である。父Pleasant Tapは、現役時代アメリカで32戦9勝という成績を残し、特に5歳時に初G1制覇するなどピークを迎えた。産駒も徐々に力をつけて古馬になってから本格化するいわゆる晩成型が多い種牡馬だ。

仔馬時代

1歳時に半兄のクリプトシチー(3勝)と同じ友駿ホースクラブによって購買されて輸入されると、クリプトシチーを管理した佐々木晶三調教師に見初められ、同厩舎入りが決まった。

父の名前プレザントタップと母の名前オールダンスから取られたタップダンス+冠名シチーで「タップダンスシチー」と命名された。

デビュー前

2歳になって佐々木晶三厩舎に入厩。本格的な調教がはじまると気性面のうるさいところを見せたこともあり、デビューは遅れて明け3歳になってからとなった。

3歳時

メイクデビュー

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3月の阪神競馬場、芝2000m新馬戦でデビューを迎える。天気は雨、稍重馬場というで6番人気だった。鞍上は四位洋文騎手。スタートから中団を進み、そのまま見せ場もなく9着でゴールした。

初勝利

中一週で出走した折返しの新馬戦(阪神芝2200m)に出走すると、初戦とはレースぶりが一変。中団からしぶとく伸びて初勝利を挙げた。

オープンで好走も

その後、オープン特別の若草ステークス(阪神芝2200m)でのちのダービー馬アグネスフライト(アグネスタキオンの全兄)の5着ののち、G3京都新聞杯に出走。好位からよく粘ったものの、またしてもアグネスフライトに敗れて惜しくも3着だった。2着馬とのハナ差は、本賞金の面で大きなハナ差となった。

2勝目

春のクラシックも終わり、自己条件からとなったタップダンスシチー。熊沢重文騎手に乗り代わって2戦を消化したが、7着、5着と結果を出すことはできず夏は休養に入った。

秋に復帰すると、京都で2戦して4着(四位騎手)、2着(幸騎手)と徐々に良化。そして12月、中京競馬場で行われた2勝クラスのハンデ戦・天竜川特別(芝2500m)に格上挑戦で出走し、待望の2勝目を挙げた。鞍上は乗り替わりで初騎乗の松田大作騎手だった。

4歳時

善戦続きも未勝利

4歳になると、芝の中距離~長距離のレースを中心にコンスタントに使われて春までに4戦するものの未勝利。格上挑戦で挑んだオープン特別も含め、いずれも掲示板に載る善戦はするものの勝ちきれないレースが続いた。

秋2戦も4着、2着に終わり、結局この年6戦すべて掲示板を確保したものの未勝利に終わった。

5歳時

課題は気性面

3勝目が遠いままタップダンスシチーは5歳になった。ここまで15戦2勝。掲示板を外したのは2回のみと安定しているように見えるが、反面、勝ちきれない戦いぶりが続いていた。原因のひとつは、激しい気性にあると考えられた。パドックではいつもイレ込み気味で落ち着きなくチャカチャカと歩き、二人引きでも持て余すような場面が見られた。

レースでもムキになって引っかかり気味に走ると消耗してしまう。こういったレース前からの消耗が最後の詰めの甘さに出てしまうため、能力を余さず発揮するためには気性面の成長が必要だった。

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ウマ娘でも何かにつけて踊っているように、ついついタップを踏んでしまう陽気なタップダンスシチー。

格上挑戦

年明け初戦は格上挑戦でG2の日経新春杯(京都芝2400m)に出走。3歳時の京都新聞杯以来の重賞挑戦だったが、初騎乗の川原正一騎手を背に、52キロの軽ハンデを活かして3着と善戦した。サイレンススズカの弟ラスカルスズカや、トウカイテイオーの弟トウカイオーザといった人気馬に先着して潜在能力の高さを垣間見せた。

連勝でオープン入り

重賞での好走で勢いづいたタップダンスシチーは、自己条件に戻って2勝クラスの春日特別(京都芝1800m)を武豊騎手とのコンビで快勝。久々の勝利を挙げると、続く御堂筋ステークス(阪神芝2200m)をO.ペリエ騎手で連勝。これまでの足踏みが嘘のように一気にオープン入りを果たした。

定まらない騎手問題

勝浦正樹騎手と初コンビを組んでG2日経賞に出走するといきなり僅差の2着。もともと格上挑戦の重賞でも好走実績があっただけに、重賞にもすぐ手が届きそうだった。

その後、勝浦騎手が継続騎乗して臨んだオープン特別のメトロポリタンステークス3着、目黒記念5着のあとは久しぶりに四位騎手に戻った函館記念で8着と足踏み。

タップダンスシチーにはこれまで四位騎手がもっとも多く騎乗していたが、乗り替わりも多くこれまでに実に10人もの騎手が跨っていた。気性の難しいタップダンスシチーにとって、騎手の乗り替わりは決してプラスではなかっただっただろう。そしてこのあと、運命のパートナーと出会うのである。

最良のパートナーとの出会い

朝日チャレンジカップ

秋初戦のG3朝日チャレンジカップ(阪神芝2000m)。鞍上には、タップダンスシチーにとって11人目のパートナーとなる佐藤哲三騎手が指名された。

スタートすると3番手につけ、速いペースで流れるレースを追走。直線で早めに抜け出すと、1,2番人気のトゥルーサーパスとイブキガバメントとの競り合いをわずかに制して先頭でゴール。コースレコードの好タイムで重賞初制覇を果たした。

初騎乗でいきなり結果を出した佐藤哲三騎手。これ以降、タップダンスシチーの鞍上は引退まですべて佐藤哲三騎手が継続することとなる。

中距離重賞の常連に

その後は、京都大賞典、アルゼンチン共和国杯とG2で連続3着と好走したが、1800mに距離短縮した京阪杯で5着。1800mの距離は短いと判断され、一貫して2000m以上のレースに絞って出走した。

父のPleasant Tapがスプリント戦など短い距離でも走ったこともあって産駒にもスピード豊かな馬が多かったが、タップダンスシチーは中距離以上でこそ最大限にスピードを発揮するタイプだったようだ。

有馬記念であっと驚く逃げ粘り

年末の有馬記念はファン投票上位馬の出走頭数が少なかったこともあって、タップダンスシチーにとって初めてのG1挑戦が叶う。

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この年の人気は3歳勢二頭。無敗の牝馬ファインモーションと、3歳にして天皇賞を勝ったシンボリクリスエス。さらに4歳馬からはジャングルポケットが3番人気で続いた。タップダンスシチーは14頭立ての13番人気という人気薄だ。

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ゲートが開くと、外から好スタートをきったファインモーションが先頭に飛び出すと、タップダンスシチーも譲らない構えで逃げを主張。一周目のスタンド前で火がついたファインモーションが先頭を奪うと、タップダンスシチーも向正面で再びファインモーションを交わしてそのまま逃げるという目まぐるしい展開となる。

ファインモーション以下後続を大きく引き離して逃げるタップダンスシチー。7,8馬身のリードを保ったまま最終コーナーを周って直線に向くと、これはもう届かないのではと場内からは声援とも悲鳴ともとれる大歓声があがる。

ゴール手前100m、もはや誰もこないと思ったところでただ1頭、もの凄い豪脚で追い込んできたのが漆黒の3歳馬シンボリクリスエスだった。13番人気のタップダンスシチーは大金星目前で交わされて、半馬身差の2着でゴールした。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

惜しくも優勝は逃したものの、思い切った逃げを見せた佐藤哲三騎手とタップダンスシチーの激走に暮れの中山が沸いた。また、シンボリクリスエスとの外国産馬によるワンツー決着となり、これは有馬記念史上初のことであった。

6歳時

本格化

6歳となったタップダンスシチーは、有馬記念の走りがフロックではなかったことを自ら証明するように本格化を迎えた。

休み明け初戦の東京競馬場リニューアル記念(東京芝2400m)では、有馬記念2着馬にも関わらず7番人気という低評価を覆して快勝。幸先の良いスタートを切った。

金鯱賞(2003年)

春の目標を宝塚記念に定め、G2金鯱賞(中京芝2000m)に出走。前年の勝ち馬ツルマルボーイや重賞3勝のバランスオブゲーム、二冠牝馬テイエムオーシャンらハイレベルなメンバー構成となった。

4番人気のタップダンスシチーは、逃げるダイタクフラッグを途中から交わして先頭に立つと、そのままロングスパートを仕掛けて逃げ込みをはかる。

直線入り口でさらにリードを開くと、内ラチ沿いをいっぱいに追われて粘り、後方から鋭く伸びた1番人気ツルマルボーイを抑えて先頭でゴール。重賞2勝目を挙げた。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

宝塚記念

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連勝で駒を進めた宝塚記念では、4番人気の評価を得る。有馬記念以来の休み明けシンボリクリスエスが1番人気、3歳馬ながら電撃参戦してきた二冠馬ネオユニヴァースが2番人気。そして同期の二刀流アグネスデジタルも前走の安田記念を勝ち、国内外地方交流合わせて6つのG1級タイトルを引っ提げて参戦していた。史上稀に見る好メンバーが集結した宝塚記念となった。

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この豪華メンバーの競演を制したのは、ヒシミラクル。勝っても勝っても人気の出ないヒシミラクルが、6番人気の低評価を覆して快勝。前走の天皇賞(春)に続くG1連勝を果たした。

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タップダンスシチーは、外枠からいつもより後ろのポジション取りとなり苦しい展開となったが、早めの仕掛けから最後までしぶとく粘って3着を確保。シンボリクリスエスやネオユニヴァースを上回る順位を守り地力強化を証明した。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

飛躍の秋へ

夏場を休養にあて、秋は京都大賞典から始動。重賞レースでは初めて1番人気の支持を集めると、終始先頭を譲らない逃げ切り勝ちで人気に応えてみせた。

春の王者ヒシミラクルを退けての優勝で重賞3勝目をマーク。堂々と秋古馬王道路線でのG1獲りに挑む。

衝撃の9馬身差V

ジャパンカップ

陣営は、天皇賞(秋)をスキップしてジャパンカップを選択。

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秋の天皇賞を連覇したシンボリクリスエスが並み居る外国勢をおさえて1番人気。そして菊花賞3着で惜しくも三冠達成は成らなかった3歳馬ネオユニヴァースが2番人気。外国馬の筆頭格アンジュガブリエルを挟んで4番人気にタップダンスシチーが続いた。

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前日からのまとまった雨により、あいにくの重馬場。タップダンスシチーと佐藤哲三騎手の作戦はこの時点で決まっていた。

ゲートが開くと、最内1枠1番からポーンと好スタートしてそのまま思い切りよく逃げる。菊花賞馬ザッツザプレンティを3,4馬身後方に引き連れて軽快に飛ばす。

向正面でもペースを緩めることなく更にリードを拡げ、10馬身以上の大逃げを披露。その隊列が映し出されると、場内は大きくどよめいた。

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大きなリードを保ったまま府中の長い直線へ。一時はザッツザプレンティとの差が5馬身程度に縮まったように見えたが、後続は重馬場に脚を取られてか誰も伸びてこない。そして逃げ切り体制に入ったタップダンスシチーは再びリードを拡げていき、最後は一人旅。

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衝撃的な逃げ切り圧勝で見事なG1初制覇を飾った。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

2着ザッツザプレンティとの着差は9馬身。これはJRAのG1史上最大着差での優勝であった。また、ジャパンカップでの逃げ切り勝ちは、日本馬による初勝利となったカツラギエース以来19年ぶり2度目だった。

有馬記念

G1馬として臨んだ有馬記念では、中山での逃げ切りを期待され2番人気と人気を集めたが、持ち前の逃げは見られず8着に終わった。

そしてこれが引退レースのシンボリクリスエスが、ジャパンカップと同じG1レース最大着差である9馬身差をつけて圧勝し、有終の美を飾った。

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7歳時

金鯱賞(2004年)

有馬記念後は休養して連戦の疲れを癒やす。7歳春のシーズンは、前年勝った縁起のいいレース、金鯱賞から始動した。

タップダンスシチーのほかに菊花賞馬ザッツザプレンティ、前年の三冠牝馬スティルインラブや、その三冠牝馬をエリザベス女王杯で下したアドマイヤグルーヴなど、この年も粒ぞろいの好メンバーが集まった。

レースは、先行から早めに仕掛けて先頭に立つ得意のパターンに持ち込んだタップダンスシチーが押し切って、同レース初の連覇を達成した。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

なお、走破タイムはサイレンススズカの従来レコードを上回るコースレコードを樹立。7歳になってもそのスピードに衰えはなかった。

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宝塚記念

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春のグランプリ宝塚記念に、1番人気で挑むタップダンスシチーと佐藤哲三騎手。もはやこの人馬のコンビは自分の型で走らせたら容易に負かすことはできないと分かっていた。

そして、分かっていても止めることは難しかった。ハナにはこだわらないが、早めに仕掛けて前を潰してそのまま押し切ってしまう。この宝塚記念でもその勝ちパターンに持ち込んだ。

3番手追走から早めに仕掛けて先頭を奪うと、そのままロングスパートで後続に脚を使わせて悠々と押し切った。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

強引にも見えるレース運びだが、それがこの馬にとって一番強い乗り方だというのは、またしても記録したレースレコードが物語っている。7歳のベテランがビワハヤヒデの従来レコードを塗り替えてみせた。

凱旋門賞挑戦

不運なアクシデント

宝塚記念後は、凱旋門賞挑戦することが決まっていた。ステップレースには使わず、直前まで日本で調整して仕上げたのちに、直前輸送でフランス入りするプランだった。

日本での仕上げは順調に行われ、万全の状態で出国するはずだった。ところが、タップダンスシチーが乗り込む輸送機の機材トラブルによって状況が一変。代替便の手配が整わなず、最終的に出国できたのは予定よりも6日後の便。現地に着いたのは凱旋門賞の二日前だった。

凱旋門賞

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輸送後は心配されたほど影響は見られなかったものの、当日になってイレ込みが激しくなりパドックでは終始チャカチャカと集中力を欠いてしまった。栗東から府中への移動とは訳が違うのだから無理もない。

レースでは先行策から早めに逃げ馬を捉えに行く自分のレースを展開したが、早々と失速して17着に沈んだ。

有馬記念

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凱旋門賞挑戦から帰国すると、有馬記念を目標に調整されるが、十分な仕上がりにはもう一つという状態だった。一時は有馬記念が引退レースになると発表されていたが、それは撤回されて翌年も現役続行が決まった。

完調とは言えない状態で有馬記念を迎える。この秋、天皇賞、ジャパンカップを連勝していたゼンノロブロイが1番人気。鞍上はシンボリクリスエスで有馬記念を連覇しているO.ペリエ騎手だ。

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スタートから果敢に先手を奪ったタップダンスシチーが、ヒシミラクルとゼンノロブロイを引き連れて逃げる。名手ペリエ騎手とゼンノロブロイにマークされながらも2馬身ほどのリードを保って最終コーナーを先頭で周る。

最後の直線、迫るゼンノロブロイとのマッチレースとなり、残り100地点で交わされてからも懸命に食らいついて半馬身差の2着でゴールした。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

8歳時

金鯱賞(2005年)

有馬記念後は休養に入り、8歳になったタップダンスシチー。前年に連覇を飾った金鯱賞から始動する。

単勝オッズは1.4倍の断然人気。JRAの平地で同一重賞を3連覇すれば史上2例目の快挙だった。

期待を集めたタップダンスシチーと佐藤哲三騎手の名コンビは、8歳になっても何も変わらず自分達のレースに徹した。スタートから先手を取り、一度も先頭を譲らず三度目の金鯱賞を楽々と逃げ切った。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

金鯱賞3連覇の偉業を達成すると同時に、獲得賞金は外国産馬として初の10億円を突破。テイエムオペラオー、スペシャルウィークに続く歴代3位の獲得賞金に到達した。

宝塚記念

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連覇を狙った宝塚記念では、単勝1.9倍の1番人気に支持された。

外枠から先行し、逃げるコスモバルクを交わして最終コーナーを先頭で周る。いつものこの馬のパターンだったが、直線では突き放すことができず早々と後退してしまう。人気に応えることができずスイープトウショウの7着に終わった。

引退

宝塚記念後は休養して秋の古馬王道G1戦線に戻ったが、天皇賞9着、ジャパンカップ10着、有馬記念12着と全盛期の走りは見られなかった。

有馬記念を最後に今度こそ引退が決定しており、有馬記念当日の中山競馬場で引退式が執り行われた。

L’Arc

ウマ娘では、間もなく実装される新育成シナリオの「プロジェクトL'Arc」において、凱旋門賞に挑むウマ娘たちが描かれる。キービジュアルにタップダンスシチーの姿はないが、史実で挑んだ一人なだけに何らかの登場シーンもあるかも知れない。

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ウマ娘ならではのIfのストーリーでは、予定通りのスケジュールでフランスへ渡り、華麗なステップで逃げるタップダンスシチーの勇姿が見られるだろうか。

いずれにせよ、タップダンスシチーの担当トレーナーは佐藤哲三騎手を反映したキャラクターであると予想、いや確信している。

ありがとう、ウマ娘。

ありがとう、タップダンスシチー。

史実のタップダンスシチー

基本情報1997年3月16日生 牡馬 鹿毛
血統父 Pleasant Tap
母 All Dance(父Northern Dancer)
馬主友駿ホースクラブ
調教師佐々木晶三(栗東)
生産者Echo Valley Horse Farm&Swettenham Stud(米国ケンタッキー州)
通算成績42戦12勝(JRA:41戦12勝、仏:1戦0勝)
主な勝ち鞍03’ジャパンカップ、04’宝塚記念
生涯獲得賞金10億8422万円

エピソード①種牡馬として

種牡馬としては、初年度こそ150頭以上の繁殖牝馬を集め期待されたが、産駒の成績が思うように振るわず種付け頭数は年々減少していった。

中央で重賞を勝つような目立った活躍馬は現れず、地方競馬の笠松や園田で重賞を勝ったタッチデュールが代表的な産駒であった。

種牡馬引退後は乗馬を経て余生を過ごしている。もっとも、持ち前の激しい気性から、あまり乗馬には向かなかったという話もあるが、タフに走り続けた現役時代と同様に元気に長生きしてもらいたいものだ。

エピソード②これがオレ達の走りだ。

JRAポスター「ヒーロー列伝」のキャッチコピーを見てみよう。(ポスター画像はリンク先で見られる)


引用元:JRAポスター ヒーロー列伝(No.57)

これがオレ達の走りだ。」オレ”達”というのが粋なキャッチコピーである。オレ達とはもちろん、タップダンスシチーと佐藤哲三騎手の名コンビのことだ。

ヒーロー列伝シリーズのキャッチコピーで騎手の存在をストレートに表現された例は非常に少ない。

エピソード③騎手を志すきっかけはあの逃げ馬

佐藤哲三騎手がジョッキーを目指すきっかけの一つとなったのは、カツラギエースが制したジャパンカップだそうだ。

第83回:いぶし銀の逃げで魅了した、タップダンスシチーの物語の画像

2頭の三冠馬を差し置いて、カツラギエースが日本馬として初めて制したジャパンカップからおよそ20年後、奇しくも、そのカツラギエースと同じように大逃げでジャパンカップを圧勝してみせたのだからドラマチックな巡り合わせである。3着馬がシンボリの冠名(いずれも1番人気)だったことも偶然一致する。

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ライターE
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BNW世代(93年~)から競馬を追いかけているガチガチの競馬ファン。最近は少し離れ気味だったが、ウマ娘をきっかけに競馬への情熱を取り戻す。
持ち前の競馬知識を活かして、ウマ娘ファンと競馬の間の橋渡しに少しでも貢献したいと思っている。

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