競馬好きのライターが送るウマ娘コラム。今回はメインストーリー第2部 前編の予習特集として、ラインクラフト世代のウマ娘たちを紹介していく。
祝・3周年!新メインストーリーを予習
あの三冠ウマ娘たちも気になるが…
ウマ娘プリティーダービーの3周年の記念配信「ぱかライブTV vol.38」では、3周年に合わせた多くの新情報が発表された。中でも、大注目の新キービジュアルに描かれた未知のキャラクターたちの名前が続々と明らかになると、そのたびに大きな反響を集めた。
当コラムも、気を引き締めて順次新しいウマ娘の史実を紹介していく所存。あの三冠ウマ娘を書くとなると、ものすごい文字数になりそうだ…などと怯えているところだが、まずははやる気持ちを抑えつつ、すでに発表されていたメインストーリー第2部について予習していきたい。
トリプルティアラ路線の戦い
ラインクラフト世代の4頭
全トレーナー待望のメインストーリー第2部。その前編「ヒカリ射し、芽吹くとき!」では、トリプルティアラ路線、つまり牝馬三冠路線の熱い戦いが描かれる模様だ。
引用元:ぱかチューブっ!
中心となるのは新ウマ娘「ラインクラフト」。そして同世代のライバルとして、「シーザリオ」「エアメサイア」「デアリングハート」の登場が発表されている。史実では2005年の牝馬三冠路線でしのぎを削った世代の中心的な4頭である。いつものように史実のネタバレを含むため、無垢な気持ちでメインストーリー第2部をプレイしたいというトレーナーはご注意を。
ラインクラフト
ヒロインに相応しい桜の女王
まずはメインストーリー第2部 前編のヒロインとして描かれるラインクラフト。2005年の牝馬クラシック路線は、稀に見るハイレベルな世代と言われた(因みに牡馬は無敗の三冠馬ディープインパクトの世代)。
その上位を形成した精鋭の中でも、世代屈指のスピードと瞬発力を武器に、桜花賞とNHKマイルCの変則二冠を制覇したマイルの女王が今回のヒロインであるラインクラフトだ。
公式プロフィール
日向ぼっこが大好きな、明るく朗らかなウマ娘。
トリプルティアラに並々ならぬ憧れと情熱を抱いており、自分もその道を継ぐ者になりたいと日々努力を重ねている。
頑固さや行動力もありつつも、普段はのほほんとしており、周囲をほっこりとした気分にしてくれる。
史実のラインクラフト
概要
基本情報 | 2002年4月4日生 牝馬 鹿毛 |
---|---|
血統 | 父エンドスウィープ 母マストビーラヴド(父サンデーサイレンス) |
馬主 | 大澤繁昌 |
調教師 | 瀬戸口勉(栗東) |
引用元:JRA日本中央競馬会
ピンクが似合う美少女
ラインクラフトの現役時代は、ピンクの勝負服が似合う可憐な美少女という雰囲気だった。ウマ娘のラインクラフトも、すでに公式プロフィールやPVから見ることができるように、いかにも主人公らしいピンクの衣装が印象的だ。
福永祐一騎手
所属先は栗東の瀬戸口勉厩舎。中央移籍後のオグリキャップや、二冠馬ネオユニヴァースなど数々の名馬を育てた名伯楽である。そしてラインクラフトの主戦騎手は同厩舎との繋がりも深い福永祐一騎手(現調教師)で、全13戦すべてのレースで手綱を取った。
戦績
2歳時から非凡なスピード能力と切れ味鋭い末脚でデビュー2連勝を飾り、早々と桜花賞候補と言われる存在になったラインクラフト。2歳女王のタイトルこそ惜敗で取りこぼしたものの、3歳初戦のトライアルを勝って順調に桜花賞へと駒を進める。
同世代のライバルが一同に会した桜花賞でシーザリオらを退けて桜の女王に輝くと、距離適性を考慮して進んだ先はオークスではなくNHKマイルカップ。牡馬を相手に見事これを制し、史上初の変則二冠を達成した。
秋は果敢に距離延長に挑み、牝馬三冠の最終戦となる秋華賞ではエアメサイアとの熾烈な一騎打ちを演じる。
その後は得意のマイル以下に的を絞ったローテーションで、古馬牡馬に混じってもトップレベルの実力を発揮した。
突然の結末
マイル以下なら再び頂点に立てる。まだまだ輝かしい未来があると思われたラインクラフトの物語は突然終わりを告げてしまう。4歳夏の放牧先にて心不全を発症し、道半ばで早すぎる生涯を閉じてしまった。
ウマ娘での注目ポイント
華々しい戦績を残したティアラ路線では、プロフィールどおりの明るく希望に満ちた展開が見られることだろう。注目すべきは、同じ主戦騎手でともに順調に歩みを進めた最強のライバル、シーザリオとの直接対決。そしてティアラ路線を終えてシニアへと向かう彼女の未来がどのようなものになるのか。今までも多くのウマ娘たちが、史実で叶えられなかった物語の続きを見せてくれた。ウマ娘伝統のIFのストーリーにも注目したい。
シーザリオ
日米オークス制覇の歴史的名牝
ラインクラフトとトリプルティアラを競うライバルとして立ちはだかる一人目は、シーザリオ。日米オークスを制した実力はハイレベルな同世代牝馬でも随一で、歴代でも有数の名牝に数えられるほどだ。
公式プロフィール
理知的で懐が深いウマ娘。
名トレーナーの父と教育熱心な母の影響で、後進の育成に興味を持つ。
ティアラウマ娘は引退後に後進育成に注力することが多いと知り、自分の理想そのものだと憧れている。
同室の親友いわくオンオフが非常にはっきりしているらしい。
史実のシーザリオ
概要
基本情報 | 2002年3月31日生 牝馬 青毛 |
---|---|
血統 | 父スペシャルウィーク 母キロフプリミエール(父Sadler's Wells) |
馬主 | キャロットファーム |
調教師 | 角居勝彦(栗東) |
引用元:JRA日本中央競馬会
戦績
2歳暮れのデビュー戦を勝つと、3歳初戦に出走した2000mの1勝クラスでは、のちの重賞3勝馬になる牡馬のアドマイヤフジを退けて2連勝した。
続くG3フラワーカップも楽勝して無傷の3連勝。無敗のまま桜花賞へ駒を進めた。3戦すべてに騎乗していた福永祐一騎手がラインクラフトを選択したため、乗り替わりで臨んだ桜花賞はわずかにライバルに届かず2着。結果的にこれがシーザリオにとって唯一の敗戦となった。
ラインクラフト不在のオークスでは断然の1番人気に応えてG1制覇を果たすと、米ハリウッドパーク競馬場で行われるアメリカンオークスに参戦。ここでも見事な走りを見せ、4馬身差の圧勝で日米オークス制覇を成し遂げた。
日本調教馬として初めての米G1勝利という歴史に残る偉業を達成したのである。
帰国後はラインクラフトらとの再戦が期待されたが脚元を痛めて休養を余儀なくされると、療養期間が長引きそのままターフに戻ることなく引退した。
名牝にして名繁殖牝馬
シーザリオは、日米オークス制覇という現役時代の偉業もさることながら、引退してからも素晴らしい仔たちを世に送り出した偉大な母として知られる。
エピファネイア(父シンボリクリスエス)、リオンディーズ(父キングカメハメハ)、サートゥルナーリア(父ロードカナロア)といったG1馬を輩出し、それぞれが種牡馬としてシーザリオの血を繋いでいる。
種牡馬として順風満帆ではなかったスペシャルウィークの評価を高め、後世へと繋いでいる功績も大きい。公式プロフィールにも「後進の育成に興味を持つ」と言及されているため、その「後進」の登場も大いに期待したい。
ウマ娘での注目ポイント
シーザリオに関しては馬主や産駒といった繋がりから今後の展開を考えると、今回ウマ娘として実装された意味は非常に大きいと思われるが、まだ現時点で期待しすぎないように自制したい。
メインストーリー第2部で注目したいのは、史実の父であるスペシャルウィークとの関係性や、ラインクラフトとの直接対決で主戦の鞍上を譲ることとなった桜花賞前後の細かな心理描写など。
また、公式プロフィールに記載がある「同室の親友」も気になる存在。シーザリオには同世代に馬主、厩舎とも同じディアデラノビアという馬がいたのだが果たして?
エアメサイア
母の雪辱を晴らした孝行娘
ラインクラフトやシーザリオとトリプルティアラを競う3人目はエアメサイア。どこか控えめな印象を受ける眼鏡っ娘エアメサイアは、史実では母子二代に渡る惜敗続きのジンクスを突き抜けてティアラ戴冠を果たした孝行娘である。
公式プロフィール
誠実で堅実な努力家。
殻を破りたい、突き抜けたいと、様々なことに挑戦するも、いつも小さくまとまりがち。
トリプルティアラ全てで入着した母を持ち、娘の自分が勝利を重ねることで、母の繋いだ未来の素晴らしさを示したいと考えている。
史実のエアメサイア
概要
基本情報 | 2002年2月4日生 牝馬 鹿毛 |
---|---|
血統 | 父サンデーサイレンス 母エアデジャヴー(父ノーザンテースト) |
馬主 | ラッキーフィールド |
調教師 | 伊藤雄二(栗東) |
戦績
エアメサイアの母エアデジャヴーは、牝馬三冠すべてで上位入着(3,2,3着)を果たしたものの、ついにG1タイトルに手が届かなかった。その血を引く娘エアメサイアもまた、強力な同期のライバルを前にもどかしい戦いを強いられることとなる。
デビュー戦から鞍上に武豊騎手を迎え、3戦2勝(2着1回)の成績で桜花賞トライアルのフィリーズレビューに出走すると、ラインクラフトの3着に入って桜花賞行きの切符を手に入れる。
そして、母が3着だった桜花賞では、ラインクラフト、シーザリオ、デアリングハートに次ぐ4着。続くオークスではラインクラフトとデアリングハートの桜花賞上位2頭がNHKマイルカップにまわり2番人気に支持されるも、シーザリオにクビ差届かず2着に敗れた。
まるで母の成績をなぞるような春の二冠を終えたエアメサイアだったが、秋になると秋華賞トライアルのローズステークスでラインクラフトを下して重賞制覇。2000mの距離で逆転してみせると、その勢いにのって本番の秋華賞でもラインクラフトとの一騎打ちを制して悲願のG1制覇を果たした。
ウマ娘での注目ポイント
母子二代にわたってトリプルティアラ路線で善戦止まり。その血の宿命とも言うべき流れに抗って悲願を成就させるまでの道のりに注目したい。
史実で叔父にあたる二冠馬エアシャカールが彼女の成長の物語に関わってくるかも知れない。
デアリングハート
継承の物語
桜花賞&NHKマイルC馬ラインクラフト、オークス馬シーザリオ、秋華賞馬エアメサイア。トリプルティアラ無冠のデアリングハートは、ただの引き立て役では終わらないはずだ。メインストーリー第2部は、仔、孫の世代へと繋がる壮大な継承の物語となるか。
公式プロフィール
アメリカ育ちのリーダー気質なウマ娘。
目立つことが好きで、いつも人に囲まれている。
自分に確固たる自信を持っており、そのプライドの高さゆえ、人に弱みを見せたがらない。
強いハートを武器にして、目指すはトリプルティアラのクイーン。
史実のデアリングハート
概要
基本情報 | 2002年3月9日生 牝馬 栃栗毛 |
---|---|
血統 | 父サンデーサイレンス 母デアリングダンジグ(父Danzig) |
馬主 | 社台レースホース |
調教師 | 藤原英昭(栗東) |
戦績
デアリングハートは2歳の10月にデビューすると、2戦目で勝ち上がり格上挑戦でG1阪神ジュベナイルフィリーズに出走。11番人気だったが5着に健闘した。
なかなか2勝目をあげることはできなかったが、フィリーズレビューでラインクラフトとエアメサイアの間に割って入り2着。桜花賞の優先出走権を手に入れた。
桜花賞では10番人気の伏兵だったが、ラインクラフト、シーザリオの上位2頭に食い下がる3着と大健闘。続くNHKマイルカップでも10番人気を覆し、またしてもラインクラフトの2着に入り潜在能力の高さを見せて好走した。
秋はいい結果を残すことができなかったが、古馬になってから牝馬限定の重賞を3勝。晩年はダートでも好走するなどタフに活躍し、6歳までコンスタントに走り続けた。
繁殖牝馬として
トリプルティアラの戦いでは、人気薄を覆して何度も波乱を演出。意外性のある活躍で盛り上げたがG1勝利はならなかった。
しかし、繁殖牝馬になったデアリングハートは仔、孫の代ヘと秘めた能力を伝える。のちに、初仔のデアリングバード(父キングカメハメハ)を経て産まれた牝馬が歴史に名を残す偉業を達成する。その牝馬こそ、史上初めて無敗のまま牝馬三冠を達成したデアリングタクト(父エピファネイア)である。
ウマ娘での注目ポイント
メインストーリーで描かれる、ラインクラフト世代のライバルたちとの戦いにおいては名脇役的なポジションになるのかもしれない。
やはり注目されるのはデアリングタクトの存在。1年以上も前にウマ娘実装(当時はまだ現役だった)が発表されてから謎に包まれてきたが、ここへきて祖母にあたるデアリングハートの実装。さらにデアリングタクトの父エピファネイア(その父シンボリクリスエス)はシーザリオの仔である。
メインストーリー第2部 は壮大な物語に?
メインストーリー第2部 前編「ヒカリ射し、芽吹くとき!」。ここから紡がれるのは、世代を超えた壮大な継承の物語になる予感がする。まずは熱いトリプルティアラ争いをじっくり堪能しよう。
ありがとう、ウマ娘。
おめでとう、3周年!
ウマ娘のコラム記事一覧
キャラクター関連コラム
番外編コラム
ディープインパクト | 緑スキル持ちの競走馬たち |
名牝達の競演 | 一時代を築いた名門・メジロ家 |
本格参戦が待ち遠しいウマ娘① | 本格参戦が待ち遠しいウマ娘② |
凱旋門賞に挑んだウマ娘たち | 『夏の上がり馬』たち |
愛すべき『善戦ホース』たち | アニメ3期ウマ娘予習特集 |
アニメ3期世代の産駒たち |
レース関連コラム
宝塚記念 | 秋華賞 |
菊花賞 | 天皇賞(秋) |
エリザベス女王杯 | マイルチャンピオンシップ |
ジャパンカップ | 有馬記念 |
ログインするともっとみられますコメントできます