第47回:絶品の末脚とワガママ伝説、スイープトウショウの物語

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【ウマ娘】第47回:絶品の末脚とワガママ伝説、スイープトウショウの物語

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【ウマ娘】第47回:絶品の末脚とワガママ伝説、スイープトウショウの物語

競馬好きのライターが送るウマ娘コラム第47回。今回は、数々のワガママ伝説と絶品の末脚を持つ「スイープトウショウ」について熱く語ります。

目次

稀代のわがまま娘

ちゃんと走るかどうかはご機嫌しだい?

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実は今回のコラム、宝塚記念に合わせて書き始めていたのは他の馬だった。しかし、日曜日の新キャラ発表で割り込んできたのが、今回のコラムの主人公スイープトウショウだ。彼女が実装されるとあれば最優先で書くべきだろう。なぜなら、スイープトウショウという稀代のわがまま娘のご機嫌を損ねたら大変なことになるということを知っているからだ。

絶品の末脚とわがまま伝説

第47回:絶品の末脚とわがまま伝説、スイープトウショウの物語の画像

引用元:JRA日本中央競馬会

スイープトウショウは絶品の切れ味を持つ末脚を武器にG1を3勝した名牝だが、中でも牡馬を相手に勝った宝塚記念が彼女の評価を一段と高めたといっていいだろう。ハマれば並み居る牡馬をも一刀両断するほど強烈な末脚が彼女の魅力であり、同時に「ハマれば」という条件がついてしまう気分屋な一面もまた唯一無二の個性であった。

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牧場でも調教でもレースでも、ちゃんと走るかどうかは彼女のご機嫌次第。騎手や調教師をとことん困らせたわがまま伝説は数知れず。そんなわがまま娘、スイープトウショウの史実を追っていく。

血統

魔女の系譜

スイープトウショウの血統を見てみると、すぐに「魔女」っ娘スイーピーたる由縁が見えてくる。母タバサトウショウの「タバサ」、その母サマンサトウショウの「サマンサ」は、ともに米ドラマ『奥様は魔女』の主要キャラクター名が由来となっているのだ。

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仔馬時代

スイープトウショウは、早くから素質を評価されつつも仔馬時代からすでにわがままぶりを発揮していた。人間の指示に従うような性格ではなく、時には馬房から出ることすら拒否。他の馬に対しても尊大な態度を取るなどプライドの高さを覗かせていたそうだ。

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ゲート難と調教嫌い

嫌なことは頑なに拒否

仔馬時代に限らず、スイープトウショウと言えばたびたびゲート入りを拒否してレースのスタートを遅らせる常習犯であり、また大の調教嫌いでも有名だった。気が乗らないと頑として動かず、レース直前の追い切りでは30分以上も坂路の前で立ち止まるなんてことが風物詩と揶揄される始末だった。

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気性難による出遅れ癖や掛かり癖、真っ直ぐ走らないなど色々なクセ馬がいるが、スイープトウショウはその中でも筋金入りと言っていいだろう。

2歳時

デビュー前

2歳になったスイープトウショウは、かつて母タバサや祖母サマンサも育てた栗東の渡辺栄厩舎(フジキセキやジャングルポケットそ育てた)に入厩。渡辺栄調教師は翌年に定年を控えており、そのためスイープトウショウも限られた期間で転厩することが決まっていた。

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メイクデビュー

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10月、京都競馬場の芝1400m新馬戦でのデビューが決まる。騎乗するのは渡辺栄厩舎所属の角田晃一騎手。角田晃一騎手と言えば同厩舎のフジキセキやジャングルポケットとのコンビが有名だが、かつてはシスタートウショウ(桜花賞)やノースフライト(安田記念、マイルチャンピオンシップ)など牝馬での活躍が目立ち、「牝馬の角田」と呼ばれるほど牝馬の扱いに長けたジョッキーであった。

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単勝1.8倍の1番人気に支持されたスイープトウショウは、スタートでの出遅れをものともせずに他馬を子ども扱いして3馬身差の楽勝。2着のアグネスラズベリ、3着ディアチャンスはのちに重賞を勝つ素質馬で、ハイレベルな新馬戦だった。

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ファンタジーステークス

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素質を見せつけた初勝利から3週後の11月9日、新馬戦と同じ京都芝1400mで行われるG3ファンタジーステークスに出走。1勝馬ながら、良血馬ツルマルシスターに次ぐ2番人気でレースを迎える。

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デビュー戦と同様にスタートで出遅れて後方からの競馬となり、さらにかかり気味に追走して気難しさをいかんなく発揮してしまう。しかし素質で上回るスイープトウショウは先に抜け出していた3番人気ロイヤルセランガーを直線で外から捉えて1馬身1/4差をつけて差し切り勝ち。2戦2勝で重賞初勝利を果たした。

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阪神ジュベナイルフィリーズ

無敗で2歳牝馬の頂点を決める阪神ジュベナイルフィリーズに進んだスイープトウショウは、1番人気に推される。

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フルゲート18頭立ての2枠4番に入ったスイープトウショウは、今度は綺麗にスタートを決めると後方にポジションを下げて末脚を溜める。ところが思いのほかスローペースになったために馬群が固まったままレースは終盤へ。

最終コーナーから直線にかけて、仕掛けどころで行き場をなくしてしまったスイープトウショウは最後まで末脚を持て余したままゴール。最後の100mで加速して5着に追い上げるのがやっとだった。勝ったのはトウカイテイオーの娘、ヤマニンシュクル。1着から3着までが6,10,12番人気の大荒れとなった。

3歳時

紅梅ステークス

3歳の始動戦は、2戦2勝の京都1400mで行われる紅梅ステークス。京都競馬場の外回りコースはスイープトウショウの脚質に合っていた。

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出遅れ気味のスタートから後方を追走。直線ではのちのオークス馬ダイワエルシエーロと一騎打ちになるが、これを半馬身退けて3勝目。3着馬を大きく離してレースレコードタイ記録の好タイムで幸先よく3歳のスタートを切った。

転厩、乗り替わり

池添騎手との出会い

紅梅ステークスのあと、渡辺栄調教師の定年および厩舎の解散を前に弟弟子の鶴留明雄厩舎に転厩する。これに伴い、これまでパートナーを努めた角田晃一騎手から池添謙一騎手に乗り替わりとなった。

気難しいスイープトウショウと、繊細な牝馬の扱いに長けた角田騎手との相性は決して悪くなかったが、この乗り替わりによって後の名コンビが誕生したのである。

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ゲート難発動

チューリップ賞

転厩初戦は桜花賞トライアルのG3チューリップ賞。新パートナー池添騎手との初コンビは、いきなり先行きに不安を感じさせる出来事から始まった。『ゲート難』である。この先幾度も目にすることになるのだが、ゲート入りを断じて拒否するスイープトウショウの姿をレース本番で目にするのは、これが最初になる。

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単勝1倍台の本命馬がゲート入りを嫌がり、他の馬を待たせる様子に場内はざわめく。ようやくゲートインした頃にはスタート時刻を3分ほど遅らせていた。

レースぶりは圧巻

ゲート難発動後は、当然のごとく出遅れ癖のコンボを決めるスイープトウショウ。しかし、ここからのレースぶりは圧巻だった。最後方から直線だけで大外一気の追い込みで豪快に差し切り勝ち。2歳牝馬チャンピオンのヤマニンシュクルらを置き去りにした末脚は見事だった。

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桜花賞

チューリップ賞で駄々をこねたせいでゲート再試験を課されたものの、これをクリアして本番へ。しかしゲート練習と再試験でストレスがかかったことで肝心の調教を予定通りこなせず決して万全とは言えない状態であった。

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そうして迎えた牝馬クラシックの第1戦桜花賞。初対決の無敗馬ダンスインザムードに1番人気を譲り、スイープトウショウは2番人気。

ゲート入りのイヤイヤはほどほどに、スタートも無難に決めると道中は後方待機策。直線では馬群の中へ突っ込んで追い上げるものの、スローペースで先に抜け出した先行勢が止まらず5着までだった。勝ったダンスインザムードは無敗の桜花賞馬に輝いた。

オークス

阪神ジュベナイルフィリーズに続いてG1で結果を出せなかったスイープトウショウ。それに加え、桜花賞までに経験した距離は1600mが最長で、血統的にもオークスの2400mは長いと見られていた。

そのためオークスでは人気を落として4番人気。無敗の桜花賞馬ダンスインザムードの1強という情勢の中、スイープトウショウも意地を見せる。

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スタートを五分に出て中団10番手付近で折り合うと、直線では伸びあぐねるダンスインザムードを交わして、逃げ粘るダイワエルシエーロを追う。ダイワエルシエーロが一杯に粘り込み、3/4馬身届かず2着でゴール。持ち前の末脚を発揮したが、惜しくもG1初制覇には届かなかった。

秋華賞へ向けて

夏場は休養して激戦の疲れを癒やしたスイープトウショウ。牝馬三冠の最終戦、秋華賞へ向けてトライアルのローズステークスで戦列に復帰した。

秋初戦のローズステークスは中団から伸びたものの、勝ち切ることができず3着だった。

秋華賞

秋華賞では、オークス4着のあと米国のG1アメリカンオークス2着と海外でも頑張ったダンスインザムードがぶっつけ本番にも関わらず1番人気。離れた2番人気にスイープトウショウ。

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ここで、スイープトウショウのゲート難が再び発動してしまう。チューリップ賞の時と同じようにゲート入りを拒否。またしてもレースの発走を遅らせるわがままっぷりを見せたが、レースでは魔法のような走りを披露する。

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道中は後方から2番手を進み、脚をためるスイープトウショウと池添騎手。1番人気のダンスインザムードは先行して2,3番手の好位でレースを進める。

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最終コーナーを周り直線へ。ダンスインザムードは早くも先頭に並びかけ、大外を回ったスイープトウショウはまだ後方だ。早めに先頭に立ったダンスインザムードがさらにリードを拡げようとする。そこへ中団から差してきたヤマニンシュクルと、さらに外からスイープトウショウの豪脚が襲いかかる。

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最後はヤマニンシュクルとの追い比べを制したスイープトウショウが半馬身抜け出して先頭でゴールした。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

スイープトウショウは得意の京都競馬場では負けなしの4戦4勝とした。池添騎手はレース後、自身が所属していた鶴留厩舎の管理馬でのG1制覇に涙を流して喜んだ。

永遠の課題、ゲート難

エリザベス女王杯

秋華賞でのゲート入り拒否によりふたたびゲート試験が科されたスイープトウショウは、ゲート練習と試験を重ねるたびに益々ゲートを嫌うようになる。そして、短期間でゲート試験と調教をこなすのは困難を極めた。

なんとかゲート再試験をクリアしてエリザベス女王杯出走にこぎつけたものの、ストレスの溜まった状態では肝心の調教が思うように行えず、追い切り前には坂路の手前で30分以上にも及ぶイヤイヤを発動し立ち往生して関係者を困らせた。

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レース本番では今度はゲートに近づくことすらままならず、他の出走馬に付き添われて渋々移動。今回もゲート入りを拒んで発走を遅らせる恐れがあったため、ファンファーレが鳴る前に目隠しをしてゲート入りを済ませるという苦肉の策が施された。

前年の覇者アドマイヤグルーヴと人気を分け合っていたが、出遅れて最後方からのレースとなり末脚も届かず5着。京都競馬場ではこれが初めての敗戦となった。

出走停止

スイープトウショウには、度重なるゲート難(枠入り不良)により30日間の出走停止処分が下された。ただしエリザベス女王杯のあとは放牧に出されてリフレッシュし、休養明け後にゲート試験に合格すれば復帰が可能だった。

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4歳時

長期休養明け

4歳となったスイープトウショウは、距離適性を考慮して早期の復帰は見送られる。春の目標レースは6月の安田記念から宝塚記念というローテーションだった。

復帰戦は5月のオープン特別、都大路ステークス。得意の京都での復帰だったが、出遅れて後方から追い込むものの久々もあって伸びきれず5着に終わった。ただしゲート入りはスムーズにこなした。

安田記念

久々を一度使われて状態もアップ。ゲート試験もなく久しぶりに順調にレースを迎える。

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前走、復帰戦の凡走で大きく評価を下げてしまったスイープトウショウは10番人気の低評価。しかし、落ち着いた精神状態でレースに臨めたこともあり本来の力を発揮する。

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すんなりとゲートインすると、スタートはやや出遅れ気味。しかしすぐに挽回して中団後方の外めのポジションで折り合いをつける。直線で外に出して追い比べになると、伏兵のアサクサデンエンとともにいい脚で伸びてくる。わずかにアサクサデンエンに遅れを取ったものの、香港のレジェンドホース・サイレントウィットネスとの際どい2番手争いを制して2着に入った。

レースの魔法

宝塚記念

安田記念で牡馬の一線級相手に結果を残したスイープトウショウは、春のグランプリ・宝塚記念に出走。古馬中長距離路線の主役たちに挑むのはこれが初めてだ。

中心は、前年の年度代表馬ゼンノロブロイに、ダービー2着のハーツクライ、そして遅咲きの名馬タップダンスシチーといった強力な牡馬勢。前走で安田記念2着のスイープトウショウは11番人気の伏兵だった。

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安田記念に続いて順調にゲートに収まった。スタートも無難に決めると、中団7,8番手でゼンノロブロイの直後につける。かかることもなく中団で折り合ったスイープトウショウと池添騎手。抜群の手応えで前を射程圏に捉えて最終コーナーから直線へ。

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早め先頭のタップダンスシチーを並ぶ間もなく捉えると、追いすがるゼンノロブロイを置き去りにし、最後は鋭い脚で追い込んだハーツクライの猛追をクビ差凌いで先頭で駆け抜けた。

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レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

宝塚記念を牝馬が制したのは、なんと39年振り。史上2頭目の快挙を成し遂げた。

ヒヤヒヤの天皇賞(秋)

宝塚記念後は夏場を休養に当て、毎日王冠から始動。オークス、安田記念でともに2着と相性のいい東京競馬場だったが、結果は6着。満足の行く秋初戦とはならなかった。

エアグルーヴ以来となる牝馬の優勝を目指した天皇賞(秋)では、関係者もヒヤヒヤの事態を招く。調教で立ち往生はいつものことだったが、それを東京競馬場で発動。それもよりによってエンペラーズカップ100年記念として行われた記念すべき天覧競馬の舞台だった。

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馬場入場後に池添騎手の指示を拒否。頑として動かなくなったスイープトウショウは、結局池添騎手が下馬したうえで厩務員に手綱を引かれ歩いてスタート地点へ向かった。そしてジョッキーが小走りにそれを追いかけるという珍場面を見せてしまった。

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どうにか出走時刻を遅らせる最悪の事態を避けて無事にスタート。レースにはスイープトウショウを含めて4頭の牝馬が参戦していたが、14番人気と人気薄だったヘヴンリーロマンスが一世一代の大駆けを見せ1番人気のゼンノロブロイを下して優勝。3着にも13番人気の牝馬ダンスインザムードが入り、100万円を超える大荒れの三連単を演出した。

スイープトウショウもよく追い込んだが、スローペースで展開が向かなかったこともある優勝争いにはあと一歩の5着までだった。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

驚異の末脚

エリザベス女王杯

天皇賞後は中一週のローテーションでエリザベス女王杯へ出走。古馬になってから初めてとなる牝馬限定戦だった。牝馬同士ならば主役は譲れない。2連覇中のアドマイヤグルーヴやこの年の秋華賞馬エアメサイヤといった各世代を代表する牝馬たちを相手に、前年5着の雪辱に挑んだ。

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課題のゲート入りをスムーズにこなすと、鶴留調教師も思わず「よし!」と安堵。スタートも出遅れることなく出て後方に控える。オースミハルカが後続を引き離して軽快に逃げ、他の有力馬は互いに牽制し合う展開。

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気持ちよく逃げたオースミハルカが大きなリードを保ったまま直線へ入ると、これはもはや逃げ切り濃厚かと思われた。しかし、逃げ馬のはるか後方からアドマイヤグルーヴとともに大外を駆け上がってきたのはスイープトウショウ。

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アドマイヤグルーヴを置き去りにすると、最後の100mは驚異的な切れ味でオースミハルカを強襲。ゴール直前できっちりと差し切って会心の勝利を収めた。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

5歳時

骨折休養

エリザベス女王杯のあとは放牧に出されて5歳となったスイープトウショウ。春の目標レースをこの年に新設された第一回ヴィクトリアマイル(G1)に定めて3月から調教を再開したが、調教中に故障を発生。検査の結果、骨折が判明して全治3ヶ月の診断。春は治療に専念することとなった。

京都大賞典

7月には怪我も癒え、秋の復帰を目指して運動を再開。9月下旬の追い切りで及第点の動きを披露し、10月8日の京都大賞典で復帰が決まる。前年のエリザベス女王杯からもうすぐ1年が経とうとしていた。

長期休養明けでもG13勝の底力と相性のいい京都競馬場ということもあり2番人気の支持を集めたスイープトウショウ。スムーズにゲートインし、スタートも出遅れることなくまともに出た。そして中団待機から直線で差し切って勝利。中328日という長期休養明けにもかかわらず見事に7勝目、重賞6勝目をマークした。

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天皇賞(秋)

健在なところをアピールしたスイープトウショウは続く天皇賞(秋)では1番人気となる。調教でもそれほど手こずらせることなく、京都大賞典に続いてゲート入りもスムーズにこなした。

スタートを決めて中団につけたスイープトウショウ。絶好のポジションで最後の直線を迎えたが、思いのほかジリジリとしか伸びず5着だった。順調にきていただけに敗因が掴めない負け方であった。

久しぶりのお騒がせ

連覇を狙って中1週でエリザベス女王杯へ。しかし、直前の追い切りで久しぶりにわがままぶりを発揮して周囲を混乱させた。坂路での追い切りのはずが、これを拒んで立ち往生。このままだと追い切りできないままコースが閉まってしまうというタイムリミットが迫り、調教助手の判断で急遽ダートコースで追い切られた。

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坂路コースでスイープトウショウが現れるのを待っていた記者や池添騎手すらも意表を突かれ、大事な最終追い切りを見逃すという事態を招いたが、動き自体は抜群で、追い切りタイムも文句のないものだった。

エリザベス女王杯

「らしさ」が戻ったスイープトウショウは連覇がかかるエリザベス女王杯を迎える。無敗の2冠牝馬カワカミプリンセスとの新旧女王対決に注目が集まった。

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スタートを五分に出て後方に控えるスイープトウショウ。中団待機のカワカミプリンセスを前に見て追走する。ハイペースで縦長の隊列となり、差し追い込みの有力馬におあつらえ向きの展開となった。

最後の直線の攻防。馬場の外目をついてフサイチパンドラが抜け出しを図り、さらに外からスイープトウショウも追い込み態勢。しかし、内を突いたカワカミプリンセスの切れ味のほうが上回っていた。1馬身半抜け出したカワカミプリンセス、クビ差届かなかったフサイチパンドラに次いでゴール。

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レース後、電光掲示板には審議のランプが灯り、カワカミプリンセスが他馬の進路を妨害したとして降着。優勝はフサイチパンドラ、2着にスイープトウショウが繰り上がったが、内容的にはカワカミプリンセスに完敗だった。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

有馬記念

エリザベス女王杯後は、有馬記念に出走。スイープトウショウにとって中山競馬場は初出走だったが、それ以前にこの年の有馬記念はディープインパクトの引退レースということで特別な雰囲気に包まれていた。

ディープインパクトが圧倒的な走りで自身の引退の花道を飾った陰で、スイープトウショウはゲート入りを拒否して発走時刻を遅らせ、スタート出遅れのコンボで自滅。後方のまま見せ場もなく10着に沈んだ。

6歳時

悪化する調教嫌い

6歳になったスイープトウショウは現役を続行。しかし、調教の難易度はさらに増していった。坂路コースをますます拒絶し、ウッドコースとダートコースを織り交ぜてだましだまし調教が行われた。

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マイラーズカップ2着を経て、前年に怪我で出走できなかったヴィクトリアマイルに出走したが9着と大敗してしまう。

そしてかつて歴史を作った宝塚記念には、ストレスを爆発させて厩舎で打撲を負ってしまい出走することができなかった。

ラストラン、引退

秋になっても、もはやまともに調教ができないほどに嫌になってしまったスイープトウショウ。それでもなんとか出走にこぎつけたスワンステークスで4着としたがプラス18キロの過去最高馬体重は明らかに調教不足によるものだった。

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最後はエリザベス女王杯に出走し、4年連続同一G1出走という立派な記録を達成。1本の追い切りを行うのに池添騎手も厩務員もあの手この手でようやくという感じだった。レースでは新世代の女王ダイワスカーレットには完敗だったものの、自身のラストランで3着と意地を見せた。

レース映像

引用元:JRA公式チャンネル

スイープトウショウはこのレースを最後に引退して翌年から繁殖入りした。

39年ぶりに牝馬として宝塚記念を制覇したスイープトウショウの下の世代からは、ウオッカのダービー制覇やダイワスカーレットによる有馬記念制覇と男勝りの牝馬が続出し、近年は3年連続で牝馬が宝塚記念を勝利するなど時代は激変したと言っていい。

数々のお騒がせ伝説をつくった稀代のわがまま娘スイープトウショウは、今に続く強い牝馬の時代を作った一頭だ。調教もレースも、ちゃんと走ってくれるかは彼女のご機嫌しだい。

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キャリアの後半は特に、いつ走る気になってくれるかわからないような状況だった。こうしてスイープトウショウを見守るファンにとって(おそらく調教師や騎手はもっとだと思うが)ハラハラドキドキのシーズンが終わった。

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ありがとう、ウマ娘。

ありがとう、スイープトウショウ。

史実のスイープトウショウ

基本情報2001年5月9日生 牝 鹿毛
血統父 エンドスウィープ
母 タバサトウショウ(父ダンシングブレーヴ)
馬主トウショウ産業
調教師渡辺栄(栗東)→鶴留明雄(栗東)
生産牧場トウショウ牧場(北海道静内町)
通算成績24戦8勝
主な勝ち鞍’04秋華賞、’05宝塚記念、’05エリザベス女王杯
生涯獲得賞金7億4482万円

エピソード① パパは池添騎手?

ウマ娘でスイープトウショウの育成が解禁されると、ストーリーに登場するパパとは他でもない池添謙一騎手なのではないかと話題になっている。かなり確定に近いエピソードも盛り込まれていることから、パパ=池添騎手説は濃厚のようだ。池添騎手本人が反応してツイートしたのがまた話題になった。

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パパ=池添騎手説もうなずけるが、では『使い魔』ことトレーナーは誰なのか?筆者は当初、こちらが池添騎手の分身ではないかと疑っていた。無料で見られるウマ娘ストーリーの4話までを視聴してみてそんな気がしたのだ。

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かつて池添騎手はインタビューに応じてこんなやり取りをしている。「スイープトウショウを彼女にしたいですか?」という突拍子もない質問に対して「いやー、キツいでしょw」「振り回されっ放しになると思いますよ」というような回答で返しているのだ。

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それをふまえてトレーナーとスイーピーの会話を見ていると、「もしもスイープトウショウが恋人だったら」のIFのストーリーを疑似体験している気になってきた。だとしたらこれまた粋な設定ではないか。

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エピソード② 遺伝子の力

スイープトウショウの仔に、クリーンスイープ(父ドゥラメンテ)という現役で3勝の牝馬がいる。このクリーンスイープ、今年5月の東京競馬場での1シーンが動画で拡散されるとたちまち話題になってしまった。本馬場入場後にご機嫌ナナメだったのか、正面スタンドのすぐ目の前で制御不能のロデオを披露。母と同じく、鞍上の池添騎手を大いに困らせていた。

エピソード③ ロマンあふれる最後の産駒

2022年の2歳世代には、スイープトウショウ最後の産駒がデビューを控えている。スイープアワーズと名付けられた牡馬は、名馬ディープインパクトの最後の産駒としても知られている。ディープインパクトの引退レースでいやいやを発動して発走時刻を遅らせたスイープとの仔だ。

2021年のセレクトセールでも話題を集めたロマンあふれる血を継承するスイープアワーズがどんな走りを見せてくれるか。まずは無事にデビューすることを見守りたい。

今週の一枚

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スイープトウショウと言えば、やはりゲート難からの出遅れ。と言うことで出遅れシーンを狙ってみた。これがなかなか難しく、下の写真のように出遅れた直後はカメラが全体を写しているためスイープの姿を確認するのは難しい。

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出遅れが発生したらすかさずカメラアングルを切り替えて、出遅れの表示が残っている間にパシャリだ。

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ライターE
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BNW世代(93年~)から競馬を追いかけているガチガチの競馬ファン。最近は少し離れ気味だったが、ウマ娘をきっかけに競馬への情熱を取り戻す。
持ち前の競馬知識を活かして、ウマ娘ファンと競馬の間の橋渡しに少しでも貢献したいと思っている。

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