【TGS2024 特別取材】『龍が如く8外伝』開発陣へインタビュー
2024年9月27日(金)、東京ゲームショウ2024の会場で、『龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii(以下 8外伝)』の開発陣3名、制作総指揮を務める横山昌義氏、シリーズチーフプロデューサーの阪本寛之氏、シリーズチーフディレクターの堀井亮佑氏にインタビューをする貴重な機会に恵まれた。
『8外伝』の発売に向けた今後の展開や制作秘話、20周年を迎えるにあたりファンに向けた思いなど、私自身が「龍が如くシリーズ」ファンとして気になる部分をお伺いできた。
目次
『龍が如く8外伝』はどのようなゲーム?
本日はよろしくお願いします。
会場内で『8外伝』を試遊させていただきましたが、発売までに体験版の配信予定はありますでしょうか?
GW編集部
阪本氏:
一応ある…やりたいなと思っています。ただね、スペックはまだいろいろ調整している段階なので正式に発表ができないんですよ。(TGS2024で)今日展示している体験でも会場に来たお客さんしかできないじゃないですか。
やっぱり地方だったり特に海外のユーザーの方から遊びたいっていう要望が非常に多いので、形を変に変えずになるべくみんながプレイしたいものを配信できたらなっていう感じで考えています。
『7外伝』はコンパクトでとても遊びやすい印象を受けましたが、『8外伝』のボリュームはどの程度になりますか?
GW編集部
堀井氏:
基本"外伝"パッケージでナンバリングのタイトルよりも短いコンパクトなストーリーにしてます。今回ハワイだったり、他のいろいろなステージも登場するので『7外伝』よりもボリューム的には少し増えているかなという印象です。
『7外伝』は大阪の街中心で、ちょっと狭めのマップでしたが、『8外伝』はハワイだったり、他にもいろんなマップが登場するので、かなりディープに遊ぶことができると思います。
結構広大な海に出るというところがコンセプトになっていると思いますが、『龍が如く8』に出た島以外にも遊びに行けるスポットがあるんでしょうか?
GW編集部
堀井氏:
今お伝えしているのがハワイというところと、今回の新しいステージのマットランディス。物語の始まりの地であるリッチ島という3つを重要なマップとして出していますが、それ以外にも島は登場します。
ずっとハワイに居続けるわけでもないので、今までとはちょっと違う体験とかもできるかなと思っています。
アドベンチャーにおいて新規のプレイスポットなどは用意されている形でしょうか?
GW編集部
堀井氏:
そうですね。今発表している以外にも実は新規のものも入ってますし、『龍が如く8』で入ってた、「クレイジーデリバリー」などはコース変えたり、新しいフィールドで楽しめるプレイスポットの調整もしているので、そちらは十分楽しめるかなと思います。
基本ほぼハワイ全域に行けるので『龍が如く8』で遊んだ方もここは行けなくなったみたいなところはほぼほぼない感じで楽しめるので、エリア全域でアクションを遊んでいただければと思います。
お伝えできる範囲で、ここが今までと大きく違うよといったような見どころや、ユーザーに一番楽しみにしておいてほしいところはどこでしょうか?
GW編集部
横山氏:
アクションですかね。今までシリーズを通しアクションを作り続けてきましたが、『龍が如く7、8』を経て、今作でもう一度アクションを作るにあたって、我々ができる最新のアクションゲームはこういうお題とか遊び筋ですよと表現できていると思います。そこを一番喜んでもらえると、本当に作った甲斐があるなと思います。
ストーリーなども、最近のファンの方は『龍が如く7』から始めた人がかなり多くて。RPGならできるっていう人、アクションに関してはYouTubeとかで誰かがやってるの見て、これまでのストーリーも把握したうえで、「7と8なら私もできます」みたいな人って結構多いんですよ。
本作は、アクションが得意ではない人にやって欲しいっていう感じで作ってたりもするので。
プレイできるモードも結構アシスト機能を入れていて、アクションとしての出来って意味ではかなりいろいろ新しいことをやっています。RPGで召喚的な演出とかあるじゃないですか、今回のジャンプ攻撃や分身攻撃からの集中攻撃とかはそれといい融和ができていて、今までのアクションともかなり味付けが違うと思うんですよね。
真島が主人公になったことで、アクロバティックさが強調されており、試遊を通して一番面白みを感じましたね。
GW編集部
堀井氏:
楽しんでいただけて、良かったです。これからもジャンプ攻撃などをやりたいわけではないんですが、あくまでも「真島」をプレイするところで彼らしさだったりとか、今までと違う「真島」を採用したがゆえにできることっていうのが詰め込まれてるバトルシステムになってると思います。分身めちゃくちゃ強すぎるんですけどね(笑)
阪本氏:
試遊では中盤あたりの話ですけど、今回のTGSのデモではとにかく爽快感を味わってほしいという思いでチューニングをしてます。もちろん、本編でもその気持ちよさみたいなのがちゃんと味わえるように作っている段階です。
『龍が如く9』に繋がるストーリーになっているのか
『7外伝』は『龍が如く7』と『龍が如く8』のストーリーのつながりに重要な役割を果たしていたタイトルになっていましたが、
『8外伝』では、今回主人公が「真島さん」に変わり、ストーリー性としては今後の『龍が如く9』に直結していきますか?
GW編集部
横山氏:
直結はしないですね。『8外伝』は『龍が如く8』で描けなかった、残りの部分って感じです。
『龍が如く8』はあくまでも「春日一番」目線。ハワイのその後を描く必要があって、それの主人公に抜擢されたのが「真島吾朗」なんですよ。その他の候補には「堂島大吾」か「冴島大河」がいました。
今回の話、メインストーリーを作ってる最中に「描ききれなかった部分ってどこ?」っていう発想から『7外伝』『8外伝』も生まれてるんで、3部作ぐらいの感じのつもりですね。これもまとめて『龍が如く8』という感触ですね。
サブストーリーよりは全然多いけれど搭載できないぐらいの量のものを"外伝"で表現してます。ナンバリングタイトルだと14、15章までストーリーが続きますよね?4、5章ぐらいのボリュームをサブストーリーにするにはデカすぎるよね。という話を"外伝"ぐらいのパッケージで作ると20時間などボリュームをイメージしてます。
ただ、『8外伝』はちょっとボリューム過多になってるので、遊び心地としてはもうちょっとデカいかなって感じです。
今後も、例えば『龍が如く9、10』とか出した時に必ず外伝がついてくるような構想で考えているんでしょうか?
GW編集部
横山氏:
できれば外伝なしで作りたいんですよ(笑)。ですが、作ってる最中に難しいのが、主人公単独目線で描くとどうしても他の目線から見たい時の表現ができない。「外伝」はちょうどいいコンテンツを手に入れたなって感じですね。
それに『7外伝』のウケが悪ければ『8外伝』は作らなかったとは思います。『龍が如く』は今までボリューム過多で作ってきたので、世の中の方に受け入れられるかな?というのが一番心配だったんですよ。
案外、「これぐらいでいい。」「大人にはこれぐらいがいいです。」という好評が多数で、批判が殆どなかった。いいじゃん!いいならやろうか!みたいなノリですね。『龍が如く9』を作ったとして『9外伝』作るのって言われたら、ない方がいいんですけど今後のシリーズでもやっちゃうかもしれないですね。
そういう意味で、未来につなげるような伏線はあまり入れてないです、『8外伝』は。
『龍が如く8』の話から半年という期間ですが、丁度「桐生一馬」の余命と関わりがあるように思えます。そういった時系列は今回の物語に大きく影響するものでしょうか?
GW編集部
横山氏:
あまり桐生の余命を意識してはなくて、どちらかというと『8外伝』のPVの中にも入ってますけど、核廃棄物がバーンと廃棄されました。というのが『龍が如く8』のラストに出てくるエピソードですよね。
その後始末ってどうするの?というところが話の軸になっているんです。それに対して日本で元々ヤクザと言っていた人間があれを何かするという話だったじゃないですか。それを手伝いに行く道すがら、真島が事故に遭う出来事が起点となり物語が進行します。
RGGサミットの時に公開したPVで一番最初に真島が「半年くらい前の話だ」と発言します。なので一年後なんですよ、話しているのは。
あれはゲームの冒頭シーンで、真島が過去半年前にあったエピソードとして話しているというのが今回の『8外伝』のストーリーなんです。一見その話だけ聞くと「いやこれ嘘でしょ」って思いますよね?だってハワイで海賊になったんだって話ですよ。
▲『龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii』ファーストトレーラー
大体どれくらいのタイミングで『8外伝』を構想していたかでいうと、2023年のゲームショーより前に俺が言い出していてちょうど1年ちょっと前。その時から「海賊」出すってもう考えてました。
『龍が如く9』の構想などはもう思いついていらっしゃるんですか?
GW編集部
横山氏:
正直に言うと『龍が如く9』に関しては、まだ考えてないです。
ストーリー的には引き続き継続してるエピソードって正直あまりないので、細かく言えば「こんなことやりたいな」ぐらいは各々が考えてると思いますけど、予想できないと思います。
今までは予想ができたかもしれないけど、結構『龍が如く8』は予想ができないのが多いなと思ってます。ファンの方々が考察などされていますが、全部外れてましたね。なんせ考えてないんだから(笑)。全く考えてないことはないけど、俺が考えてるのとは全然違うかな。結構いろんな声が上がって、全部見ているわけではないけど、今まで当てられたことがないですよね。海賊も当たんなかったでしょ。
阪本氏、堀井氏:
それはもう 無理だと思います(笑)
横山氏:
一応ストーリーの延長線上で、道すがら海賊やったという話なので。ただなんで海賊なんですかって聞かれたら、「真島」に似合うから、が最初の発想なんです。
真島がハワイに行きました。核のゴミをなんとかしなきゃいけないでハワイに行きました。事故にあって流れ着いて、彼何するんだと思ったら、それは海賊じゃね?って。
単身で彼が記憶を失って、なにか役職を与えられたら似合うのは海賊かなみたいな感じで。割と短絡的な発想からスタートするんですプロジェクトは。
僕はすごいそこを大事にしてて、深く考えたアイディアはだからいいってわけでもない。思いついて楽しそうかどうかが一番大事かなと思ってます。その後は考えなきゃいけないんですけど、最初はやっぱり素直な感じですね。まあまあ「真島」も楽しそうだし、いいんじゃないですかね。そう、楽しんでそうなのが大事。
『龍が如く』20周年を向かえるにあたり、ファンに向けたイベントなどはある?
来年が20周年を記念する年となりますが、『龍が如くシリーズ』20周年を記念したリアルイベントやサプライズなどはありますか?
GW編集部
横山氏:
今回のTGSでも20年記念のロゴみたいのを出してるんですけど、ロゴを使ってる期間中は相当いろいろなこと、お客さんとも多分いろいろ触れ合えるようなイベントもそうだしリアルにせよそうじゃないにせよ、いっぱいイベントやるつもりです。
サプライズつながりですが、『7外伝』の最後に『龍が如く8』の体験版がついてましたが、今回は次回作に関するサプライズなどはありますか?
GW編集部
横山氏:
今回は何かしらつけるような構想はないですね。さっぱり終わる。現時点で9の欠片すらもないので。
さっぱりって言いましたけど、明日(9/28)のステージイベントでミュージカルイベントを2回やります。2回とも演出を変えていて、
オープニングムービーを明日上映しますが、そのオープニングムービーをキャストそのままに再演する予定です。全員ではないけどね。
それ自体がミュージカルになってます。ちょっと海賊っぽい遊びというか、雰囲気違って楽しいと思いますよ。今まであまり取り掛かったことがないですが、僕らもやっぱり海賊っていうのを楽しんでるところがある。
作ってみて、こんなことできるんだって思ったよね。どうやってディズニーとかミュージカルシーンとか作るんだろうって思ってたけどね。案外できるんだって。
阪本氏:
大変でしたけどね(笑)
横山氏:
だから振り付けの方とかも結構すごい人なんですけど。今回でいろいろな方とまた新しい出会いがあったね。
ご来場の皆様、『龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii』ミュージカルステージお楽しみいただけましたでしょうか?
— 龍が如くスタジオ 公式 (@ryugagotoku) September 28, 2024
振付は世界的にも有名な振付師「KAKETAKU」さん「SHOJIN」さんにご担当いただきました!
お二人には『龍が如く8外伝 Pirates in… pic.twitter.com/FEBWGBIq6M
開発陣からファンへのメッセージ
貴重なお話の数々ありがとうございます!最後にファンの皆様に、『8外伝』だけではなく、今後の20周年を向かえるというところで、何か伝えておきたいことがあれば、ぜひ一言いただけると嬉しく思います。
GW編集部
阪本氏:
外伝でいうと2作目になりますが、本当に遊びやすい、手に取りやすい、全てゲームを隅々までプレイして、満足度が高い。みたいなところは引き続き商品として、買った人には損をさせないという思いで、ちゃんと作っています。シリーズ20周年を迎えて、まだまだやりたいことであるとか、みなさんを驚かせるようなこととかも、もちろん続けて、今後ともうちのスタジオで作ったタイトルで、楽しんでもらえたらな、という思いが強いので、今作に限らずシリーズに関する情報を追っていただけると嬉しいです。
堀井氏:
海賊というモチーフっていうところで、 ぶっ飛んだ感じの印象を受けられると思うんですが、龍が如くはやっぱり、人間のドラマを描くタイトルです。そのドラマの要素をちゃんと今回も胸に刺さる部分として表現。
バトルも気持ちよく、龍が如くらしさ、リズムみたいなものを感じていただける、新しいものになっていると思います。すごく挑戦してよかったタイトルだなと思っていますし、こういう海賊モチーフでも、『龍が如く』ってちゃんと成立するんじゃないかなと。この作品で『龍が如く』の可能性を広げられるといった部分をぜひ楽しみにしていただければと思います。
横山氏:
こうやってシリーズが続いてきて、20周年を迎えるタイトルって、別にあると思うんですよ。その中でも20年で、20何本出しているのが『龍が如く』シリーズしかないと思うんですけど(笑)。20年続けると、どうしてもカルチャーなどが変わると思うんですよ。
このあたりのお話はRGGサミットで、取り組みとか、Amazonプライムのドラマの話とか出させてもらいました。「ゲーム1個だけで、ずっとやり続けてください」というのはなかなかつらいし、1回間を空けたら、戻ってこれなかったりとか、いろいろ追いかけ続けるのも、つらいと思います。
なので、僕らは周年の20年、21年に向けて、すごくいろいろな仕掛けを多分やっていきます。ゲーム以外も含めて、どこからでも入れるように。それも本当に他人の実況でもいいと思ってて。それこそ今日、YouTubeの実況者の牛沢さんと一緒に、ブースで実況をやりましたけど、牛沢さんから入ってくる人とかがシリーズのファンの中にはいるんですよ。牛沢さんを見てやりたくなった人がやってきてくれるっていうのが、最近すごく多いんですよ。だから、それでいいと思ってるんですよ。
僕らがやっぱりやり続けるのは、ずっと真ん中の原作作り。ゲーム開発もやりますけど、プロデューサーという立場では、エンタメビジネスとして、どう発展させていくのかというのがあるので、20年、21年目は今日お伝えした以上の仕掛けをいっぱいやっていくと思うので、ご期待くださいって思っています。
©SEGA
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発売日など基本情報
発売日 |
2025年2月21日 |
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会社 |
SEGA |
ジャンル | アドベンチャー |
対応ハード | PS5 / PS4 / PC / Xbox |
価格 |
PS5 : 6,300円(税抜)
PS4 : 6,300円(税抜)
PC : 6,300円(税抜)
Xbox : 6,300円(税抜)
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