第29回:オグリ世代のダービー馬、サクラチヨノオーの物語

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【ウマ娘】第29回:オグリ世代のダービー馬、サクラチヨノオーの物語

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【ウマ娘】第29回:オグリ世代のダービー馬、サクラチヨノオーの物語

競馬好きのライターが送るウマ娘コラム第29回。今回は、オグリキャップ世代のダービー馬「サクラチヨノオー」について熱く語ります。

目次

正真正銘の主人公

タレント揃いの世代で頂点へ

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オグリキャップの世代には、個性豊かなタレントが名を連ねる。オグリキャップ自身は地方出身でクラシックレースに出走できなかったが、この世代のクラシックを賑わせたのが、サクラチヨノオー、ヤエノムテキにスーパークリーク。

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そしてクラシックに手の届かなかったライバル勢にも、先日育成ウマ娘に実装されたメジロアルダンやサッカーボーイといったいずれ劣らぬ個性派&実力馬揃いだ。そしてその世代のダービー馬が今回の主役である。豪華な世代の主役に相応しい出自と実力を備えた正真正銘の主人公キャラ、サクラチヨノオーの史実を追っていく。

デビュー前

期待の血統

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引用元:JRA日本中央競馬会

サクラチヨノオーの父は、現役時代8戦8勝の怪物マルゼンスキー。持込馬のためにクラシックレースに出走できなかったが、圧倒的な強さで無敗のまま引退した伝説的な名馬だ。(マルゼンスキーのコラムはこちら)

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母のサクラセダンもまたJRAで6勝の活躍馬。母としても重賞勝ち馬3頭を排出するなど優秀な繁殖牝馬だった。そのうちの1頭がマルゼンスキーとの間に産まれたサクラチヨノオーである。同じくマルゼンスキーを父に持つ兄サクラトウコウの活躍をうけて再びマルゼンスキーが選ばれた。そして、昭和の大横綱からとって「チヨノオー」と名付けられたのは期待の現れだろう。

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ウマ娘では乗り物が苦手というエピソードが出てくるが、母(とその父)の馬名につく「セダン」と関係しているのだろうか?

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2歳時

メイクデビュー

血統的な期待も大きく、仔馬時代の評判も高かったサクラチヨノオー。デビュー戦でいきなり単勝1.0倍という破格の支持を受けていた。5頭立ての少頭数とは言え、デビュー戦で1.0倍というのはなかなか見られない。

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兄のサクラトウコウが重賞の函館3歳ステークスを制した地、函館競馬場の芝1000m重馬場。サクラチヨノオーは1番人気の期待に応えて3馬身半差をつけて楽勝。デビュー戦を飾った。

連勝

新馬勝ち後は兄と同じ函館3歳ステークスには向かわず夏場を休養。サクラチヨノオーが2戦目に出走したのは中山競馬場の芝1600mのオープン、芙蓉特別。新馬戦に続いて1番人気に支持されると、先行策から楽に抜け出して2着に2馬身半差の快勝。距離を伸ばしての2連勝で早くもその素質を発揮した。

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初黒星

3戦目のいちょう特別は、あいにくの不良馬場。中団に控える競馬を試みたが、馬場コンディションと位置取りの差が出て届かず2着。初黒星を喫した。

朝日杯3歳ステークス

そしてG1朝日杯3歳ステークス(現・朝日杯フューチュリティステークス)へと駒を進める。父マルゼンスキーも勝ったレースだ。ここまで3戦2勝のサクラチヨノオー。前走のいちょう特別も悲観する内容ではなかったことから、ここでも1番人気に推される。雪の影響で開催がずれ込むなどで出走を回避する馬が出たため、G1レースとしては少ない6頭立てのレースとなった。

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好スタートを切ると、そのまま先団でレースを引っ張る。終始ツジノショウグンの2番手で進めると、最終コーナー手前で早めに並びかける。最後の直線はそのまま2頭のマッチレースへ。わずかに抜け出したサクラチヨノオーが粘るツジノショウグンを振り切って先頭でゴール。マルゼンスキーとの父仔制覇を成し遂げた。

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レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

評価

チャンピオンとなったサクラチヨノオーだったが、西のチャンピオン・サッカーボーイのほうが評価が高かった。当時は朝日杯3歳ステークスと阪神3歳ステークスがともに牡牝混合戦だったため、それぞれ東西の3歳チャンピオン(3歳は当時の馬齢=現在の2歳)を決するレースに位置づけられていた。

その阪神3歳ステークスをレコードタイムで勝ったサッカーボーイは、勝ったレースの鮮やかさでサクラチヨノオーを凌いでおり、この時点でサクラチヨノオーよりも高い評価を得ていたのである。

3歳時

まさかの敗戦

3歳となったサクラチヨノオーは、クラシックを目指して共同通信杯から始動。チャンピオンとして当然の1番人気に支持されるが、これまでになく淡白なレースぶりであっさり4着に負けてしまう。

弥生賞

皐月賞トライアル弥生賞。ここで東西のチャンピオンが激突する。サッカーボーイが満を持して東上してきたのである。3歳初戦のサッカーボーイが1番人気。対して前走4着のサクラチヨノオーは離れた2番人気。

レースはこれといった逃げ馬がいなかったため押し出されるようにサクラチヨノオーが先頭に立つ。そしてスローペースに落として逃げたサクラチヨノオーは、そのまま楽に逃げ切ってみせた。後ろに控えたサッカーボーイは末脚届かず3着までだった。

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皐月賞

トライアルが終わった時点で上位評価だったサッカーボーイは脚元の状態が悪く離脱。たちまち皐月賞は混戦模様となった。共同通信杯3着からG2スプリングステークスを勝ったモガミナインが1番人気、そして2番人気に弥生賞を制したサクラチヨノオーが続く。因みにこの年の皐月賞は中山競馬場の改修工事により東京競馬場での開催だった。

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好スタートを切ると、2頭が競り合う先頭争いから離れた3番手で追走。そのまま好位置でレースを進め、抜群の手応えで最後の直線を迎える。

先に抜け出したのは9番人気の伏兵ヤエノムテキ。道中はサクラチヨノオーの後ろにつけ虎視眈々と狙っていた。外からサクラチヨノオーも並びかけて追い比べとなったが、最後はヤエノムテキに突き放され、後ろから鋭い脚で追い込んだ14番人気ディクターランドにも交わされ3着。大波乱となった皐月賞だったが、サクラチヨノオーは力を出し尽くしての3着だった。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

日本ダービー

大混戦

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皐月賞を伏兵のヤエノムテキが勝ったことで益々混戦模様と化したクラシック戦線。そのまま確固たる主役が不在のまま日本ダービーを迎えた。皐月賞馬ヤエノムテキを抑えて1番人気は復帰したサッカーボーイだったが、復帰戦のNHK杯を落としており元々の人気が反映されたものだった。

そのNHK杯で出走権を獲得してきたメジロアルダンら新勢力にも十分にチャンスがあると見られていた。皐月賞3着から巻き返したいサクラチヨノオーは、早熟説や距離不安説などもあり離れた3番人気評価だ。

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さくらの夢か、メジロの悲願か

世代の頂点を狙う24頭(当時はフルゲートが24頭、現在は18頭)がスタートする。大外から勢いよく飛び出したのは短距離向きのアドバンスモア。果敢に(無謀に?)飛ばすアドバンスモアから大きく離れた2,3番手に落ち着いたサクラチヨノオー。やや後ろにメジロアルダンが位置する。ヤエノムテキは中団待機、サッカーボーイは後方から。

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早々にアドバンスモアが脱落し、サクラチヨノオーは先頭集団で直線を迎える。一旦は先頭に躍り出るサクラチヨノオーに、内からメジロアルダンが襲いかかる。メジロアルダンが前に出る。

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長く激しい叩き合いとなり、小島太騎手の激に応えたサクラチヨノオーは、一度は抜かれたメジロアルダンに食らいつく。そしてゴール直前、再びサクラチヨノオーがグイッと前に出た。驚異の粘りが生んだ差し返しだった。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

メジロのダービー制覇を阻み、父マルゼンスキーが出走することもできなかった日本ダービーを獲ったサクラチヨノオーが、再びこの世代の主役の座に就いた瞬間だった。

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ダービー制覇後

ダービーを制覇した後、サクラチヨノオーは右前脚に屈腱炎を発症。かつて屈腱炎は競走馬にとって不治の病と言われたほど完治の難しいケガだが、比較的程度が軽かったために長期休養を経て復帰を果たした。しかし、サクラチヨノオーにダービー当時の走りが戻ることはなかった。復帰戦の安田記念で16着に大敗すると、続く宝塚記念では最下位。屈腱炎を再発してそのまま引退となった。

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因みにこの時の安田記念を勝ったのがバンブーメモリー、宝塚記念を勝ったのがイナリワン。ともにこの後オグリキャップと名勝負を繰り広げる名馬たちだった。サクラチヨノオーが万全の状態だったら、オグリキャップや同世代のライバルたち、タマモクロスや平成の三強に混じってどんな戦いをしただろうか?そんな夢の続きはウマ娘が描くIFの世界で堪能するとしよう。

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ありがとう、ウマ娘。

ありがとう、サクラチヨノオー。

史実のサクラチヨノオー

基本情報1985年2月19日生 牡 鹿毛
血統父 マルゼンスキー
母 サクラセダン(父 セダン)
馬主さくらコマース
調教師境勝太郎(美浦)
生産牧場谷岡牧場(静内町)
通算成績10戦5勝
主な勝ち鞍88’日本ダービー、87’朝日杯3歳ステークス
生涯獲得賞金2億1,532万円

エピソード①ウマ娘実装率の高い世代

完成度の高いストーリー

オグリキャップ世代は、知っての通り多くの名馬がウマ娘に実装(育成ウマ娘またはサポートカードとして)されている。クラシックを賑わせたヤエノムテキ、サクラチヨノオー、スーパークリーク、メジロアルダン。遅咲きのバンブーメモリーもライバルとして頻繁に登場するが、いずれ育成できるようになることだろう。

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世代は違うがタマモクロスやイナリワンまで含めると、オグリキャップの時代に活躍した名馬たちの実装率はかなり高いと言える。スペシャルウィークの世代にも言えることだが、やはり活躍馬の多くが実名で登場するためストーリーの完成度が高く感情移入もしやすいのだ。トレーナーにとってはありがたい限りである。

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エピソード②弟

サクラホクトオー

チヨノオーが屈腱炎で長期休養中だった1988年の秋、弟のサクラホクトオーがデビューから3戦無敗でG1朝日杯3歳ステークスに勝利し、兄弟制覇を成し遂げている。翌1989年、兄チヨノオーが引退したその年の有馬記念ではイナリワン、スーパークリークに次ぐ3着に入り、オグリキャップに先着した結果には、サクラチヨノオーファンにとっては胸が熱くなるものだったに違いない。いつかウマ娘で共演する姿も見てみたいものだ。

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この記事を書いた人
ライターE
ライターE

BNW世代(93年~)から競馬を追いかけているガチガチの競馬ファン。最近は少し離れ気味だったが、ウマ娘をきっかけに競馬への情熱を取り戻す。
持ち前の競馬知識を活かして、ウマ娘ファンと競馬の間の橋渡しに少しでも貢献したいと思っている。

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