競馬好きのライターが送るウマ娘コラムの番外編。今回は2024年のJRA賞発表直後ということで、歴代の年度代表馬をピックアップして紹介する。
年の初めは年度代表馬について語ろう
2024年のJRA賞発表
競馬界の年始イベントと言えば、新年の名物重賞である東西金杯の実施とJRA賞の発表。毎年この時期が近づくと、競馬ファンの間では「年度代表馬はあの馬で決まりだろう」「最優秀◯◯馬はこの馬だ」「いやその馬は国内のG1を勝ってないじゃないか」などと1年を振り返ってああでもないこうでもないと語り合うことが恒例となっている。
明けて2025年となって早や1週間が過ぎ、2024年シーズンのJRA賞各賞および年度代表馬が発表された。
そこで今回は、ウマ娘としても活躍中の歴代年度代表馬の中から何頭かをピックアップして、その年のエピソードや名勝負などを交えながら振り返っていく。
JRA賞とは
まずはJRA賞および年度代表馬についてJRA公式の解説から引用してご紹介。
JRAでは昭和62年から、競馬と馬に関する特に優れた業績に対してその栄誉をたたえ、感謝の意をあらわすために「JRA賞」を設け、その表彰行事をイベントとして行うこととしました。この「JRA賞」は、競馬と馬をファンやマスコミや競馬関係者の方々はもとより、一般社会へも広くアピールし、競馬の市民性やステータスの向上と馬事の普及を図ることも大きな目的としています。表彰内容は、昭和47年からJRA機関誌「優駿」主催で行っていた年度代表馬をはじめ、部門別の優秀馬、優秀調教師・騎手の表彰、また、馬事文化の普及・発展等に貢献した人(団体)を表彰する馬事文化賞を加え多岐にわたっています。引用元:JRA公式
とあり、付け加えるとJRA賞の選考は毎年1月に新聞・放送などメディア関係者の中から競馬担当記者の投票により行われる。かつては過半数の獲得を条件とされていたが、現在は1/3以上の得票が決定条件となっている。
歴代のJRA年度代表馬
話題の年度代表馬覚え歌
年度代表馬と言えば、昨年JRAから突如公開され話題となった「DEAR HEROES」が記憶に新しい。JRA70周年記念の一貫として制作されたこのWEBCM、ヘヴィメタ調の演奏に乗せてイイ声でただひたすらに歴代年度代表馬の馬名を歌い上げるという作品だが、この大胆かつシンプルな楽曲に見事に当時のレース映像がマッチして感動すら覚える出来栄えに仕上がっている。
DEAR HEROES
この”年度代表馬覚え歌”、ひとたび口ずさむと脳内を無限ループするほど中毒性があり、これのおかげで歴代年度代表馬を暗記したという方もいるのではないだろうか?
なんといつの間にかボーカルなしの【off vocal】バージョンまで公開されていて、カラオケ需要にもしっかり対応済みである。
ウマ娘でお馴染みの馬も多数受賞
さて、「DEAR HEROES」で歴代のJRA年度代表馬をおさらいしてみると、ウマ娘でお馴染みの名前も実に多く登場することがわかると思うが、皆さん推しの名前はあっただろうか?歴代年度代表馬の一覧表を以下に掲載するので確認してみてほしい。
年度代表馬一覧
※太字はウマ娘実装済みの馬名(2024年12月時点)
年度 | 年度代表馬受賞馬 |
---|---|
1954年 | ハクリヨウ |
1955年 | オートキツ |
1956年 | メイヂヒカリ |
1957年 | ハクチカラ |
1958年 | オンワードゼア |
1959年 | ウイルデイール |
1960年 | コダマ |
1961年 | ホマレボシ |
1962年 | オンスロート |
1963年 | メイズイ,リユウフオーレル(2頭選出) |
1964年 | シンザン |
1965年 | シンザン |
1966年 | コレヒデ |
1967年 | スピードシンボリ |
1968年 | アサカオー |
1969年 | タケシバオー |
1970年 | スピードシンボリ |
1971年 | トウメイ |
1972年 | イシノヒカル |
1973年 | タケホープ |
1974年 | キタノカチドキ |
1975年 | カブラヤオー |
1976年 | トウショウボーイ |
1977年 | テンポイント |
1978年 | カネミノブ |
1979年 | グリーングラス |
1980年 | ホウヨウボーイ |
1981年 | ホウヨウボーイ |
1982年 | ヒカリデユール |
1983年 | ミスターシービー |
1984年 | シンボリルドルフ |
1985年 | シンボリルドルフ |
1986年 | ダイナガリバー |
1987年 | サクラスターオー |
1988年 | タマモクロス |
1989年 | イナリワン |
1990年 | オグリキャップ |
1991年 | トウカイテイオー |
1992年 | ミホノブルボン |
1993年 | ビワハヤヒデ |
1994年 | ナリタブライアン |
1995年 | マヤノトップガン |
1996年 | サクラローレル |
1997年 | エアグルーヴ |
1998年 | タイキシャトル |
1999年 | エルコンドルパサー |
2000年 | テイエムオペラオー |
2001年 | ジャングルポケット |
2002年 | シンボリクリスエス |
2003年 | シンボリクリスエス |
2004年 | ゼンノロブロイ |
2005年 | ディープインパクト |
2006年 | ディープインパクト |
2007年 | アドマイヤムーン |
2008年 | ウオッカ |
2009年 | ウオッカ |
2010年 | ブエナビスタ |
2011年 | オルフェーヴル |
2012年 | ジェンティルドンナ |
2013年 | ロードカナロア |
2014年 | ジェンティルドンナ |
2015年 | モーリス |
2016年 | キタサンブラック |
2017年 | キタサンブラック |
2018年 | アーモンドアイ |
2019年 | リスグラシュー |
2020年 | アーモンドアイ |
2021年 | エフフォーリア |
2022年 | イクイノックス |
2023年 | イクイノックス |
2024年 | ドウデュース |
この中から、今だからこそ紹介したい何頭かを筆者の独断でピックアップして紹介していく。
1983-1985年:昭和のレジェンドたち
まずは今年の年末年始にかけてゲーム内のイベントを盛り上げた二人のレジェンドウマ娘、ミスターシービーとシンボリルドルフから。
2年連続で誕生した二頭のクラシック三冠馬は、それぞれ三冠を達成した年に年度代表馬を受賞している。
ミスターシービー
選出年:1983年
同年の戦績 | 6戦5勝 |
---|---|
同年の主な勝ち鞍 | 皐月賞、日本ダービー、菊花賞 |
1983年は、シンザン以来19年ぶりのクラシック三冠馬となったミスターシービーが堂々の受賞。後方からの追い込みや早めまくりによる豪快なレースぶりは「常識破り」と評され、ファンを魅了した。
不良馬場の皐月賞やダービーで見せた荒々しさもシービーの魅力が詰まったレースだが、やはりここでは三冠のかかった菊花賞をピックアップしたい。距離不安や淀の3000mのセオリーなど無視するような奔放な走り(道中最後方から3角手前でスパートして押し切り)で制したレースこそがこの馬の真骨頂ではないだろうか。
ピックアップレース【菊花賞】
引用元:JRA公式チャンネル
シンボリルドルフ
選出年:1984年
同年の戦績 | 7戦6勝 |
---|---|
同年の主な勝ち鞍 | 皐月賞、日本ダービー、菊花賞、有馬記念 |
前年のミスターシービーに続き、クラシック三冠を達成したシンボリルドルフ。史上初の無敗での三冠達成に湧いたのが1984年だ。
ピックアップしたいレースは三冠レースではなく、年末のグランプリ・有馬記念。ジャパンカップで二頭の三冠馬を差し置いて日本馬としての同レース初優勝を掴んだカツラギエースを加えた豪華三頭の競演はグランプリにふさわしい名勝負となった。
ピックアップレース【有馬記念】
引用元:JRA公式チャンネル
選出年:1985年
同年の戦績 | 5戦4勝 |
---|---|
同年の主な勝ち鞍 | 天皇賞(春)、ジャパンカップ、有馬記念 |
翌1985年、天皇賞・春を順当に勝ち、古馬になってからも憎らしいほどの強さを見せつけるシンボリルドルフ。ところが、宝塚記念の出走取消、秋の天皇賞では伏兵ギャロップダイナによもやの敗北を喫するなどリズムを崩してしまう。
それでも続くジャパンカップで復活の勝利を挙げると、翌年は海外遠征プランが決定。
国内最終レースとなった有馬記念では、同年の二冠馬ミホシンザンに4馬身差をつけて圧勝。皇帝の名に恥じない走りを見せつけたシンボリルドルフが、2年連続の年度代表馬、それも満票での選出となった。
ピックアップレース【有馬記念】
引用元:JRA公式チャンネル
1988-1990年:シンデレラグレイ世代
次に注目したいのは、春からアニメ放送も始まることが発表されており大注目の「ウマ娘 シンデレラグレイ」世代。前出の覚え歌でも「ターマーモークロス、イナリワン、オーグーリーキャァップ」と続くフレーズからわかるとおり、1988年~1990年にかけてオグリキャップとそのライバル達がこの時代を象徴する年度代表馬に選ばれている。
タマモクロス
選出年:1988年
同年の戦績 | 7戦5勝 |
---|---|
同年の主な勝ち鞍 | 天皇賞(春)、宝塚記念、天皇賞(秋) |
シンデレラグレイでは「白い稲妻篇」でオグリキャップの前に最強のライバルとして立ちはだかるタマモクロス。
自身の絶頂期にあった1988年には古馬最強を示し続け、秋に繰り広げられた若き芦毛の怪物オグリキャップとの新旧芦毛対決は日本中の注目を集めた。ここでは秋のG1三番勝負の中から、初対決のオグリキャップに対して貫禄勝ちを果たした天皇賞(秋)をピックアップする。
ピックアップレース【天皇賞(秋)】
引用元:JRA公式チャンネル
イナリワン
選出年:1989年
同年の戦績 | 8戦3勝 |
---|---|
同年の主な勝ち鞍 | 天皇賞(春)、宝塚記念、有馬記念 |
続いてイナリワン。大井から中央に移籍した1989年、慣れない芝のレースに苦戦しながらも、移籍3戦目に出走した春の天皇賞を圧勝。中央初勝利でいきなりG1制覇を成し遂げた。その後宝塚記念と有馬記念も勝って同一年度グランプリ春秋制覇を達成し、無類の勝負強さで年度代表馬をもぎ取った。
この年に勝った3つのG1の中で一つ挙げるとすれば、やはりスターが揃った有馬記念だろう。直線で伸びあぐねる1番人気のオグリキャップを尻目にスーパークリークと死闘を演じハナ差で退けた。このハナ差がこの年の年度代表馬の決め手となったと言えるだろう。
ピックアップレース【有馬記念】
引用元:JRA公式チャンネル
オグリキャップ
選出年:1990年
同年の戦績 | 5戦2勝 |
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同年の主な勝ち鞍 | 安田記念、有馬記念 |
そして翌1990年に年度代表馬に輝いたのはオグリキャップ。誰もが知る感動のラストランとなった有馬記念は、芦毛の怪物の、そして競馬ブームにあったこの時代を象徴するレースである。
シンデレラグレイではまだ描かれていないが、この競馬史に残る伝説的なレースが原作とアニメでどのように描かれるのか楽しみに待ちたい。
ピックアップレース【有馬記念】
引用元:JRA公式チャンネル
まだまだ紹介しきれない年度代表馬
歴代年度代表馬の一覧にあるとおり、紹介しきれない年度代表馬がまだまだ多数いる。すべてを紹介するのは難しいかもしれないが、また折を見て第2弾、3弾と歴史を刻んできた名馬たちとその時代を象徴するレースとを併せて紹介していくとしよう。
筆者は今年も脳内で「DEAR HEROES」を唱えながら、イクイノックス、イクイノックス、ドウデュースに続いて名を連ねるのはどの馬か注目しながら2025年の競馬、そしてウマ娘を楽しんでいきたい。
それでは、今年も当コラムをどうぞよろしくお願いします。
ありがとう、ウマ娘。
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