今なお色褪せない、往年のビジュアルRPG復刻作を深堀り
ゲームにおける『RPG』ジャンルといえば、超大規模ジャンルの1つ。昨今も大型タイトルの数々が発売ラッシュを迎え、まさによりどりみどりといったところだろう。
今回本記事でご紹介するのは『コズミック・ファンタジーCOLLECTION』。RPGジャンルに分類される本作だが、なんと発売から30年以上前の復刻作。
実際、筆者とも遠い世代で「今の時代に遊んで楽しいの?」と思われるかもしれないが、本作はその偏見を吹き飛ばすほどの演出力の高さが存在する。
本記事では、実際のプレイレビューとともに、当時画期的とされた本作の魅力の数々を深堀りしていこう。
「コズミック・ファンタジー」シリーズとは?
そもそも、「コズミック・ファンタジー」シリーズとは、1990年から1994年にかけてPCエンジン、メガCDで発売された宇宙を舞台としたRPGシリーズ。
『夢幻戦士ヴァリス』を初めとする日本テレネットの代表的な作品の一つで、後にファンクラブ発足や小説、漫画、OVAが発売されるまでに至る人気作となった。
アニメーターの越智一裕氏が企画・監督を務め、RPG作品でありながら凝られたシーン別のアニメーション演出を特徴としている。
シーン中の雰囲気も往年のアニメを忠実に踏襲しており、今でも色褪せない没入感あるゲーム体験を見せてくれる。
時代を超えて通じるほど、演出面の高さが光る
『コズミック・ファンタジーCOLLECTION』では、『コズミック・ファンタジー 冒険少年ユウ』『コズミック・ファンタジー2 冒険少年バン』の2作品が収録。
両作ともターン制コマンドバトルRPGとなっており、今でもベーシックなシステム面なので、分かりにくい部分もなく遊べた。
当時の雰囲気を知る資料としても、サウンドテスト機能やムービーシーンの振り返りはもちろん、当時の説明書まで収録されている。その時代を知らなくとも、どこかノスタルジーな気持ちにさせてくれる。
一方で、本作を起動して最初に流れるOP主題歌「光の海の中へ」や、カットシーンでのキャラクターフルボイス、なめらかに動くドット絵アニメーションなど、今見ても惹き込まれる演出も特徴的。
こういった演出は当時画期的だったであろうが、初めて遊んだ筆者でも惹き込まれるあたり、本作の魅力は時代を超えて確かなものだと言えるだろう。
王道「ボーイミーツガール」が描かれる初代
少年と少女が出会い、旅を通して強い繋がりを育む……いわゆる「ボーイミーツガール」の良さは、いつの世代でも愛され続けてきた王道のジャンル。
『コズミック・ファンタジー 冒険少年ユウ』で描かれる物語もその「ボーイミーツガール」だ。
アニメーション演出は伊達ではなく、カットシーンごとにキャラクターたちは表情豊かに動き、フルボイスにも対応。要所要所の没入感が増す、こだわった演出となっている。
効果音の独特な雰囲気やお約束的演出など、ところどころに時代を感じさせる部分はあるのだが、それがむしろキャラクターたちの個性を際立たせ、良い味を出しているように思える。
主人公の「ユウ」は正義感に満ちた少年だが、思春期の年齢相応に異性への関心がありそう……と等身大の姿で描かれるのも親しみやすい。
そんなユウと冒険の途中で出会う少女が「サヤ」。彼女もまたユウが惹かれていくだけあって、ヒロイン力の高さを存分に見せてくれる。
誰でも感情移入しやすいストーリーラインで描かれた本作は、まさしく王道の取っつきやすいRPGと言えるだろう。
衝撃的なシナリオに目が離せない『2』
『コズミック・ファンタジー 冒険少年ユウ』では王道の「ボーイミーツガール」が描かれたが、2はここから少し方向性の違うシナリオが描かれる。
主人公の少年「バン」が住む村が突如として襲われ、攫われてしまった幼馴染の少女「ラーラ」を、旅の途中で出会った「リム」とともに救出へ向かう……と序盤のシナリオは王道そのもの。
だが、本作は中盤以降で大きくこちらの予想を裏切ってくるシナリオとなっている。その衝撃的な展開は今でも語り草となっているが、大きなネタバレを含むため本記事では割愛させていただく。
前作よりもやや重く大人向けのシナリオとなっているが、その分物語を彩る個性豊かなキャラクターたちは大幅に増加。
一時加入した仲間たちが一緒に戦ってくれるようになった点も嬉しいポイントで、よりにぎやかな旅を送ることができるだろう。
もう1つ、細かいポイントになるが前作からのUI面の向上も本作の魅力的な部分。
青のメタリック感あふれるメニュー枠に、コマンド選択時のサイバーな音が合わさり、宇宙を股にかける本作に相性抜群なUIだと感じた。
操作レスポンス等も良好で、戦闘テンポもよくRPGとしての進化が感じられる本作は、前作を遊んでからのプレイだとより進化を感じられるだろう。
時代を超えて宇宙の旅へ
ここまで『コズミック・ファンタジーCOLLECTION』の魅力をご紹介してきた。
本作は30年以上前の作品でありながら、アニメ的技法を積極的に取り入れ、今の時代に遊んでも没入感の高い独自のゲーム体験を実現している。
ただノスタルジックなだけではなく、本作ならではの色褪せない魅力は確かにあり、古い部分も当時の雰囲気を知る貴重な資料として、今と比較してみるのも面白いだろう。
「RPG」という長い歴史の中で、異色の光を放った本作。今度はあなた自身の手で、時代を超えた宇宙の旅に出てみてはいかがだろうか。
基本情報
発売日 |
2022年12月15日 |
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会社 |
エディア |
ジャンル | ベーシックRPG |
対応ハード | Switch |
タグ | |
価格 |
Switch : 6,800円(税抜)
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最大プレイ人数 |
1人
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公式HP | |
公式Twitter |
GameWith編集者情報
幼少期に難病を患うも、ゲームを心の支えとして完治。その後、竹馬の友のごとく歩んできたゲームへの恩返しとしてゲームライターに。 「パワプロ」シリーズで野球の楽しさを知り、「逆転裁判」シリーズで法律の勉強を志すなど、ほぼ全てでゲームの影響を受けながら人生を歩んでいます。 あらゆるゲームの楽しさを伝えたいので、ジャンル問わず幅広くプレイしています。特に「ポケモン」「FE」「世界樹の迷宮」といったシミュレーション・RPG系が好み。 |