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1996年、スーパーファミコンで発売された『スーパーマリオRPG』。
「『スーパーマリオRPG』といえば?」と聞くと実に多くの回答が返ってくるだろう。本作オリジナルキャラ「マロ」「ジーノ」であったり、クッパ様のかわいさであったり、マリオの時にシュールな真顔芸であったり……。
人によっては、4000円安くなるクーポン券や、某動画サイトやFlashまで思い出が遡る方もいるだろう。それだけ影響力も広い本作が27年の時を経てリメイクされた。
結論から申し上げれば、リメイク版となった本作は、ファンが待ち続けてきた期待値を優に超える出来となっていた。思わず自分も本作を徹夜でクリアまでプレイしてしまったほど。
幼少期よりマリオシリーズに育てられてきた筆者の色眼鏡も入っているだろうが、今回はリメイク版『マリオRPG』の魅力を余すことなく語り尽くさせてほしい。後生なので。
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※本記事は一部ネタバレを含む場合があります。
『マリオRPG』リメイクがなぜ注目されたのか
マリオシリーズ初のRPGとなった本作は、任天堂と『ファイナルファンタジー』を手掛けるスクウェア(※現スクウェア・エニックス)のタッグで当時大いに注目を集めた。

▲コラボを感じさせてくれる要素はゲーム内の随所にも。机の上にはFFでお馴染み「魔導アーマー」。
その後は『ペーパーマリオ』シリーズや『マリオ&ルイージRPG』といった数々の作品の源流となり、マリオシリーズにおける「RPG」の方向性を決定づけた作品とも言えるかもしれない。
さらには『moon』を代表作とする「ラブデリック」も、元々は本作に携わったスタッフによって設立されており、まさに特異点とも言える陣容となっている。
つまり、ファンならば避けて通ることができないタイトルとも言えるのだが、これまでプレイする手段が限られていた……というのも昔の話。これを最新ハードで遊べるともなれば注目が集まるのも必然だっただろう。

▲「星のふる丘」は後の『マリオストーリー』で登場する「星のうまれる谷」などを彷彿とさせる……かも。
ユーモラスなテキストから、奇天烈なキャラまで。今見ても笑える軽快な掛け合い
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まず本作を語る上で、魅力的なキャラクター描写は外せない。
本作ではいわゆる「無言系主人公」となっているマリオなのだが、無言なのに実に感情表現が豊か。
城に刺さる剣のモノマネをしだしたかと思えば、ボケに対して派手にずっこけたり、自分をあんまり強くないと言ってのける子供相手に大人気なく攻撃姿勢を取ったり……。
本編以上にコミカルに動くマリオというのも原作での魅力だったが、本作はしっかりこの辺りもカバー。むしろ、3Dグラフィックとなってより強調されているように感じる。
仲間たちもいつもはさらわれ役のお姫様ピーチ、宿敵でお馴染みのクッパ様、自称カエルの子供「マロ」、天空からの使者「ジーノ」と個性豊か。
このうちピーチ姫とクッパ様は本編シリーズでもおなじみだが、いつもとは違い一緒に旅をする仲間。今でこそキャラクター像は定まっているが、当時これが初とも言える要素だった。
また、「マロ」「ジーノ」といったオリジナルキャラクターが登場したのも本作が初。初にも関わらず、キャラクター同士の掛け合いなどは抜群の安定感で進んでいくので、本作の会話がいかに作り込まれているかが伺い知れる。
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▲マロの守りたいこの笑顔。最初は泣き虫だが、旅の途中でどんどん成長していくのも見どころ。
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▲ジーノはキザな物言いながら、悪には果敢に立ち向かう。そんなヒロイックな姿と謎多き存在というのは心惹かれるもの……。
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▲家臣の反対も押し切ってこっそり付いてくるピーチ姫。強気なキャラクター像は、この頃から定まってきているのかも。

▲クッパ様は城を乗っ取られたり、専用の泣き顔モーションがあったりと不憫属性がてんこ盛りに。正直かわいい。
マリオたち主要キャラ以外も強烈なキャラクターばかりで、特に今回紹介しておきたいのが「ブッキー」。
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▲『スーパーマリオランド2』のときの、ワリオのインパクトが強すぎる顔そのままといった風貌。
物語の途中でピーチを攫うという形でマリオと敵対するのだが、なんとカジオー軍団とは一切関係ない。本人の確固たる意志で敵対してくるが、発言の全てが意味不明。
これだけ聞くと「やばい性格なのか……?」と思われるかも知れないが、そのとおりだ。ひとつ先のセリフすら読めない奇天烈さ、それゆえにどうしても憎めない敵キャラとして輝くのが彼なのだろう。
彼以外にも強烈なテキストで印象を植え付けてくるサブキャラクターは多数。キノコ王国がいかに凄まじい場所かを物語っているようだが、だからこそ惹きつけられてやまないのかもしれない。

▲ちなみに、スタッフにも愛されているのかブッキー専用曲も用意されている。本作でのアレンジでさらにパートも追加されているあたりが凄い。
皆様のお気に入りキャラクターがいたら、ぜひ下記アンケートからご回答いただきたい。
あの頃驚いた・苦労した思い出もそのままに。手厚すぎる原作再現要素

さて、自分が『マリオRPG』で思い起こすのは、急に写真の列に紛れ込んだり、あえて断る選択肢を選べることだったり、紛れ込む他作品要素だったり……といったように、豊富すぎるくらいの小ネタの数々。
これだけあると全て拾うのは難しいだろう……と正直思っていたのだが、これを余すことなく拾っているのが本作の凄み。
「ここであえて断ったら……?」「命令無視したらどうなるんだ?」という遊び心にあわせて、あらゆる場面で差分テキストが用意されていた当時も凄いのだが、それを再現しきった本作の根気も相当なものだろう。
▲走り回る子供に乗り続けると目が回ってダウン……という小ネタまで。隅から隅までこだわり抜かれている。

▲複雑な方法で行けたショートカットもそのまま残っている。トンダリヤの言う通りどこにも行けないので、得られるのは確かな自己満足だけだがそれが良い。
一方で時代とともに遊びやすく変わった部分もあり、そのうちの一つがセーブブロックに乗らずとも各マップの移動時にオートセーブがされるようになったこと。
セーブブロックがある場所は限られているため地味に嬉しいポイントなのだが、これに合わせて最初のキノピオの説明が変わっているのも非常に芸が細かい。
その他にも、あるタイミングでしか取れなかった宝箱が後から取れるようになっていたり、取り逃したアイテムを別の所で買えるようになっていたりと細かい修正点も多く、理不尽さが減らされているのも好印象だった。

▲わかる方には、これだけで素晴らしいリメイクであることがわかるはず。
また、マロの「何かんがえてるの」では敵が今思ってることを盗み見できるのだが、これも原作通り強烈なテキストがほぼそのままのテイストで入っている。
本作より追加された「モンスターリスト」の説明文も当時の勢いそのままに飛ばしまくっており、こちらが「何かんがえてるの?」と思ってしまうほどの破壊力を誇っている。

▲飛ばしまくっている一例。
思わず笑ってしまうほど敷き詰められたユーモアも、本作の魅力を確かなものとしている部分だろう。
■ 少しだけ「モンスターリスト」からピックアップ!
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▲「"ジョ"ナサン・"ジョ"ーンズ」で奇妙な冒険をしそうだ……と思っていたら、本作でまさかの「海賊王」へ殴り込み。お前の属性はどっちなんだ。
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▲某青いラッコの漫画に出てくるようなセリフが、嘘のような強欲な願い。
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▲シンプルに「嘘」すぎる。
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▲今回よくぞ消されずに残っていたな……と一番驚いたテキストかもしれない。
新要素に演出も強化され、さらに楽しく遊びやすくなった戦闘
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こちらは原作時点から面白かったのだが、敵とのバトルもさらに面白くなっている。原作の雰囲気そのままに、やめ時を思わず失ってしまうほど進化していると感じた。
バトルの基本システムは、通常攻撃に該当する「こうげき」、FPを消費してまほうこうげきを放つ「スペシャル」、回復などを行う「アイテム」、防御などを行う「そのた」からコマンドを選んで戦う王道形式。
また、バトル中はキャラの動きに合わせてアクションコマンドが入力できる。ジャストタイミングで打てると威力が上がる仕様があったのだが、原作ではこれを確認するすべがなかった。
だが、本作ではアクションコマンドに成功するとダメージ表記が黄色へ、ジャストタイミングだと赤色に変化し、さらには通常技なら全体攻撃化するなど視覚的にもわかりやすくなった。
▲ジャストタイミングの全体攻撃はバチーン! という気持ち良い音とともに攻撃できるので気分も爽快。
こうしてタイミング良くアクションコマンドを決めていくと、これまた新要素となる「チェイン」が繋がっていき、パーティ全体が強化されていく。
この強化内容は編成しているキャラによっても変わってくるので、「今回はマリオのジャンプで攻めたいから、まほうこうげきUPのマロを連れて行こう」といった具合に戦略性が広がっている。
ノリノリでアクションコマンドを繋げていくアクションゲーム的な楽しさと、じっくり戦略を考えていくRPGらしい楽しさの2つが合わさっているがゆえに、いつまでも遊んでしまうのだろうと思う。
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▲戦闘中、ターン消費無しでキャラクターを入れ替えられるようになったのも嬉しいポイント。回復役のピーチを後ろで守りつつ……といった戦略が取れるように。
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▲こちらは、全員が「キノコ化」状態で行動不能になる典型的な全滅パターン。難しければ「エンジョイ」モードで気楽な難易度にもできる。
三位一体の「3人わざ」でテンションは最高潮
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そして、本作最大の追加要素が「3人わざ」。アクションコマンドが成功するごとに左下のゲージが溜まっていき、100%になると放つことができる。
この「3人わざ」だが、それぞれのキャラが3Dアニメーションで派手に動き回るだけでも、ドット絵時代を思えば感慨深い。
さらに、パーティの編成によって放つ技がそれぞれ異なるという徹底ぶり。これこそが本当に見たかった……!!
効果自体もそれぞれ非常に強力なので、適宜キャラ交代で使い分けていくのも面白い部分だった。
▲クッパ様がイキイキと動いているのが、無性に嬉しい今日このごろ。
アレンジされて帰ってきた名曲たち

本作ではすべての楽曲が当時作曲を手掛けた「下村陽子」氏によってアレンジされており、こちらも非常にクオリティが高い。特に今回触れておきたいのが、ハナチャンの森で流れる「森のキノコにご用心」。
ファンからも絶大な人気を誇るだけあって、本作をやったことはなくとも曲だけはどこかで聴いたことがあるという方も多いのではないだろうか。
その熱烈な人気ぶりも反映されてか、本作では1ループが長くなっており、追加フレーズがさらに森の怪しげな雰囲気をもり立ててくれる。
当時と異なり、生音の音源となっているのも相まって、あまりの名アレンジにしばらく入り口で聞き入ってしまい動けなくなってしまったのは自分だけではないと思いたい。
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▲どこからか「〇〇先生」という幻聴も聞こえてくる……そんな方は恐らくネットに浸かりすぎだ。
また、戦闘中のBGMには見逃せない新要素も。戦闘中5チェイン以上繋がると、音色が増えて豪華なものへと変化するようになっている。
5チェイン以上で強化効果が最大値になることも相まって、アップテンポに変化していく楽曲がバトルの盛り上げに一役買っている……のだが、このアレンジが良すぎる。
どれも原曲の雰囲気を大切にしつつ正当進化させるような音色の追加具合となっており、聴き惚れてるうちにチェインが切れてしまったということも正直しばしばあった。

▲人気の高い「対武器ボス戦」ではパーカッションが追加される。ノリノリのリズムで、思わずテンションが上がってくる。
また、番外編ではあるが、当時一世を風靡し今でも根強い人気を誇る曲がもう一つ。3匹の「パックンフラワー」がノリノリで歌うCM曲「スーパーマリオRPG 唄って踊る パックシスターズ篇」だ。
こちらはまさかの『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』で要素が拾われており、思わぬ相乗効果にマリオファン各位はニヤリとしたことだと思う。
▲ステージ内を縦横無尽にパックンたちが歩き回り、歌い続ける。残念ながら、Switchが4000円安くなるクーポンは付いてこない。
■ 『マリオワンダー』のプレイレポートはこちら!
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ルイージはいずこに(まとめ)
ここまで『マリオRPG』を長々と語ってきたが、途中愛があふれるあまり筆致が乱れてしまったことをお詫びしなければならない。
とにかく本作はリメイク作品として傑出した完成度を誇っており、当時遊んだ方であれば間違いなくおすすめしたい。
ストーリーは20時間程度でクリアできるが、モンスターリストの収集要素や、ミニゲームでのハイスコア狙いなど、コンプリートを目指そうとすれば倍以上遊べるほどに小ネタなどが詰まっている。
- 『マリオRPG』愛に溢れた懇切丁寧な原作再現
- 戦闘システムと演出面は原作よりも進化し、アクション性も戦略性もさらに向上
- 「エンジョイ」モードの追加など、初心者にも遊びやすくアップデート
- クリア後要素の追加でまだ見ぬ旅へ
- ストーリーボリュームは昨今の大作RPGと比較すると控えめ
- (筆者の私情だが)ルイージの出番は特に無い
本作に難点があるとすれば、筆者の推しであるルイージの要素は特に無かったこと。残念ではあるが、原作でもほとんど出ていないのでこればかりは仕方がな……
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これはまさか……ルイージの願い事……?
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る、ルイージ……!!!!!!
※どこの場面かは、実際にゲームを遊んで確かめていただけると幸いです。
発売日など基本情報
発売日 |
2023年11月17日 |
---|---|
会社 |
Nintendo |
ジャンル | アクションRPG |
対応ハード | Switch |
タグ | |
価格 |
Switch : 5,980円(税抜)
|
最大プレイ人数 |
1人
|
公式HP |