競馬好きのライターが送るウマ娘コラム第129回。今回は、前人未到の9冠ウマ娘、「アーモンドアイ」について熱く語ります。
九冠の金字塔
完全無欠のアイドルホース

ウマ娘のリリース4周年で発表されてから丸1年、先日5周年を迎えたタイミングで待望の育成ウマ娘実装となったアーモンドアイ。5周年という節目を飾るにふさわしい完全無欠のスーパーアイドルは、いかにして史上初の芝G1レース九冠という金字塔を打ち立てたのか。競馬史に燦然と輝く九冠馬「アーモンドアイ」の史実を追っていく。
ウマ娘のアーモンドアイ
アーモンドアイは、育成ウマ娘実装前からすでに圧倒的な存在感を見せてきた。メインストーリーや育成シナリオ、そして多くのウマ娘のライバルとしてレースに登場してきた時のオーラは尋常ではない。

そしてこのたび育成ウマ娘として全貌を現したアーモンドアイ。一点の曇りもない瞳で見据える目標は誰よりも高い。
公式プロフィール

文武両道にしてスター性兼備、あらゆる方面で完璧な超絶優等生。ただしそれは彼女が『超』が9個ほどつくレベルの『負けず嫌い』であるからこその結果。負けん気が強すぎて完璧主義のきらいがあったり、体力以上の無茶をしがちなのが玉にキズ。
史実のアーモンドアイ
血統
アーモンドアイの母はウマ娘でもお馴染みのフサイチパンドラ(父サンデーサイレンス)。フサイチパンドラ自身は現役時代に同期のカワカミプリンセスという高い壁に幾度も阻まれた末、エリザベス女王杯で悲願のG1タイトルを手にした(それもカワカミプリンセスの降着繰り上がり)という不屈の経歴を持つ。

父はロードカナロア。数々の名馬を排出した名種牡馬キングカメハメハ産駒の中でも類稀なスピード能力を受け継いだ短距離王。
そのロードカナロアの初年度産駒の1頭、2015年に誕生したフサイチパンドラの7番仔の牝馬がのちのアーモンドアイである。
ウマ娘のメインストーリー第2部後編で描かれたフサイチパンドラの物語も併せて復習すれば、アーモンドアイに対する思い入れもより深まること間違いない。


2歳時
メイクデビュー
8月の新潟、芝1400m新馬戦。C.ルメール騎手とのコンビでアーモンドアイがデビュー戦を迎える。1番人気アーモンドアイの単勝オッズは1.3倍、2番人気以下は10倍以上という圧倒的な支持を集めた。

スタートすると、やや立ち遅れ気味のスタートからすぐに挽回して中団の外目を追走。他の人気馬たちが先行して引っ張る縦長の馬群を10,11番手あたりで3,4コーナーを周って直線へ向く。
アーモンドアイは進路を求めて内に切れ込みながら鋭い脚で追い込むが、2番手から抜け出した4番人気馬ニシノウララの脚色がいい。アーモンドアイはあっという間に馬群から抜け出して2番手に上がったものの、ニシノウララを捉えきれず2着でゴールした。
なお、のちにトレードマークにもなる白いシャドーロールは初戦から装着していたものだ。
初勝利
ひと息入れて臨んだ2戦目は10月の東京開催、芝1600mの牝馬限定未勝利戦。

五分のスタートをきったアーモンドアイは、中団の外で折り合って流れに乗る。8番手あたりで最終コーナーに差し掛かると馬なりのまま手応えよく上がっていく。
直線に入ると、ルメール騎手の手はほとんど動かないまま先頭に躍り出る。そのままノーステッキでセーフティリードを開くと、ルメール騎手がチラチラと後ろを振り返る余裕を見せてゴール。
単勝1.2倍の支持に応えて初勝利を挙げた。

3歳時:牝馬三冠へ
シンザン記念
初勝利後は無理をさせず再び2ヶ月ほどの間隔を開けて疲れを取る。年が明けて3歳シーズンの初戦は格上挑戦でG3シンザン記念(京都芝1600m)に出走した。

デビューから2戦続けて手綱を取ったルメール騎手が騎乗停止で戸崎騎手が代打騎乗。初の関西輸送、雨で稍重に渋った馬場と課題は多かったが牡馬混合の重賞でもアーモンドアイが1番人気に推された。
スタートで出遅れて後方からの競馬を余儀なくされるも、焦ることなく後方2番手を追走。最終コーナーでは大外を徐々に上がっていきながら最後の直線を迎える。

直線に入ると、渋った馬場で届くのかという位置取りから、加速すると一気に末脚全開。泥がはねて黒くなったシャドーロールを揺らしながら驚異的な切れ味を見せたアーモンドアイが直線一気で突き抜けて先頭でゴールした。
これで2連勝で重賞初制覇。父ロードカナロアに産駒初重賞制覇をプレゼントした。
桜花賞
一冠目
シンザン記念の後はトライアルを使わず桜花賞に直行。鞍上はC.ルメール騎手に戻り、いよいよアーモンドアイがG1の大舞台、牝馬三冠の第一戦に挑む。

ここでデビュー以来初めて1番人気を譲った相手は、ここまで無敗の2歳女王・ラッキーライラックだった。これから牝馬三冠を競うことになる二頭が初めて相まみえる。

桜花賞のゲートが開くと、アーモンドアイはまたしても出遅れ気味のスタートから後方へポジションをとる。対するラッキーライラックは最内枠から絶好のスタートを決めて3番手につけた。
ペースは淀みなく流れて終盤へ。依然として後方から2番手というポジションから大外を周って最後の直線を迎える。
好位のインで脚をためていたラッキーライラックが満を持して仕掛けられるとあっさり抜け出して先頭に立つ。しかし後方で大外を回ったはずのアーモンドアイがもうすでに射程圏にまで迫っていた。
他馬が止まって見えるほどの末脚を繰り出したアーモンドアイが女王ラッキーライラックをも並ぶ間もなく抜き去り、そのまま1馬身¾差をつけて快勝。ただ1頭上がり3ハロン33秒台(33.2)を叩き出し、文字通り次元の違う末脚で桜の冠を手中に収めた。
レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
勝ちタイムの1分33秒1は国枝厩舎の先輩三冠牝馬アパパネの記録を更新するレースレコード。父ロードカナロアに初重賞に続いて産駒G1初制覇を届けた。

優駿牝馬
二冠目
短期放牧を挟んで牝馬クラシック二冠目のオークスを目指す。桜花賞までの3連勝はすべてマイル戦で、父ロードカナロアは短距離馬ということで距離適性はまだまだ未知数。それでも、ダービー出走も選択肢に入るほどの馬である。陣営に不安の色はなかった。

強敵はやはりラッキーライラックか。父は三冠馬オルフェーヴル。距離延長を味方につけて逆転を期待する声も聞かれた。そして桜花賞3着のリリーノーブル、別路線組からは距離経験豊富なサトノワルキューレが人気上位となっていた。

オークスのゲートが開くと、アーモンドアイがスタートを五分に決めたことで波乱の可能性はグンと低くなったように思えた。5番手のインにつけたラッキーライラックの直後で折り合いをつけたアーモンドアイ。軽快に逃げるサヤカチャンのペースもうってつけだった。

最後の直線に入ると、3番手から手応えよく抜け出しを図るリリーノーブルの外に併せて早くも先頭を伺うアーモンドアイ。リリーノーブルを交わして先頭に立つと、あとは1馬身、2馬身とリードを広げる。ラッキーライラックはリリーノーブルと脚色が一緒になって3番手まで。アーモンドアイの二冠を阻むものはなかった。
レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
オークスの後は放牧に出されて疲労回復に努める。そして秋は秋華賞に直行して牝馬三冠を目指すこととなった。
秋華賞
三冠目
秋初戦となる秋華賞の馬体重はオークスから+14kgの480kgで出走。休み明けで太め残りという見栄えではなく、ひと夏を越して更にパワーアップした印象を与えた。

三冠の期待がかかるアーモンドアイの単勝オッズは1.3倍。続くラッキーライラックは7.3倍、3番人気以下は10倍以上と大きく開くことになり圧倒的な支持を集めた。

まずまずのスタートから中団につけたアーモンドアイ。夏の上がり馬ミッキーチャームが先手を取って逃げる展開となった。
縦長馬群の中団外をスムーズに周回するアーモンドアイとルメール騎手。最終コーナーでは大外へ持ち出して直線へ向かう。ミッキーチャームとの差はまだ10馬身ほどあるだろうか。

気分よく逃げたミッキーチャームが2番手以下を引き離し逃げ切りを図ろうかというところ、外からただ1頭アーモンドアイの末脚が炸裂。まるで展開や位置取りなど関係ないという末脚を発揮して一完歩ごとに差を詰め、最後はミッキーチャームを悠々と交わして先頭でゴールした。
レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
牝馬三冠達成
これで初勝利から破竹の5連勝、桜花賞から牝馬三冠レース3連勝で見事に史上5頭目となる牝馬三冠を達成。管理する国枝栄厩舎にとってはアパパネ以来2頭目の三冠牝馬誕生となり、同一厩舎から二頭の三冠馬が出るのはJRA史上初の快挙であった。

ジャパンカップ
四冠目
秋華賞の後は短期放牧を挟んでジャパンカップに出走。当年の三冠牝馬が古馬牡馬たちに対してどのようなレースを見せるか注目が集まった。

牝馬三冠路線で圧倒的な強さを見せたアーモンドアイが単勝1.4倍の断然人気。対する牡馬勢では大阪杯を勝ったスワーヴリチャードや前年のJC勝ち馬シュヴァルグラン、復権を期すサトノダイヤモンドに菊花賞馬キセキら歴戦のG1馬が顔を揃えた。

最内1番枠に入ったアーモンドアイはポンとスタートを決めると、外からハナに立とうと前に出るキセキに譲って2番手につけた。
キセキが淀みのない流れでレースを引っ張り、その後ろを3馬身ほど離れて無理なく追走するアーモンドアイ。そのまま最後の直線に差し掛かると、粘り込みを図って懸命に逃げるキセキを坂上で捉える。3番手以下はキセキを捕まえることができそうにない。
最後はキセキに1馬身3/4差をつけて1着でゴールした。
レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
表示された勝ちタイムは2分20秒6。従来のコースレコードであり日本レコードが2分22秒1である。つまり2分21秒台を飛び越えて、2400mのタイムとしてこれまで見たことがなかった数字の羅列に、実況アナウンサーもファンも度肝を抜かれた。のちにこれは世界中で記録が残る限りでは芝2400mレースの「世界レコード」ということが判明した。
この年、四冠を達成したアーモンドアイは年明けのJRA賞において満票で年度代表馬に選出された。

4歳時
ドバイで五冠目
4歳シーズンを迎えたアーモンドアイの年明け初戦はドバイターフ(メイダン競馬場・芝1800m)に決定。
この年の同レースにはアーモンドアイの他に2頭の日本馬が参戦。1頭は世界を渡り歩く一つ歳上の秋華賞馬で前年3着に続いての出走となったディアドラ。そしてもう1頭はウマ娘でもお馴染みの三姉妹の末っ子ヴィブロス。ドバイターフには3年連続の参戦で、2年前に1着、前年は2着と相性のいいレースとしている。

異国の雰囲気にも特別イレ込むような素振りはない。レースがスタートすると、アーモンドアイは好スタートを決めて中団7,8番手あたりで折り合いをつけた。それを見る位置にヴィブロスとディアドラも中団待機。
直線に入ると余力がなくなった先行勢を尻目に抜群の手応えで上がっていくアーモンドアイ。そして先頭に立ってからはどれだけ後続を離すかと思わせたが、ヴィブロスが食い下がって差を詰めてくる。
最後はアーモンドアイがヴィブロスに1馬身1/4差をつけて先頭でゴール。ディアドラも最後まで伸びたが4着まで。結果は日本馬によるワンツー決着となり、アーモンドアイが初の海外遠征で5つ目のG1タイトルを手に入れた。
安田記念
ドバイから帰ると、検疫や遠征の疲れからじっくりと体制を立て直して国内の復帰初戦に臨む。舞台適性や距離が考慮され、安田記念が選ばれた。

ここで新たなライバル候補も登場。ここまで通算7戦6勝。負けたのはダービー6着の一戦のみという同世代の牡馬ダノンプレミアムが2番人気に支持され、アーモンドアイとの2強対決が注目を集めた。
それでも前年の桜花賞から前走ドバイターフまで破竹のG1レース5連勝中のアーモンドアイに死角は見当たらなかったが、レースは思わぬ結果となった。
スタートを五分に出たと思った次の瞬間、大外8枠16番のロジクライが内側に斜行。ダノンプレミアム、アーモンドアイの両馬を含む12番から15番枠に入っていた4頭が不利を受けて後方に下げざるを得ない波乱の幕開けとなってしまった。
アーモンドアイは直線で上がり3ハロン32.4秒の驚異的な末脚で追い込んだものの、勝ったインディチャンプからクビ・ハナ差の3着まで。結果的にスタート直後の不利が悔やまれる競馬で久しぶりに黒星を喫してしまった。
天皇賞・秋
六冠目
宝塚記念には出走せず夏場は休養。秋初戦は天皇賞・秋。このレースではダノンプレミアムとの再戦に加え、同世代のダービー馬ワグネリアン、そしてホープフルSと皐月賞と2000mのG1を2勝している3歳馬サートゥルナーリアらの参戦で豪華メンバーとなった。

アーモンドアイは1枠2番から好スタートを決めて中団のイン5,6番手におさまった。そしてインでじっと脚を溜めて最後の直線に向くと、進路が開くのを待ってからすかさず内ラチ沿いに潜り込む。
そして一気に加速するとアエロリット、サートゥルナーリア、ダノンプレミアムを置き去りにして独走態勢に。最後はダノンプレミアムに3馬身差をつけて圧勝した。
レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
安田記念の鬱憤を晴らす快勝で6つ目のG1タイトルを獲得。勝ちタイムはトーセンジョーダンの持つ従来記録に0.1秒に迫る好タイムだった。
有馬記念へ
天皇賞の後は香港カップを目指していたが、直前に熱発のアクシデントで大事を取って出走を取りやめ。年末のグランプリ有馬記念に向かうことが決定した。
ファン投票1位に選出したファンにとって待望の参戦となったが、まさかの9着という結果に。1周目のスタンド前でこの馬としては珍しく冷静さを欠いて引っかかるような素振りを見せたことが影響したのか、最後はいつもの伸びが見られず馬群に沈んでしまった。
デビュー以来初めて掲示板を外す敗戦に、多くのファンが「競馬に絶対はない」ことを改めて認識させられることとなった。
この結果、宝塚記念と同一年春秋グランプリ制覇を牝馬として初めて成し遂げた女傑リスグラシューがこの年のJRA賞年度代表馬に選出された。
5歳時
ドバイ遠征するも中止
5歳シーズンの初戦は再びドバイ遠征を敢行。世界的なCOVID-19流行の中、当初無観客でのドバイワールドカップデー開催が予定されていたが、最終的に開催中止の判断となり帰国の途についた。
ヴィクトリアマイル
七冠目
出走しなくとも帰国後の検疫は必要なためすぐに大阪杯へ、というわけにはいかない。長旅の疲れも癒やして仕切り直しの一戦となったのはヴィクトリアマイル。
牝馬同士の戦いで史上最多タイ記録の芝G1七冠を目指す。

牝馬が強い時代の真っ只中。牝馬限定とは言え簡単なメンバーではない。下の世代からはオークス馬ラヴズオンリーユーが参戦してきた。

好スタートを決めるとスッとポジションを下げて5,6番手の外で落ち着いたアーモンドアイ。絶好のポジションから仕掛けどころを待つ。
最終コーナーに差し掛かると馬なりのまま徐々に進出を開始し、4番手で前を射程圏に捉えて最後の直線へ。ほとんど持ったままの手応えで1頭、また1頭と交わしていき先頭に躍り出る。
そしてルメール騎手のアクションがわずかに大きくなった程度でみるみるうちに後続を引き離していく。最後は後ろを振り返り流すほどの余裕を見せてゴールした。
レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
コーセー・ミュラーとは?
七冠を達成した直後の勝利ジョッキーインタビューでルメール騎手が喜びの声とともに感謝の言葉を送った一人のジョッキーの存在があった。
「コーセー・ミュラーに感謝したいです。」
「ん?コーセー・ミュラーって誰?」考えること数秒(コーセー・ミュラー、コーセイ・ミュラー、コウセイ・ミウラ・・・)「三浦皇成か!」と思わぬジョッキーの名前にインタビュアーも一瞬戸惑ったことだろう。
当時、新型コロナウイルスの拡大防止策の一環で美浦と栗東の往来が制限されていたため、ルメール騎手の代わりに調教パートナーを務めていた三浦皇成騎手への感謝の言葉だったのである。
今でも時々「コーセー・ミュラー緊急来日」などのワードをSNSで見かけることがあるが、この時のルメさんの発音良すぎた三浦皇成騎手への呼びかけが元となっているかどうかは定かではない。
安田記念
続く安田記念では、前人未到の八冠が期待された。同じ舞台のヴィクトリアマイルを圧勝したこともあり、前年の雪辱と八冠達成が確実視されていたアーモンドアイの前に天才マイラーが立ちはだかる。
前年の桜花賞馬グランアレグリアである。

スタートでタイミングが合わず出遅れたものの、その後のリカバリーで問題なく中団後方を追走できているかに見えたアーモンドアイ。すぐ前を走るグランアレグリアをマークする位置取りだ。
最後の直線で先に抜け出したのはグランアレグリア。馬場の真ん中を抜群の瞬発力で抜け出したグランアレグリアに対して、アーモンドアイはジリジリ伸びていくものの差が詰まらない。
昨年の勝ち馬インディチャンプをようやく交わして2着に上がったところがゴール。グランアレグリアには2馬身半差をつけられる完敗を喫し、八冠達成はお預けとなった。
レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
天皇賞・秋
前人未到の八冠目
秋は前年と同じく休養明けから直行で天皇賞・秋連覇に挑む。
新たな挑戦者として、前年の秋華賞馬であり当年の宝塚記念馬クロノジェネシスが登場。アーモンドアイに続く2番人気に推されていた。

7枠9番から今回は好スタートを決めて4、5番手の外につけるアーモンドアイ。逃げるダノンプレミアム、内のキセキを見ながらレースを進める。
最後の直線に入ると、持ったままの手応えでキセキ、ダノンプレミアムら先行勢を競り落として交わす。先頭に立ったアーモンドアイに、後ろからクロノジェネシスが猛追。さらに同じ勝負服のフィエールマンも鋭く追い込んで迫ったが、アーモンドアイが最後まで半馬身ほどのリードを保って先頭でゴールした。
レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
ついに塗り替えた七冠の壁
シンボリルドルフ、テイエムオペラオー、ディープインパクト、ウオッカ、ジェンティルドンナ、キタサンブラック。歴代の七冠馬たちに並んだあとは八冠を目前に一度は足踏みした。
八冠達成と同時に数々の記録も樹立。その喜びと、重圧から解き放たれた安堵もあるだろうか、名手C.ルメール騎手の目には涙が溢れた。
ジャパンカップ
伝説のレースで有終の九冠目
偉業を達成したアーモンドアイのラストランとなったのがこの年に実現した伝説のジャパンカップ。
現役最強の八冠馬アーモンドアイに、この年の三冠馬二頭が挑むという夢の対決である。無敗の牡馬三冠馬コントレイルと、同じく無敗の牝馬三冠馬デアリングタクトだ。

コロナ禍から少しずつ日常に戻ろうかという時期の東京競馬場で、いよいよこのドリームレースがスタートを迎える。

運命のゲートが開くと、好スタートを決めたアーモンドアイ。それを外からキセキが交わしてハナに立っていく。先手を取ったキセキは、そのままペースを落とすことなく大胆な大逃げに持ち込んだ。
アーモンドアイは好位のインで折り合い、4、5番手といった位置取り。コントレイル、デアリングタクトの三冠馬二頭は中団で脚をためる。
キセキのリードは20馬身かそれ以上か。さながら一人旅でコースを周回してきたキセキが先頭で最後の直線に入る。

キセキを追ってグローリーヴェイズとアーモンドアイの水色の勝負服が二頭。そしてその後ろからコントレイルとカレンブーケドール、更にはデアリングタクトも内に潜り込んで激しい追い比べに加わる。

堂々と抜け出したのはアーモンドアイだった。終始余裕のある手応えのまま先頭に立つと、熾烈な二着争いを尻目に有終のゴールへ向かって悠々と駆け抜けた。
レース映像
引用元:JRA公式チャンネル
2着争いを制したのはコントレイル。そして最後まで懸命に追い上げたデアリングタクトが3着に上がり、三冠馬が1,2,3着に居並ぶというドラマのような決着となったのだった。

こうしてアーモンドアイが自ら引退の花道を飾る九冠目のG1タイトルを獲得。日本競馬の歴史に金字塔を打ち立てた九冠馬アーモンドアイの集大成のレースに日本中のファンが酔いしれた。
レースに全力
アーモンドアイはレースに行くと常に全力を出し尽くしてしまうため、レース後は疲れが残ることがたびたびあったという。これはウマ娘の育成ストーリーでも描かれているが、それ故にレース後のケアと使うレースのローテーションには細心の注意が払われたことは想像に難くない。


また、アーモンドアイの類稀な身体能力を表すエピソードとして、可動域の広さとそれ故の蹄のトラブルということが知られている。後ろ脚が前脚にぶつかるほど柔軟な関節と大きなフットワークを有していたアーモンドアイは、それによって蹄や前脚を痛めてしまうリスクを抱えていた。薄い爪ゆえに蹄鉄にも工夫を重ねられた。
そんなアーモンドアイを最後まで大きな怪我なく歴史的名馬に育て上げた名伯楽・国枝栄調教師がつい先日、定年で調教師を引退された。ウマ娘の五周年に合わせたのだろうが、いつものことながらアーモンドアイ実装のタイミングが絶妙すぎやしませんか。
ありがとう、ウマ娘。
ありがとう、アーモンドアイ。
史実のアーモンドアイ概要
| 基本情報 | 2015年3月10日生 牝馬 鹿毛 |
|---|---|
| 血統 | 父ロードカナロア 母フサイチパンドラ(父サンデーサイレンス) |
| 馬主 | シルクレーシング |
| 調教師 | 国枝栄(美浦) |
| 生産者 | ノーザンファーム(北海道安平町) |
| 通算成績 | 15戦11勝(JRA14戦10勝,海外1戦1勝) |
| 主な勝ち鞍 | 18’牝馬三冠,ジャパンカップ,19’ドバイターフ,天皇賞・秋,20’ヴィクトリアマイル,天皇賞・秋,ジャパンカップ |
| 生涯獲得賞金 | 約19億1,526万円(JRA約15億1,956万円,海外360万USドル) |
アーモンドアイ - 名馬の軌跡 - | JRA公式
引用元:JRA公式チャンネル
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