東京ゲームショウ2026のroom6ブースに出展していた『狐ト蛙ノ旅 アダシノ島のコトロ鬼』の作者、リアス氏へのインタビューです。本作の誕生のきっかけや、独特な世界観について語っていただきました。
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目次
『狐ト蛙ノ旅 アダシノ島のコトロ鬼』は探索型の3Dアクションアドベンチャー
東京ゲームショウ2026のインディーゲームコーナー・room6ブースで展示されていた『狐ト蛙ノ旅 アダシノ島のコトロ鬼』。不思議な島「アダシノ島」を舞台に、狐の少女と相棒の蛙が家に帰る方法を探す、探索型の3Dアクションアドベンチャーゲームだ。
▲第二弾PV 狐ト蛙ノ旅
本作を手がけているのは、作者のリアス氏。TGS会場では、パブリッシャーであるroom6のブースでTGS向け試遊版が展示されており、今回はリアス氏に開発の背景や世界観へのこだわりについてお話を伺った。

▲作者・リアス氏
本作の誕生のきっかけと世界観のルーツ
──本作は、2018年の末ごろから描きはじめたイラストの連作から始まったと伺っています。これをゲームとして形にしようと思ったきっかけを教えてください。
リアス氏
元々、僕はゲーム会社でコンセプトアートを担当してきました。ただ、仕事とは別に、自分で世界観を作ること自体を目的に絵を描くこともずっと続けていました。
いろんな絵を描いていくうちに、それらが勝手にゲームの形になっていった、というのが正しいのかなと思います(笑)。
自分の好きな世界観を描き重ねていったところ、インターネット上の反応からも「こういうのをみなさんが求めているんだな」と感じるようになり、ゲームにしようと決めました。

──舞台となる「アダシノ島」は、提灯とネオンが混在するレトロで和風な雰囲気となっています。アダシノ島に関して、具体的にインスピレーションを受けたものはありますか?
リアス氏
昔の日本の建築物や大正時代の看板建築、そして今も一部残っている駅前の昔ながらの商店街の風景がベースになっています。
中でも、一番影響を受けたのは伏見稲荷大社の千本鳥居です。初めて見たときに感動して、「これをいつか、何かの形にしたい」という思いがずっとありました。それらが合わさって今の世界観になりました。

──伏見稲荷大社から、主人公が狐というアイデアも連想されたのでしょうか?
リアス氏
漫画やアニメではよく出てくる、「神社の狐が主人公になっているゲーム」が、パッと思い浮かばなかったんです。
神社の狐は比較的多くの人が好きなモチーフだと思うので、自分で作ることにしました。
島に潜む「コトロ鬼」と、探索×鬼ごっこが生む緊張感
──サブタイトルにもなっている「コトロ鬼」の名前やデザインの由来、島に潜む怪異としての位置付けを教えてください。
リアス氏
僕はもともとコンセプトアートや背景を描いている人間なので、ゲームとして背景を見せたいという思いがありました。
ただ、背景を見せるだけではゲームにならないので、そこから逃げたり、また戻ってきたりという体験のために、鬼を登場させることにしました。
狐をモチーフにする以上、日本の伝統的なモンスターとして、世界観に最もぴったりなのは鬼だろうということで、鬼に追われる狐という構図が最初のアイデアになっています。

──探索パートと鬼ごっこパートの切り替えが特徴的ですが、この2つの要素はどのようなバランスでプレイヤーに体験を届けたいと思っていますか?
リアス氏
プレイヤーには、世界観を一番楽しんでほしいと思っています。世界観を楽しんでいるときに、その邪魔をしてくる存在が鬼、というイメージです。
ちょっとストレスに感じる瞬間もあるかもしれませんが、「さっきいた場所の景色をまた見たい」と思って探索に戻ったり、「そもそも鬼とは何なのか?」を探索の中で知っていくことが、世界観を楽しむきっかけになればいいなと思っています。
──狐が使う「宝珠の光」は、祠を灯したり鬼を足止めしたりする重要な要素です。このシステムはどのように考案されたのでしょうか?
リアス氏
物語としては、狐が鬼に神社を奪われて力の多くを失い、倒れてしまうところから始まります。そこから力を取り戻していく過程が、そのまま使える宝珠の光の数が増えていく仕組みになっていて、ストーリーとゲームシステムがリンクしています。

──つまり、狐がどんどん力を取り戻していくんですね。
リアス氏
宝珠の光による鬼の足止めには回数制限がありますが、祠で回復できる仕組みです。ゲームが進めば進むほど宝珠の光を取り戻せるので、鬼から逃げやすくなる設計になっています。後半には、鬼が気にならなくなるかもしれませんね(笑)。
狐と蛙、そして島の住人たち
──主人公の狐と、相棒の蛙の関係性を教えてください。
リアス氏
蛙は、狐の神社にある井戸に勝手に住み着いています。狐がゲームをしていたら、横から茶々を入れてくる友達のような感じです。一言で表すと腐れ縁ですね(笑)。

狐と蛙の組み合わせについては、伏見稲荷大社の裏の通りにある神社の、狛蛙からインスピレーションを得ました。「なぜこんなところに蛙がいるのだろう?」と思ったことがきっかけで、狐と蛙をセットにしようと考えました。
──キャラクターにあえて名前を付けていない理由を教えてください。
リアス氏
正直なところ、自分自身でもはっきりとは分かっていない部分があります(笑)。
ただ、「誰もが想像する稲荷神社の狐の名前」が思い浮かばなかったのと、誰にとっても拒否反応がないものが良いだろうという気持ちから、あえて名前をつけなかったんだと思います。

──他に、注目してほしいキャラクターを教えてください。
リアス氏
黒猫の「ペル」ですかね。物語の中でちょくちょく登場しますよ。他にも猫のキャラクターが登場しますが、結構気合を入れて作ったので可愛いです(笑)。
──そういえば、島に立ち入ったとき、「テン」というキャラクターが登場しました。テンはどのような立ち位置でしょうか?かなり胡散臭そうでしたが。
リアス氏
BGMも相まって胡散臭いですよね(笑)。彼は自治会の長みたいなことをしていて、この島の管理を色々してる人なんです。
あの島って基本的に怪しいので、何をしているのかは本編を見て楽しんでもらえるといいかなと思ってます。
2D手描き背景×3Dキャラクターが生む唯一無二のビジュアル
──2Dの手描き背景に3Dキャラクターを組み合わせたビジュアルが魅力ですが、この表現方法を選んだ理由を教えてください。
リアス氏
ゲーム開発にずっと関わってきたからこそ分かるのですが、本作をフル3Dで作ると、とんでもない開発コストがかかってしまいます。
どうすれば本作の世界観を思い通りに表現できるかを考えた結果、「絵をそのままバーンと貼って、そこを歩けたら良いのでは?」という考えに至りました。自分がやりたいことを実現する中では、これが最もコストパフォーマンスがいい方法だと思い、この方法を選びました。

表現方法としては、『バイオハザード』や『ファイナルファンタジーIX』などでも使われてきた手法ですね。
個人開発の難しさと、room6の支え
──開発をする中で、大変だったことはありますか?おそらく個人開発ですよね?
リアス氏
基本的には個人開発ですが、room6さんのプログラマーやモデラー、モーション、エフェクト、サウンド担当など、多くのスタッフさんの力を借りて制作しています。いろんな人が関わってくださる分、連携の難しさが大変な部分ですね。
背景を描くことは大変ではなかったです。僕はそれしかしてこなかったので。やっぱりゲーム部分を作るのが1番大変だったかなとは思いますね。プランナーの方が別にいるのですが、その方とゲームのシステムの部分を相談して、形にしてもらっています。
──自分の頭の中にある世界を人に伝えるのって難しいですよね。
リアス氏
本当にそう思います。スタッフのみなさんと少しずつすり合わせながら、「世界観はこういう感じだよね」というイメージを共有しています。


──発売が来年の前半に延期になったとのことですが、その理由や、完成度を高めるために特に力を入れた部分を教えてください。
リアス氏
アセットや背景が一通り組み上がり、イベントを作っていく中で、キャラクターがどんどん生き生きとしてきたんです。それで「もっとイベントが欲しいね」という話になったのが理由です。
メインストーリーのほかに、キャラクターをじっくり掘り下げられるサブイベントをいくつか追加することになり、年内での完成は難しいと判断して延期を決めました。
──先程の試遊では、キャラクターに話しかけたり、アイテムを手に入れたりとか、カレーの食レポが楽しかったです。
リアス氏
ありがとうございます(笑)。
──今回のTGS向けの試遊版では、これまでの試遊版と比べてどの部分を調整されましたか?
リアス氏
前回の展示では、導入部分をできるだけ短くしました。話を読む部分も少なくして、鬼に追われるところをメインに見せることが前回の目標でした。ゲーム全体というより、鬼ごっこの部分だけですね。
今回は、導入部分や「物語がどういう意味を持つのか」をちゃんと説明することを目標にしています。狐の神社が鬼に奪われるところから物語が始まる、その導入部分の見せ方に重点を置きました。
──TGS向けの試遊版は、良いところで終わったので、続きが気になりました。製品版や、次の試遊の機会があればぜひプレイしたいです。
リアス氏
ありがとうございます。
読者へのメッセージ
──room6さんにお伺いします。パブリッシャーとして、今回のTGSでの展示で伝えたいポイントを教えてください。
room6
本作は、リアスさんのこだわりがふんだんに詰まった作品になっています。私たちも、それをサポートできることがとても嬉しいです。
「以前に遊んだよ」っていう方も、今回の試遊版には新しい部分がたくさんありますし、リリースに向けてどんな作品になるかっていうのを体感していただけると思います。
今回はブースの展示にかなり気合を入れているので、ぜひ生で見ていただけたらと思います。


──最後に、TGSに来場する方に向けて、メッセージをお願いいたします。
リアス氏
本作は、僕が10年ぐらい温めてきた「こういうものが面白いよね」「でも世の中にあんまりないんじゃないか?」という世界観を、形にしたものです。
ぜひ試遊していただいて、導入部分から不思議な世界に引き込まれていく感覚を楽しんでいただければと思います。
──ありがとうございました。
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