第101回:永遠の2番手を脱却し頂点へ、ヴィルシーナの物語

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【ウマ娘】第101回:永遠の2番手を脱却し頂点へ、ヴィルシーナの物語

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【ウマ娘】第101回:永遠の2番手を脱却し頂点へ、ヴィルシーナの物語

競馬好きのライターが送るウマ娘コラム第101回。今回は永遠の2番手から頂点を目指した、ヴィルシーナについて熱く語ります。

目次

永遠の2番手から頂点へ

貴婦人の同期

第101回:永遠の2番手を脱却し頂点へ、ヴィルシーナの物語の画像

今回は、貴婦人ジェンティルドンナの物語にもたびたび登場する同期のウマ娘、ヴィルシーナに注目。育成ウマ娘としての実装を今か今かと待っているトレーナーも多いと思うが、長らくおあずけ状態である。当コラムではひと足先に、永遠の2番手から頂点を目指し続けたヴィルシーナの史実を追っていく。

血統

ヴィルシーナと言えば、ウマ娘でもおなじみの三姉妹の長姉。史実では三つ下の弟にシュヴァルグラン、さらにもう一つ下の妹にヴィブロスがいる。

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そんな華麗なる姉妹の偉大な母はハルーワスウィート。現役時代には尻尾がない(先天的な特徴)というハンデを感じさせない走りで多くのファンに愛された。

そんなハルーワスウィートのファンの一人だったのが元プロ野球選手の佐々木主浩氏。ハルーワスウィートの初仔を購入して以降、結果的にすべての産駒を所有するに至った。

ディープインパクトを父に持つ二番仔は、美しい青毛の牝馬であった。これがのちのヴィルシーナである。

2歳時

母と同じ友道厩舎へ

2歳になると、ヴィルシーナ(ロシア語で「頂点」の意)と名付けられ、母ハルーワスウィートが現役時代に所属していたのと同じ友道厩舎へ入厩する。今やダービー3勝を誇る名伯楽にとっても、ハルーワスウィートは厩舎の開業初期を支えた思い入れの強い一頭だった。

メイクデビュー

夏の札幌開催8月の2歳新馬戦(芝1800m)でデビューを迎える。鞍上は福永祐一騎手で1番人気の支持を集めた。

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レースではスッと3,4番手につけて直線で前を捉えて抜け出し、デビュー戦を勝利で飾った。

エリカ賞で2勝目

2戦目は1勝クラスの黄菊賞(京都芝1800m)。ここではブライトライン(のちに芝ダートで重賞勝ち)の3着と連勝を逃し、出走登録した阪神ジュベナイルフィリーズは賞金順で除外となった。

阪神ジュベナイルフィリーズと同日の自己条件戦・エリカ賞(阪神芝2000m)に出走すると、乗り替わりで手綱をとったメンディザバル騎手の剛腕に応えて勝ち上がり、オープン入りを果たした。2歳のこの時期はまだ中距離のレースが少ないため、この1勝クラスのエリカ賞もクラシックを目指す期待馬が集まる出世レースのひとつ。牡馬に混じって2000mの中距離で勝ちきったことは大きな1勝だった。

3歳時

重賞挑戦

3歳初戦は牝馬限定のG3クイーンカップ(東京芝1600m)。桜花賞を見据えて初距離の1600m、そして左回りの東京競馬場も初参戦だったが問題なく克服し、2番手から抜け出す危なげのないレース運びで重賞初制覇を果たした。

ジェンティルドンナ登場

桜花賞

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迎えた牝馬三冠レースの一冠目、桜花賞。1番人気は2歳牝馬チャンピオンのジョワドヴィーヴル。そして2番人気にジェンティルドンナ。ヴィルシーナは4番人気となった。

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前走クイーンカップで勝利に導いた岩田康誠騎手はジェンティルドンナに騎乗。替わってヴィルシーナには内田博幸騎手が騎乗した。

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スタートを決めると、外枠から先行争いを見ながら4番手につける。ジェンティルドンナは中団待機、ジョワドヴィーヴルは出遅れて後方から。

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最後の直線に入ると、内から抜け出しを図るアイムユアーズのさらに内に潜り込んだヴィルシーナが先頭を伺う。いったんは先頭に立ったかと思ったところで、外からきたジェンティルドンナの末脚に屈して2着でゴールした。

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レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

桜の女王争いは同じディープインパクト産駒のジェンティルドンナに軍配が上がった。

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貴婦人再び

オークス

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牝馬クラシックの二冠目は2400mのオークス。桜花賞馬ジェンティルドンナは、ここまで5戦すべて1600mのレースに使われてきた。対するヴィルシーナは、2000mのエリカ賞勝ちをはじめ1800m以上の経験が豊富であった。距離に不安はない。

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未知の距離に挑む3歳牝馬たちによる頂上争いのゲートが開く。好スタートを決めたヴィルシーナと内田博幸騎手のコンビは、手綱を抑えて6番手から中団で折り合い脚をためる。ジェンティルドンナは後方に構える。

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4コーナーに差し掛かりペースが上がると、内田騎手に促されて中団馬群の外からヴィルシーナも上がっていく。最後の直線に入り内田騎手のゴーサインに応えて前を交わしにかかるヴィルシーナだったが、その外をジェンティルドンナが並ぶ間もなく抜き去っていった。

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ゴール手前で2番手争いを制したヴィルシーナの5馬身先で、ジェンティルドンナが驚異的なレースレコードを叩き出してゴールしたのだった。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

距離不安などどこ吹く風。終わってみれば桜花賞以上に圧倒的な差を見せつける走りでジェンティルドンナが二冠を達成した。

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秋華賞トライアルでも

オークス後は夏休みでリフレッシュし、三冠最後の秋華賞へ挑むべくトライアルのローズステークスから始動。しかし、ここでも女王ジェンティルドンナの前に2着に敗れることに。春の雪辱を果たしたいところだったが、最強のライバルに3連敗を喫してしまった。

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女王を脅かす

秋華賞

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前哨戦での直接対決に敗れたものの、なんとか一矢報いたいヴィルシーナ。単勝オッズは女王ジェンティルドンナが1.3倍、ヴィルシーナは6.1倍。秋になっても差が詰まっていないという世間の評価がジェンティルドンナに対する圧倒的な支持に現れていた。

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最内1番枠に入ったヴィルシーナ。京都の内回り2000mは最後の直線が短いコースで先行有利とされる。スタートに不安がなく前につけられるヴィルシーナにとって最内枠は好都合だった。

ゲートが開くと、好スタートを切ったヴィルシーナと内田博幸騎手は迷わず前へ。他に行く馬もおらず積極果敢に逃げる形となった。三冠のかかるジェンティルドンナは中団から。

序盤はヴィルシーナのつくるゆったりした流れでスローペースとなる。が、向正面で人気薄のチェリーメドゥーサが最後方からまくって一気に先頭に躍り出てそのまま大逃げに持ち込んだ。ヴィルシーナはこの動きに惑わされることなく離れた2番手をキープした。

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チェリーメドゥーサが大きなリードを保ったまま最後の直線に入る。このまま伏兵の逃げ切りを許すかという光景にスタンドもどよめく。これを目掛けてヴィルシーナが2番手から末脚を繰り出して差を詰めるが、その直後からジェンティルドンナの影も迫る。

馬場の真ん中をヴィルシーナとジェンティルドンナがびっしり馬体を併せての追い比べ。互いに一歩も譲らず、最後には二頭が一緒になってチェリーメドゥーサを抜き去り、そのままトップスピードでゴールを駆け抜けた。三冠か、それとも。勝負は写真判定に委ねられた。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

ハナ差の大接戦を制したのはジェンティルドンナ。勝負強さを発揮して見事牝馬三冠の偉業を達成した。一方ヴィルシーナはあと一歩というところまで女王を追い込んだものの、またしても勝つことはできなかった。枠順の利も最大限に活かし、負かすならこれしかないというようなレース運びだったが、結果は永遠とも思われるハナ差の2着であった。

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ジェンティルドンナ不在の女王決定戦

エリザベス女王杯

同世代の戦いを終え、ヴィルシーナはエリザベス女王杯へ。ジェンティルドンナが最強を求めてジャパンカップへの出走を選択したため、ここからは別々の道を歩むこととなった。

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生まれた時代が悪かったと囁かれたヴィルシーナだったが、宿敵ジェンティルドンナ不在となれば、今度こそG1タイトルに手が届く。ヴィルシーナが単勝1.9倍の1番人気に支持された。

しかし、少しの運が味方してくれなかった。あいにくの雨により、この年のエリザベス女王杯は重馬場での開催となったのだ。

レースでは好位3,4番手につけて、あとは抜け出すのみという展開だったが、いつもの反応が見られない。重馬場のせいか直線で今ひとつ伸びあぐねていると、7番人気の伏兵レインボーダリアに後ろから差されて2着でゴールした。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

これで桜花賞から5戦連続の2着。ジェンティルドンナ以外に先着を許したのは2歳時の黄菊賞以来であった。

4歳時

頂点目指して

オルフェーヴルらをも倒してジャパンカップを制したジェンティルドンナは年度代表馬に選ばれ、最強馬としての道を歩む。

ヴィルシーナは悲願のG1制覇目指して己の道を行く。春の最大目標はヴィクトリアマイルとなった。

ヴィクトリアマイルへ向けて

4歳初戦はG2産経大阪杯。オルフェーヴルやエイシンフラッシュといった強豪牡馬勢を相手に6着。初めて掲示板を外したが悲観する内容ではなく、予定通りヴィクトリアマイルへ向かった。

牝馬の頂点へ

ヴィクトリアマイル

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そして迎えた第8回ヴィクトリアマイル。マイル戦は桜花賞以来だったが、クイーンカップ勝ちのある東京コースならば不安はなかった。当日は晴れ・良馬場とコンディションも問題はない。ここを目標に研ぎ澄まされた青毛の馬体が輝く。混戦模様ではあったが、ヴィルシーナが堂々1番人気の支持を集めた。

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ゲートが開くと、好スタートから前へ出る。先頭を主張したアイムユアーズを行かせて2番手につけた。淀みのない流れの中、終始2番手を追走しいつでも仕掛けられるという絶好の展開。最後の直線に入ると、各馬一斉にスパートをかける。アイムユアーズを交わして先頭に立とうかというところだったが、内から手応えよく抜け出したのはマイネイサベル。ヴィルシーナも食らいつくがやや劣勢に映る。

また勝てないのか…そんな思いもよぎりそうになったが、外からホエールキャプチャが追い込んでくるとヴィルシーナも闘志に火がついたのか加速してマイネイサベルを捉える。最後にグイッともうひと伸びを見せてホエールキャプチャと並んでゴールした。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

写真判定の結果、ヴィルシーナがハナ差でこの激戦を制していた。G1での2着続きに終止符を打ち、悲願のG1タイトルを手に入れた。オーナーの佐々木氏にとってもこれが悲願のG1初勝利。永遠の2番手から脱却し、ついに頂点に立ったヴィルシーナ陣営は歓喜の渦に包まれた。

安田記念

晴れてG1馬となったヴィルシーナは、春の統一マイル王目指して安田記念に出走。しかし牡馬の壁は厚くロードカナロアの8着となり休養に入った。

燃え尽き?

秋は京都大賞典から復帰してエリザベス女王杯へと進んだが、8着、10着。エリザベス女王杯は苦手の重馬場だったとは言え、これまで大崩れしたことのなかった牝馬限定戦で思わぬ大敗を喫してしまった。

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続くジャパンカップでも、久しぶりの再戦となったジェンティルドンナが連覇を達成した一方で7着となり、ヴィクトリアマイル後はまるで燃え尽き症候群のような成績を重ねていた。体調自体は問題がなく、陣営は精神面に原因があると考えていた。

5歳時

甦れ闘志

休養を経て5歳の初戦は東京新聞杯。G1を制した得意の東京マイルの舞台だったが、休み明けで苦手な重馬場も重なり11着と惨敗。

春の大目標はヴィクトリアマイルの連覇。その前に、いい頃の走りを取り戻さねばならなかった。復活の糸口を探るヴィルシーナ陣営は、ステップレースにG2阪神牝馬ステークスを選択。

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ヴィルシーナの闘志に火をつけるべく初めての1400m挑戦できっかけを求めた。結果は11着となり着順は伴わなかったものの、それまでの先行策から中団待機策をとって前の馬を交わそうという闘争心をヴィルシーナに蘇らせる意図があってのものだった。

2連覇へ

ヴィクトリアマイル

2連覇を目指し、悩めるディフェンディングチャンピオンのヴィルシーナがヴィクトリアマイルに挑む。前年の同レースでG1制覇を成し遂げて以来、6戦続けて掲示板の外という大不振では11番人気の低評価も致し方のないところ。

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外目の7枠14番から好スタートを決めて先手を奪うと、人気薄を活かしてマイペースの逃げに持ち込む。そして先頭を譲らぬまま手応え良く最後の直線に差し掛かる。

前走で闘争心が戻ったのか、並びかける馬がきてもやすやすとは抜かせない。内田騎手の叱咤に応えて気を抜くことなくゴールを目指すヴィルシーナ。

メイショウマンボ、ストレイトガール、ホエールキャプチャら各世代の実力馬が迫ったものの、最後まで抜かせない勝負根性を見せたヴィルシーナがリードを守って逃げ切った。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

1年ぶりの勝利で見事ヴィクトリアマイル連覇を果たした。ヴィクトリアマイルの連覇はこれが史上初。

宝塚記念

本来の走りを取り戻したヴィルシーナは、春のグランプリ宝塚記念に出走。

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前走でG1を勝ったとは言え、牝馬限定のマイルG1。最強のライバルであるジェンティルドンナをはじめ、ゴールドシップやウインバリアシオンといった強豪牡馬も顔を揃える中、8番人気に甘んじていた。

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スタートして先手を奪い、果敢に逃げるヴィルシーナ。前年は内田騎手とのコンビで宝塚を制している1番人気ゴールドシップも4番手につける積極的な競馬を見せていた。ジェンティルドンナは中団から。

2番手を追走するフェイムゲームを引き付けながら軽快に逃げるヴィルシーナ。最後の直線に入るとそのフェイムゲームが横に並び前に出ようとするが、抜かせない。フェイムゲームを競り落とし、残り200mまで先頭を守っていたがゴールドシップが力強く伸びてくるとさすがに余力がなかった。

一緒に伸びてきたカレンミロティックに交わされたものの、最後まで粘りを見せて3着を確保した。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

ジェンティルドンナはまさかの9着に沈み、ヴィルシーナが直接対決で貴婦人に先着したのはこれが初めてであった。

引退レース

有馬記念

宝塚記念のあと、秋はエリザベス女王杯11着を経てラストランの有馬記念へ。最後は、同じく有馬記念をラストランに引退繁殖入りが決まっていたジェンティルドンナも一緒だ。

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ジェンティルドンナ中山競馬場に初見参ということも話題を集めたこのレース、ヴィルシーナにとってもこれが初めての中山だった。

初めての中山、グランプリに相応しい好メンバーを相手にも臆することなく果敢に逃げの手に出るヴィルシーナと内田騎手。宝塚記念の再現も頭をよぎるが、今回はそうはいかなかった。エピファネイアに早めに並ばれると、手応えがなくなり最後は14着でゴールした。

対して、最強の貴婦人は初めての中山で圧巻の走りを見せて引退レースを勝利で飾ったのだった。

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ウマ娘でジェンティルドンナを育成したトレーナーは、彼女と戦うたびに打ちのめされるヴィルシーナを見て心を痛めたことだろう。ヴィルシーナが1着になることを許してくれないジェンティルドンナが強すぎて憎らしくも思えるほどだったが、育成しているのは他ならぬトレーナー自身である。

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しかし、史実のヴィルシーナはそれで終わらない。ヴィルシーナを育成できるようになった暁には、ジェンティルドンナに傷つけられたプライドを自分自身の力で取り戻す希望に満ちたストーリーになることだろう。そう願っている。

ありがとう、ウマ娘。

ありがとう、ヴィルシーナ。

史実のヴィルシーナ

基本情報2009年3月5日生 牝 青毛
血統父 ディープインパクト
母 ハルーワスウィート(父 マキャベリアン)
馬主佐々木主浩
調教師友道康夫(栗東)
生産牧場ノーザンファーム(北海道安平町)
通算成績21戦5勝
主な勝ち鞍13’14’ヴィクトリアマイル
生涯獲得賞金4億6,079万円

エピソード①母として

引退後は生まれ故郷のノーザンファームで繁殖牝馬として過ごしており、時を同じくして繁殖入りしたジェンティルドンナも同じノーザンファームで母となった。

初仔の牡馬ブラヴァス(父キングカメハメハ)が新潟記念を勝つなど活躍。名繁殖牝馬の血を継承していることをいきなり証明してみせた。3番仔の牝馬ディヴィーナも母子同一G1制覇を目指してヴィクトリアマイルにも挑戦し、15番人気ながら4着と見せ場をつくったのは記憶に新しい。さらに、重賞での連続2着などで母の血を思い出させることもあったが、府中牝馬ステークスを勝って念願の母娘重賞制覇も果たした。

なお、ディヴィーナと同い年で、ジェンティルドンナの3番仔であるジェラルディーナはエリザベス女王杯を勝って見事に母子でG1ウィナーとなった。お互い母となってからもライバルであり続ける二頭の物語はまだ続いている。

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エピソード②数字の2に呪われて

『2』という数字に呪われ勝ちきれない苦労人でもある。と、公式プロフィールにはっきり書かれているとおり、数字の2に呪われたか愛されたかと考えても仕方がないくらい2着が続いてしまったヴィルシーナ。

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3歳時の桜花賞から始まった5戦連続の2着はそれほどに印象が強く、ヴィルシーナの2着キャラを決定づけてしまった。オーナーの誕生日が2/22で、現役時代の背番号も22だったこともあり、御本人が自虐的に「2着ばかりなのも仕方がない」と話していたというエピソードもあるくらいだ。

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今週の一枚

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ヴィルシーナ目線のダイナミックカメラには、いつも貴婦人の姿が。いつも目の前にあったジェンティルドンナの後ろ姿を、ヴィルシーナはどんな思いで見ていたのだろうか。

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この記事を書いた人
ライターE
ライターE

BNW世代(93年~)から競馬を追いかけているガチガチの競馬ファン。最近は少し離れ気味だったが、ウマ娘をきっかけに競馬への情熱を取り戻す。
持ち前の競馬知識を活かして、ウマ娘ファンと競馬の間の橋渡しに少しでも貢献したいと思っている。

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