闇と恐怖に打ち勝ち、さらわれた姉を救い出せ。北欧神話に影響を受けたダークホラーアドベンチャー
Merge Games(※)より発売のPC,Switch,PS4,PS5,Xbox X|S,Xbox one対応ソフト『Bramble: The Mountain King』は、不思議な世界「ブランブル」を旅するダークホラーアドベンチャー。
プレイヤーは主人公である少年オーリを操作し、恐ろしいトロールに攫われた姉、リリモールを取り戻すべく降りかかる困難へと立ち向かっていくこととなる。
発売以来Steamで「圧倒的に好評」を獲得したことをはじめ、各所で非常に高い評価を得ている本作。
この記事では実際にSwitch版をプレイした感想を交えながら、そんな本作の魅力を解説していこうと思う。
※Switch,PS5版はH2 Interactiveより発売
Amazonで詳細を見る楽天で詳細を見るSteamで詳細を見る目次
姉を救うべく、幻想的な北欧神話の世界を旅しよう
絵本のように美しく牧歌的な異世界。だが…。
ゲーム序盤、オーリの姉であるリリモールと共にブランブルを訪れたプレイヤーは、まず一面に広がる美しい光景に息を呑むことだろう。
生き生きと草花が生い茂り、臆病で無邪気なノームや大きなハリネズミなどの愛らしい生き物たちが穏やかに過ごす様子は、狂気とはまるで程遠い理想郷そのもの。
ノームたちとかくれんぼをして遊んでいるうちに、一体どのような恐怖が控えているか構えていた心もあっという間にほどけてしまうはずだ。
さらに本作は非常にビジュアルに力が入っているため、ブランブルの牧歌的な光景から受ける感動もひとしお。
筆者がプレイしたSwitch版でも、十分に世界の作り込みを堪能することができた。
時折挿入される穏やかな語り口のナレーションも相まって、まるで絵本の中の世界に入ってしまったような気持ちになれること請け合いだ。
…だがしかし、忘れてはいけない。本作はあくまでダークホラーアドベンチャーであるということを…。
あまりに陰鬱な表現の数々。しかし、それがオーリとプレイヤーを一体にさせる
牧歌的で穏やかな世界かと思われた「ブランブル」。
だが、それはあくまで一つの顔に過ぎず、リリモールがトロールに攫われたことを機に、狂気に塗れた本性を見せ始める。
先程までの平和な景色からは想像もつかないような、恐ろしい血肉の池や暗黒の沼を進まなければならないことは序の口。
ミスの仕方によってはオーリは目を覆いたくなるような死に方をするし、更にゲーム中盤以降、人によっては見るに堪えないであろう狂気的でショッキングな演出も多数用いられる。
そのため過激な表現やショックに対する耐性が薄い人は、プレイする前によく検討を重ねた方がいいだろう。
だが一方で、そういった陰鬱・残虐表現は決して悪趣味に用いられているわけではないということは、忘れずに主張しておきたい。
本作はそもそも、勇敢な姉に憧れる臆病な少年であるオーリの「恐怖」がきっかけで幕を開ける物語だ。
そんな本作において、ありとあらゆる手段でプレイヤーの心に揺さぶりをかける演出は、泣きそうになりながらもブランブルの狂気へと立ち向かうオーリとプレイヤーの心を深くシンクロさせることに、この上なく大きな役目を果たしていると筆者は感じた。
圧倒的な没入感に身を任せながら、オーリが勇気を振り絞り、成長していく過程を我が事のように見守ることができるのは、まさに本作ならではの体験といえる。
壮大な冒険を彩るキャラクターやアクション
友達か、それとも敵か。奇妙な登場人物たち
オーリは姉を取り戻す旅の中で、様々なキャラクターと出会うことになる。
常に危険と隣り合わせであるブランブルでは意思疎通不可能なクリーチャーと遭遇することも多いが、決してそればかりではない。
「友達」としてオーリを手助けしてくれたり、旅の行先を示してくれたりと、頼れる味方となってくれる存在も勿論いる。
仄暗く狂気に満ちたブランブルでの冒険において、彼らの優しさはプレイヤーとオーリの心を温かく照らしてくれる光と言っても過言ではないだろう。
またクリーチャーのうち多くは、様々な場所に配置されている絵本によってその過去を知ることができる。
対峙している最中はただただ恐ろしかったクリーチャーたちも、ひとたびバックボーンを知れば印象がガラっと変わってくるかもしれない。
程良い難易度で楽しめるアクションや謎解き
ここまでストーリーや世界観の魅力ばかりを語って来たが、本作はアクション/パズルゲームとしても十分に楽しめる。
特にアクションの難易度はなかなかに高く、ボスやアスレチックステージはいずれもなかなかの手応え。
しかし何回か挑むうちにコツを掴めば自然と進めるように作られており、まるでちょっとした「死にゲー」をやっているかのような心地良い駆け引きが楽しめた。
またチェックポイントの感覚が非常に短く、例えば対ボスにおいてフェーズ移行毎にリスポーンを設定してくれるのも嬉しい。
…とはいえ先に述べたように本作はミス時の演出が非常にヘビーでかなり精神を抉ってくるため、やはり出来る限り失敗はしたくない所だ。
まとめ
優しさと残酷さの強烈なコントラストが、唯一無二の世界を描き出す
北欧神話をベースとしたダークホラーアドベンチャー『Bramble: The Mountain King』、いかがだっただろうか。
先に述べた通り、本作の過激な表現やショッキングな演出は非常に容赦がないため、その部分でどうしても人を選ぶことは否定できないだろう。
だが、それは決して単に悪辣なものではない。優しさと残酷さが共存し、そのどちらもが一切の妥協なく描かれているからこそ、「ブランブル」の世界はとても奥行きが深く感じられるのではないだろうか。
なにより、恐怖と勇気によってプレイヤーとオーリの心が一つになることから生まれる体験は、筆舌に尽くしがたい物がある。
いわゆる「雰囲気系ホラー」が好きなひとには、強くオススメしたい本作。この記事を読んで少しでも興味を持ってくれた人は、ぜひ己の手でオーリの旅路を見届けて頂ければ幸いだ。
『Bramble: The Mountain King』の基本情報
発売日 |
2023年4月27日 |
---|---|
会社 |
Merge Games |
ジャンル | アドベンチャー |
対応ハード | PC / Switch / PS5 / PS4 / Xbox |
タグ | |
価格 |
PC : 3,636円(税抜)
Switch : 3,900円(税抜)
PS5 : 3,900円(税抜)
PS4 : 3,900円(税抜)
Xbox : 3,182円(税抜)
|
最大プレイ人数 |
1人
|
公式HP | |
公式Twitter |
おすすめPCスペック
PCスペックの判定基準について
この判定基準は「メーカーが発表している必要・推奨スペック」と「CPUやGPUなどのベンチマークスコア」を基に独自の基準で算出されています。
また表示されている「プロセッサー」「グラフィック」は、メーカーの発表している必要または推奨スペックの表記を軸に近い性能のものが記載されています。
GameWith編集者情報
幼い頃に触れた「トルネコの大冒険」によってゲームに目覚め、人生が一変。 青春をゲームに捧げ、様々なタイトルより多大な影響を受けながら学生時代を過ごす。 その後、「一人でも多く、刺さる人の元へそのゲームを届けたい」という思いからライターを志望。 雑食ゲーマーだが、中でも世界観の作り込みが深いタイトル、中毒性の高いローグライクを好み、特に任天堂・フロム作品や「風来のシレン」「世界樹の迷宮」「Slay The Spire」「Hollow Knight」などが好き。 |