第16回:伝説世代の遅れてきた大物 マンハッタンカフェの物語

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【ウマ娘】第16回:伝説世代の遅れてきた大物 マンハッタンカフェの物語

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【ウマ娘】第16回:伝説世代の遅れてきた大物 マンハッタンカフェの物語

競馬好きのライターが送るウマ娘コラム第16回。今回は、伝説的な世代の遅れてきた大物「マンハッタンカフェ」について熱く語ります。

目次

伝説の世代

アグネスタキオンという馬

第16回:伝説世代の遅れてきた大物、マンハッタンカフェの物語の画像

いきなりだが、幻の三冠馬という言葉を聞いて筆者が真っ先に思い浮かべる馬は、アグネスタキオンである。圧倒的な能力を感じさせたデビュー戦から、最後のレースとなった皐月賞まで4戦4勝。その生涯たった4戦すべてで衝撃的な強さを見せつけ、出走するたびにワクワクさせられた。

美しい栗毛の馬体と相まって、「この馬の走る姿をもっと見たい」そう思わせる馬だった。脚元の怪我で引退が決まった時は本当に残念な気持ちだったし、その名の通り(タキオン=光速の粒子)光の速さで駆け抜けていった忘れがたい名馬である。

ジャングルポケットという馬

アグネスタキオンとは2回戦って勝てなかったが、アグネスタキオンが引退した後はダービーを獲り、3歳にしてその年のジャパンカップを制した府中功者がジャングルポケットである。その年の年度代表馬にも選ばれた。お笑いトリオ名の由来にもなっていることでも有名だ。

クロフネという馬

芦毛の外国産馬で、NHKマイルカップ勝ちから外国産馬初のダービー制覇を目指した。そのダービーではジャングルポケットの5着に敗れたが、秋にダート路線に変更してからは無敵の強さを誇った。ジャパンカップダートを圧勝し、今でも史上最強のダート馬にその名が挙げられる名馬だが、アグネスタキオンと同様、脚元の怪我(屈腱炎)で浅いキャリアのまま引退した。

マンハッタンカフェという馬

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引用元:JRA日本中央競馬会

ようやく今回の主役の登場である。ここまで紹介した馬たちが時に同じレースで走り、それぞれの舞台で名を残した恐ろしいほどタレント揃いの世代。その最後に登場し、瞬く間に頂点まで上り詰めるのが、マンハッタンカフェという馬である。今回は、この伝説的な世代の遅れてきた大物、マンハッタンカフェの史実を辿っていく。

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3歳時

デビュー前

大種牡馬サンデーサイレンス産駒で、父から譲り受けた青鹿毛の見栄えのいい馬体からは大きなスケールを感じさせた。早い時期からその素質が見込まれていたものの、母系の血統背景からは奥手のタイプであること、何より体質面に弱さがあったことからじっくりと時間をかけて育成され、デビューは3歳の2月になろうかという頃になった。
※競馬用語で、頭角を現すまでに時間がかかるタイプに対して使う。「晩成」と同様の意味。

メイクデビュー

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1月29日のデビュー戦は東京競馬場の芝2000m。重馬場のその新馬戦は他にも良血馬がエントリーするそれなりに注目されるレースとなったが、マンハッタンカフェは2番人気で3着だった。続く2戦目の芝1800mで順当に勝ち上がると、1勝の身でG2弥生賞にエントリーする。ぎりぎり春のクラシック路線に間に合うかというタイミングである。

アグネスタキオン登場

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弥生賞には、2戦2勝ですでに世代のトップの位置にいたアグネスタキオンや、ダービー馬の弟ボーンキング、良血馬ミスキャストなど豪華メンバーが揃っていた。その中で2戦目の新馬戦を勝ち上がったばかりのマンハッタンカフェは目立つ存在ではなく、8頭中の5番人気というポジションだった。さらに馬体重は前走から-20キロと大幅に減っていた。

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アグネスタキオンが5馬身差をつけて圧勝する中、マンハッタンカフェは大きく離された4着でゴールした。

体質の弱さ

弥生賞のあとは、1勝クラスのアザレア勝に出走したマンハッタンカフェ。しかし、馬体重をさらに16キロ減らしてしまい、デビュー戦からは実に42キロもの馬体減。ここで11着と大敗した結果、調教師の小島太師は体調の回復を優先するために馬を休ませる決断をする。

復帰

約4ヶ月後の8月に復帰したマンハッタンカフェは、夏の札幌競馬場で2600mの長距離レースを2連勝して軌道に乗ることに成功。馬体重もデビュー時を超える500キロ台にまで回復していた。そして秋の飛躍を目指し、菊花賞トライアルのG2セントライト記念へと矛先を向ける。

セントライト記念

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菊花賞戦線に参戦してきたマンハッタンカフェは、前哨戦のセントライト記念でも3番人気となり評価を上げていた。ところが菊花賞の優先出走権を得られる3着以内に入れずの4着まで。まだまだ成長途上のマンハッタンカフェがその才能を開花させるのはあと少しだけ先のことだったようだ。

菊花賞

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出走頭数が15頭となり菊花賞に出走できることになったマンハッタンカフェ。ライバルは春の実績馬と新興勢力。まずは春のクラシック実績組からダービー馬ジャングルポケットと、皐月賞・ダービーとも2着のダンツフレームだが、ともに秋初戦を落としてやや不安の残る状況。新興勢力では、G2札幌記念と神戸新聞杯を連勝してきたエアエミネムがその筆頭格で、混戦模様の菊花賞となった。

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6番人気の伏兵マンハッタンカフェは、内枠2番からのスタート。序盤は後方グループにつけると、人気薄の逃げ馬がつくるゆったりとした流れの中で徐々に順位を上げていく。前の馬が後続に大きなリードを保ったまま最終コーナーに差し掛かると、マンハッタンカフェも離れた5,6番手からスパートをかける。直線に入ると、人気のジャングルポケットら有力馬が伸びあぐねる中で、2番手集団の真ん中を割ってグイグイと伸びるマンハッタンカフェが、逃げ粘るマイネルデスポットを差し切ったところがゴールだった。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

有馬記念

菊花賞でついに秘めていた素質を発揮したマンハッタンカフェは、年末のグランプリレース有馬記念で歴戦の古馬に挑む。世紀末覇王テイエムオペラオーと、その終生のライバルであるメイショウドトウ。この2頭の巨星に対し、マンハッタンカフェは新世代のエースとして堂々たるレースを見せつける。

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この時のパドックの様子について次のような記述がある。


柔らかく、大きな馬体は冬だというのに黒光りしていた。恐竜のようだ、と思った。三番人気だったが、一頭だけ馬っぷりが飛び抜けていると、素人でも簡単に感じられた引用元:名馬を読む2/江面弘也・三賢社

マンハッタンカフェは有力馬をマークするように後方待機策から最終コーナーでは外を回って上がってくる。最後の直線に差し掛かると、内の有力馬たちをねじ伏せるような力強い末脚で突き抜け、完全に覚醒した姿を見せつけたのだった。3歳の秋から急激な成長曲線を描き、一気にトップにまで上り詰めた瞬間だった。

そしてテイエムオペラオーとメイショウドトウ、長らくトップ争いを繰り広げた2頭がこの有馬記念を最後に引退。世代交代を告げる大きな1勝だった。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

4歳時

不安なスタート

年が明けて4歳となったマンハッタンカフェは、ジャパンカップを勝って年度代表馬に選ばれたジャングルポケットとともに次代を担うエースとして期待される存在となった。しかしもともとあった蹄の問題が悪化してしまい、初戦のG2日経賞でよもやの6着。不安を抱えたまま春の大一番を迎えることとなった。

天皇賞(春)

マンハッタンカフェは蹄の問題を抱えながらも厩舎と装蹄師によるケアにより何とか天皇賞に出走できる状態まで持ち直す。同世代のライバルであるジャングルポケット、先輩菊花賞馬のナリタトップロードらとの三つ巴の様相となった天皇賞で、マンハッタンカフェは自らの能力を証明してみせる。

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好スタートから4,5番手の好位置につけると、インコースで脚を溜めつつ淡々と進む。長丁場の京都競馬場は菊花賞で経験済みである。スタミナに不安のないマンハッタンカフェは、抜群の手応えのまま最後の直線を迎えると、ジャングルポケット、ナリタトップロードとの追い比べを制して先頭でゴール。3つ目のビッグタイトルを手にした。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

3歳時に菊花賞、有馬記念を勝ち、翌年の天皇賞(春)を連勝したのはシンボリルドルフ以来2頭目という快挙であった。

凱旋門賞挑戦、そして引退

偉業を達成して古馬のトップに君臨したマンハッタンカフェは、世界の頂点を目指してフランス凱旋門賞に挑戦。しかしながらレース中に脚元を痛め、13着に敗れる。その後、屈腱炎であることが判明しそのまま引退となった。

短かった伝説世代の活躍

アグネスタキオンの引退に始まり、ダート界の王になるはずだったクロフネも3歳秋のジャパンカップダート後に怪我で電撃引退。ジャングルポケットは得意の東京競馬場が改修中で開催されないという不運もあり、4歳時は未勝利に終わった。そのジャングルポケットもこの年の有馬記念を最後に引退した。

競馬の歴史上、最強世代と言われる年はいくつもあるが、この2001年世代のそれぞれ個性的な名馬たちが短い現役生活の中で見せてくれた濃密な物語は格別なものである。そしてこの短かった伝説世代の中で、菊花賞から天皇賞までのほんの数カ月間、間違いなくマンハッタンカフェは頂点に君臨し、もっとも輝いていた。

ありがとう、ウマ娘。

ありがとう、マンハッタンカフェ。

史実のマンハッタンカフェ

基本情報1998年3月5日生 牡 青鹿毛
血統父 サンデーサイレンス
母 サトルチェンジ(父 Law Society
馬主西川清
調教師小島太(美浦)
生産牧場社台ファーム(北海道・千歳市)
通算成績12戦6勝(うち海外1戦0勝)
主な勝ち鞍’01菊花賞,01’有馬記念,’02天皇賞(春)
生涯獲得賞金5億2283万

エピソード

お友だちは、お父さん?

第16回:伝説世代の遅れてきた大物、マンハッタンカフェの物語の画像

マンハッタンカフェの黒光りする青鹿毛の馬体は、父である大種牡馬サンデーサイレンス譲りである。多くの名馬を輩出した父の産駒の中でもかなり似ていて、サンデーサイレンス役でテレビドラマに出演したほどである。マンハッタンカフェの育成ストーリーに出てくる「お友だち」は、まさか父サンデーサイレンスのことなのだろうか……。

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この記事を書いた人
ライターE
ライターE

BNW世代(93年~)から競馬を追いかけているガチガチの競馬ファン。最近は少し離れ気味だったが、ウマ娘をきっかけに競馬への情熱を取り戻す。
持ち前の競馬知識を活かして、ウマ娘ファンと競馬の間の橋渡しに少しでも貢献したいと思っている。

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