ポケモンSVのランクマッチのシーズン1の環境レポートです。シリーズ1の対戦環境を上位プレイヤーが解説しています。
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本記事は一定の対戦知識がある層に向けた内容です。
略語や漢字表現などが含まれます、予めご了承下さい。
監修プレイヤー
asami | ◆プレイヤー実績 【9世代シングル】 S1 最終161位 / S9 最終7位 【8世代シングル】 S1 最終10位,19位 and more...(※タップで開閉)【7世代シングル】 S4 最終11位 / S6 最終14位 S7 最終23位 / S9 最終8位 S13 最終1位 【7世代ダブル】 S11 最終10位 ▶YouTubeはこちら |
シーズン1の基本概要
シリーズ1ルールでの対戦環境
開催期間 | 12/2(金)9:00〜1/5(木)8:59 |
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パラドックス・準伝説が居ないルール
ポケモンSVでの初期ランクマ環境。殆どのプレイヤーがパラドックスや準伝説ポケモンが参戦する想定で環境考察を進めていたが、本ルールではいずれも使用不可に指定されており、波乱の幕開けとなったシーズン。
使用不可ポケモン一覧使用不可ポケモン一覧
環境序盤の主なトピック
ミミガッサを擁する対面構築が流行
サンムーン時代に開拓された「キノガッサ+ミミッキュ」という代表的な対面選出の並び。この2体のSV内定は早い段階で判明していたこともあり、この並びを構築の始点としたプレイヤーは非常に多かった。
実際は従来の動きだけでは難しかった…
知名度が高い並びということもあって、環境初期からこの並びへの対策は厚かった。結果として「キノコのほうし」不採用の4ウェポン型キノガッサなど奇襲的な動きでアドバンテージを稼ぎにくるプレイヤーも一定数存在していた。
サイクルではサザンドラが覇権を握る
この時点では鋼テラスタルまで含めると明確にサザンドラに優位なフェアリーが環境に存在せず、サザンドラはサイクル構築で頭1つ抜けた存在になっていた。
相方には前述のミミッキュ+キノガッサやカイリューに対して比較的安定した受け出しが可能で、後攻「とんぼがえり」から安全にサザンドラを着地させられるアーマーガアが採用されているケースが多かった。
キョジオーンに注目が集まる
環境初期ということもあり、専用技「しおづけ」への明確な回答を用意できているプレイヤーは少なく、型の開拓が進められた。じわれ型や鉄壁ボディプレス型、まもみが型などが登場し、環境に於ける「必要悪」のような位置付けを徐々に確立し始める。
新アイテム「おんみつマント」の評価上昇
キョジオーンが注目され始めると、対策として「おんみつマント」の評価が急上昇。徐々にキョジオーンだけで簡単に勝てるゲームではなくなっていった。汎用性を維持しながら、このアイテムをうまく扱えるポケモンの筆頭としてサーフゴーが注目を集めていた。
特性「てんねん」対策が重要視される
特性「てんねん」の新ポケモン3種は、いずれも優秀なスペックだったこともあり環境入り。殆どの構築にクッションとして1体以上採用されるようになっていく。必然的に構築を組む際にこれらのポケモンの処理方法を用意することが求められるようになる。
環境中盤の主なトピック
マリルリ、ドドゲザンの増加
流行していたサザンドラに対するメタとして、フェアリー枠のマリルリが流行。受け出しを意識する都合上、チョッキ型での採用数が圧倒的に多かった。
同時期にサーフゴーを筆頭に多くのゴースト枠に有利が取れるドドゲザンの評価が上昇。こちらも初期はチョッキ型での採用が多く、この時期からサザンドラはかなり動きづらくなり始めていた。
徐々に上がるSラインと型の変移
マリルリとドドゲザンのS種族値はどちらも50。いずれもラウドボーンやアーマーガアのSラインを意識して、少しずつSを振り始めるプレイヤーが増えていた。
特にドドゲザンは最終的にAS剣舞型に変化していき、アーマーガアを上から剣舞ドゲザンで突破するなど対面性能よりも崩し性能を重視した型に変貌していった。
ビルド型コノヨザルが流行
オーロンゲの壁展開や「おにび」と組み合わせ、ビルドアップを積むコノヨザルの情報が広まる。下手にダメージを与えれば、専用技「ふんどのこぶし」の威力を上げてくる特異性や「ちょうはつ」による絡め手潰しに頭を抱えるプレイヤーは少なくなかった。
ハチマキ・メガネ採用が増加傾向に
アイテム | 主な持ち主 |
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この頃から特性「てんねん」持ちやキョジオーンのようなポケモンで詰まないように、瞬間的な火力を底上げできるこだわりハチマキ、こだわりメガネを優先的に採用した構築が増加した。過去シリーズの対戦環境とは違う象徴的な現象。
鬼火ウルガモスの台頭
眼鏡ウルガモスが増加する一方でおにび+あさのひざしで物理アタッカーを詰ませる鬼火ウルガモスが台頭。新たに詰ませが可能なポケモンが増えた為、より一層構築を組む難易度が上がった。
炎テラスの物理アタッカーが増加
ウルガモスの他にもラウドボーン、ドラパルトなど火傷状態をばら撒くポケモンが増加。対策として、物理アタッカーが火傷を無効化できる炎テラスタルを採用する流れが到来。テラバーストの搭載率も上がったため、物理をアーマーガアでタイプ受けしていた「アーマーガア+ドオー」のような並びの危うさが露呈した。
終盤環境の主なトピック
ステルスロックの需要が高まる
環境上位にカイリューとウルガモスがいる関係でステロの優先度が高くなり、上位ではカバルドンやガブリアスが多く採用された。ガブリアスは中盤に登場した「ドラゴンテール」採用型が高く評価されており、一般的な殴るタイプのガブリアスとは違った強さを発揮していた。
イージーウィンの標的に…
終盤ということもあり、上記2体の展開ルートに対して、そのまま3タテが狙える積みアタッカーなどを構築に仕込むプレイヤーも一定数出現。
特にドラゴンテールにはフェアリーに効果なし、みがわり状態の相手は交代させられないなどの明確な弱点があったため、使用者側もそれらを意識する必要があった。
マリルリ意識の電気テラスタルが増加
炎テラスの増加に伴い、火傷の刺さりが悪くなったことで環境が更に変移。物理アタッカーのトレンドが電気テラスタルへ。珠や鉢巻を所持したドラゴンタイプがマリルリをテラバーストで処理できるようになったため、マリルリの対ドラゴン性能に綻びが見え始めた。
対ドラゴンの新たなフェアリー枠は煮詰まらず…
対ドラゴンへの評価が最も高かったマリルリがメタの対象になってしまい、環境初期からあった「強力なフェアリー枠の不在」が再度問題視される。抜本的な解決策が見つからぬまま、フェアリーテラスタルでのドラゴン対策に向かうプレイヤーが増えていく。
タスキ枠に求められる性能が定まり始める
環境に特性「てんねん」が多いこともあり、タスキ枠には積み技なしでも高い火力を発揮できるポケモンや展開を作れるポケモンが採用されやすくなる。どくびしを撒くマスカーニャや、でんじは採用型サーフゴーなどもその筆頭。
ゲンガーの評価が高まる
高速特殊アタッカーとして最速ゲンガーに注目が集まる。毒+ゴースト+αの広い攻撃範囲を持ったゲンガーは中~終盤環境で高い対面性能を発揮した。命中不安ではあるが「さいみんじゅつ」で状況を打開できる力を秘めているため、本当に油断できないポケモン。
また、「みちづれ+アンコール」でコノヨザルを筆頭とした自身より早く動けない積みアタッカーへの確実な抑止力として機能したことも評価上昇の一因だろう。
アシパ型クエスパトラがプチ流行
序~中盤に出回った瞑想アシパ型のクエスパトラが専用構築ではなく、構築の穴埋めとして一部で採用されることがあった。自然に身代わりを採用できるため、多少の絡め手では崩されにくく、構築によっては「型が分かっていても対処できない」という状況になり得る1体。
環境最終盤の主なトピック
渦アンコ型カイリューが認知され始める
ほのおのうずで相手の交代を封じ、アンコールで行動を制限する既存のカイリューとは全く異なる戦い方をするカイリューが認知され始める。ほのおのうずが命中不安という点を除けば、相手のポケモン1体を強引に削ることができるこの型は無視できない存在となっていた。
同時期にドラゴンテール型も緩やかに増加
印象的な渦アンコ型に目が向きがちだが、上位帯では「ドラゴンテール+でんじは」を採用したゴツメ持ちカイリューもその数を伸ばし始めていた。
渦アンコ型がカイリューを受けに来たヘイラッシャなどを削って裏を通すのが主目的だったのに対し、こちらの型は環境のあらゆる相手に後出しから盤面を荒らす汎用クッションという似て非なる役割を担っていた。
HBサーフゴーが開拓される
物理相手に詰め筋にもなれるHB電磁波サーフゴーが開拓される。テラスタルへの依存度が低い型でありながら、コノヨザルやマリルリなどに有利が取れるため、サイクルの補完枠として環境に躍り出る。持ち物の自由度も高かったため、食べ残しや弱点保険を検討したプレイヤーも一定数存在した。
カイリューに対して起きた異常な出来事
前述のゴツメカイリューが広まったことで、上位帯のカイリューの型が露骨に変化し始める。想定されていた訳では無いが、アンコールや電磁波が効かず、自己再生でHP管理が可能なHBサーフゴーが上位帯に居た殆どのカイリューに強いという奇妙なメタ関係が成立した。
ステロ+剣舞ドドゲザンの研究が進む
ステロ展開が流行り始めた辺りから、ステロ+剣舞悪テラスのドドゲザンの制圧力の高さに注目が集まり、並びの研究が進んでいた。ガブリアス、カバルドンへのメタが厚かったこともあり、上位帯では新たなステロ撒きを模索する流れが起こる。この頃にビルド型、スカーフ型に次ぐ、3つ目の型として展開型のコノヨザルが登場。
最終盤で一気にメタが加速
上記は非常に強力な軸だったため、シーズン1は「最強のステロ撒きを探すゲーム」になると思われていた。ところが最終盤に下記のどちらかの対策を用意した構築が爆増。遂には高水準な「選出+プレイング」が伴わないと勝ち切れない軸となってしまい、剣舞ドドゲザンを選出できないor通せなくなったプレイヤーが続出した。
対策A | ゴツメカイリュー、ドラパルトの格闘テラバーストなどで剣舞ドドゲザンそのものを処理するルートを構築に用意しておく。 |
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対策B | ステロ撒きを早々に処理することで最小限の被害で数的有利な状況を作り、ドドゲザンはヘイラッシャ(特性:てんねん)で封殺する。 |
初手でアドバンテージを稼ぐ構築の増加
剣舞ドドゲザンは下火だったが、他のアタッカーを据えたステロ展開はまだ多かった。それらに対してA特化ガブリアスの地面テラスのような裏に一貫しやすい高火力を初手から押し付けて優位な展開に持ち込む動きが上位帯では増加していた。フェアリーが居ないこともあり、この役割はやはりドラゴンが担っていた。
数的不利を打開するのが難しい
これらの構築には「てんねん」持ちや前述のカイリューなどが裏に控えており、純粋な積みアタッカーで数的不利を覆すことが困難であり、大きな課題となった。
そのため、初手ドラゴンミラーの殴り合いを拒否したいのであれば、別の手段で相手のドラゴンにアドバンテージを稼がせない初手が絶対条件となっていた。
シーズン1環境の総括
数的不利を覆す解答が不明瞭なまま終結
「数的不利をどう覆すか?」については最終盤だったこともあり、殆どのプレイヤーがそこに解答が出せないまま、タイムリミットを迎えてしまった印象だった。
後述する一部の構築も初手での高火力の押し付け合いを上手く掻い潜ったという側面が大きいため、シーズン2ではどんな解答が出されるのか注目したい。
初手フェアリーテラバーストが本質
問題視されていたフェアリー枠不足に対する解答として、「初手フェアリーテラス+テラス依存度が低い2体」という直接フェアリーを採用せずにフェアリー入りのサイクルを形成するという考え方が結論。
それに加え、シーズン1最終日は初手ドラゴンに強い動きが求められていたため、初手の「テラバースト」でアドバンテージを稼ぐゲームプランに辿り着けた構築が最も理に適っていた。
上位構築での採用例
提供:よしこぽけ(@yoshimaru_poke)/最終17位
よしこぽけさんの構築記事はこちら結果を見るとデカヌチャンも正解だった
上位構築のいくつかにデカヌチャンが採用されており、初手フェアリーテラス以外のフェアリー枠の正解だったと言える。上位で模索されていた「優秀なステロ撒き」であり、風船を持つことで初手のドラゴン全般に強く出られた環境に最もマッチしていたフェアリーだった。
上位構築での採用例
提供:シグマ(@zenchino115)/最終2位
シグマさんの構築記事はこちらポケモンSVの対戦・育成論
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