第62回:噛みつき癖の初代ダート王、シンコウウインディの物語

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【ウマ娘】第62回:噛みつき癖の初代ダート王、シンコウウインディの物語

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【ウマ娘】第62回:噛みつき癖の初代ダート王、シンコウウインディの物語

競馬好きのライターが送るウマ娘コラム第62回。今回は噛みつき癖で有名な初代ダート王者「シンコウウインディ」について熱く語ります。

目次

レース中に噛みつく馬

「危険ですから近づかないでください」

先日、ウマ娘の公式ツイッターアカウントが公開した【引退名馬の見学について】というツイートが話題となった。もともと「競走馬のふるさと案内所」が定めている牧場見学の9箇条というものを引用し、我らがたづなさんから改めて注意喚起を促したものである。

第62回:噛みつき癖の初代ダート王、シンコウウインディの物語の画像

この9箇条には「危険ですから馬にさわらないでください。」といったものもあり、普段は大人しく見える馬でも時には暴れたり噛みついたりすることがあることを示している。

「馬って噛みつくの?」という素朴な疑問を持たれた方もいるかもしれない。そう、あんなに穏やかで優しい目をした馬でも、驚いたり怒ったりして噛みつくこともあるのだ。堅い人参を容易く噛み砕く強靭なアゴと牧草を刈り取る立派な切歯にガブッと噛まれたらただでは済まない。

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前置きが長くなったが、馬は時に噛みつくことがある。そして、レース中に他馬やジョッキーに噛みつきに行くほどの荒々しさを持ち合わせる馬が、稀に出現する。その噛み癖を持つ馬の中でも有名な一頭が、今回の主役であるシンコウウインディだ。

噛みつき癖を克服して手にしたダート王

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シンコウウインディの名を全国に知らしめたのは、レース中に前を走る馬に噛みつきに行った衝撃の出来事がきっかけだが、最終的にその悪名を払拭してJRAの初代ダートG1制覇という名誉も獲得している。噛みつき癖とダート王という二つの看板を持つシンコウウインディの史実を追っていく。

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いたずら好きは幼少期から

仔馬時代

父デュラブは外国から輸入されたばかりの新種牡馬。海外での競走成績、種牡馬実績ともそれほど目立つものではなかったが、日本では初年度からシンコウウインディを出すなどダートを主戦場にコンスタントに活躍馬が出た。

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シンコウウインディは仔馬時代からすでにいたずら好きを発揮し、牧場スタッフにガブリとよく噛みついたそうだ。

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しかし栗毛の好馬体は目を引くものがあり、2歳馬のセリ市で「シンコウ」の冠名と真っ黒な勝負服で有名な安田修氏に落札され、シンコウウインディと名付けられた。

育成牧場でじっくりと乗り込まれると、徐々に好馬体を活かしたいい動きを披露。まずまずの出世を見込まれていた。

3歳時

メイクデビュー

デビューは3歳の1月。正月競馬の開催初日、東京競馬場ダート1200m新馬戦に名手・岡部幸雄騎手でデビュー。3番人気のシンコウウインディはスタートから好位3番手につける。

直線に入ると、3番手から抜け出し4番人気のシンキイッテンとのマッチレースになる。競り合いを制して先頭でゴール。3着以下に大差をつけてデビュー戦を勝利で飾った。

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芝に挑戦

2戦目は芝に挑戦。中京の1勝クラス、ふきのとう特別(芝1800m)では7番人気の低評価ながら4着に健闘。スタートが悪く後方からのレースになったが直線でよく追い込んでのものだった。

続く3戦目のこけもも賞(新潟芝2200m)ではスタートを決めて先行抜け出しから勝利は目前だったが、ゴール寸前でわずかに差し切られて2着。惜しくも勝ちきれなかった。

ダートへ

芝での初勝利も近いと思われたが、4戦目のほうせんか賞(東京芝2000m)で4着。勝ち馬には大きく差をつけられ、好走こそするものの勝利まであと一歩というレースが続いた。そして新馬勝ちのダートに戻される。

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ダートに戻って初戦のあさがお賞(中山ダート1800m)。鞍上には新馬戦以来となる岡部幸雄騎手を迎えてさっそく結果を出す。2番人気のシンコウウインディは4番手から楽に抜け出して2着に3馬身半の差をつける快勝。夏競馬が始まる目前の6月最終週に待望の2勝目を挙げた。

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最初の噛みつき

噛みつきで勝利を逃す

夏を休養に充てて2ヶ月ぶりのレース。2勝クラスの館山特別(中山ダート1800m)で事件は起こった。道中5,6番手から徐々に順位を挙げて直線を迎えると、先頭に立つ手応えで前をゆくダイワオーシャンに並びかけた。その時、あろうことかシンコウウインディの闘争心は自力で前へ出ることよりも、相手に噛みつくという思いもよらぬ方向に向いてしまったのだ。

走りながら噛みつきに行くという無駄な動きによってダイワオーシャンを抜き去るチャンスを自ら失い、クビ差の2着に終わった。

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格上挑戦で重賞制覇

最後の直線で他馬に噛みつこうとして負けたレースは話題となり、一躍有名になってしまったシンコウウインディ。3歳馬同士のダート重賞路線の初戦として新設された第1回ユニコーンステークス(G3)に格上挑戦で挑む。

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中団からレースを進め、直線では末脚を発揮して追い上げる。しかし先頭の1番人気バトルラインには、噛みつきにいけないほどの差を開かれたまま2番手でゴール。負けはしたものの賞金を加算してよしとするところだったが、1位入線のバトルラインが斜行で他馬を妨害したとして降着となりシンコウウインディが繰り上がりでの重賞初制覇となった。

再び噛みつき

スーパーダートダービー

新しく設定されたばかりの3歳ダート三冠路線で最初の一冠を制したシンコウウインディは、二冠めを目指して大井競馬場で行われるスーパーダートダービー(ダート2000m)に参戦。

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しかしまたも悪い癖を出してしまう。シンコウウインディは最後の直線、逃げきりを図る地元大井のサンライフテイオーに対して後ろから噛みつきに行ってそのまま2番手でゴール。ダート二冠達成は荒ぶる気性によって消え失せてしまった。

ダービーグランプリ

3歳ダート三冠路線の最終戦は盛岡競馬場のダービーグランプリ(ダート2000m)。すっかり噛みつき癖で人気を集めてしまったシンコウウインディは1番人気に支持されたものの、輸送で食欲が落ちてしまうなど体調面が整わず、3着に敗れた。勝ったイシノサンデーはその年の皐月賞馬。ダートに転向してさすがの実力を発揮してダート三冠戦線を盛り上げた。

4歳時

平安ステークス

4歳初戦のG3平安ステークス(京都ダート1800m)。ブリンカーを着用すると、すぐに効果を表してレースで集中力を発揮した。

断然人気のバトルラインと、一騎打ちと目されたトーヨーシアトルの争いに割って入り、最後は三頭横並びの熾烈な追い比べとなった。

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ブリンカーの効果かバトルラインやトーヨーシアトルに噛みつきに行くこともなく最後まで前を向いて走りきった。

そして写真判定の結果、シンコウウインディとトーヨーシアトルが一着同着となり、JRA重賞では史上3例目のダブル優勝となった。

初代ダート王誕生

フェブラリーステークス

またしても普通ではない勝ち方で重賞2勝目を挙げたシンコウウインディ。最大目標となるのは、この年にJRA初のダートG1として生まれ変わったフェブラリーステークス。ダートの精鋭たちが狙うはその初代チャンピオンの座である。

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当日はあいにくの不良馬場となり、ダートコースは大量の水を含んで大きな水たまりのような状態となっていた。

6番人気と伏兵扱いだったシンコウウインディは、そんな泥んこ馬場のレースで躍動した。1番人気はダートで7戦6勝、4連勝中と絶好調のストーンステッパー。2番人気にはバトルラインが続いた。

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バトルラインが逃げ、ストーンステッパーが2,3番手で続く。シンコウウインディはやや下がって中団からレースを進める。最後の直線、水の浮いたコースを先に抜け出したのはストーンステッパー。バトルラインを交わして先頭に立ちそのまま押し切る構えだったが、インコースを力強く上がって来たのは黒い勝負服の岡部幸雄騎手とシンコウウインディだった。

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ストーンステッパーと内ラチの間を真っ直ぐに伸びて、きっちり差し切ってゴール。噛みつき癖を封印したシンコウウインディが見事初代JRAダート王の座に就いた。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

レース後には岡部騎手が「噛みつきに行くかと思った」とファンと同じ心配を口にして笑いを誘った。

ダート王のその後

勝ち星を挙げられず

ダートの頂点に立ったシンコウウインディだったが、その後は休養を挟んだ復帰戦のアンタレスステークスで1番人気に応えられず5着。それ以降も精彩を欠き、大井の交流G1帝王賞では7着と初めて掲示板を外してしまう大敗。

その後は脚元の不安を発症して長期休暇。2年近くもの休養を経て復帰したが、ついに勝ち星を挙げることは叶わなかった。

引退

噛みつき癖で有名になったシンコウウインディは、勝った重賞レースすべてで何かしらの話題を振りまいた。単に気性難という枠にはおさまらない超個性派ダート王だった。

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ありがとう、ウマ娘。

ありがとう、シンコウウインディ。

史実のシンコウウインディ

基本情報1993年4月14日生 牡 栗毛
血統父 デュラブ
母 ローズコマンダー(父ダストコマンダー)
馬主安田修
調教師田中清隆(美浦)
生産者酒井源市(北海道浦河町)
通算成績17戦5勝(JRA13戦5勝、地方4戦0勝)
主な勝ち鞍97’フェブラリーステークス
生涯獲得賞金2億2744万円

エピソード① 優秀な当て馬として

引退後は種牡馬入りしたものの種付け頭数も少なく産駒からは勝ち馬を出していない。わずか3シーズンで種牡馬を引退した後は、”当て馬”兼功労馬として牧場で過ごし持ち前の気の強さとタフさで牧場に貢献している。

当て馬とは、種牡馬による種付け本番前に繁殖牝馬の発情を促すという大切な役割を担う馬のことで、なかなか大変な役回りである。

シンコウウインディは興奮した繁殖牝馬に蹴られることがあっても、攻撃したり噛みつき癖を出すこともなくこの役目をこなし、競走馬の生産を陰で支えてきた。そんなシンコウウインディは現在29歳になる。当て馬のお役目も引退して穏やかに余生を過ごしているだろうか。

エピソード② ここ掘れウインディ

サポートカードの絵柄やイベントでもあるように、気性難の標準スペックであるゲート嫌いも備えていたシンコウウインディは、ゲート内で待たされるとイライラして前脚をカキカキ。目の前の地面を掘ってしまうこともあった。

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噛みつき事件にゲート難、不良馬場で達成した初代ダート王、重賞での同着、、、本当に色々なエピソードを持つ愛すべき個性派である。

今週の一枚

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噛むなよ、噛むなよ、、、とお祈りしたくなる構図の一枚。

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この記事を書いた人
ライターE
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BNW世代(93年~)から競馬を追いかけているガチガチの競馬ファン。最近は少し離れ気味だったが、ウマ娘をきっかけに競馬への情熱を取り戻す。
持ち前の競馬知識を活かして、ウマ娘ファンと競馬の間の橋渡しに少しでも貢献したいと思っている。

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いただいた内容は担当者が確認のうえ、順次対応いたします。個々のご意見にはお返事できないことを予めご了承くださいませ。


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