競馬好きのライターが送るウマ娘コラム第79回。今回は、シャドーロールの怪物にタイマン勝負を挑んだ女傑「ヒシアマゾン」について熱く語ります。
目次
花嫁衣装で再登場
書いたと思っていたヒシアマ姐さん
花嫁衣装のヒシアマゾンを見て、ハッとした。番外編の名牝特集やライバルたちの物語にたびたび登場していたため、ずっと書いたつもりでいたからだ。というわけで今回は、単独で書くのは初となる女傑・ヒシアマゾンの史実を追っていく。
怪物と女傑
ブライアン世代
ヒシアマゾンと言えば、筆者のような平成初期からの競馬ファンにとっては女傑の代名詞のような存在である。
シャドーロールの怪物・ナリタブライアンが史上5頭目のクラシック三冠馬となったその年に、一頭の外国産牝馬が破竹の連勝を続けていた。それがヒシアマゾンだ。そして、年末の有馬記念で三冠馬に挑んだ真っ向勝負がヒシアマゾンの勇ましさを強烈に印象付けた。
仔馬時代
外国産馬
ヒシアマゾンは、アイルランド1000ギニーを勝った母Katies(ケイティーズ)と、同じくアイルランドやアメリカの芝レースで活躍した父Theatrical(シアトリカル)という血統。
繁殖牝馬としてKatiesを購入した阿部雅一郎氏(ヒシの冠名のオーナー・ブリーダー)によってアメリカで生産されたのちに、日本で外国産馬としてデビューすることになった。当時はまだクラシックレースや天皇賞などに外国産馬の出走が認められないなど制限があったものの、多くの外国産馬通称マル外が海外のセリで落札されて日本で活躍する時代が訪れていた。
2歳時
メイクデビュー
美浦の中野隆良厩舎に入厩したヒシアマゾンは、9月の中山でデビュー。ダート1200mの新馬戦に、中舘英二騎手とのコンビで初出走した。当時はソエ(骨膜炎)を考慮して脚元への負担が少ないダートでのデビューとなった。
1番人気の支持を集めたヒシアマゾンは好スタートから2番手につけると、直線の競り合いを制してクビ差で勝利。3着以下は7馬身離れておりまだまだ余力を感じさせる勝利だった。
連続の2着
続く1勝クラスのプラタナス賞(東京ダート1400m)はクビ差の2着と惜敗。初の芝レースとなったG2京成杯3歳ステークス(東京芝1400m)では、6番人気と伏兵扱いだったもののクビ差の2着と好走し賞金を加算してオープン入りを果たした。
阪神3歳牝馬ステークス
芝適性を示したヒシアマゾンは、G1阪神3歳牝馬ステークス(現・阪神ジュベナイルフィリーズ)に出走。混戦模様の中で2番人気の支持を集めたヒシアマゾンがその素質を解放する。
好スタートから鞍上の中館騎手はポジションを取りに行って3番手につける。3~4コーナーの勝負どころでペースが上がると抑えきれない手応えで先頭に並びかけて最後の直線へ。
早くも先頭に立つと、残り400m付近から一気に加速して後続を突き放す。3馬身、4馬身と差を広げていき最後は5馬身差をつけて先頭でゴール。世代最初のG1を制覇して牝馬のトップに躍り出た。
レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
この勝利によってヒシアマゾンはJRA賞最優秀3歳牝馬に選出された。
シャドーロールの怪物誕生
一方、阪神3歳牝馬ステークスの1週間後に行われた朝日杯3歳ステークスでは、1番人気のナリタブライアンが圧勝。レースを使うたびに強さを増した怪物が同世代の牡馬の頂点に君臨した。
3歳時
京成杯
年が明けて3歳の初戦。ヒシアマゾンはG3京成杯から始動する。現在は2000mの距離で行われている同レースだが、当時は1600mだった。
単勝オッズ1.8倍の1番人気はヒシアマゾン。これに立ちはだかったのが、デビューから2連勝していた外国産馬ビコーペガサスだった。新馬戦、1勝クラスとダートの短距離で圧勝していたビコーペガサスは、芝では未知数だったためこのレースでは3番人気にとどまっていたが、類まれなスピードを見せつける。
ともに中団からレースを運んだヒシアマゾンとビコーペガサスは、直線に入ると逃げたサクラエイコウオーを目標に末脚を繰り出す。そして末脚の切れ味で勝ったビコーペガサスがヒシアマゾンに2馬身差をつけて無傷の3連勝を飾った。
破竹の連勝街道
クイーンカップ
ビコーペガサスに敗れたヒシアマゾンはG3クイーンカップ(東京芝1600m)に出走。牝馬同士なら負けられないとばかりに危なげなく勝利を飾り重賞2勝目をマークした。
脅威の追い込み
クラシック出走権のないヒシアマゾンは内国産馬たちのクラシック戦線とは別の、いわゆる裏街道を進む。
桜花賞が迫った4月。短距離重賞のG3クリスタルカップ(中山芝1200m)は今も語り継がれるヒシアマゾンの代表的なレースの1つとなった。
久しぶりの短距離戦、中館騎手がやや気合をつけて中団7,8番手で追走するヒシアマゾン。軽快に逃げるタイキウルフが楽な手応えで最終コーナーに差し掛かった。
最後の直線に入ると、さらにリードを広げたタイキウルフが4,5馬身のリードを保ったまま独走態勢に持ち込む、かに見えたところで外を回って追い込んできたのがヒシアマゾンだった。
残り400mで二番手に上がる。まだタイキウルフとの差は4馬身ほど。なかなか差が詰まらない。残り200mを過ぎる。中山の坂を登りきって残り100m。ここでヒシアマゾンのギアが一段上がったかのようにさらに加速。あっという間にタイキウルフに追いつき、抜き去った。
絶望的に見えた差をいとも簡単に逆転して1馬身差をつけて快勝してみせたのだった。
JRA公式動画が見当たらないためここでは紹介できないが、是非検索して視聴して欲しいレースである。
マル外ダービー
まだNHKマイルカップが創設される前のため、外国産馬にとって春の大目標となるG1レースがなかった。そのため、日本ダービーの翌週に組まれていたG2NZT4歳ステークス(東京芝1600m)はマル外ダービーと呼ばれて多くの外国産馬が集まるレースになっていた。
ここで京成杯で後塵を拝したビコーペガサスと再戦となった。クリスタルカップで見せた驚愕の追い込みが評価されてヒシアマゾンが1倍台の1番人気。3戦無敗のビコーペガサスが2番人気で続いた。
レースはヒシアマゾン、ビコーペガサス、5番人気の伏兵外国産馬マチカネアレグロを加えた三頭による激戦となったが、ヒシアマゾンが半馬身抜け出して1着でゴール。重賞3連勝でマル外ダービーを制した。
最速の上がりで追い込んだビコーペガサスはマチカネアレグロにわずかに届かず3着。初黒星となった。
秋、エリザベス女王杯へ
夏を全休して連戦の疲れを癒やしたヒシアマゾンは、いよいよ秋の表舞台目指して始動する。牝馬三冠の最後のレース、エリザベス女王杯は外国産馬の出走が可能なため、ここで春の実績馬たちと戦い牝馬最強の座を目指すのだ。
前哨戦を快勝
エリザベス女王杯を目指すヒシアマゾンは、まずはG3クイーンステークスを快勝して春からの連勝を4に伸ばす。自身初の2000mの距離もクリアして視界は良好だった。
そしてG2ローズステークス(阪神芝2000m)ではオークス2,3着のゴールデンジャックやアグネスパレード、桜花賞馬オグリローマンら春の実績馬がずらりと顔を揃えた。
そんな同世代トップレベルの牝馬たちを相手に、ヒシアマゾンは大外マクリの横綱相撲でライバルをねじ伏せて快勝。1馬身差の2着にアグネスパレード、さらに2馬身遅れてゴールデンジャックが3着に入った。
力の違いを見せつけたヒシアマゾンはこれで重賞5連勝としてエリザベス女王杯へと駒を進めることとなった。
女王載冠
エリザベス女王杯
裏街道で破竹の連勝を続けてきたヒシアマゾンが最強牝馬の座をかけてエリザベス女王杯に挑む。強敵はここまで未対決のオークス馬チョウカイキャロルだが、ヒシアマゾンは単勝オッズ1.8倍と圧倒的な1番人気に支持された。
スタートがきられると、ヒシアマゾンは後ろから3番手あたりの後方待機策。3枠6番と内目の枠だったが、中館騎手は包まれることを嫌って外の進路を選択。
レースは人気薄のバースルートが大逃げに打って出て縦長の展開となった。向正面から3コーナーにかけて徐々に進出を開始。中舘騎手はヒシアマゾンの力を信じて、不利さえなければ勝てるとばかりに大外を回して上がっていった。
最終コーナーから直線に向くあたりで内のチョウカイキャロルと接触しながら馬体を並べる。先に抜け出そうとしていたアグネスパレードを加えた三頭が横並びになり、そのまま激しい叩き合いとなった。
最後はチョウカイキャロルとヒシアマゾンがわずかに出たところでゴールになだれ込んだ。
写真判定の結果が出るまでどちらが勝ったか分からないほどの接戦をハナ差で制していたヒシアマゾンが女王の座に就いた。
レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
これでヒシアマゾンの連勝は6となり、当時のJRA重賞連勝記録に並んだ。
一方、ちょうどこの一週間前に菊花賞を7馬身差で圧勝したナリタブライアンがシンボリルドルフ以来史上5頭目となるクラシック三冠を達成していた。
三冠馬との対決
有馬記念
暮れのグランプリ有馬記念。三冠馬の誕生に沸いた秋競馬の総決算は、ナリタブライアンとビワハヤヒデの兄弟対決実現が期待されていたが、これは兄ビワハヤヒデの故障・引退により実現しなかった。
したがって注目はナリタブライアンがどれだけ強い勝ちっぷりを見せるか、その一点だったと言える。
ヒシアマゾンにとっては、同世代の三冠馬ナリタブライアンとの初対決と同時に古馬勢との初対決となる。天皇賞秋を制したネーハイシーザーや大物食いの刺客ライスシャワー、有馬記念3年連続3着のナイスネイチャら歴戦の猛者たちだ。
数々の牝馬の挑戦を跳ね返してきた有馬記念の歴史から見ても易しいものではないと思われ、ヒシアマゾンは6番人気にとどまった。
注目の有馬記念がスタート。好スタートを決めたナリタブライアンはスッと好位につける。ヒシアマゾンは中団の後ろの方で脚をためる。
ツインターボが後続を大きく引き離して大逃げに持ち込む。大方の予想通りツインターボとそれ以外という形でレースが進む。
1周目のスタンド前、ナリタブライアンは2番手集団の3,4番手をキープ。直後にライスシャワーがぴたりとマークし、その後ろにヒシアマゾンが控えていた。
ツインターボのリードは一時は20馬身はあろうかというほど引き離したが、レースが終盤3コーナーから4コーナーに差し掛かったあたりで一気に後続との差が縮まりツインターボは後退。
馬なりでナリタブライアンが上がってくるその外から、ヒシアマゾンが並びかけて真っ向勝負を挑む。
最後の直線、ナリタブライアンは瞬く間に抜け出してリードを拡げる。必死に食らいつくヒシアマゾン。だが差は詰まらない。
終わってみれば三冠馬には3馬身という決定的な差をつけられたものの、3着のライスシャワー以下に2馬身半の差をつけての2着は堂々たる結果だった。
レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
絶頂期にあった怪物ナリタブライアンに対してタイマン勝負を挑んで見せ場を作ったヒシアマゾンの評価は一気に高まり、女傑と呼ばれるようになった。エリザベス女王杯でハナ差の接戦を演じたチョウカイキャロルが8着に終わったことからもヒシアマゾンのレースぶりは際立っていた。
4歳時
海外遠征
古馬となったヒシアマゾンはアメリカ遠征に挑戦。3月に行われる牝馬限定のG1サンタアナ・ハンデキャップに出走する予定だったが、長い検疫によるストレスや豪雨による調整の遅れ、そして最終的には脚元を痛めて出走を断念。
失意のまま帰国という残念な結果となってしまった。
復帰戦
帰国後はじっくりとコンディションを立て直して7月、当時は夏の中京開催の名物重賞として2000mの距離で行なわれていたG2高松宮杯に出走。
久しぶりに登場する女傑を一目見ようと6万人を超えるファンが中京競馬場に集結。ヒシアマゾンを1.5倍の1番人気で迎えたが、結果は5着に敗れた。
スタート後に押し出されるように先頭に立ってしまい、かかり気味に逃げる形となったことで直線失速。本来の力を発揮することができなかった。
秋
秋シーズン、復活を期して臨んだG2オールカマー。出遅れ気味のスタートから後方でじっと脚を溜めるヒシアマゾン。超スローペースの展開になり、折り合いを欠いた前走の姿がよぎったが杞憂に終わり、勝負どころまで我慢して脚を溜めていたヒシアマゾンは3コーナー手前から満を持して進出を開始すると、2番手で直線に向いてそのまま後続を封じてゴール。
強い内容で重賞8勝目を挙げ、完全復活を印象付けた。
重賞9勝目
天皇賞に出走権のないヒシアマゾンはジャパンカップを目標に定めてG2京都大賞典に出走。今度は前走と打って変わってレガシーワールドが引っ張るハイペースの流れ。これを最後方から追走し、直線一気の豪脚を繰り出して圧勝。2着に2馬身半差をつけて重賞9勝目、通算10勝目を挙げた。
ジャパンカップ
この秋の目標レース、ジャパンカップ。有馬記念以来となるナリタブライアンとの再戦が注目されたが、怪物は故障明けの前走天皇賞を12着と大敗しており、状態面が不安視されていた。
海外勢を差し置いて1番人気ナリタブライアン、2番人気ヒシアマゾンと続いた。
スタート前、ヒシアマゾンはゲート内で待たされて暴れてしまったことで出遅れて最後方から。ナリタブライアンは中団につけた。
タイキブリザードが逃げてレースを引っ張り、最終コーナーで各馬進出を開始。ナイスネイチャが3番手に押し上げ、外からナリタブライアンもいい手応えで先団を捕まえにかかる。ヒシアマゾンは大外を回って府中の長い直線へ。
粘るタイキブリザードを巡って、内からドイツ馬のランドが抜け出す。そして伸びあぐねるナリタブライアンの外から、ヒシアマゾンが追い込んでくる。もう一度盛り返すタイキブリザードとヒシアマゾン、そして前年4着のフランス馬エルナンドの3頭が壮絶なデッドヒート。
ランドが1馬身半のリードを保って先頭でゴールし、ヒシアマゾンが激しい2着争いを制して続いた。
レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
惜しくもビッグタイトルを逃したヒシアマゾンだったが、日本勢最先着を果たして国内最強レベルの力を示した。
有馬記念
年末には2年連続となる有馬記念へ参戦。前年ブライアンに完敗の雪辱が期待されたヒシアマゾンは、堂々の1番人気となった。なお、有馬記念で牝馬が1番人気になったのは実に37年ぶりのことであった。
らしくないレースが続くナリタブライアンが2番人気、皐月賞馬ジェニュインや菊花賞馬マヤノトップガンら新しい世代からも有力候補が参戦した。
前年ブライアンに完敗の雪辱が期待されたヒシアマゾンだったが、スタートの出遅れも響いて5着まで。逃げたマヤノトップガンの絶妙なペース配分により、差し・追い込み勢の末脚が封じられた。
5歳時
蹄の不調
蹄に不調を抱えていたヒシアマゾンはこの頃から思うように状態が上がらず、レースにも順調に使えない状態が続いた。
5歳の初戦に出走した安田記念では後方から追い込むも、いつもの末脚は不発に終わり10着と大敗を喫した。
エリザベス女王杯
出走を予定していた宝塚記念は蹄の不調を再発して無念の回避。秋に備えて休養に入った。
秋になっても順調にレースに使うことができず、エリザベス女王杯にぶっつけでの出走となった。牝馬三冠の最終レースだったエリザベス女王杯は、秋華賞の新設に伴って古馬牝馬を交えた牝馬最強決定戦に生まれ変わっていた。
互角のスタートを切ったヒシアマゾンは3,4番手につける積極的なレース運びを見せる。逃げたシーズグレイスを射程圏に入れて直線に向くと、往年の切れ味こそ発揮しなかったもののジリジリと伸びてダンスパートナー、フェアダンスと接戦を演じる。内のダンスパートナーにわずかに遅れてゴールして2位で入線した。
ところが、審議のランプが灯り、長い審議の末に下されたのは無情にもヒシアマゾン降着であった。ゴール前の競り合いで内に斜行して束の進路を妨害したことによるもので、7着に降着となった。
レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
余談だが、この時審議の対象となった被害馬、6着に繰り上がったシャイニンレーサーはフジキセキの1つ上の姉である。美浦と栗東の寮長という間柄の二人のちょっとした因縁ということで触れておこう。
有馬記念
復調気配を見せたものの残念な結果となってしまったエリザベス女王杯のあとは有馬記念に3年連続で参戦。前走降着の責任をとる形でずっとコンビを組んできた中館騎手から河内騎手に乗り替わりとなった。
往年の切れ味が見られなくなっていたことに加え、マヤノトップガン、サクラローレル、マーベラスサンデーら強力な牡馬勢が三強を形成する豪華なメンバー構成となり、ヒシアマゾンは5番人気となった。
伸び上がるようなスタートで出遅れたヒシアマゾンは後方からレースを進めた。最後の直線、サクラローレルがマーベラスサンデーを退けて圧勝する後ろで、ヒシアマゾンは最後までしぶとく伸びて5着まで追い込んだ。往年の切れ味は見られなかったが、らしさが見られたレースぶりだった。
レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
引退
6歳時も現役続行が伝えられ、春シーズンに向けて調整が進められていたが右前浅屈腱炎を発症し引退が決まった。
古馬中距離のG1レースで牝馬が勝つことはおろか善戦することすら難しいと言われた時代に、ただ一頭互角以上の走りでファンを魅了したヒシアマゾン。現在に続く女傑の系譜のはじまりは、やはりこの馬を置いて他にいない。
ありがとう、ウマ娘。
ありがとう、ヒシアマゾン。
史実のヒシアマゾン
基本情報 | 1991年3月26日生 牝馬 黒鹿毛 |
---|---|
血統 | 父Theatrical 母Katies(父ノノアルコ) |
馬主 | 阿部雅一郎 |
調教師 | 中野隆良(美浦) |
生産牧場 | テイラーメイドファーム(米国) |
通算成績 | 20戦10勝 |
主な勝ち鞍 | 93’阪神3歳牝馬S、94’エリザベス女王杯 |
エピソード① 米国での繁殖生活と受け継がれる血脈
引退後は生まれ故郷のアメリカで繁殖牝馬として第二の馬生を過ごしたヒシアマゾン。自身の活躍からすると期待を超えるような成績を挙げた産駒は出なかったが、繁殖を引退後も28歳まで長く余生を過ごした。
なお、ヒシアマゾンの母系の血を引く近親には活躍馬が多く、2008年度の最優秀短距離馬スリープレスナイトや2021年度の年度代表馬エフフォーリアなどを送り出し活気ある名牝系として脈々と受け継がれている。
エピソード② 華やかな闘魂
JRAポスター「ヒーロー列伝」のキャッチコピーを見てみよう。(ポスター画像はリンク先で見られる)
引用元:JRAポスター ヒーロー列伝(No.43)
『華やかな闘魂』
ネスという愛称で呼ばれていた。戦いを終えた素顔は、輝くように優しかった。
~以下略
稀代の女傑ヒシアマゾンは、写真からも分かる通り漆黒の美しい牝馬だった。そして気性も穏やかで手のかからないタイプだったという。こんな素顔がウマ娘での面倒見がいい寮長キャラに反映されていたりするのかも知れない。
エピソード③ 追悼、ナイスネイチャ
ヒシアマゾンとナリタブライアンが激突した3歳の有馬記念にも出走して5着だったのがナイスネイチャだ。それ以降、古馬中距離路線を歩んだヒシアマゾンと幾度となく対戦した名脇役ナイスネイチャ。ウマ娘からの競馬ファンにもお馴染みだった人気者ナイスネイチャが、先日35歳でこの世を去った。
現役時代から有馬記念3年連続3着を記録するなど善戦マンの個性派として人気が高かったが、ウマ娘となって再び注目を集め、毎年バースデードネーションのたびに引退馬のために多くの寄付金を集めた。ヒシアマゾンやブライアンよりもっと前のトウカイテイオーの世代ということを考えると、本当に長きに渡って競馬ファンに愛され続けた名馬だった。
ありがとう、ナイスネイチャ。合掌。
今週の一枚
有馬記念でシャドーロールの怪物ナリタブライアンとタイマン勝負!
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