第53回:黄金世代最終章、グラスワンダーの物語

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【ウマ娘】第53回:黄金世代最終章、グラスワンダーの物語

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【ウマ娘】第53回:黄金世代最終章、グラスワンダーの物語

競馬好きのライターが送るウマ娘コラム第53回。今回は黄金世代のグランプリホース「グラスワンダー」について熱く語ります。

目次

黄金世代最終章

ウマ娘でも描かれた極上のライバル関係

第53回:黄金世代最終章、グラスワンダーの物語の画像

当コラムで何度も扱ってきた黄金世代。スペシャルウィーク世代に登場した多彩なライバル達の物語もいよいよ最後のキャラクターになる。

グラスちゃんことグラスワンダーは、メインストーリー最終章でも描かれているとおり、主人公であるスペシャルウィークにとってラスボスのような存在として対峙した最後のライバルである。

最終章とともに史実を追う

第53回:黄金世代最終章、グラスワンダーの物語の画像

引用元:JRA日本中央競馬会

怪物と呼ばれた無敵の2歳時代から、怪我と挫折を経た復活の物語。そして同世代のライバルであるスペシャルウィークと繰り広げた二番勝負。競馬のロマンがこれでもかと凝縮されたグラスワンダーの史実を追っていく。

デビュー前

アメリカ生まれのマル外馬

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グラスワンダーは、同期のエルコンドルパサーと同じくアメリカ生まれの外国産馬、いわゆるマル外である。父シルヴァーホークはイギリスやアイルランドで走った現役時代は8戦3勝と目立った戦績ではなく、種牡馬としてもグラスワンダーがセリに登場した年にはまださほど注目されていたわけではなかった。

ワンダフルな仔馬

グラスワンダーが上場されたキーンランドセール(セリ市)で、日本から参加していた美浦の尾形充弘調教師に素質を見込まれ、グラスの冠名の半沢有限会社によって25万ドルで落札された。

セリに同行した半沢有限会社の伊東純一氏によるとこの時に「ワンダフル」な印象を受けたことから、のちにグラスワンダーと命名された。

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2歳時

評判の素質馬

こうして日本へやってきた仔馬はグラスワンダーと名付けられた。育成牧場での動きは目を見張るものがあり、尾形充弘厩舎に入厩して本格的な調教が始まると益々その素質の片鱗を覗かせていた。まもなくデビューを迎えるという頃には評判の素質馬として注目された。

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メイクデビュー

デビューは9月の中山、芝1800mの新馬戦。単勝オッズは1.5倍の支持を集め、いよいよ評判の栗毛馬がベールを脱ぐ。鞍上にはデビュー前から調教をつけ、すでにその素質に惚れ込んでいた的場均騎手。

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出遅れ気味のスタートをすぐに取り戻して先行2番手につけると、終始楽な手応えで追走。直線に入るとほとんど馬なりのまま抜け出して2着に3馬身差をつけて楽勝した。

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底しれぬ強さ

2戦目は東京競馬場のオープン特別、芝1400mのアイビーステークス。距離が短縮されやや早いペースを中団7番手あたりで追走する。直線に入ると、的場騎手は大きなアクションをすることなく先頭にたち、そのまま後続との差を拡げて先頭でゴール。最後まで鞭を使うことなく5馬身差をつけて圧勝した。

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勝ち時計もレコードに迫る優秀なタイムで、この時点でスケールの大きさと底しれぬ強さを感じさせる勝ち方だった。

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初重賞

続く3戦目は初の重賞挑戦となるG2京成杯3歳ステークス。条件は同じく東京の芝1400m。こんどは2頭の重賞勝ち馬や3勝馬が相手となったが、ここでも格の違いを見せつける。2番手から抜け出し、またしても鞭を使わずに後続に6馬身の差をつけて圧勝。

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的場騎手が何度も後ろを振り返って後続との差を確認する様子が、グラスワンダーにはまだまだ余裕があることを物語っていた。

朝日杯3歳ステークス

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3戦無敗で迎えたG1朝日杯3歳ステークス(現・朝日杯フューチュリティステークス)。ここまで3戦、一度も全力を出さずに圧勝してきたグラスワンダーが堂々の1番人気で世代トップの座を狙う。

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東京スポーツ杯でキングヘイローの2着だったマイネルラヴや、函館3歳ステークスの覇者アグネスワールド、2戦2勝のフィガロなど相手にも素質馬が顔を揃えた。いずれもアメリカ生まれの外国産馬。グラスワンダーと同じように海外セール出身の外国産馬が早い時期から多く活躍していた。

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これら素質馬を相手にしてもグラスワンダーの力はモノが違っていた。まずまずのスタートから中団につけたグラスワンダーは最終コーナーにかけて徐々に上がっていく。

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最後の直線に入ったところで初めて的場騎手が鞭で気合をつけると一気に加速。先に抜け出したマイネルラヴを交わして余裕たっぷりに先頭にたつとそのまま2馬身半差をつけてゴール。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

勝ちタイムは従来のレコードを0.4秒更新するレコードを記録。加えて上がり3ハロン(ラスト600m)は他馬より1秒以上早く、中山の馬場は荒れて時計のかかる状態だったことを考えると破格のタイムだった。

栗毛の怪物

年度代表馬に推す声も

グラスワンダーの2歳戦はファンや関係者にとって衝撃的な強さだった。その戦いぶりから"栗毛の怪物"と称され、8戦8勝の元祖怪物・マルゼンスキーと比較されるほどだった。

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驚くことに、この年の年度代表馬を決める記者投票において、グラスワンダーはまだ2歳馬にも関わらず10票の得票があった。エアグルーヴが年度代表馬に輝いたこの年は絶対的な候補馬がおらず票が割れた年ではあったが、それでも2歳馬に年度代表馬の投票があるというのは異例中の異例のことだった。

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余談だが、筆者がこれまでにリアルタイムで見てきた2歳戦でもっとも印象に残る馬を挙げるとすれば断トツでグラスワンダーである。

3歳時

長期離脱

年が明けて3歳になったグラスワンダー。外国産馬のためにクラシック出走権はなかったため、春の目標はNHKマイルカップに定められた。

そして前哨戦のニュージランドトロフィーに向けて調整が行われていた3月、グラスワンダーに右後脚第3中手骨の骨折が判明した。程度はそれほど重くなかったが春のレースは絶望的となり、長期休養に入った。

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この知らせは小さくない衝撃をもって伝えられた。スペシャルウィークやセイウンスカイ、キングヘイローたちの戦いで盛り上がりを見せつつあったクラシック路線とは別に、グラスワンダーのいるNHKマイルカップ路線はこの春の注目の戦いになるはずだったからだ。

ファンとしては無事に回復してくれることを願うばかりだった。

エルコンドルパサーと的場騎手

同じ頃、もう一頭の注目外国産馬エルコンドルパサーがNHKマイルカップの本命候補となっていた。グラスワンダーと同じく的場均騎手を背に、デビューからダートで3連勝。ニュージランドトロフィーで初めて芝レースに転向してこれも楽勝して本番のNHKマイルカップを迎えた。

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もしもグラスワンダーが無事であれば、ニュージランドトロフィーで的場騎手はどちらに乗るかの選択を迫られるはずだったが、結果的にエルコンドルパサーに乗ってNHKマイルカップを無敗のまま勝つこととなった。

復帰

春から夏を全休して怪我の回復に専念したグラスワンダーは秋に復帰が決まる。復帰戦はG2毎日王冠。サイレンススズカ、エルコンドルパサーと走ったあの伝説の毎日王冠だ。

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的場騎手は改めて究極の選択を迫られる。グラスワンダーかエルコンドルパサーか。簡単には決められず悩みに悩み抜いた的場騎手が出した答えはグラスワンダーだった。

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骨折明けのグラスワンダーの状態は万全とはいえなかったが、ファンはサイレンススズカに続く2番人気に支持。3番人気に蛯名騎手に乗り替わりとなったエルコンドルパサーが続いた。結果はご存知のとおり、サイレンススズカが究極の逃げで圧倒して勝利。食らいついたエルコンドルパサーに2馬身半の差をつけて現役最強を印象付けた。

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5着に終わったグラスワンダーのレースぶりは、果敢にサイレンススズカを負かしに行ったところまではらしさを感じさせる走りだったが、直線で失速してしまった。

精彩欠くレース

毎日王冠での敗戦後はジャパンカップ出走を目標にG2アルゼンチン共和国杯(東京芝2500m)に出走。2000m以上の距離は未知数だったが、それよりも状態が戻っているかどうかだった。

結果は6着。精彩を欠くレースぶりで1番人気を裏切ってしまった。的場騎手によると敗因は距離ではなく状態面が戻りきっていないことだったが、この結果を受けてジャパンカップの出走は断念することとなった。

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復活

有馬記念

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ジャパンカップを回避し、有馬記念出走へ向けて陣営と的場騎手はグラスワンダーを鼓舞するように強めの調教を施して状態の立て直しを図った。それに応えるように覇気を取り戻したグラスワンダーは完調に近いと思わせる状態まで回復。栗毛の馬体は輝きを取り戻していた。

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同世代のクラシック2冠馬セイウンスカイが1番人気。女傑エアグルーヴ、春の天皇賞馬メジロブライトと続き、グラスワンダーは4番人気。

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レースはセイウンスカイの軽快な逃げによって淀みないペースで進み、グラスワンダーはちょうど中団あたりでエアグルーヴを見る形で落ち着いた。荒れたインコースを避けて全馬が外目の進路を通る。

セイウンスカイ先頭のまま最終コーナーに差し掛かると、グラスワンダーはスーッと外を回って上がっていく。的場騎手は手綱を抑えたままだ。

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直線に入ると、逃げるセイウンスカイのリードはわずかとなり、外からグラスワンダーが抜群の手応えで加速して交わしにかかる。力強く抜け出したグラスワンダーは、さらに外から襲いかかるメジロブライトの追い込みを退けて先頭でゴール。年末のグランプリレースで見事な復活劇を演じて1年ぶりの勝利を飾った。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

4歳時

不安な幕開け

有馬記念で劇的な復活を果たしたグラスワンダーは4歳のシーズン初めに再び不安なスタートを切ってしまう。

中山記念を筋肉痛で回避すると、仕切り直しの産経大阪杯を目指していた矢先の馬房内で顔面に裂傷を負った状態で見つかり、全身麻酔をしなければならないほどの縫合手術が行われた。

マイル路線へ

無事に目の下の傷が癒えたグラスワンダーは京王杯スプリングカップで戦列へ復帰。もともとマイル前後の距離で強い競馬をしていたため距離適性には不安はなかったが、有馬記念から一気に短縮されることと2歳戦以来の1400mということでペースに戸惑うことも考えられた。

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蓋を開けてみればすべて杞憂に終わった。1400m戦としてはペースがスローに落ち着いたこともあり、スムーズに中団を追走。直線に向くと、一頭だけ次元の違う末脚を繰り出して先行勢をなで斬りにして突き抜けた。まるで2歳時の無敵の強さを再現するような走りで復帰初戦を快勝したのだ。

安田記念

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一躍マイル戦線の主役に名乗りを上げたグラスワンダーは、安田記念に出走。単勝1.3倍という圧倒的な1番人気に推される。2番人気はマイル路線に舵を切って2連勝と好調のキングヘイロー。そして海外G1制覇の年上牝馬シーキングザパールに、前走でグラスワンダーに完敗の2着だったエアジハードが続いた。

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マイル適性の高さと前走の強さからも死角はないように思われたが、絶対がないのもまた競馬。最後の直線で抜け出して勝ちは目前というところでエアジハードに並ばれてしまった。

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ハナ差で敗けを喫した的場騎手は自らの騎乗を下手と揶揄したが、落馬寸前の他馬を避けようとしたアクションでグラスワンダーに力みが生じたというコメントもあり、わずかに生じた狂いをつかれてしまった。

勝った同世代のエアジハードはこれがG1初勝利となったが、秋にマイルチャンピオンシップも制して春秋マイル王者となった遅咲きの名マイラーである。黄金世代の一角であるエアジハードのウマ娘実装も一部で期待されていたが、登場しないまま最終章を迎えてしまったためまたの機会を待ちたいところだ。

スペシャルウィークとの対戦

宝塚記念

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春のマイル王の座を逸したグラスワンダーは夏負け気味の状態を考慮して宝塚記念への出走判断をギリギリまで保留していたが、調子が上向きになったため出走が決まった。

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これにより、これまで対戦がなかった同期のダービー馬スペシャルウィークとの直接対決に注目が集まった。スペシャルウィークは天皇賞(春)まで3連勝と、この春絶好調だった。

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単勝オッズはスペシャルウィーク1.5倍、グラスワンダー2.8倍と完全な二強ムード。3番人気以下は15倍を超え大きく離れていた。

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スタートすると、スペシャルウィークが同馬としては比較的前目の4,5番手につけ、その直後にグラスワンダーがつけた。3コーナーから最終コーナーにかけて、スペシャルウィークと武豊騎手は自信を持って早めに仕掛けて進出を開始。少し遅れてグラスワンダーも追随する。

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直線に入ると2頭のマッチレースになるかと思われたが、先に抜け出したスペシャルウィークに並びかけたグラスワンダーがそのままリードを拡げてスペシャルウィークを置き去りにしてしまった。

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最後はスペシャルウィークに3馬身差をつけていた。3着ステイゴールドはさらに7馬身遅れてゴール。二頭の力が抜けていたのは疑いようもなかった。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

前年の有馬記念に続いて春のグランプリも制したグラスワンダー。大舞台でふたたび真価を発揮したグラスワンダーの底力の前にスペシャルウィーク陣営は完敗を認めて意気消沈。凱旋門賞挑戦のプランも消滅してしまった。

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毎日王冠

秋のグラスワンダーは、毎日王冠からスタート。ジャパンカップへ向けて弾みをつけたいところだったが、格下と思われたメンバー相手にハナ差の辛勝。勝ったとは言え、やや物足りない内容での勝利に、東京競馬場(左回り)苦手説も囁かれていた。

ジャパンカップを回避

予定通りジャパンカップ出走へ向けて調整が進められていたが、直前で筋肉痛が見られたことで回避することとなった。

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伝説の有馬記念

有馬記念

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順調さを欠いて出走に至った年末のグランプリ・有馬記念。グラスワンダーにはグランプリ3連覇もかかっている。そして日本の総大将としてジャパンカップを勝ったスペシャルウィークとの再戦で伝説の名勝負が生まれる。

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スタートすると中団後方につけたグラスワンダーと、最後方付近から前を見据えるスペシャルウィーク。宝塚記念とは逆のポジションで互いに脚を溜めながらレースを進める。

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レースは確固たる逃げ馬がおらず超スローペースとなった。3コーナーから最終コーナーにかけて、ともに外を周って進出を開始。ツルマルツヨシやテイエムオペラオーの手応えもいい。

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最終コーナーを周って直線に差し掛かると、先に抜け出したツルマルツヨシを目掛けて各馬が襲いかかる。まず外からグラスワンダーが捉えにかかり、内を突いたテイエムオペラオーが食い下がる。そして大外からスペシャルウィークが加わってゴール前は大激戦となった。

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テイエムオペラオーよりわずかに前に出たグラスワンダーに、スペシャルウィークが並んで交わしたか!?というところがゴールだった。

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レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

勝利の手応えを見せたのはスペシャルウィークの武豊騎手。スペシャルウィークがウイニングランをして最後に引き上げてきたのに対して、グラスワンダーの的場騎手は渋い表情で首を傾げる。

長い写真判定の末に掲示板に表示されたのは、まさかの結果だった。世紀の大接戦を制していたのはグラスワンダー。ハナ差でスペシャルウィークの猛追を凌ぎ切っていたのだ。

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このシーンも幾度となく当コラムで語り尽くしてきたが、さすがに今回が最後になるだろう。スペシャルウィークというドラマチックな馬の前に、最後に立ちはだかった最強のライバルがグラスワンダーだったと思う。

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自身も怪我からの復活劇など決して平坦ではない競争生活を過ごしてきたグラスワンダーが見せた最高のレースは、スペシャルウィークとの二番勝負を演じた宝塚記念と有馬記念だったのではないか。

強いと唸らされたレースは他にもあったが、ここ一番の勝負強さが発揮されたこの2レースこそがグラスワンダーの真骨頂と言える。

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引退

翌年も現役を続行したグラスワンダーだったがもうひと華咲かせることは叶わなかった。引退レースとなった宝塚記念では最後の最後で的場騎手から蛯名騎手に乗り替わり、蛯名騎手はグラスワンダーとエルコンドルパサー両方の背中を知る二人目の騎手となった。

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この宝塚記念のレース中にふたたび骨折し、レース後に馬運車に乗せられる姿を見た時はショックで息が止まる思いだった。不幸中の幸いにも重大な結果に至らず引退して種牡馬入りしたグラスワンダーは、このあとの第2の馬生でさらなる輝きを放つのである。

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ありがとう、ウマ娘。

ありがとう、グラスワンダー。

史実のグラスワンダー

基本情報1995年2月18日生 牡 栗毛
血統父 Silver Hawk
母 Ameriflora(父Danzig)
馬主半沢(有)
調教師尾形充弘(美浦)
生産牧場Phillips Racing Partnership&John Phillips(アメリカ合衆国)
通算成績15戦9勝
主な勝ち鞍97'朝日杯3歳ステークス,98’,99’有馬記念,99’宝塚記念
生涯獲得賞金6億9164万円

エピソード① 種牡馬としては黄金世代筆頭の活躍

種牡馬入りしてからのグラスワンダーは初年度から重賞勝ち馬を出すなど順調な滑り出しだった。初年度産駒のマルカラスカル(中山大障害、中山グランドジャンプ)や2年目のサクラメガワンダー(金鯱賞ほか重賞4勝)らを経て、ついに3世代目のスクリーンヒーローがJRA平地G1初勝利。グラスワンダー自身は出走が叶わなかったジャパンカップを制覇した。

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その後もアーネストリーによる宝塚記念父子制覇、セイウンワンダーによる朝日杯父子制覇を達成するなど種牡馬としての地位を確立していった。

そして種牡馬としてのグラスワンダーの凄さはこれにとどまらない。スクリーンヒーローの初年度産駒からは国内外でG1を6勝した名馬モーリスや、有馬記念を勝ったゴールドアクターなど立て続けに一流馬が生まれたのだ。

さらにモーリスの産駒は今年デビューの世代でまだ3世代目だが、初年度産駒から早くも2021年のスプリンターズステークスを勝ったピクシーナイトがG1勝ちを記録。グラスワンダー→スクリーンヒーロー→モーリス→ピクシーナイトと直系の牡馬が4代にわたってJRAのG1を勝ったわけだが、これは1984年にグレード制が導入されて以来史上初の快挙となる。ピクシーナイトは怪我で休養中だが復活後の活躍もまだまだ期待がかかるところだ。他にも、今年の中距離路線に彗星の如く現れた栗毛の快速逃げ馬ジャックドールなども飛躍が期待される一頭で、グラスワンダーの末裔達から目が離せない。

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日本にグラスワンダー系という確固たるサイアーラインを築いた偉大な祖先グラスワンダーは、27歳となった2022年現在も穏やかな余生を過ごしている。

エピソード② 選ばれた夢。

久しぶりにJRAポスター「ヒーロー列伝」のキャッチコピーを見てみよう。(ポスター画像はリンク先で見られる)


引用元:JRAポスター ヒーロー列伝(No.47)

文字通り、的場均騎手がエルコンドルパサーとの究極の二択を迫られた結果、グラスワンダーを選んだことを指している。

いずれも後世に名を残す偉大な名馬となったが、歩んだ道はまったく別の道だった。結果的には、グラスワンダーと言えば的場騎手、エルコンドルパサーと言えば蛯名騎手と思える、どちらも名コンビになった。

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今週の一枚

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最終章のレースシーンの出来が素晴らしく、演出もとにかくかっこよかった。

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ライターE
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BNW世代(93年~)から競馬を追いかけているガチガチの競馬ファン。最近は少し離れ気味だったが、ウマ娘をきっかけに競馬への情熱を取り戻す。
持ち前の競馬知識を活かして、ウマ娘ファンと競馬の間の橋渡しに少しでも貢献したいと思っている。

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