
9月23日、東京流通センターで「TOKYO KEYBOARD EXPO 2026」が開かれた。自作キーボード専門店の遊舎工房と、中国でキーボードの展示イベントを手がけるzFrontierが共同で主催する、キーボードの展示・販売イベントで、2回目となる今年は国内外から87ブランドが集まった。

出展者と参加者から感じられる熱気は相当なもので、列ができるブースもあったが長くても10分ほど並べば、展示機を触ったり担当者と話したりできた。
ラピッドトリガー対応の最新ゲーミングキーボードから、REALFORCE初の分割キーボード、30万円近い工芸品のような1台、3,300円の自作キットまで。本記事では、実際に触った製品と所感を紹介する。
目次
ゴッパ合同会社 JAM(レバーレスコントローラー)
キーボードのイベントではあるが、ゲーマーなら見逃せないアイテムも登場していた。まずはこれからレポートしたい。
ゴッパ合同会社のブースでは会期当日に発表したばかりのレバーレスコントローラー「RapidJAM」を展示していた。同社はPC周辺機器を幅広く手がけるメーカーで、ゲームコントローラーはこれが初めて。担当者も「チャレンジ」と話していた一台だ。

▲RapidJAM。アクリルの天板を外して、ステッカーなどで飾ることもできる。
格闘ゲーム向けのレバーレスコントローラーにラピッドトリガーを持ち込んだ製品で、ボタンにKailhの磁気スイッチを採用。ストロークを1.5mmにカスタマイズした特注品で、初期設定では約0.3mmで反応し、約0.8mmでリリースされる。「押しも離しもキビキビ入る」というのが担当者の説明だ。
こだわりは速さだけではない。コネクタが壊れると本体ごと買い替えになる、という格闘ゲーマーの不満に応えて、USB-C端子をモジュール化した。担当者によれば、交換用のモジュールも2個同梱されるという。

▲天板越しに見えるUSB-C端子まわり。
筐体のたわみは入力のばらつきに直結するため、フレームはアルミ削り出しにしている。小指側にはチョップや掌底で押しやすいロングボタンも備える。
実際に触ってみると、とにかく剛性がすごく、びくともしない。それでいて想像以上に薄い。サイズは302×206×19mm(ボタンを押し込んだ状態で15.5mm)とA4用紙に近く、重さは約970g。クリアファイルに入るような感覚で持ち運べそうだ。

▲厚さは19mm(ボタンを押し込んだ状態で15.5mm)。
想定価格は29,800円(税込)で、2026年10月下旬発売予定。PC・Nintendo Switch・Nintendo Switch 2に対応し、PS4・PS5は別売のコンバーターで使える。GOPPA公式ECサイトとAmazonで予約を受け付けている。
REALFORCE(分割キーボード)
キーボードファンにとってサプライズとなる展示を用意していたのが、東プレのREALFORCEだ。
静電容量無接点キーボードで知られる同ブランドが持ち込んだのは、ブランド初の左右分割キーボード「REALFORCE RS1」。東京ゲームショウ2026の同社ブースでは展示されておらず、本イベントが事実上の初お披露目の場になった。

▲REALFORCE RS1。
RS1は79キーのJIS配列で、左35キー・右44キーに分かれる。キーストローク4.0mm・押下圧45gといういつものREALFORCEの押し心地はそのままに、アクチュエーションポイントは0.8〜3.0mmで調整可能だ。
実際に打ってみると、REALFORCEらしい優しい打鍵感はそのままに、左右が分かれているので肩が開き、置く位置も自分で決められる。いつもと違う姿勢で打てるのが新鮮だった。裏面には三脚穴があり、任意のアクセサリーを取り付けることで高さを自分好みに調整可能。細部にもこだわりを感じる。

▲裏面の三脚穴。
価格は55,000円(税込)。ヨドバシカメラ・ビックカメラで先行して販売されており、REALFORCE公式ストア(Amazon/楽天市場)では10月中旬以降に発売される予定だ。
Wooting(ゲーミングキーボード)
キーボードイベントらしいギミックを効かせていたのが、ゲーミングキーボードにラピッドトリガーを広めたパイオニアとして知られるWootingだ。
ブースの目玉は、9月17日から予約が始まっている「Wooting 80HE+」と、それに載る「Lekker Knob Large(ラージノブ)」。80HE+は従来の80HEを改良したモデルで、スイッチプレートをポリカーボネートからFR4に、標準スイッチを「Lekker L60 V2」から「Lekker Tikken Medium」に変えた。ラージノブは亜鉛合金ケースの完成品モデルに標準で搭載される。
最初の出荷分は10月末ごろから届く見込みで、ラージノブを含む注文は12月中旬ごろになるという。

▲Wooting 80HE+とラージノブ。
ラージノブの特徴は「ゾーン設定」。ノブの回転位置を最大6つのゾーンに分け、ゾーンごとにHome・PageUp・PageDownなど別々のキーを割り当てられる。
4層のレイヤーと組み合わせれば24通り、プロファイルも3つまで持てる。音量やスクロールだけでなく、現在開発中の機能を使えば、Discordのミュート、OBSのシーン切り替えといった配信まわりの操作にも対応できるという。
実際に回してみると、手に馴染みやすく操作しやすい。担当者が開発で最も苦労した点として挙げていたのが「周辺のキーと干渉しないこと」だったが、確かに隣のキーを邪魔せず、誤操作も起こりにくいと感じた。
何より、ノブの下にあるライトの色で、いまどのゾーンにいるかが目で見て分かるので、直感的に操作できる。

▲ノブの下のライトで、いまどのゾーンにいるかが分かる。
CHERRY(ゲーミングキーボード)
キースイッチの代名詞「CHERRY MX」で知られるドイツのCHERRYは、ゲーミングブランド「CHERRY XTRFY」のキーボードを2機種並べていた。
1つは「MX 8.2 PRO TMR 8K」。磁気スイッチとメカニカルスイッチの両方を差し替えて使えるデュアルホットスワップが売りのテンキーレスで、磁気側はTMRセンサーで0.01mm単位の検出に対応する。
ゲームでは磁気スイッチでラピッドトリガーを使い、文章を打つときは打鍵感のあるメカニカルに差し替える、という使い分けができる。展示機にはメカアクション「Mecha BREAK」の機体「ファルコン」をあしらったキーキャップが載っていて、キーボード単体でも見栄えがする。

▲MX 8.2 PRO TMR 8K。展示機にはMecha BREAKの「ファルコン」をあしらったキーキャップが載っていた。
もう1つは「PIXIU 68」。半透明のキーキャップとスイッチで光を透かす68キーのモデルで、外周部分の作り込みが圧巻だった。

▲手前がPIXIU 68。半透明のキーキャップで光を透かす。
担当者によれば、ケースは継ぎ目のない一体成型で、金型を何十回も作り直して2年がかりで仕上げたという。

▲PIXIU 68の外周部分。
中国では10月1日に790元(約15,000円)で発売するとのこと。見た目の高級感からすると、価格以上の価値がありそうだ。
ATTACK SHARK(ゲーミングキーボード)
1万円以下からラピッドトリガー対応のキーボードをそろえるATTACK SHARKは、ブースに数多くのモデルを並べていた。なかでも担当者が直近に出たモデルとして紹介してくれたのが、ケースもキーキャップもカーボンファイバー柄で仕上げたモデルだ。担当者によれば、価格は約12,000円とのこと。

▲ATTACK SHARKのブース。
75%配列の「R85 HE」も、テンキー付きの「R98 HE」と並べて展示されていた。両者の違いはキーの数だけで、いずれも磁気スイッチ、8,000Hzのポーリングレート、0.005mm単位のラピッドトリガー設定に対応する。ノブで音量も調整できる。

▲R85 HE。
HYPESHOP(キーキャップ・キーボード)
HYPESHOPのブースでは、見た目で足を止めさせる2つのアイテムに触れた。
1つは「Cerakey セラミックキーキャップフルセット」。キーキャップ本体をアルミナセラミックで作った114キーのセットで、陶器らしい「コトッ」という澄んだ打鍵音が出る。触ってみると、この独特の感触が病みつきになる。価格は26,000円(税込)。

▲Cerakey セラミックキーキャップフルセット。
もう1つは、キーボードスタジオのNOOIRが手がける「Nooir Klavier II K2」。グランドピアノに着想を得た65%キーボードで、アルミ・ステンレス・強化ガラスを組み合わせた本体は約4.85kg。天板をマグネットで開くと内部の構造が見え、その見える構造が美しい。

▲Nooir Klavier II K2。天板を開けると内部の構造が見える。
独自の「WING 2.0」サスペンションで、打鍵感を柔らかめから硬めまで調整できる。価格は289,000円(税込)。
Chosfox(キーボード)
Chosfoxは2019年設立のキーボードブランドで、キーを縦横に格子状に並べた「オーソリニア配列」の「GEONIX」シリーズを手がけている。ブースで触ったのは、その新作とみられる「GEONIX PLUS」。

▲GEONIX PLUS。
キーがまっすぐ並ぶ配列は、とにかくミニマムで美しい。筐体の金属にもどっしりとした重みがあり、デスク周りをワンランク引き上げてくれそうな質感だ。担当者によれば、発売は11月、価格は22,000円前後の見込みとのこと。
イーケイジャパン(キーボードキット)
ロボットキットや電子工作キットの「エレキット」で知られるイーケイジャパンは、会場で先行販売した40%キーボードキット「STEEPLECORE」を展示していた。

▲STEEPLECORE。
最大の特徴は、キーボードのど真ん中にポインティングデバイスを据えたこと。34mmのトラックボールを積んだ「TH-602BL」と、40mmの円形トラックパッドを積んだ「TH-602PA」の2タイプがある。
担当者によれば「何があっても手は動かさない」という声に応えた形で、左右分割より一体型のほうがポインターを手元に寄せられる、という考えだという。
電源は単4形乾電池1本で、約1か月使える。実用性を優先して電池をむき出しにしたそうだ。
キットメーカーらしく、はんだ付けが必要なのは別売の無線モジュールの取り付け部分だけ。市販のGH60互換ケースに入れられるので、ケースやキーキャップを選んで自分の1台を組める。
遊舎工房(自作キーボードキット)
主催の1社である遊舎工房は、日本初の自作キーボード専門店。ブースでは、会場で販売が始まったキット「Rookey(ルーキー)」が並んでいた。
Rookeyは9キーの小さなマクロパッドのキットで、設計はtakashicompany。基板を裏返せば左手用にも右手用にも組め、親指のキーはプッシュ付きのロータリーエンコーダーに置き換えられる。
Cherry MX互換スイッチ対応の有線接続で、はんだ付けして組み立てる。価格は3,300円(税込)。

▲Rookeyの基板。
筆者自身、はんだを使った自作キーボードには手を出したことがなく、いきなりフルサイズの自作はハードルが高い。それでもRookeyなら自分にも作れそうだと思える。初めての自作キットに最適で、友人や知り合いを自作キーボードに引き込むのにも良さそうだ。
まとめ
キーボードの世界では、グローバルメーカーが最新技術を詰め込んだ高性能なモデルを出す一方で、小規模なメーカーや個人に近い作り手も自分たちのモデルを世に出している。大手パブリッシャーのタイトルとインディーゲームが並ぶゲームの世界とよく似た構図だ。会場の独特の熱気は、企業の規模にかかわらず「面白いキーボードをいろいろな人に見てもらいたい」という思いから生まれていたように感じた。
今回はややゲーミング寄りのモデルを多めに紹介したが、会場にはほかにも多種多様なモデルが並んでいた。キーボードに興味あるという人はぜひ、足を運んでほしいイベントだ。
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