
コロプラが贈る『神魔狩りのツクヨミ(じんまがりのつくよみ)』は、金子一馬氏の描く独特な世界観をはじめ、無限に遊べるローグライク、AIによるカード生成などが特徴的な作品だ。
▲『神魔狩りのツクヨミ』プロモーショントレーラー
前編に引き続き、『神魔狩りのツクヨミ』を手がけた金子氏(コンセプトプランナー)と齋藤ケビン雄輔氏(開発プロデューサー)のインタビュー内容を紹介する。
後編である本稿では、生成AI技術を含めたシステム面を中心にお届けしたい。

AI技術を組み合わせた新たなゲーム体験への挑戦
──ゲームデザインに生成AIを取り入れようと思った理由を教えていただいても良いでしょうか?
齋藤ケビン雄輔氏(以下、ケビン氏):
『神魔狩りのツクヨミ』の企画が立ち上がったのは約1年半前。コロプラとしては、新しい技術を使ってエンターテインメントを生み出したいと考えていた時期でした。
議論を進める中で、「生成AIをゲームデザインに取り入れる案」が持ち上がりました。
生成AIと、ランダム性を持つ点で共通する「ローグライク」は相性が良いと考えているので、新たなゲーム体験が生まれることに期待しています。
──今作の基盤となる「AIカネコ」の役割についてお聞かせください。
ケビン氏:
「AIカネコ」は、金子さんのクリエイティビティを学習させた本作独自のAIです。主な役割は、金子さんが描いたイラストを学習・生成すること。
最初に、金子さんが本作の為に描いた数十枚を学習させ、そこから生成された数万~十数万枚のイラストの中から金子さんの画風に近いものを選び、学習を重ねて調整しながら仕上げています。

▲AIによって生成された、個性豊かなカードが登場する。
金子一馬氏(以下、金子氏):
こちらが想定していなかったものが生成されることもあったので、AIの調整が大変でしたね。
なぜ思い通りの絵にならないかというと、AIは世の中に存在しないものを形にするのが苦手だからです。AIからすれば「何を言ってるのかがわからない」状態なんですよ。
学習の過程では、色々と工夫しましたね。逆に、思いもよらない面白い絵が生成されることもあり、それを採用したこともあります(笑)。
AIは確かに便利なツールではありますが、まだまだ課題が多いかなと思います。
時代ごとに技術的なブレイクスルーはどうしても発生しますが、クリエイターとしてはただ不安になるのではなく、何らかの形で対応することが重要になると考えています。
──オリジナルカードが生成される仕組みについて教えて下さい
ケビン氏:
「プレイログ(プレイヤーの行動履歴)」の情報を元にオリジナルカードを生成しています。探索時のプレイヤーの選択が、カードに反映されるイメージですね。

▲プレイヤーの1つ1つの選択がプレイログとして記録され、世界に1枚の自分だけのオリジナルカードが生成される。

▲AIカネコがカードの性能をリアルタイムで選択し、絵柄も描き出す。これら6枚は、筆者が体験版をプレイ中に生成したカードだ。
今回はローグライクのカードゲームということもあり、組み合わせの遊びが重要になります。
AIと一緒にゲームを作り上げる体験をしてもらいたい
──リリース後もAIカネコに学習をさせることで、画像生成の精度が上がり続けると伺っていますが、正直なところ不透明な部分もあると思います。「盈月奉納ノ儀」では、AIカネコが生成したオリジナルカードを金子さんがチェックして公式カードとして実装するといったフローを予定されているようですが、何かしらの葛藤はありますか?
ケビン氏:
AIカネコが生成したものは、現状の技術的には70~80%のクオリティだと思っています。なので、現時点で金子さんのクリエイティビティを忠実に再現するのは正直難しいでしょうし、そのクオリティでプレイヤーの皆さんに満足していただけるかどうかもわかりかねるところがありました。
結局、「生成物を金子さんが自身が判定し、手を入れていくしかないのでは?」という判断になり、このフローにしました。あとは、「リリースしてからAIカネコがどのように成長するか?」に期待したいところですね。

学習し続けるAIカネコを介して、プレイヤーの皆さんが金子さんと一緒にゲームを作り上げていく体験を味わっていただければと思います。

▲AIカネコこと、「オオカミ」の成長に期待がかかる。
──生成AIの成長によって生み出されるゲーム体験の未来について、開発者としての意見をお伺いできればと思います。
ケビン氏:
生成AIの特徴はランダム性をはじめ、さまざまな入力を元にそれっぽい回答ができ、そして学習ができる点だと思っています。
そのため、AIカネコがアップデートされた後に今作をプレイすると、リリース当初に遊んでいたものとはまた異なる体験ができるのではないかと考えています。
プレイヤーの行動によってゲームが自動的にカスタマイズされることは、「どうなるかわからない」というのが正直な気持ちです。
そんな中でもゲームとしての面白さを引き立てたり、バランス調整をしたりすることに注力する。それこそが、AIと一緒にゲームを作る際の関わり方だと考えています。
ファンの皆様へのメッセージ
──最後に、本作を楽しみにしている読者に向けてメッセージをお願いします。

金子氏:
私のウリは、特徴的な言語を作ることだと思います。
本作は私らしさが色濃く出ているゲームになっていますので、そのあたりを楽しんでいただければと思います。
ケビン氏:
AI技術を使った新しいゲームを、ぜひ皆さんに触って体験していただきたいと思っています。
最終的には、ゲームを通して他のプレイヤーの方々とコミュニケーションを図ることで、エンタメとしての体験が完成すると信じています。
ぜひ、皆様の声を聞かせていただければ幸いです。
──ありがとうございました。
『神魔狩りのツクヨミ』は、PC(Steam)とスマートフォン(iOS/Android)にて、2025年5月7日に全世界同時での正式サービスを開始する。金子氏のファンはもちろん、デッキ構築型のローグライクカードゲームが好きな人は要チェックだ。

『神魔狩りのツクヨミ』とは?

株式会社コロプラからリリースされる『神魔狩りのツクヨミ』は、生成AIを活用したローグライクカードゲーム。
プレイヤーは、「国家守護を担う組織ツクヨミ」に属する「ツクヨミ」として、巨大なタワーマンションの最上階にいるターゲット「登美のりこ」の討伐を目指す。
本作には、金子一馬氏がコンセプトプランナーとして携わっており、世界観設定やシナリオ制作、アート、キャラクターデザインを担当している。
注目すべきは、カードの生成に金子氏のクリエイティビティを学習した生成AI「AIカネコ」を活用していることだ。
ゲーム内でのプレイヤーの行動ログを元に、世界に1枚の自分だけのユニークなカードが生成される仕組みとなっている。
▶『神魔狩りのツクヨミ』のゲーム詳細はこちら※コロプラ社のAIポリシー
https://colopl.co.jp/aipolicy/
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