角満のゲー漫 第22回!角満さんが“史上最も美しい”と評した和風アクション『Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)』を紹介!プレイ前に抱いていた先入観全てをぶっ壊した傑作を語ってくれます。
総評!「ココ」が凄かった!
“史上もっとも美しいゲーム”と言っても過言ではないほど、極まった映像美。これをひと目見るだけでも、『Ghost of Tsushima』を起動する価値がある!
美麗度 | ★★★★★(5) はっきり言って、5点満点ではおさまらないです。★★★★★+αとでも表記したくなる、究極の美しさ! |
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アクション度 | ★★★★★(5) 時代劇が大好きというクリエイターが、侍の立ち回りを研究し尽くして作ったアクション。侍+日本刀のヒリヒリした戦いが最高です。 |
恐怖度 | ★★★★(4) CERO Zであることからもわかる通り、血の表現はかな~りリアルでグロいです。それが苦手な人は、ちょっとキツいレベルかも。 |
PS4の集大成
7月17日にソニー・インタラクティブエンタテインメントから発売されたプレイステーション4用ソフト『Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)』が、いま話題となっている。
日本の鎌倉時代を題材にしたオープンワールドアクションアドベンチャーで、舞台は長崎県の対馬。モンゴル帝国(蒙古軍)による対馬侵攻……いわゆる“元寇”が物語の根幹をなしていて、
“もしも、元寇の際に日本のサムライが生き残っていたら--”
という、“ifモノ”な設定も注目を集めていたのである。
しかも、これほどな和の設定にも関わらず、開発したのは日本のメーカーではない。
手がけたのは、『inFAMOUS(インファマス)』シリーズなどで知られるアメリカのデベロッパー“サッカーパンチスタジオ”で、クリエイティブディレクターのネイト・フォックス氏ももちろん日本人ではないのだ(当たり前か)。
海外製和風ゲームへの先入観
この成り立ち……というか座組を数年前に初めて聞いたとき、俺は浅はかにもつぎのように思ったものだ。
「ふむふむ……。要するに、昔の日本を舞台にした、ハチャメチャなサムライアクションってことか^^; 設定も時代考証もテキトーな、“ショーグン”とか“ニンジャ”とかが出てくるだけの、“外国人が考えるニッポン”のゲームなんだろな^^;」
そういったコンテンツ(ゲームに限らずな)は、過去にいくらでもあった。
「えー! 外国人からは、日本ってこんなふうに見えてんの!?」
と驚きとともに鼻白んでしまうような、“トンデモな日本”が描かれたコンテンツ……。
鎌倉時代、蒙古軍、侍、元寇……という、その気になればいくらでもイジれそうな題材を取り揃えていたことから、俺が最初に抱いた『Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)』に対するイメージはそれほどポジティブなものではなかったのである。
でも。
オープンワールドのゲームは、「とりあえず、なんでもかんでもやってみたい!」と思う性分の俺。『Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)』に関しても、
「なんだかんだ、システム的には好みのゲームっぽいので、ちょっと触ってみるかな」
ということで、発売前にレビュー用のソフトを借りてプレイを開始してみた。
そして……始めてからわずか十数分後に、俺はひとつの確証を得るのである。それは……!
「このゲーム……2020年のナンバーワンだ」
『Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)』は……プレイステーション4史に残る、まぎれもない“傑作”だった。
史上最高の映像美
まず、俺は『Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)』に抱いていた先入観のすべてをひっくり返すことから始めなければならなかった。
外国人が作った“トンデモニッポンな設定”……いえ、1ミリもそんなことはないです。たいへん勉強になります。
時代考証もメチャクチャ……なんてこともありません!
むしろ、日本人なのに何も知らない自分の無知さを恥じております!!><
ハチャメチャな内容……これこそ、もっとも的外れでした!! 凄味すら感じる、シリアスな物語と容赦ない展開。史実を背景にしながら織り成されるifモノのおもしろさを、これほど堪能できるとは!!
そして何より、俺を驚かせたのがグラフィックの精度である。
な、なんなんだこのゲームの美しさは……。
中世の日本に広がっていた手つかずの自然と、つつましく共存する人間と動物たち。その様子が……圧倒的なクオリティーのグラフィックで、余すところなく表現されているのだ。
断言するが、過去に発売された家庭用ゲーム機用ソフトすべてと比較しても、『Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)』の映像美は5本の指に入ると思う。
……いや、これでも足りないわ。
はっきり言おう。
俺が知る限り『Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)』は、史上もっとも美しい映像を見せてくれる家庭用ゲーム機用ソフトである!
風に揺らぐススキの原野も、光に踊る紅葉する樹木も、咲き乱れる花々も、陽光が乱反射する水面も、馬も、クマも、そのへんの石ころも、すべてが最ッッッ高に美しい!!
もしもゲーム性が皆無であっても、
「このグラフィックを見るだけでも、買う価値がある!!」
って力説できるほど、『Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)』の映像美は抜きんでているのだ。
シンプルに、「遊んでほしい!」
そしてもちろん、ゲーム性が皆無だなんてことはまったくない。むしろ、それほどの映像を誇っているにも関わらず、キチンと“ゲーム部分”が評価されているのがスゴいと思うわ。
くり返しになるが、『Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)』はオープンワールドを舞台にしたアクションアドベンチャーゲームだ。
主人公の侍、境井仁(さかいじん)となって、対馬を占拠する屈強な蒙古軍と戦わなければならない。
しかし、対馬の生き残りで戦えるのは、主人公ただひとり。
明らかに多勢に無勢な状況の中、境井仁は武士としての立ち回りとは対極にある“冥人(くろうど)”の暗殺術にも手を染め、葛藤しながら蒙古軍に対抗していく--。
太刀を持ち、正々堂々と正面から斬って捨てる武士としての境井仁。
敵の背後から忍び寄り、気づかれぬうちに喉を掻っ切る冥人の境井仁。
この、相矛盾した二律背反な戦闘を、特別な操作をすることなく、戦いのさなかに自由に選択して立ち回れるスムーズなシステム。
すべての行動が生活の流れの中に組み込まれている特別なリアルさが、『Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)』のいい意味での特異性を際立たせる。
そう、やることなすことすべてが“流れの中”にあるのだ。
物語の目的地を教えてくれるのは、野を舞う一陣の風。
重要なポイントをさりげなく示してくれるのは、キツネやトリといった対馬に棲む野生動物だ。
中世の日本には確かにあった自然との共生をきっちりと描きつつ、血なまぐさい人間ドラマも容赦なく突き付けてくる力強い展開は、まさにプレイステーション4の集大成にふさわしい内容と言えるだろう。
プレイステーション5に進む前に、『Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)』に出会えて本当によかった。
長くともに歩んだプレイステーション4というすばらしいハードのことを思いながら、対馬を駆け抜けたいと思う。
(おおつかかどまん)
20年以上にわたりファミ通で記者、編集長などを務めつつ、自ら著者としてゲームプレイ日記の単行本、『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズなどを上梓。ベストセラーとなる。2019年より独立し、パズドラのストーリーダンジョンのシナリオ担当を務めるなど、活動の幅を広げている。 |
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