2024年12月21日、22日にパシフィコ横浜ノースにて開催された「お城EXPO 2024」。 日本最大級のお城の祭典として、非常に盛り上がりました。
今年はさまざまな展示・出展に加えて、コーエーテクモゲームスのシブサワ・コウ氏によるトークライブも開催。
本記事では、トークライブの模様を中心に、会場のテーマ展示についてもレポートしていきます。
語られる『信長の野望』制作秘話と歴史
登壇者
- シブサワ・コウ氏(「信長の野望」シリーズ エグゼクティブプロデューサー)
- 小笠原賢一氏(「信長の野望」シリーズ ゼネラルプロデューサー)
- 劉迪氏(『信長の野望・新生PK』開発プロデューサー)
- 鈴木智博氏(戦国魂) ※MC
最初に登場したのは、シブサワ・コウ氏。会場に「信長の野望」シリーズのファンが集結してくれたことに感謝を述べつつ、『信長の野望』の誕生秘話を語ります。
1978年に染料問屋として創業された「光栄(現コーエーテクモ)」。シブサワ氏の父の会社が倒産したことをきっかけに、家業再興を夢見て、家業を継ぐ形でスタートしたといいます。
しかし、なかなかビジネスとしてうまくいきませんでした。さまざまな本を読み、経営者として勉強していたところ、たまたま本屋でパソコンの月刊専門誌を見つけて、「これからはパソコンの時代だ」と思ったそうです。
奥様である襟川恵子氏から誕生日に「MZ-80K(シャープが製造したパソコン)」をプレゼントしてもらい、独学でプログラムを勉強したとのこと。
シブサワ氏は、昼には財務会計や在庫管理などのソフトを作る一方で、夜には個人的にゲームをいくつか作って遊んでいました。
その中でも一番面白いと思っていたのが、『川中島の合戦』。後に、光栄が初めて世に送り出すことになる歴史シミュレーションゲームです。
『川中島の合戦』を作り終えた後、「戦国大名は戦い以外にも色々なことをやっていただろうから、彼らの1日を表現できたらいいな」という想いから生まれたのが、初代『信長の野望』。
企画を作ってから、わずか1ヶ月と少しで完成させたそう。
容量的にそこまでたくさんの内容は入れられなかったそうです。それでも、実際に遊んでみたら自分が考えていた以上の面白さがあって、三日三晩徹夜してプレイしたとのこと。
「17ケ国を統一した時は飛び上がって喜びました」と、シブサワ氏。いちプレイヤーとして楽しんでいたそうです。
「シブサワ・コウ」という名前は「著名なファッションブランドのように、名前を表に出して作品を背負う形をとるべきでは」という襟川恵子氏のアイデアから生まれたといいます。
由来は、生き方を尊敬していた日本近代経済の父と呼ばれる「渋沢」栄一氏と、光栄の「光」だと語られました。
『信長の野望』と城の関係性
ここからは、ゼネラルプロデューサーの小笠原賢一氏、『信長の野望・新生PK』開発プロデューサーの劉迪氏が登壇。「信長の野望」シリーズにおける城の転換点について語られます。
初代『信長の野望』では、合戦マップにおける強力な地形として登場した城。小笠原氏は「地形の一番奥にある浜松城に徳川家康が籠もるとなかなか倒せない。城という存在を強く印象付けられました」と当時の思い出を語ります。
続いて『信長の野望・戦国群雄伝』になると、籠城戦(攻城戦)が初登場。城の表現の仕方がここで大きく広がったといいます。
また『信長の野望・覇王伝』では従来の国を取る形から、国を司る本城を取る形に変化。以降、シリーズはこのスタイルになっています。
『信長の野望・天下創世』では、プレイヤー自身が城を中心に城下町を発展させる形に。攻城戦では、自分で作った城下町がそのまま舞台となります。
さらに『信長の野望・革新』では、シリーズ初のリアルタイム進行に。各地で城を巡る戦いが同時に行われるようになりました。
『信長の野望・創造』は、シリーズ30周年の節目に発売されたタイトル。城の数が一気に増加し、リアリティある表現を実装。小笠原氏が初めてプロデューサーを務めた作品であり、思い出深いと話します。
また、ゲーム内の3Dマップで作成された日本地図は、NHKの大河ドラマ『真田丸』や『鎌倉殿の13人』で活用されたそうです。
『信長の野望・新生PK』では、初代の印象にもある「城が強くあってほしい」というこだわりから、すべての城が異なる攻城戦マップに。
実際の配置や地形の起伏をリアルに再現することで、攻め方や守り方をはじめ、多角的な視点から戦略を立てられるようになっています。
プロデューサーを務める劉氏は、ゲーム内で城を作る際に「ここでの戦いは大変だったろうな」などと思うこともあったそう。
『信長の野望 覇道』は多人数が同時に参加するMMO戦略シミュレーション。本作では、複数人でのリアルタイムな攻城戦が可能となっています。
シブサワ氏は、本作を「無課金用」「微課金用」「中課金用」「高額課金用」の4つのキャラクターでテスト的にプレイしていると言い、「それぞれの段階で楽しめるようにできています」と語りました。
『信長の野望 出陣』は位置情報ゲームであり、日本100名城などの実際の城、古戦場などとタイアップを実施。さまざまな場所を巡る楽しさを充実させていると言います。
なお、小笠原氏はコーエーテクモゲームス本社近くの横浜駅にある城をずっと取り続けている城主だと、シブサワ氏に暴露されていました。
シブサワ氏も、いろいろな城を取りながら出社するそうです。
なお、シリーズの中でシブサワ氏が一番思い入れがある作品は初代『信長の野望』とのこと。
全国の戦国・城ファンや、プロジェクトチームの意見を取り入れつつ、進化していく「信長の野望」シリーズ。シブサワ氏は「これからも非常に楽しみにしております」と期待を語りました。
参加者からの質問コーナー
ここからは、事前にイベント参加者から募集した質問にそれぞれが答えていくコーナーに。
Q.1番好きな戦国武将は誰ですか?
シブサワ氏が1番に選んだのは織田信長。小学生時代から好きであり、『信長の野望』の開発にあたっては、「悲願の天下統一をゲームで目指せたらいいな」という想いがあったそう。
また、2番目は武田信玄。若い頃は自分が先導して大勢を引っ張っていく強いリーダーシップに憧れたとのことですが、年齢を重ねると共に「頼れる武田二十四将に任せる」という考えになったと、笑み交じりに語ります。
小笠原氏は武田信玄を1番にセレクト。家の家紋が武田家と同じ四割菱であったことに縁を感じ、小説などを読んでいくごとに好きになっていったそうです。
また、劉氏は井伊直虎を挙げ、ビジュアルのかわいらしさから好きになったと話しました。
Q.武将の能力値はどうやって決めていますか?
さまざまな経緯があったものの、小笠原氏が『創造』を担当した際に一度能力値を整理することになり、武将同士を順位で並べて決めていったそうです。
現在では、能力値を決める担当者は複数人ではなくひとりに任せられており、最新の研究結果などを反映させていると劉氏は語ります。
ただし、最先端の研究の場合、認知が低い場合もあるため、世の中への浸透具合や注目度も含めて慎重に調整しているとのことでした。
「信長の野望」シリーズの野望
最後に「信長の野望」シリーズが今後目指す道、野望について、シブサワ氏が語ります。
最初に挙げたのは「AIの充実」。現代は、AI技術が大きく伸びてくる時代であり、ゲーム内の戦国大名を動かすAIには特に力を入れているといいます。
「今後はAIをさらに充実させて、それぞれの武将の個性を出したり、リアルな動きを実現したりしたい」とのこと。
さらに、MMORPGやアクションRPGなど、さまざまなジャンルに「信長の野望」シリーズとしてチャレンジしていきたいという意気込みを明かしました。
また「各プロデューサーやプロジェクトチームがそれぞれの野望を持っているため、その気持ちがいずれ爆発すると思います」と制作陣に対する期待も吐露しました。
「コエテク」ブースの様子をお届け
会場の「コーエーテクモゲームス」ブースでは、アプリ『信長の野望 出陣』『信長の野望 覇道』が出展。
注目を集めていたのは、毎年恒例となっているオリジナル甲冑の展示。
黒と銀、そして赤のコントラストがかっこいい洗練されたデザイン。金屏風が似合います。火縄銃と一緒に飾られているのも良いですよね。
『信長の野望 出陣』のパネル展示では、「古戦場に見るお城図鑑」と称し、城郭が舞台となった戦いが紹介されていました。
こうしてみると、やはり名が残る攻城戦はロマンを感じるものが多いんだなぁ……と、しみじみ思いました。
さらに、『信長の野望 覇道』では、ゲーム画面と実際の写真を使用して名城の解説をお届けするスポットも。
比較して見ると、ゲーム内での再現度の高さがよりわかります。
ブース内でアンケートに答えて、「川越『信長出陣』だるま」や「信長の野望 覇道 オリジナルタンブラー」などが当たる抽選にもチャレンジ。
惜しくも当たりませんでしたが、オリジナルデザインの兜風バイザーがもらえました。これが結構嬉しく、武将気分で会場を練り歩けるアイテムとして当日は重宝しました。
また『信長の野望 出陣』のゲーム内スポットへのチェックインで、記念証とオリジナルクリアファイルがプレゼント。
さらに『信長の野望 覇道』のゲーム画面を見せることで、オリジナル缶マグネットを貰えました。
テーマ展示の各ブースの盛り上がりはさながら「城下町」
「コーエーテクモゲームス」ブースが出展されていた「城めぐり観光情報ゾーン」では、日本各地、全国のお城や城郭の関連団体などが、さまざまな展示を行っていました。
気分はまさに城下町。老若男女問わず、たくさんの人たちが世代の垣根を超えて楽しんでいたのが印象的でした。
ここからは、数ある展示のなかでも筆者が気になったポイントやスポットを紹介していきます。
ハイクオリティなミニチュア
特に筆者が気になってやまなかったのは、ミニチュアの展示。実際にどんなことが起きていたのか、想像しながら眺めるのが楽しいですよね。
ここでは、各ブースにて撮影できたミニチュアを紹介していきます。
「戦国のメインステージ岐阜」ブースでは、岐阜城、大垣城、岩村城の3つのミニチュアがどどんと展示。
俯瞰視点で見てみると、戦略的意図が一目で分かるので、見ていて楽しいですよね。
「関ケ原町」ブースでは、かの関ヶ原合戦で西軍の陣として使われた松尾山城のミニチュアも。
関ケ原合戦をよく知ることができる展示とともに飾られており、とても盛り上がっていた印象でした。
「岐阜県垂井町 菩提山城」には、菩提山城のミニチュアが登場。
竹中半兵衛の居城で、西美濃では最大級の山城。あらためて山城っていいよなぁと思わされました。
「苗木城(中津川市)」には、特徴的な石垣も再現された苗木城のミニチュアが展示。
高低差のある地形を俯瞰した位置から見られるのが、ミニチュアの良さですよね。
また、城めぐり観光情報ゾーンとは別のフロアでも様々な展示が実施。特に筆者が気になったのは「城ラマ展 籠城戦を戦い抜いた城」です。
城郭復元マイスター・二宮博志氏が手掛ける「城ラマ」シリーズが多数展示されており、ミニチュア好きにはたまらないスペースになっていたのではないでしょうか。
ご当地ゆるキャラたちも大集合
会場内にはたくさんのご当地ゆるキャラが出没。会場内に癒しと微笑みを与えていました。
どのゆるキャラも大人子ども問わず色々な人たちに囲まれており、人気を博していることがよくわかる光景でしたね。
まとめ
「信長の野望」に関する貴重なお話を聞けただけでなく、お城のことがもっと好きになる展示がたくさんあって、筆者は個人的にとても楽しませていただきました。
来年開催された際には、是非足を運んでみてはいかがでしょうか。
その他の新作ゲームもチェック!
© お城EXPO
今後発売の注目作をピックアップ!
真・三國無双 ORIGINS
8,580円(税込) 2
/PC/Switch
FAIRY TAIL2
7,800円(税抜) 3
/PC
龍が如く8外伝
Pirates in Hawaii
6,300円(税抜)