第102回:聖剣の斬れ味で短距離制圧、デュランダルの物語

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【ウマ娘】第102回:聖剣の斬れ味で短距離制圧、デュランダルの物語

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【ウマ娘】第102回:聖剣の斬れ味で短距離制圧、デュランダルの物語

競馬好きのライターが送るウマ娘コラム第102回。今回は短距離レースでの追い込みが魅力の聖剣、デュランダルについて熱く語ります。

目次

斬れ味鋭い聖剣

短距離の追い込みと言えば!

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いよいよ秋競馬が開幕。秋のG1戦線の口火を切って行われるのは秋の短距離王決定戦となるG1スプリンターズステークスだ。そんなタイミングでお送りする今回のコラムは、育成ウマ娘として実装されたばかりのデュランダル。

短距離~マイルを舞台に、抜群の斬れ味を誇る聖剣のごとき末脚でターフにその名を刻んだ追い込み馬、デュランダルの史実を追っていく。

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幼少期

血統

母サワヤカプリンセス(父ノーザンテースト)は現役時代に短距離で4勝を挙げた活躍馬。3歳夏の遅いデビューにも関わらずダートの短距離で勝ち上がり、芝でも通用するスピードを見せたが体質の弱さもあって7戦4勝と底を見せないまま5歳で引退して繁殖入りした。

産駒も母から豊かなスピードを受け継ぎ主に短距離で活躍。3番仔のサイキョウザクラ、4番仔のサイキョウサンデーと続けて名種牡馬サンデーサイレンスとの仔を送り出し、サイキョウサンデーはG3中日スポーツ賞4歳S(現ファルコンステークス)を勝つなど短距離重賞戦線で活躍した。

そして5年連続で生まれた母サワヤカプリンセス父サンデーサイレンスという血統を持つ栗毛の牡馬。これがのちのデュランダルである。

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遅生まれ

5月25日生まれと遅めの生まれだったこともあり、牡馬にしては小柄で特に目立つ存在ではなかった。

2歳時

聖剣の名を拝命

2歳になると、叙事詩に登場する聖剣の名から「デュランダル」と名付けられる。

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母や兄弟も管理した栗東の坂口正大厩舎に入厩すると、調教が進むにつれて素質の片鱗をのぞかせるようになった。

メイクデビュー

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12月の阪神でデビューを迎える。芝1200mの新馬戦に出走したデュランダルは、鞍上に名手武豊騎手を迎え、調教の動きからも評価が高く単勝オッズは1.4倍と断然の支持を集めた。

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大外枠からスタートして中団に構えると、直線では評判通りの末脚を発揮して危なげなく差し切ってみせた。

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骨瘤により休養

新馬戦を快勝したデュランダルだったが、右前脚に骨瘤の症状が見られたため休養することとなった。

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これにより3歳春は骨瘤の治癒に専念するため全休を余儀なくされたが、結果としてこれがデュランダルの心身を成長させる期間になったと言える。

3歳時

夏に復帰

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骨瘤の症状も治まり、いよいよ復帰となったのが3歳夏の小倉開催。1勝クラスからの再出発となる休み明け初戦、有田特別(小倉芝1200m)こそ2着と勝ちきれなかったものの、中一週で臨んだ同条件の筑紫特別では2着に2馬身差をつけて1勝クラスを難なく突破した。

連勝

夏競馬が終わり9月の阪神で2勝クラスのムーンライトハンデに出走。ここまで3戦はすべて1200mを使ってきたが、4戦目にして初のマイル戦に挑戦。

デビュー戦以来となる武豊騎手のエスコートにより、最後方からの追い込みで距離延長も克服して見事に勝利。連勝で3勝目をあげた。

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追い込みが定着

3勝クラスに上がると相手は手強くなってくるが、デュランダルの前に壁はなかった。10月終わり、東京競馬場の改修工事のために中山開催となった天皇賞・秋と同日に行われた白秋ステークス(中山芝1200m)に出走。

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武豊騎手とデュランダルはまたも後方で脚を溜め、中山の短い直線でもお構いなしに追い込みを決めて3連勝。復帰からトントン拍子でオープン入りを果たした。

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G1の舞台へ

ここで陣営は力試しとばかりに重賞初挑戦にしていきなりG1のマイルチャンピオンシップへの出走を決断。

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武豊騎手が先約のあったモノポライザー(エアグルーヴの弟)に騎乗するためデュランダルは四位洋文騎手に乗り替わりで挑んだ。

レースでは板についた追い込み策で最後方から末脚にかけたが、さすがにこれまでとは相手が違う。直線で懸命に追い込んだものの10着に終わった。しかしながら上がり3ハロン34秒1はメンバー中最速タイ。勝ち馬から0.5秒差ならば着順ほど大負けというわけでもなかった。

4歳時

オープン初勝利

マイルチャンピオンシップのあとに出走した1800mのディセンバーステークスで伸びきれず4着を経て、年明け初戦のオープン特別ニューイヤーステークス(中山芝1600m)に出走。

前走から継続騎乗の蛯名正義騎手はコンビ2戦目。前走ではこの馬にしては前目のポジションからのレースを試みたが、今度は最後方からの追い込みでオープン入り後の初勝利に導いた。

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ここからは重賞が主戦場となる。まずはG2の中山記念で再び1800mに挑戦したが、重馬場が応えたこともあり末脚は不発で9着に終わる。これ以降、デュランダルの出走レースは1600m以下のレースに限られることになると同時に、3歳夏からの連戦によるダメージをリフレッシュするため一旦休養に入った。

新たなパートナーと共に始動

セントウルステークス

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夏場を休養に充てたデュランダルが飛躍の秋へ向けてG3セントウルステークス(阪神芝1200m)から再始動。新たに池添謙一騎手をパートナーに迎え休み明けのレースに臨んだ。

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相手には、すでに短距離路線の頂点に立っていたビリーヴを筆頭に、安田記念2着などの実力馬テンシノキセキやアドマイヤマックス、カルストンライトオなど、いずれものちにG1馬となるスピード自慢が顔を揃えた。G3とは言え、あとに続くG1を狙うハイレベルなメンバーによる好レースが期待される一戦となった。

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結果はテンシノキセキ、ビリーヴら3、4番手の好位から抜け出した先行勢が1,2着。上位2頭には届かなかったものの、デュランダルは後方待機策から上がり最速の末脚で3着まで追い込んで重賞でも上位に入れる力を示したのだった。

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G1戦線へ

セントウルステークスのあと、池添謙一騎手はスプリンターズステークスに出走するなら自分を乗せてほしいと直談判したというのだから、よほど手応えを感じたのだろう。

当初、G1には向かわずオープン特別への出走も選択肢に入れていた坂口調教師は、オーナーの意向もあってスプリンターズステークス出走を決める。

聖剣の斬れ味で女王に挑む

スプリンターズステークス

かくして、重賞未勝利ながらG1スプリンターズステークスに挑むことになったデュランダル。

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1番人気はここまでスプリントG1を2勝の女王ビリーヴ。そのビリーヴの背中も知る武豊騎手騎乗のアドマイヤマックス、5戦5勝の上がり馬レディブロンド(ディープインパクトの姉)、前走セントウルステークス勝ちのテンシノキセキらが人気を集めた。挑戦者デュランダルは5番人気から下剋上を狙う。

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スタートすると、デュランダルと池添騎手は最後方から自分の競馬に徹する。前に行く馬がレースを引っ張り縦長の展開になると、あっという間に最終コーナーへ差し掛かる。4番手あたりからビリーヴが早くも先頭に並びかけ、デュランダルは最後方から大外を回って最後の直線へ。

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女王ビリーヴが馬場の真ん中から堂々と抜け出し、そのまま押し切ろうかというところだった。馬群の一番外から驚異的な末脚を繰り出したデュランダルが一気に迫る。さすがにビリーヴには届かないかに見えたが、最後の2,3完歩でさらに加速。そのままの勢いで二頭が並んでゴールした。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

わずかハナ差でビリーヴを差し切っていたデュランダルが、その名のとおり聖剣のごとき斬れ味を発揮して重賞未勝利から一気にG1の頂点へ上り詰めた瞬間だった。

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紛うことなき聖剣

マイルチャンピオンシップ

G1ホースの仲間入りを果たしたデュランダルは、その勢いのままにマイルチャンピオンシップで短距離~マイル路線制圧を目指す。

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その斬れ味がマイルのG1でも通用するかこの時点ではまだ懐疑的だった。ファインモーションやサイドワインダーといったマイルでの実績のあるライバルに対してデュランダルは5番人気に甘んじていた。

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ゲートが開くと、ほどなくしてデュランダルは定位置の後方へ下げて脚を溜める。人気薄のギャラントアローが逃げてペースをつくり、ファインモーションは中団から。

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前に行った2頭が後ろを大きく離して最終コーナーを回る。大外を回ったデュランダルとはまだ10馬身以上の差がある。ギャラントアローがなかなか止まらず大波乱かと思われたが、画面の外から突如現れたのがデュランダルだった。

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ファインモーションも真ん中から伸びてギャラントアローに襲いかかり差し切りを図るが、それを凌ぐ斬れ味で末脚一閃。デュランダルが並ぶ間もなくすべて抜き去ってゴールした。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

誰もが認めざるを得ない名刀の斬れ味を見せたデュランダルが、スプリンターズステークスに続いてG1連勝を果たし、一気に短距離界のトップに君臨することになった。これにより、デュランダルはこの年のJRA賞において最優秀短距離馬に選出された。

5歳時

高松宮記念

チャンピオンとして迎える5歳のシーズンだったが、もともと弱かった蹄の状態が思わしくない。そのため前哨戦を使わず春の短距離王を決めるG1高松宮記念に直行で挑むこととなった。

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休み明けとは言え前年の最優秀短距離馬。デュランダルが1番人気の支持を集めた。

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受けて立つ立場になってもこの馬のスタイルが変わることはない。スタート直後から後ろの下げると、ギャラントアローが逃げる展開の中で後方2番手を進む。

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左回りの中京コースになっても最終コーナーでは変わらず大外を回して直線へ向かう。粘り込みをはかるギャラントアローに対し、残り100メートルを切ったあたりで中団から馬群を割って伸びてきたサニングデールが抜け出す。その外を上回る脚色でデュランダルも追い込んだが、わずかにサニングデールを捉えきれず2着でゴールした。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

クビ差届かなかったものの、負けて強しと言える内容。王者としての力は示したレースだった。

裂蹄で安田記念を断念

休み明けのG1を好走して調整は順調に思われたが、目標としていた安田記念を前に裂蹄を発症。デュランダルの薄い蹄にはひび割れが入ってしまっていた。陣営は安田記念出走を目指して治療を施したが、結局間に合わず復帰は秋まで延びてしまう。

カルストンライトオ渾身の逃げ

スプリンターズステークス

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裂蹄の治療と夏休みを挟んでデュランダルが復帰したのは連覇のかかるスプリンターズステークス。またもぶっつけ本番でのG1出走。加えて当日はあいにくの雨によって不良馬場にまで悪化。斬れ味勝負のデュランダルにとって条件は最悪であった。

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この不良馬場を気持ちよく逃げ切ったのは、芝1000mの日本レコード記録を持つ韋駄天カルストンライトオ。影をも踏ませぬ逃げで初G1タイトルをもぎ取った。

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そしてデュランダルは不向きの馬場の中でもメンバー最速の上がりで追い込んで2着を確保。カルストンライトオからは4馬身も離されたが、さすがの末脚を披露した。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

圧巻の末脚で連覇達成

マイルチャンピオンシップ

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スプリンターズステークスのあとは前年と同じくマイルチャンピオンシップに進む。もちろん狙うは同レースの連覇である。当日の天候は晴れ、良馬場となりデュランダルにとって久しぶりに何の不安もない絶好の舞台が整った。

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*ゲート

はたして連覇がかかるマイルチャンピオンシップはデュランダルのベストレースと言えるものとなった。

いつもどおり後方に位置取り、虎視眈々と脚を溜める。最終コーナーで外を回して直線へ向くと、ももはやデュランダルの行く手を阻むものは何もなかった。あっという間に他馬を置き去りにすると、2着のダンスインザムードに2馬身差をつけて完勝した。

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レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

脚元の不安や馬場状態など不運も重なり勝ちきれない1年だったが、ようやくその名刀が錆びついていないことを証明してみせた。

香港遠征

マイルチャンピオンシップ連覇を達成したデュランダルは、年末の香港マイルの招待を受託して初の海外遠征。これまでコースや条件を問わず力を発揮してきたことからも期待されたが、レース当日に主催者によって大量の水が撒かれたためにひどい馬場状態で走ることになり、さすがに本来の力を出せず5着敗戦。消化不良の遠征となってしまった。

2年連続の最優秀短距離馬

この年の短距離マイル路線で2つ以上のG1を勝った馬がいなかったため、マイルチャンピオンシップ連覇およびG1レースで2度の2着を記録したデュランダルが前年に続いて最優秀短距離馬に選出された。

6歳時

長期休養

6歳の春シーズンは前年に出走できなかった安田記念を大目標にしていたが、蹄を痛めてしまい出走どころではなくなってしまった。坂口調教師も池添騎手も一時はこのまま引退も覚悟したというほどの重傷だったが、春から夏にかけての懸命の治療と放牧を経て症状が改善していった。

32.7の斬れ味

スプリンターズステークス

奇跡的な回復力でデュランダルがターフに戻ってくる。その舞台はG1初勝利を挙げた電撃の6ハロン戦スプリンターズステークスだ。実に10ヶ月ぶりの実戦復帰がG1レースというのもこの馬にとっては普通のこと。

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春に順調であれば安田記念で対戦するはずだった香港の英雄サイレントウィットネスを迎えた一戦。前でレースを運ぶサイレントウィットネスに対し、デュランダルはもちろん後方待機策から外を回しての追い込み。

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最後の直線に入ると、サイレントウィットネスがさすがの脚力で後続との差を広げる。デュランダルは大外を回って自慢の末脚を繰り出す。サイレントウィットネスには届かなかったが、メンバー最速の上がり3ハロンは生涯最速の32.7秒。聖剣は変わらず研ぎ澄まされていた。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

3連覇目指して

スプリンターズステークスのあとは、三連覇がかかるマイルチャンピオンシップへ。

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単勝オッズ1.5倍という圧倒的な1番人気に支持されたデュランダルは、後方から持ち前の末脚で追い込んだが直線で突き抜けることはできず8着まで。3歳牝馬のラインクラフトが3着に食い込むなど若い世代が上位を占めたが、勝ったハットトリックを上回るメンバー最速の上がり33.2を記録。その斬れ味に陰りはなかった。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

引退

遅生まれで出世も遅かったうえに本格化してからも常に蹄の弱さというウィークポイントを抱えていたデュランダル。結局、もっとも向いていると言われ続けていた東京のマイルGI安田記念には一度も出走することができなかった。

追い込み有利とは言えない中山1200mや中京1200mでも常に勝ち負けに持ち込む驚異的な末脚の斬れ味は、ファンの脳裏に焼き付いて今もなお離れない。聖剣の輝きは永遠なり。

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ありがとう、ウマ娘。

ありがとう、デュランダル。

史実のデュランダル

基本情報1999年5月25日生 牡 栗毛
血統父 サンデーサイレンス
母 サワヤカプリンセス(父 ノーザンテースト)
馬主吉田照哉
調教師坂口正大(栗東)
生産牧場社台ファーム(北海道千歳市)
通算成績18戦8勝
主な勝ち鞍03’スプリンターズステークス、03’04’マイルチャンピオンシップ
生涯獲得賞金5億943万円(JRA5億323万円、海外約620万円)

エピソード①短距離追い込みという離れ業

記憶に残る追い込み馬というと必ずと言っていいほど名前が挙がるデュランダル。特にほんの67~8秒で決する電撃の短距離戦での追い込みというのはそうそうお目にかかれるものではなく、それだけに見るものを惹きつけるのだろう。

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例に漏れず筆者もデュランダルの斬れ味の虜になった一人で、毎回どれほどの末脚を見せてくれるかワクワクしたものだ。

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デュランダルは、勝ったレースだけでなく惜しくも届かず2着、3着になったレースでも上がり3ハロンの末脚はほぼすべてのレースで最速を記録している。

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休み明けだろうが重馬場だろうが聖剣の斬れ味が鈍ることはないのである。

エピソード②名コンビ

4歳秋のセントウルステークスから主戦騎手となった池添謙一騎手との名コンビは有名だが、意外なことに勝ち鞍は3つのみ。しかしその3勝すべてがG1レースである。

本格化してからのデュランダルはほとんどG1しか出走していないのだからこのデータは当然なのだが、このコンビの勝負強さを物語っている。そしてこの名コンビの後押しをしたと言われるのが、武豊騎手。かつて騎乗した際にデュランダルの癖を見抜き、「最後方から行って外を回したほうがいい」と調教師や池添騎手にアドバイスをしていたのだ。

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このような関係性はデュランダル=池添騎手、ファインモーション=武豊騎手というそれぞれの主戦騎手を代弁する形でデュランダルの育成ストーリーにも反映されているように思う。

それにしても、目標のG1レースと言えども休み明けぶっつけでの出走となることも少なくなかったことを考えると、この戦績からは改めてすごい能力の持ち主だったことがわかるというものだ。

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エピソード③種牡馬として

あらゆる条件で一流馬を輩出した万能なサンデーサイレンス産駒の中でも、短距離馬の筆頭格となるのがデュランダルである。そのスピード能力は種牡馬としても期待を集め、初年度から170頭を超える多くの繁殖牝馬が集まる人気ぶりだった。

その初年度産駒からジュエルオブナイル(小倉2歳ステークス)やフラガラッハ(中京記念連覇)など重賞勝馬を出し、2世代目の牝馬エリンコートがオークスを制覇して産駒G1初勝利。ほかにもデュランダル産駒は地方競馬や障害でも活躍し、短距離に限らず幅広い適性を見せ、サンデーサイレンスの万能さを受け継いでいたような印象だった。

残念なことに14歳の若さで早逝してしまったため、残した産駒は8世代に限られる。しかしながら母の父としても優秀な成績を残しており、ダート王者のチュウワウィザード(父キングカメハメハ)や、現役の宝塚記念勝ち馬であるブローザホーン(父エピファネイア)といった活躍馬たちが今後もデュランダルの血を繋いでいってくれることだろう。

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ライターE
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BNW世代(93年~)から競馬を追いかけているガチガチの競馬ファン。最近は少し離れ気味だったが、ウマ娘をきっかけに競馬への情熱を取り戻す。
持ち前の競馬知識を活かして、ウマ娘ファンと競馬の間の橋渡しに少しでも貢献したいと思っている。

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