第112回:破天荒な三冠馬、オルフェーヴルの物語

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【ウマ娘】第112回:破天荒な三冠馬、オルフェーヴルの物語

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【ウマ娘】第112回:破天荒な三冠馬、オルフェーヴルの物語

競馬好きのライターが送るウマ娘コラム第112回。今回は史上稀に見る強さと破天荒さで金色の暴君と呼ばれた三冠馬、オルフェーヴルについて熱く語ります。

目次

金色の暴君

最恐の三冠馬

第112回:破天荒な三冠馬、オルフェーヴルの物語の画像

美しい栗毛の馬体と人々を魅了する走り。そして破天荒なエピソードの数々。今回は、金色の暴君ことオルフェーヴルの史実を追っていく。

ウマ娘のオルフェーヴル

ウマ娘では、アプリのリリース3周年で発表されてから待つこと1年。4周年のタイミングで待望の育成ウマ娘として実装されたのがオルフェーヴルだ。

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公式プロフィール

天上天下唯我独尊、レース界の王を名乗ってはばからない、暴君ウマ娘。 ターフは我が領土、三冠は元より我がもの―― 故に、その手に取り戻しに行くのである。 学園では、圧倒的な実力とカリスマ性に魅了された生徒たちが臣下として常にはべっているとか……。

兄はドリームジャーニー

血統

オルフェーヴルは父ステイゴールド、母オリエンタルアート(父メジロマックイーン)。御存知の通り全兄にはドリームジャーニーがいる血統である。

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父ステイゴールドx母父メジロマックイーンの通称「ステマ」配合はまたの名を「黄金配合」とも呼ばれ、春秋グランプリ制覇の兄や本馬、ゴールドシップなど多くの大物を輩出したことで知られる。

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この年オリエンタルアートは、もともとはディープインパクトと交配されたものの不受胎が続き、最終的には兄と同じくステイゴールドが選ばれたといういきさつがある。

兄と同じ池江厩舎へ

毛色も馬格も兄とは違って母に似た栗毛の牡馬は、2歳になると「オルフェーヴル(フランス語で金細工師)」と名付けられる。

そして兄と同じく栗東の池江泰寿厩舎へと入厩。5月の遅生まれとは思えないほど順調に乗り込まれ、調教が進むにつれて才能の片鱗を覗かせるようになっていった。

2歳時:幼さとの戦い

黄金伝説の幕開け

デビューは8月の新潟競馬場、芝1600mの2歳新馬戦。兄ドリームジャーニーの主戦騎手を務めた池添謙一騎手がオルフェーヴルに乗るために新潟まで駆けつけて騎乗する熱の入れよう。2番人気でスタートを迎えた。

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パドックでは落ち着きなくイレ込む様子を見せていたが、ゲートが開くとなだめて中団で折り合いをつける。直線に入ると池添騎手のゴーサインに反応して鋭い末脚を繰り出す。直線半ばからゴールにかけては内ラチ沿いまで斜行しながらも見事差し切り勝ちを収めた。

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と思ったのも束の間、ゴール後もその勢いは止まらずラチに接触して池添騎手を振り落とし放馬。この際に池添騎手は手を3針縫う怪我を負っている。いきなり先行きが不安になるヤンチャぶりを見せたのだった。

惜敗

2戦目の芙蓉ステークスでは、上がり最速の末脚で追い込んだものの逃げたホエールキャプチャを捉えきれず2着惜敗。なお、勝ったホエールキャプチャは翌年の牝馬クラシック戦線を池添騎手とのコンビで賑わせることとなる。

気性面の課題克服へ

このまま朝日杯フューチュリティSを勝った兄ドリームジャーニーのように2歳時から順風満帆に進むかというと、そうはいかなかった。オルフェーヴルの金獅子のごとく荒ぶる気性が、レースで全能力を発揮するのを阻害してしまう要因となる。

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3戦目の京王杯2歳ステークスで気性の幼さを露呈して10着に敗れると、陣営はオルフェーヴルの気性面の課題を克服させるべく育成牧場に放牧へ出す。

そして年が明けてレースに復帰しても折り合いを重視して競馬を教えることに重きをおいた結果、惜敗が続くこととなる。

シンザン記念では中団後方で折り合いに専念して直線ではよく追い込んだものの勝ち馬には1馬身半届かず2着。続くきさらぎ賞でも中団で脚をためて勝ったトーセンラーから1馬身半ほど遅れての3着。いずれもメンバー中最速の上がりを繰り出したものの勝ちきるまでには至らなかったが、気性面の課題を徐々に克服し、とりわけ折り合い面では確実に成長が見られるようになっていた。

トライアルで重賞初制覇

そしてクラシックを目前に控えた一戦でついに結果に結びつく。この年の3月11日に起きた東日本大震災の影響により中山競馬場も被災し、急きょ阪神競馬場での代替開催となった皐月賞トライアル・G2スプリングステークス。

フルゲート18頭が皐月賞の優先出走権をかけてゲートイン。

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オルフェーヴルと池添騎手のコンビは、3枠6番から無難にスタートを決めると中団で折り合いをつける。3コーナーに差し掛かると進路を外にとって徐々にポジションを上げていく。

直線入口で前を射程圏に捉えると、内にささりながらも直線で鋭く伸びて粘るベルシャザールを交わして先頭でゴール。気性面の成長が最後のひと伸びに繋がり、待望の2勝目となる重賞初制覇を達成した。

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三冠馬への道

皐月賞

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中山競馬場の復旧工事に伴って東京競馬場で行われるクラシック一冠目の皐月賞。東京競馬場では京王杯2歳ステークスで二桁着順に終わった苦い経験もあったが、左回りに関しては新潟の新馬戦で勝っており、気性面で成長した今なら広い東京コースもオルフェーヴルにとってマイナスとはならなかった。

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4番人気でスタートを迎えたオルフェーヴルと池添騎手。大外枠もここまで6戦のキャリアで経験を積み重ねてきた人馬にはまったく問題にならなかった。

道中は11-2番手あたりの中団で折り合いをつけてスムーズなレース運び。直線で馬群の間を抜けて進路が開けると、府中の直線を力強く伸びて一気に先頭に躍り出る。そのまま後続を突き放し、3馬身差をつけて圧勝した。

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レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

まずは一冠。兄ドリームジャーニーが果たせなかったクラシック制覇を成し遂げたオルフェーヴル。戦前の4番人気を嘲笑うかのような強さで、早くも二冠、三冠に向けて視界は大きく開けていた。

日本ダービー

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皐月賞激走の疲れもすっかり取れ、二冠がかかる日本ダービーへと向かう。台風の影響で相当量の雨が降りあいにくの不良馬場となったが、今度は堂々1番人気の支持を集めてスタートを迎えた。

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ゲートを出ると、前に行きたい先行勢の争いを見ながら後方を追走。不良馬場でも焦らず騒がず、折り合い重視で自分の競馬に徹するオルフェーヴルと池添騎手のコンビ。徐々に縦長になる馬群の後方から5番手あたりで折り合いをつける。

伏兵オールアズワンが積極的に飛ばして2番手以下を引き離す逃げて淀みのない流れをつくる。大けやきを過ぎて最終コーナーに差し掛かると各馬仕掛けて馬群が固まってゆく。

オルフェーヴルは進路を求めて外へと持ち出す。そこでナカヤマナイトと接触するようなシーンもあり一瞬ヒヤッとした直後、内に切れ込みながら一気に加速。馬群の僅かなスキを突いて進路をこじ開けると、不良馬場を感じさせない切れ味を発揮して先頭に立つ。

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さらに外からただ一頭、10番人気の伏兵ウインバリアシオンが食らいついてくるが最後まで抜かせない。結局ウィンバリアシオンに1馬身3/4差、3着以下には大きなリードを広げて栄冠のゴールを駆け抜けた。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

不良馬場も何のその。オルフェーヴルが1番人気に応えて、スプリングステークスから3連勝で二冠を達成した。

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三冠へ向けて

ダービー後はノーザンファームしがらきへ放牧に出され、夏休みに入った。ここで春までの疲れを癒やし、心身ともにリフレッシュしたオルフェーヴルは、三冠のかかる菊花賞へ向けて帰厩。秋は菊花賞トライアルの神戸新聞杯から始動した。

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オルフェーヴルの秋初戦、馬体重はダービーからプラス16キロの460kg。過去最高の馬体重でも重め感はなくパドックでもひと夏を越してさらに充実した姿を見せた。単勝オッズは1.7倍の1番人気に支持され、ダービー2着のウィンバリアシオンが2番人気で続く。

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レースではスローペースの展開を前目5番手追走から抜け出すという、今までにない横綱相撲の競馬で完勝。2着ウィンバリアシオンに2馬身半差をつけての4連勝で三冠へ向けて万全のスタートをきった。

菊花賞

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いよいよ牡馬クラシック三冠達成へ。迎えた菊花賞では単勝オッズ1.4倍という圧倒的な支持を得て史上7頭目の偉業達成に挑む。京都3000mの長丁場はもちろん未経験だがスタミナに不安はなく、オルフェーヴルの三冠制覇を脅かすような新勢力もこれといって現れていない。あとは自分との戦いと見られた。

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運命のゲートが開くと、スタートを決めて馬群の中団あたりで折り合いをつけたオルフェーヴルと池添騎手。中団10番手あたりで行きたがるのを我慢してレースを運ぶ。

2周目の3コーナーから坂の下りにかけて徐々に進出を開始すると、抜群の手応えで上がっていく。最後の直線に入ると早々と先頭に立ったオルフェーヴル。この時点で誰もがオルフェーヴルの三冠達成を確信。行く手を阻むものは何もなく、あとは三冠への花道を独走した。

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レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

三冠達成直後にらしさ発揮

史上7頭目の三冠馬は金色の暴君

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ターフビジョンには偉業を達成したばかりのオルフェーヴルの姿が映し出される。金色の三冠馬の馬上で、派手なガッツポーズをすることもなく決して油断を見せなかった池添騎手だったが、ゴール入線後に制御がきかなくなったオルフェーヴルは外ラチへ向かって突っ込んで行き、池添騎手を振り落とした。

かつて新馬戦で勝利したあとにも見せたような光景である。それでも手綱を離さず放馬は免れ、しばらくすると場内からは池添コールが沸き起こった。

ウイニングランの馬上ではなく、自身を振り落として何事もなかったかのように佇む金色の暴君の横でコールを聞いていた池添騎手は、駆けつけた厩務員の助けを得てようやく6万人を超える大観衆の下へと戻ってきた。

優勝騎手インタビューでジョッキーに「疲れましたー」と言わせる三冠馬、それがオルフェーヴルなのである。

なお池江泰寿調教師は、無敗の三冠馬ディープインパクトを育てた父・池江泰郎師に続く三冠達成。史上初めて父子で三冠トレーナーとなった師は、今後の目標として「凱旋門賞制覇」を掲げた。

有馬記念

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三冠馬オルフェーヴルは、年末のグランプリ有馬記念へ出走。古馬との初対戦でどんな走りを見せるか注目が集まった。

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対する古馬勢も強力なメンバーが揃った。ここまでG16勝を積み上げてきた女傑ブエナビスタを筆頭に、そのブエナビスタを破って天皇賞・秋を勝ったトーセンジョーダン、当年のドバイワールドカップを勝ったヴィクトワールピサなど豪華な顔ぶれ。オルフェーヴルが現役最強を誇示する絶好の舞台となった。

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レースはスローな流れとなり、有力各馬も折り合いに苦労する展開。オルフェーヴルも後方のインで閉じ込められ我慢を強いられる苦しい展開。

中盤を過ぎて馬群がややバラけた隙に外へ出されたオルフェーヴルは、3コーナー手前から早めに進出を開始。最終コーナーで大外をまくって加速したオルフェーヴルは、直線に入ると粘り込みを図る先行勢を1頭また1頭と交わしていく。ゴール手前で最後にエイシンフラッシュを差し切って先頭でゴールを駆け抜けた。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

引退レースのブエナビスタら歴戦の古馬勢を下してグランプリを制したオルフェーヴルは、春秋グランプリ覇者の兄ドリームジャーニーとあわせて史上初の有馬記念兄弟制覇を達成。この年四冠を獲得すると同時に、現役最強を証明して新たな王となった。

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4歳時:衝撃のレースで幕開け

阪神大賞典

年が明けて4歳シーズンの初戦。天皇賞・春のステップとして阪神大賞典から始動したオルフェーヴルが衝撃のレースを見せる。

単勝1.1倍の圧倒的な人気を背負ったオルフェーヴル。しかし休み明けの影響もありパドックから入れ込む様子も見られ、3000mの長丁場を制するためには折り合いが鍵となる。

スタートして早々に行きたがる素振りを見せるが、池添騎手がどうにかなだめて好位で折り合いをつける。しかし超スローペースに耐えかねて動く馬が出てくると、オルフェーヴルも行きたがって抑えが効かずついには先頭に立ってしまう。

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そして2周目の向正面から3コーナーに差し掛かったところでアクシデントが起こる。コーナーを曲がりきれずに外ラチへ向かって逸走していくオルフェーヴル。池添騎手が立ち上がって手綱を引っ張る様子は、故障発生して競争を中止するように見えたことから場内は騒然。テレビで見ていた筆者も肝を冷やしたのをよく覚えている。

ところが、馬群がコーナーに差し掛かったところでオルフェーヴルが突如レースに復帰。大きく外に逸れていたところから猛然と追い上げてくるではないか。

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そのまま最後の直線を大外から追い込み、内で粘るギュスターヴクライに並んだところでゴール。半馬身差及ばず2着だったとはいえ、一度は止まってしまいそうなほどのロスをなかったことにする衝撃のレースを見せたのだ。

化け物。池添騎手もそう表現するほどの常識破りの走りは、気性面の脆さを露呈するものであった反面、オルフェーヴルの規格外の強さを象徴する伝説的なレースとして記憶されることとなった。

レース映像

引用元:JRA公式ショート動画

のちにオルフェーヴル逸走の原因について「向正面で先頭に立って、レースが終わったと思ってやめようとした」ことや、「コーナーで内に他馬がいることを確認して再び走る気を出して加速した」といった見解が出されると、その賢さと自由奔放ぶりでファンを驚かせた。

天皇賞・春

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阪神大賞典の「逸走事件」を受けて調教再審査が課されたオルフェーヴルだったが、無事にこれをクリアして天皇賞・春へ出走。

出るとなれば、前走の衝撃の走りからも能力に疑いの余地はない。単勝1.3倍の圧倒的な人気を背負ったが、まったくらしさを発揮できずに11着敗退。伏兵ビートブラックが会心の逃げ切り勝ちを収めたレースで、後方のまま見せ場も作れず沈んだ三冠馬の姿は故障を疑わせるほどショッキングな結果であった。

復活の宝塚記念

天皇賞の敗因がはっきりしないまま、ファン投票1位に後押しされて出走した宝塚記念。結果いかんで凱旋門賞挑戦プランも白紙になるという、陣営にとっても後がない重要な一戦となった。

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臨戦過程も体調も決して万全とは言えないオルフェーヴルだったが、ファンは単勝3.2倍の1番人気で支持。三冠馬の復活を願う。

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スタートを切ると、中団後方に控えて折り合いに専念。レースがハイペースで流れたこともあり、道中はかかることもなくスムーズに追走。これまでの勝ちパターンは勝負どころで早めに仕掛けてまくっていくことが多かったが、この日は後方に待機したまま3コーナーを過ぎても動かない。

最終コーナーで内が開いたと見るや、満を持して池添騎手がゴーサインを出す。素早く反応したオルフェーヴルはスルスルと上がっていき、直線に入ると力強く伸びて早め先頭のマウントシャスタを交わす。そのまま最後まで脚色は衰えず、ルーラーシップ以下の追撃を2馬身振り切り、復活のゴールを駆け抜けた。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

ファン待望の復活劇で通算5つ目のG1タイトルを獲得。有馬記念に続いて春のグランプリも兄弟制覇を成し遂げ、凱旋門賞挑戦へはずみをつけた。

レース後のインタビューで池添騎手が見せた涙が、絶対的王者だけが背負う重圧の大きさを物語っていた。

凱旋門賞へ

フォワ賞

宝塚記念後、オルフェーヴル陣営はフォワ賞をステップとして凱旋門賞へ挑むプランを発表。8月にフランスへ渡って2戦というプランだったが、騎手はこれまですべてのレースでコンビを組んできた主戦ジョッキーの池添騎手ではなく現地フランスのクリストフ・スミヨン騎手ということも発表された。

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フランス初戦のフォワ賞は5頭立ての少頭数となり、折り合いに不安のあるオルフェーヴルにとってはペースが鍵となるところ。その点で、日本から帯同した僚馬アヴェンティーノの存在が大きかった。ペースメーカーとしてアヴェンティーノが逃げてレースを引っ張り、結果スローにはなったものの最後方で我慢して直線で追い込んで勝利した。

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メンバーレベルからするともっと楽に勝つことも期待されたが、初めての馬場、初めての騎手と初物づくしの中で1着という結果を出すことができた。

凱旋門賞

迎えた凱旋門賞。長年、日本馬の憧れ、夢、目標としてそこに在り続けるヨーロッパ最高峰のレースである。

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この年、当初は前年の覇者であり欧州最強牝馬として君臨していたデインドリームや日本でエリザベス女王杯を連覇した英国の女傑スノーフェアリーらハイレベルなメンバーが予想されていたが、故障や感染症の流行など様々な理由で有力馬の離脱が相次ぐこととなった。

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オルフェーヴルにとっては能力を発揮すれば十分に勝つチャンスがあり、日本の期待を一身に集めた。

レースが始まると、大外枠からスタートしたオルフェーヴルは先行勢を前に見ながら馬群の外につけて後方で折り合いをつける。僚馬アヴェンティーノもオルフェーヴルの前を導くように走る。

馬群の中でかかることもなくスムーズに追走してフォルスストレートを通過。最後の直線へと向かうと、スミヨン騎手が進路を外へと持ち出しながらゴーサインを出す。

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抜群の手応えで最後の直線を迎えると、内の叩き合いを外から涼しい顔で交わして独走体制に入った。オルフェーヴルの圧勝を誰もが確信したであろう瞬間だった。

ところが、残り200メートルを切ったあたりで内へもたれてラチ沿いまで切れ込むと状況は一転。一度は完全に交わしたソレミアが食い下がり距離を詰める。それでもなんとかしのぎ切れるかというゴール直前でついに逆転を許した。わずかクビ差の2着。

日本中が歓喜から沈黙へ、ほんの数秒の間に叩き落されたような悔しいレースだった。

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三冠馬対決

ジャパンカップ

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帰国したオルフェーヴルは、状態を見てジャパンカップへの出走が決まった。オルフェーヴルと当年の三冠牝馬ジェンティルドンナとの三冠馬対決に注目が集まる一方で、凱旋門賞でオルフェーヴルを差し返した勝負根性の持ち主・フランスの牝馬ソレミアが参戦してきたことでオルフェーヴルとの再戦も話題となった。

そしてオルフェーヴルの鞍上には池添騎手が戻った。

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レースは三冠馬同士の壮絶な一騎打ちとなった。天皇賞・春で金星を挙げたビートブラックが逃げてペースを握り、ジェンティルドンナは好位を進みオルフェーヴルは道中後方で脚をためる展開。

オルフェーヴルは3コーナーから徐々に進出を開始して最終コーナーでは前を射程圏に捉えて最後の直線へ。

オルフェーヴルがビートブラックを交わして先頭にたとうかというところで、内から割って出てきたジェンティルドンナと馬体が接触。その後も馬体を激しくぶつけながらの叩き合いとなり、最後はオルフェーヴルが弾き飛ばされるようなかたちで競り負けた。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

長い審議の結果、降着や失格などの処分はなく入線順どおりに確定。後味の悪い結果となってしまったが、王者オルフェーヴルに一歩も譲らなかったジェンティルドンナの三歳牝馬らしからぬパワーには驚かされた。

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5歳時:再びの凱旋門賞へ

フランス遠征へ向けて

5歳シーズンも現役続行のオルフェーヴルは、初戦に産経大阪杯(G1昇格前のG2)へ出走。ここを危なげなく快勝して前年とは違い幸先の良いスタートをきった。

その後は天皇賞・春を回避して宝塚記念1本に絞って調整が進められていたが、直前の追い切り後に軽度の肺出血を発症して出走回避することが決まった。これによってジェンティルドンナやゴールドシップらと国内最強をかけたドリームレースは実現しなかった。

フォワ賞

宝塚記念を見送ったあとは順調に回復し、予定通り前年と同じローテーションでフランス遠征が敢行されることになった。今回もフランス遠征中の鞍上はスミヨン騎手が務める。

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前哨戦のフォワ賞に向けて入念な最終調整が行われた。その結果、前年よりも落ち着きのある精神状態でレースに臨むことに成功。9頭立てのレースはスローペースで進み、それでもオルフェーヴルは極度に行きたがることなく内ラチ沿いで折り合いを保っていた。

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十分に脚が溜まったオルフェーヴルは直線で一気に抜け出すと、余裕のある脚色で後続との差を広げる。最後はスミヨン騎手が抑える余裕も見せながらも3馬身差をつけて快勝した。

凱旋門賞

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こうして二年連続、二度目の凱旋門賞を迎えた。臨戦過程は前年より順調で状態も不安がない。日本からは当年のダービー馬キズナも武豊騎手とのコンビで参戦し、応援ツアーなどで多くの日本人ファンが日本馬による凱旋門賞初制覇を見届けようと駆けつけた。

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ゲートが開くと、オルフェーヴルは中団馬群後ろのほうで外目を追走。フォルスストレートに差し掛かると、早めに動いていった3歳牝馬トレヴが外からオルフェーヴルを交わして上がっていく。連れてキズナも動いてオルフェーヴルの外に付けて並走して最後の直線へと向かっていく。

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最後の直線に入ると、トレヴの脚色がいい。オルフェーヴルが進路取りに手間取るうちに一気に抜け出して独走体制に入る。オルフェーヴルもようやく馬群を捌いて2番手集団から抜け出しを図るが、キズナらを競り落として2番手にあがるのがやっとだった。

勝ったのは3最牝馬のトレヴ。勝負どころでスムーズではなかった分を差し引いても5馬身差をつけられる完敗だった。

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引退レース

有馬記念

帰国したオルフェーヴルは、ジャパンカップをパスして有馬記念に出走。これをラストランに引退種牡馬入りが発表されていた。ファン投票1位に応えてファンに最後の勇姿を届ける。

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注目は1つ下の二冠馬ゴールドシップとの初対戦。ゴールドシップは前年の有馬記念、当年の宝塚記念とグランプリを連覇中。ステイゴールド産駒同士の一度きりの最強馬決定戦に注目が集まった。

オルフェーヴルのラストランを見届けようと集まった12万人を超える大観衆。その中で、最強を示したのはオルフェーヴルだった。

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3枠6番からゲートを出ると、オルフェーヴルと最後の手綱を任された池添騎手は後方に控えて折り合いをつける。ゴールドシップが気合をつけられながらオルフェーヴルを交わしてひとつ前の位置取り。

3コーナーに差し掛かると、外へ持ち出されたオルフェーヴルが馬なりのままスーッとまくって上がっていく。豪快なまくりが身上のゴールドシップも追うが手応えが違う。

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直線入口で早くも先頭に立つと、ファンの大歓声に包まれながらオルフェーヴルの独壇場となった。西陽を浴びて金色に輝く馬体をファンの目に焼き付けるかのようにゴールまで独走した。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

最後は、3歳時から幾度となくオルフェーヴルの2番手を守り続けた同期のライバル馬ウィンバリアシオンがゴールドシップとの間に割って入って8馬身差の2着となった。

最強のまま引退

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最終レース終了後、残った6万人超のファンが見守る中で引退式が執り行われた。震災の年に三冠馬となったオルフェーヴルは、多くの人に走りで勇気を与えたであろうその強さもさることながら、数々の破天荒エピソードや血統、毛色、池添騎手との名コンビとあらゆる面でファンに愛された稀代のスーパースターであった。

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ありがとう、ウマ娘。

ありがとう、オルフェーヴル。

史実のオルフェーヴル

基本情報2008年5月14日生 牡 栗毛
血統父 ステイゴールド
母オリエンタルアート(父メジロマックイーン)
馬主サンデーレーシング
調教師池江泰寿(栗東)
生産牧場社台コーポレーション白老ファーム(北海道白老町)
通算成績21戦12勝(JRA17戦10勝、海外4戦2勝)
主な勝ち鞍11'皐月賞、日本ダービー、菊花賞、有馬記念、12’宝塚記念、13’有馬記念

エピソード①ヤンチャ伝説は引退後も

現役時代からそのヤンチャぶりを表すエピソードには事欠かなかったオルフェーヴル。引退してからも期待を裏切ることはなく、有名なエピソードとしては池添謙一騎手が種牡馬として暮らすオルフェーヴルのもとを訪れた際の前蹴り事件などがある。

恐る恐る近寄る池添騎手に鼻面を撫でられると、気を許したかのような空気を一変させる見事な前蹴りを繰り出してかつての相棒を威嚇。オルフェーヴルここにありという姿をカメラ越しに見せてくれたのだった。

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エピソード②父として

種牡馬となったオルフェーヴルは、初年度から活躍馬を輩出。

代表格は牝馬のラッキーライラック。阪神ジュベナイルフィリーズを無敗で制して最速で父に産駒G1初勝利を届けると、その後もエリザベス女王杯連覇や大阪杯を制するなど大活躍を収めた。

また、同じく初年度産駒のエポカドーロが皐月賞を勝って牡馬クラシック父子制覇も達成。近年ではドバイワールドカップを制したウシュバテソーロやブリーダーズカップディスタフを勝ったマルシュロレーヌなどダートで世界レベルの活躍馬を出して脚光を浴びている。

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BNW世代(93年~)から競馬を追いかけているガチガチの競馬ファン。最近は少し離れ気味だったが、ウマ娘をきっかけに競馬への情熱を取り戻す。
持ち前の競馬知識を活かして、ウマ娘ファンと競馬の間の橋渡しに少しでも貢献したいと思っている。

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