唐突で恐縮だが、いわゆる「悪魔の囁き」に悩まされたことはあるだろうか。ちょっと夜更かししてみようといったかわいいものから、気に食わない奴をぶっ飛ばしたい!といった過激な物まで人によって様々だろう。
そんな悪魔の囁きを思う存分叶えてくれるのが『スーサイド・スクワッド:キル・ザ・ジャスティス・リーグ』。「DCコミックス」に登場する悪役たちを動かし、スーパーマンにバッドマンといった世界最強のDCスーパーヒーローたちを殺す任務へ挑むという過激な内容だ。
今回は特別にPS5版をプレイする機会を頂いた。正直なところ、プレイ前は悪役ロールに抵抗があったのと、アメコミ自体に筆者があまり明るくないのもあり、「本当に楽しめるんだろうか?」と懐疑的だったことを告白しておこう。
いざ蓋を開けてみれば、アドレナリン全開すぎて破壊衝動を抑えられなくなるバトルに、武器収集・強化といったハクスラ要素も掛け合わさり、全く本作のやめ時が分からない。お母さん、私も悪の道へ落ちそうです。
※本記事はWB Gamesの提供によりお届けしています。
敵は名だたるヒーローたち。主役は悪の美学を体現した「スーパーヴィランズ」。【PR】
まず本作の背景情報から紹介していこう。そもそも「スーサイド・スクワッド」とは、アメコミ出版社「DCコミックス」の作品に登場する「スーパーヴィランズ」、すなわち悪役たちのドリームチームだ。
そして敵は、異星からの侵略者と、侵略者によって洗脳されてしまった「ジャスティス・リーグ」の面々。DCコミックスのヒーローたちが集ったオールスターチームが、敵勢力に洗脳されているとはいえ、街の市民を容赦なく手にかけていく様子は中々ショッキングな展開だろう。
あの「バッドマン」や「スーパーマン」が敵、と聞くだけでアメコミに明るくない筆者でも震えあがったもの。こんな勝ち目のない戦いに放り込まれるのだから、「スーサイド」の名に偽りなしといったところか。
しかし、「スーサイド・スクワッド」のメンツも負けてはいない。バッドマンの宿敵「ジョーカー」と関わりの深い「ハーレイ・クイン」をはじめとして、「デッドショット」「キャプテン・ブーメラン」「キング・シャーク」と、こちらもドリームチームの様相だ。
彼らの悪役らしさあふれる冷酷・非情さを武器にした物語の展開は、中々刺激も強いのだがそれ以上に痛快。核心部は伏せるとしても『キル・ザ・ジャスティス・リーグ』というタイトルは大言壮語ではない、という覚悟が感じられた。
もちろんシリアスばかりではなく、ユーモアあふれる掛け合いの数々も必見。軽快なジョークを飛ばしながら、喜々として死地へ赴くさまからは悪の美学を感じさせる。彼・彼女たちに人々が魅了される理由も思わず分かってしまうだろう。
バトルはアドレナリン全開の「ヴィランシューター」! 侵略者を自由自在な戦い方で粉砕!
本作を一言で表すならば、ヒーローシューター……ではなく、「ヴィランシューター」という言葉がまさにピッタリだろう。それほどまでに、荒々しく激しい戦闘が楽しめる。
4人のヴィラン達それぞれ得意な戦闘スタイルが異なるが、いずれも撃つ!爆破する!ぶん殴る!仕留める!! といった感じで、アドレナリン全開のバトルを演出してくれる。
そのアドレナリンをさらに加速させてくれるのが本作の細かいシステムの数々。
たとえば、本作の敵の攻撃は苛烈なので被弾せずに済むという場面はないのだが、なんと銃撃で弱らせた敵からシールドを近接攻撃で奪い取って自分の物にすることができる。つまり、大暴れするほどに体力が回復する。なんとヴィランらしいことか。
逆に近接攻撃から入れば、敵を吹き飛ばして弱体化状態にすることができたり、敵の大攻撃前はカウンターショットでキャンセルできたりと、あらゆる手段を尽くせる戦闘が最高に楽しい仕様となっている。
これだけの爽快感には、どのキャラクターにも「トラバーサル」システムによって自在な機動力が用意されているのも大きい。高所に居る敵一つ取っても、一気に距離を詰めたり、背後や上を取ったりといった動きが手軽に行えるので、戦闘の自由度が極めて高くなっているのでかなり工夫しがいがあった。
ここまで来ると複雑そうにも見えるかもしれないが、複雑なコマンド入力などは一切不要なので、戦闘中の動きは想像以上にシンプルなのも嬉しいポイント。どう敵をいたぶってくれようか、とヴィランらしい考えに思わず染まってしまうだろう。
やめ時を失わせるハクスラ要素の数々!
戦闘スキルを磨くのも本作の楽しみの一つだが、強くなる方法はこれだけではない。
ミッションをクリアするごとに新たな装備が手に入るのだが、これを厳選していく「ハックアンドスラッシュ」らしい楽しみもある。
レアリティが高いほど強い…というほど単純でもなく、設定されたデメリットに見合うかどうか、リロード速度などの欲しい能力が上がっているかなど最適を探していくのも、やめ時を失ってしまうほど奥が深い。
また、最適を探すという意味では「タレント」もそうだろう。キャラクターごとにレベルが設定されており、レベルアップによってこのタレントツリーを解放してさらに強化していくことができる。
たとえば、ハーレイ・クインなら、とにかくグレネード関係のパークを開けてワイヤー越しに奇襲する爆弾魔的な方向性を目指すか、それともシールド関連のパークを開けて前線へガンガン突撃していくか…といったようにプレイスタイルに応じたカスタムができる。
物語を進めていくと、入手した装備のステータスを振り直す「調整」もできてしまうので、厳選はより快適に。伸ばし方によって、思った以上に得意な戦い方・最適な装備が変わってくるので、これを模索していくだけでも時間が溶けていった。
他にも、エイリアンに支配されてしまった「メトロポリス」の探索も欠かせない部分。街の作り込みは驚異的なクオリティで、窓を覗いてみるとほぼ内装が用意されているという細かいこだわりが光っている。
こういった探索も、戦闘でご紹介した「トラバーサル」によってどのキャラも苦にならないのは嬉しいポイント。街を縦横無尽に駆け回っているだけでもスピード感があるので、これだけでも十分楽しめてしまう。
本作の良かったところ・気になったところ
最後に本作の評価点と気になった点についてまとめさせていただこう。
- スピード感・爽快感ともに抜群の戦闘
- ハクスラ要素に豊富なキャラカスタマイズ要素など、とことんまで遊びつくせる
- 舞台となる「メトロポリス」の驚異的な作り込み
- ローカライズのクオリティが高く、さながら映画を見ているような掛け合いの数々
- 現状のストーリーボリュームはやや控えめ
- 戦闘条件付きサブクエストが若干もどかしい
本作を語るうえでは、やはり自由度抜群の戦闘面は外せないだろう。トラバーサルシステムがもたらすスピード感に加え、近接・銃撃・爆破の3点セットによるアグレッシブなバトルは、何度やっても飽きないと思わせるほど爽快だった。
一方で気になった点でピックアップしたいのは、サブクエストでの制限部分。自由度の高いバトルが非常に楽しいだけに、攻撃手段が限られてしまうとなんとももどかしい…! ただ、これに関しては、そう感じてしまうほどに本作の戦闘がよくできているという裏返しでもありそうだ。
そんな本作は全4回のシーズンに分けてアップデートが予定されており、さらなるヴィランたちの活躍が描かれるとのこと。ますます目が離せないゲーム版『スーサイド・スクワッド』とともに、皆様もぜひ悪の道に落ちてみてはいかがだろうか。