東京ヤクルトスワローズとオトメイトの異色コラボ!自分だけの『マイナイン』を優勝に導こう!
IDEA FACTORYから発売のSwitch対応ゲームソフト『My9Swallows TOPSTARS LEAGUE(マイナイン)』は、東京ヤクルトスワローズとコラボした恋愛アドベンチャーゲーム。
なんといっても本作のポイントは、実在のプロ野球チーム・東京ヤクルトスワローズと乙女ゲーム最大手のブランド・オトメイトのコラボ!
異色の組み合わせとして発売前から、乙女ゲームファンをいい意味でざわつかせていたタイトルだ。
メインシナリオを担当したのは、『契約結婚ってありですか』(富士見L文庫)などで活躍する小説家・シナリオライターの紅原香氏。
野球を知っている人はもちろん、知らない人でも楽しめる、野球×アイドルの新機軸の恋愛アドベンチャーに仕上がっている。
本記事ではそんな異彩を放つ『マイナイン』を実際に遊んだからこそお伝えできるプレイ感や感想をプレイレポートとしてお届けしていく。
野球選手がアイドルに!?新プロ野球リーグ開幕!
まずはストーリーの前提となる設定を紹介したい。舞台は現実のプロ野球ではなく、ひとひねり加えられた新プロ野球リーグ。これが想像力をかき立ててくれ、大いにワクワクする。
▲海外の富豪リッキー・ガレンがトップスターズリーグの立ち上げを宣言!
海外投資家リッキー・ガレンにより新プロ野球リーグ「トップスターズリーグ」が創設され、ヤクルト球団もチームを編成することに。
トップスターズリーグでは3つのセッションで競うことになる。
野球で競う「ベースボールマッチ」と、歌とダンスで競う「ミュージックマッチ」、そして決勝「ラストマッチ」の3つで優勝が決まる。優勝すると選手1人につきなんと10億円! 優勝チームにも10億円が支払われる……。
現実味がありつつも、ロマンたっぷりの設定。この設定のいいところは、野球での熱い戦いと、歌とダンスの華やかなライブ、その両方がストーリー内で味わえること。
キリッとした野球のユニフォームに、きらびやかなライブ衣装、そして普段の飾らない姿。各キャラのさまざまな側面が堪能できるのだ。
広報の仕事と恋愛で大忙し……毎日がドキドキのストーリー
▲就活で知り合った友人の紗奈とともにヤクルト球団に入社したつばめ。
それでは、トップスターズリーグ始動以降の展開を見ていこう。
主人公(プレイヤー)は、株式会社ヤクルト球団に入社したばかりの杉沢つばめ。ヤクルト球団も新プロ野球リーグに参戦することが決まり、新人の杉沢つばめが広報を担当する。
新リーグでは一般公募で合格した選手に、AIが推薦する選手を加え、AIドラフトシステムによって各チームに選手が自動で振り分けられる。
大企業の御曹司・仲大路蓮、バーテンダーの紗武郁実、アイドルユニットのリーダー・クランなど、野球経験者・未経験者を問わず、個性的な選手たちがチームに集う……。
▲つばめは球団広報として忙しい毎日を送る。
本作の前半、第1ステージ~第4ステージ(共通ルート)では、出会い、選抜テスト、ドラフト、練習試合……と、チームが出来上がっていく過程がじっくりと描かれる。ここで気になった選手を個別ルート(第5ステージ~ラストステージ)で選んでいく。
▲個別ルート選択で表示される各自の野球カードは欲しくなる出来!
共通ルートは、個性派メンバーが集まってひとつのチームになる、"部活もの"に近い熱量やにぎやかさがあり、気持ちが自然と高まっていく。
一方、後半の個別ルートは、キャラにもよるが、仕事仲間が恋の対象になっていく甘さとともに、広報と選手という立場の壁に悩まされる切なさもクローズアップされる。2人はどうなってしまうのか、ドキドキする展開だ。
元スカウトで聞き上手な上司の岩元、野球小説家でスワローズの監督となった花房など、脇を固める男性たちも味があり、嫌悪感を抱かせるキャラがいない、温かい雰囲気がプレイ感の良さにつながっている。
▲頑固一徹ながらアイドル活動に理解を示すようになる花房監督。たまに見せるお茶目さがポイント!
そしてもうひとつ、主人公が球団の広報として、SNS運営やマスコミ対応をする"お仕事もの"としても引き込まれる。
恋愛アドベンチャーは恋愛部分がメインなのはもちろんだが、それ以外のパートに説得力とリアリティがあるからこそ、2人の関係性が引き立つ。
彼の性格をつかめば答えが分かる!? 二択選択システム
▲選択肢は相手の気持ちを汲み取ればわかりやすい。
ジャンルは会話や行動を2択から選んでいく選択肢型のアドベンチャー。野球ゲームやリズムゲームなどのアクション要素はなく、ストーリーに没入して進めることができる。
▲好感度が上がると星型のエフェクトが輝く。
選択肢は、たとえばSNSでの協力を「それって強制?」と聞いてくる奏汰に、「強制ではないですが……」「そう考えてください」のどちらかを選ぶといった、キャラの性格を把握していれば、ある程度答えが見えてくる作り。
正しい選択肢を選ぶと好感度が上がり、好感度の数値はメニュー画面でも確認できる(バックログのジャンプ機能もあり)。
▲好感度チェック画面。ユニフォーム姿の集合写真なのが凛々しい。
エンディングは、ふたりが結ばれるビクトリーEDと、恋愛としては成就しないマイベストEDの各キャラ2種類。ビクトリーEDは幸せな気持ちが満ちる、いわゆるハッピーエンド。
マイベストEDはビターだが、ストーリーとしてはこれはこれで深みを感じた。
攻略キャラは9名と多めだが、システムがシンプルな分、プレイしやすくなっている。
キャラクター9名を一挙紹介!
それでは、主人公と選手9名、そしてストーリー上の笑いのスパイスとなっているつば九郎(ヤクルトのマスコットキャラ)の紹介に移ろう。
筆者が個人的に、推せる! と感じたポイントも少しだけ書いてみた。
杉沢つばめ
(※名前は変更可能)
就活に失敗続きのさなか、株式会社ヤクルト球団の入社試験を受けて合格。新人ながら新チームの広報に抜擢される。両親は熱狂的なヤクルトスワローズファンだが、本人は野球にはあまり興味がない。
ライター
恋愛ゲームは主人公の色が強すぎると、プレイする側が置いてきぼりになってしまうものだが、仕事熱心で広報と選手の立場をわきまえる真面目な性格のつばめは好感が持てる。恋愛と仕事の板挟みという、等身大の悩みにも感情移入しやすかった。
柊 翔琉(ひいらぎ かける)CV:松岡 禎丞
- 守備位置:ピッチャー
- 年齢:22歳
主人公の幼なじみ。小学校の時に引っ越して以来疎遠になっていた。水泳選手の両親から水泳の英才教育を受け、今はスイミングスクールのコーチだが、野球の夢を諦められずにいる。
ライター
155キロを投げる剛速球エースの翔琉は、優しい頑張り屋。幼なじみと運命的な再会をし、野球を通して、その関係は恋へと変わっていく。ふたりの気持ちの変化はまさに王道!
仲大路 蓮(なかおおじ れん)CV:笠間 淳
- 守備位置:サード
- 年齢:25歳
仲大路アセットマネジメント代表取締役社長。死ぬまでにやりたい101項目のリストを実行中。次なる目標は「プロ野球でトップになる」。ただし、野球は未経験。
ライター
頭が切れる蓮は徹底的な効率化の鬼。それでも、未経験の野球に打ち込み、データ派のホームランバッターとして活躍する、そのギャップがたまらない。舞台衣装を着るのに手こずるなど、完璧そうでいて穴もある!
甘城 奏汰(あまぎ かなた)CV:八代 拓
- 守備位置:ファースト
- 年齢:21歳
中学から野球部に入っているが、今まで目立った成績はなし。頑張っても意味がないという考え方を持っていて、いつも気だるげ。ネコ好きな大学生。たまに毒舌。
ライター
本心が読めない、物憂げな雰囲気の奏汰だが、一番打者でファーストを守る野球では意外な才能を見せる。ときおり瞳の奥に宿る熱さに触れると、その炎をかき立てたくなる!
永末 尋斗(ながまつ ひろと)CV:島倉 凱隼
- 守備位置:ショート
- 年齢:19歳
実家は京都の老舗漬物屋。おっとりのんびりマイペースだが、野球マニアで、野球の話題になると語りだす。バイトをしながら野球の社会人クラブに所属して練習に励んでいた。
ライター
俊足のショートでバントも上手い尋斗は、縁の下の力持ち。ダンスは下手でも一生懸命。極端な上がり症で普段は子犬のようにおどおどしているが、決める時は決める! その姿に惹かれる。
司良堂 達治(しらどう たつじ)CV:羽多野 渉
- 守備位置:キャッチャー
- 年齢:23歳
元暴走族の総長。面倒見がよく困った人を放っておけない性格。今はスワローズとゆかりがある商店街「足立ミラロード」の振興会事務局に勤めている。
ライター
判断力と統率力でチームの要となる達治。体が硬くダンスは苦手で、奏汰に「『漢の筋肉自慢』を見ている気分だった」とツッコまれているのもキャラに合っている。元暴走族という過去も懐深い彼の魅力!
ミラ(みら)CV:堀江 瞬
- 守備:セカンド
- 年齢:18歳
アイドルユニット「ディープロスト」のメンバー。可愛いものが好き。思いついたら即実行の性格で、周りを振り回すことも。高校生まで野球部に所属し、そのとき叶えられなかった夢を実現したいと思っている。
ライター
歌もダンスも野球もオールマイティにこなすミラは、誰とでも仲良くなれるムードメーカー。既成概念にとらわれない彼のセンスは洗練されている。主人公いわく、ミラは「綺麗なびっくり箱」。深く付き合うと何が出てくるのか?
クラン(くらん)CV:小松 昌平
- 守備:レフト
- 年齢:18歳
アイドルユニット「ディープロスト」のリーダー。自分にも他人にも厳しく、努力をしない人間には容赦がない。野球経験はなかったが、ミラの熱意に負けて参加することに。
ライター
身体能力が高く、野球未経験ながら選球眼もいい。強いプロ意識で目覚ましい成長を見せるクランは、他を寄せ付けないクールな表情を常に浮かべる。それゆえに、たまに見せる照れ顔にドキッとさせられるのだ!
時透 晴生(ときとう はるき)CV:廣瀬 大介
- 守備:ライト
- 年齢:20歳
いつも明るく元気な好青年。もんじゃ焼き屋でアルバイトをしながら野球の独立リーグに所属していた。貧乏生活のため節約が趣味で、激安スーパー巡りが日課。
ライター
住み込みバイトをし、実家に仕送りをしていたという苦労人の晴生。高校ではダンス部で日本一経験もあり、実はアイドル性十分! トラブルにも負けない明るいタフさは、一緒にいて救われる。
紗武 郁実(さたけ いくみ)CV:熊谷 健太郎
- 守備:センター
- 年齢:24歳
元プロ野球選手のバーテンダー。人当たりがいいが掴みどころがなく、どこかミステリアス。祖父も有名な元プロ野球選手で、現在はライバルチーム「光錬キングス」の監督。
ライターA
余裕を見せつつ、試合では攻守をそつなくこなす郁実。現役時代、毎年打率を一定に抑え、若くしてバーテンダーに転身した、その行動の真意とは? 大人の笑みを浮かべる郁実の謎に飛び込みたくなる!
東京ヤクルトスワローズのマスコットキャラクター/つば九郎
現実と同じく、トップスターズリーグのヤクルトスワローズでもマスコットキャラクターを務める。
ライター
ヤクルト球団のオフィスや球場にもちょくちょく出没するつば九郎。現実同様、鋭いフリップ芸をストーリー内でも見せ、場を和ます、もしくは凍りつかせる……。つば九郎の登場が一番楽しみだったりして。(ブラック大好きなリアルつば九郎よりは可愛くなっている気がします笑)。
まとめ
最初にも書いたが、東京ヤクルトスワローズとコラボしているため、架空設定ながら全体的にリアリティがあるのが本作の良さ。個別ルートは、ひとりひとりの挫折や弱さも掘り下げられていて、苦みも隠し味になっている。
レーティングCERO B(12歳以上対象)のため、恋愛としては濃厚やダークさはなく、ピュアな微糖といったイメージ。ただ、それが青春スポーツ&アイドルものによくマッチしている。
野球とライブを通じて、チームメイト同士やライバルとの友情関係が浮かび上がってくるのもいい。
欲を言えば、ライブシーンがテキスト中心なのでイメージしにくいのが、ややもったいないところ。この本編を補完する、野球シミュレーションやリズムゲームが今後登場したらいいな、と思った。
東京ヤクルトスワローズがオトメイトとコラボした狙いのひとつは、おそらく、女性にももっと野球に親しんでもらいたいからだろう。『My9Swallows TOPSTARS LEAGUE』をきっかけに「現実のプロ野球にも興味が湧いた!」、そんな声が聞こえてきそうなタイトルでした。
©ヤクルト球団/©IDEA FACTORY