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令和の時代に2D横スクロールのマリオがプレイできるとは思わなんだ
世はまさに大3D時代――昨今新しく発売されるゲームにも、圧倒的に3Dのものが増えた。
まるで実写かのようなグラフィックや没入感の高い経験を提供してくれる高品質なゲームがいくつも誕生し、日々技術の進歩を感じざるを得ない。
でもたまに、子どもの頃に遊んだような2Dのゲームをふとやりたくなるときがないだろうか。
例えば往年の名作『スーパーマリオブラザーズ』のように、横スクロールアクションでシンプルなゲーム性でありながらも奥深いアクションが楽しめるような、そんな2Dゲームが……え? な、なんだって?
令和のこの時代に『スーパーマリオブラザーズ』の新作が発売されただって〜〜〜〜〜〜〜!?!?!?
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ということで、2023年10月20日(金)に『スーパーマリオブラザーズ』シリーズの最新作『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』(以下『マリオワンダー』)が発売された。
前作『New スーパーマリオブラザーズ U』から実に11年ぶりとなる待望の新作に、驚いたファンも多いのではないだろうか。
かくいう筆者も『マリオワンダー』を楽しみにしていた1人。
ぶっちゃけアクションゲームは苦手で、数々のゲームのエンディングを自力で見ることを諦めてきたが、幼少の頃親戚から譲り受けた『スーパーマリオランド2 6つの金貨』と、お小遣いで購入した『スーパーマリオアドバンス4』だけは気合と根性でクリアした過去を持つ。
リアルに最初のクリボーで死んだ経験があるほどお粗末なプレイの腕前だが、自分、2D横スクロールマリオだけは諦めずにいけます。いかせてください。
そんなわけでこの記事では、15年以上ぶりに『スーパーマリオブラザーズ』シリーズにふれる筆者が、最新作『マリオワンダー』をただただ楽しんだ様子をお届けしていく。
2Dだけど実質3Dレベルの体験。「不思議な世界」で大はしゃぎ
『マリオワンダー』という名を冠するとおり、今作ではコースに不思議な変化が起こる「ワンダー」という要素が新たに登場した。
コースの途中どこかに現れる「ワンダーフラワー」にふれると、途端にコースの様子が一変し、さまざまなギミックが楽しめるという仕様だ。
公式サイトでもその様子は紹介されているし、「ふーん、ワンダーね」となんとなくどんなものかわかったつもりでプレイを始めたのだが、
め……
め……
めちゃくちゃ楽しいやないか!!!!!
マリオの胴がぐーんと伸びたり、カラフルなバブルでぽよぽよ飛び跳ねたり、降り注ぐスーパースターでさらなる無双状態を手に入れたり、とにかくにぎやかで楽しい空間がそこには広がっていた。
視覚的にもアクション的にもめまぐるしく変化が起こり、全く飽きないギミック。そう来るか、という予想外の展開と、一体次は何が起こるんだろう?というワクワク感。例えるなら、まるでテーマパークのアトラクションを楽しんでいるかのような高揚感を味わえる。
予想もつかない展開やコースごとに緩急のついたアクション、にぎやかな演出、くるくる変わる視点など、さまざまな要素とアイデアが実質3Dゲームかのような満足感の実現を可能にさせていた。
想像していた2Dでできるレベルをゆうに超えており、シンプルに「す、すごい……」という感想だ。
また、ワンダー要素に新鮮な感覚を覚えると同時に、このワクワク感は子供の頃一番最初にマリオをプレイしたときの気持ちを思い起こさせた。
「スイッチ押したらブロックがコインになった!」「壁が動いてる…!」という、今では当たり前になってしまった仕掛けに初めてふれたときの気持ちだ。
2Dだけど真新しさを感じ、真新しさを感じるけど懐かしい気持ちが蘇る。「ワンダー」は、そういったなんともエモーショナルな気分にさせてくれたのだった。
ゾウになった“おもしれー女たち”
発売前から散々話題になっていたが、今回新しく追加になったゾウへの変身要素については、ここでも触れねばなるまい。
これまでにもタヌキやペンギン、カエルなど、さまざまな動物に変身してきたマリオ。
今回はゾウに変身できるのだが、従来の着ぐるみ的なデザインから一転しゾウ要素が多くなっているため、もはやゾウに変身したマリオというよりマリオっぽいゾウになっており、この姿が発表された当時は我々に大きな衝撃を与えた。ワ、ワンダー……!
少し話は変わるが、今作はマリオのほかに、ルイージ・ピーチ・キノピオ・キノピコらに加え、新たにデイジーも操作可能となった(ヨッシーやトッテンでも遊べるが、この2キャラクターについては後ほど)。
当然、全員ゾウへの変身が可能だ。
そう、
プリンセスたちもである。
本作の発売前、Nintendo公式YouTubeチャンネルではゾウになったピーチと、そんなピーチに驚くものの、差し出していた一輪の花を花束に変えるクッパの動画が公開されていた。
例えゾウの姿になっても変わらないピーチへの愛を表現したクッパに対し、SNSでは「見た目で判断しないクッパ様イケメンすぎんか?」とたちまち話題となった。
姫なのにゾウになるわ、今作では自ら戦いに身を投じ自分に向かってくるわで、クッパも「フン、おもしれー女」的な感情を抱いていても不思議ではない。
デイジーも含め、そんなおもしれー女たちのゾウ姿だが、インパクトはあるものの見ているうちにキュン…となってくるかわいらしさなので、ぜひ堪能してほしいところだ。
さて、そんなゾウ姿では、鼻を振って敵を攻撃したり複数のブロックを一気に壊したり、ゾウらしいパワフルなアクションが可能だ。鼻に水を溜めれば、道に咲いている花に水やりをすることもできる。
そのサイズで土管に入れるのだろうか?と思っていたが、少し窮屈そうに入っていく様子なども細かく表現されておりとてもよかった。
でっぷりとした見た目にそぐわず軽やかなジャンプも可能なので、すぐに使いこなせるだろう。
気づけばそばにいるおしゃべりフラワー
ふれたらきりがないくらい細かい作り込みが多い今作だが、次に「おしゃべりフラワー」の存在についても言及しておこう。
しれっと最初からコースに登場し、さらにしれっとボイス付きのこの花。
コースの至るところに存在するにぎやかし要員のような役割なのだが、時折ヒントのような一言をつぶやいたり急にメタ発言をかましてきたり、進めれば進めるほどじわじわ目が離せない存在になってくる。
ただ話すだけでなく、状況によってセリフが変化するのも見どころだ。例えば、正規ルートではない進み方で進んでみると説教されることも。
こんなところまでセリフが用意されているなんて、あまりにも細かい作り込みに説教されながらも感動してしまった。
おしゃべりフラワーのセリフを隅々まで回収するのも、ひとつのやり込み要素として楽しめそうだ。
最初のクリボーで死ぬ奴がプレイして感じた難易度
アクションゲームの腕前はお粗末な筆者が果たしてきちんと『マリオワンダー』を楽しめているのかというと、結論めちゃくちゃ楽しめている(もちろん何度も死んでいるが)。
というのも、本作にはさまざまな救済措置が用意されているからだ。
まず、コースにそれぞれ難易度が星で表示されるようになった。難易度の低いものから始めて慣れていけばいいし、高いものは後回しにしてもいい(序盤は選択肢が限られる場面も出てくるが、難易度4以上のものはクリアできなくても問題はない)。
従来のシリーズでコースに設けられていた制限時間もなくなったので、焦らず自分のペースでゆっくりとプレイできるようになったのも大きかった。
また、プレイアブルキャラクターであるヨッシーとトッテンはダメージを受けないようになっているので、初心者やアクションが苦手な人も大助かりの仕様となっている。
次に注目したいのがバッジ機能だ。コースを進めていくと、特定のアクションを使用できるバッジが手に入る。
例えば滞空時間が少し長くなる帽子パラシュートや、水中を素早く移動できるドルフィンキックなど多種多様なバッジが用意されており、コースに合ったバッジをつければプレイの手助けとなってくれる(あえてクリアするには難しいバッジをつけてコースの難易度を自分で上げることもできるが、そこまでの余裕はなかった)。
そして何より助かったのが、オンラインで他のプレイヤーに助けてもらえる「ライブゴースト」と「パネル」の要素だ。
オンラインに接続すれば、コース上に最大3人(マップ上では11人)のプレイヤーが半透明で登場する。
どうやって進むのかわからなくなったときは他のプレイヤーの動きを見て解決できるし、一度死んでしまっても「タマシイ」の状態で急いで近くのプレイヤーにタッチすれば復活することも可能だ。
また、「タマシイ」状態ではコースの途中に置かれたパネルにふれることでも復活できる。
パネルは好きな場所に設置可能となっており、心優しい誰かが死にやすい場所にそっ…とパネルを置いていってくれるので、これに何度も助けられた。みんなありがとう。
これらの救済措置や人の優しさによって、何度死んでも心が折れることなく、下手くそでも楽しめているというわけだ。
収集要素やコースを100%クリアしようとすると結構骨が折れそうだが、このくらいの難易度であれば、家族や友達と一緒にワイワイ楽しくプレイできるだろう。
あなたも一緒にレッツワンダー
ひととおり『マリオワンダー』をプレイしてみて思ったのは、今までにない2Dをお届けするという任天堂の意気込みを感じた、ということだ。
前作から11年という長い年月が経ったわけだが、ここまで素晴らしい出来なら開発に時間がかかってもおかしくはない。
実際に公式サイトで公開されている開発陣インタビューでも、プロデューサーの手塚卓志氏が「時間やコストをしっかりかけて本当におもしろいものを作ろうと思っていた」ということを語っている。
もし次回作が出るならまた10年後となっても驚かないし、今後の2Dマリオにもさらなる期待ができるだろう。それだけの気概とパワーを感じる作品だった。
要はめちゃくちゃおもしろかったので、まだプレイしたことがないという方は、この不思議で、ワクワクで、新しくてなつかしい。そんな「ワンダー」な体験を、ぜひ楽しんでみてほしい。
『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』の基本情報
発売日 |
2023年10月20日 |
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会社 |
Nintendo |
ジャンル | アクション |
対応ハード | Switch |
タグ | |
価格 |
Switch : 5,980円(税抜)
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最大プレイ人数 |
4人
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公式HP |
GameWith編集者情報
女性向けエンタメWEBメディアのライター・運営を3年半経験。ライブなど現場に赴くタイプのゴリゴリのオタクでした(年齢を重ねるごとに落ち着く)。KH・ペルソナ・ポケモンなどのRPGが好き。デンリュウ推し。 |
今後発売の注目作をピックアップ!
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5,980円(税抜) 2
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