角満のゲー漫 第55回!ビッグタイトルラッシュのニンテンドースイッチ。今回紹介するのは『A列車で行こう はじまる観光計画』。角満さんが“ガチ”のシミュレーションにハマってしまった経緯を詳しく語ってくれますっ!
やり込み系が、つぎつぎと……
俺が週刊ファミ通編集部に採用され、ようやく仕事にも慣れ始めた1990年代の半ばごろ。
ナゼか俺のことを気に入ってくれて、ヒマな時間を見計らってはやたらとかまってくれたKさんという先輩がいた。
その人は、週刊現代やアサヒ芸能、フォーカスにフライデーと言った週刊誌をやたらと読み漁っている人で、俺も週刊ポスト、プレイボーイ、週刊文春などを欠かさず購入していたことから、
「大塚~。週刊誌交換しようよ~」
ってことをきっかけに話し掛けてくれるようになったのである。
当時、俺の席にあったゴミ箱にKさんが腰を掛け、その週の芸能ゴシップやら眉唾モノの怪しい記事の検証をふたりで行うのが定例行事となっていた。
そしてこのとき、俺は“仕入れる情報は、怪しかろうがナンだろうが多いに越したことはない”という教訓を得て、現在に続く記者としての土台を作ることになるんだけど……って、これは今回扱うゲームとはまったく関係ない話だったww
そのKさんは、俺が入社した当時からアートディンクというメーカーの担当をしていた。
アートディンクは、昔から通好みのシブいゲームソフトをたくさんリリースしている中堅メーカーで、『アクアノートの休日』シリーズ、『Neo ATLAS』シリーズ、そして伝説のAIプログラミングロボット対戦ゲーム(ややこしいなw)、『カルネージハート』などなど、ヒット作は枚挙にいとまがない。
俺がペーペーのころは千葉の稲毛海岸に本社があったんだけど、前述のKさんに、
「大塚、悪いんだけど、アートディンクにお遣いに行ってきてくれない?」
と言われて「ハイ、喜んで!」と編集部を飛び出し、東京23区を挟んで稲毛海岸とは真逆にある稲城(よみうりランドがある、東京西部の稲城市)に行ってしまい、約束の時間に3時間も遅刻した……という思い出がある。……って、それも関係ない話だった^^;
そのアートディンクの名を世に知らしめた最初のヒット作が、今回ご紹介する『A列車で行こう』シリーズだ。
ジャンルは、“都市開発鉄道シミュレーション”。街に鉄道網を敷いて列車の運行を管理しつつ、都市の開発、発展を行う奇をてらわない“ガチ”のシミュレーションゲームだ。
この歴史あるシリーズのNintendo Switch版『A列車で行こう はじまる観光計画』が3月12日に発売されたばかりで、それに先立つ3月8日には無料体験版も配信になっている。
そこで今回は体験版を遊びつつ、ゲームの概要を紹介できればと思う。
A列車に初乗車!
さて、なんで冒頭でKさんの話をしたのかと言うと、彼は『A列車で行こう』シリーズが大好きなあまりアートディンクのメーカー担当に立候補したような人で、週刊誌のゴシップ話をしているとき以外は、自席でひたすらこのゲームで遊んでいたのだ。
当時は確か……初代プレイステーション版の『A列車で行こうIV』だったかなあ。誇張ではなく、Kさんは一生このゲームで遊んでいたので、たまに画面を覗くと都市の発展がとんでもないことになっていた記憶がある。
でも逆に、俺はKさんのあまりのドハマりっぷりを目の当たりにしたためそれだけでお腹いっぱいになり、この伝統の都市開発シミュレーションを遊んだことがなかった。
つまり……Nintendo Switchの『A列車で行こう はじまる観光計画』の体験版が、A列車初体験なのだよ!!
ってことを書くために、長々とKさんの思い出話を綴らせてもらった次第であります!!w
そんな、薄っすい状態でも記事にしたいと思った理由は、遊び始めてすぐに、
「あ、これ……。ハマっちまってヤバくなるやつかも」
という予感がし、あのころのKさんの顔が脳裏をよぎったから。
なるほど……!
こいつは軌道に乗ったら、抜け出せなくなる底なし沼ゲーかもしれんぞ……!!
『A列車で行こう はじまる観光計画』は前述の通り、開発途上にあるとある街に鉄道網を張り巡らし、インフラを整えて、“都市そのものを発展させていく”ことが目的のゲームとなる。
主人公は、鉄道会社の社長。本作から新たに“観光”という要素が加わったので、多くの旅行客を誘致する、
“観光都市を目指す”
ってことも、都市計画の方向性としてはアリということらしい。
そしてまさに、体験版では、序章の“はじまる観光計画”というシナリオを遊ぶことができる。
ナビゲーションに従ってプレイすることで、一見複雑な線路の施設、列車の運行管理、そして“観光ルートの開発”という、ふつうに生活しているだけではまず考えない事業にも打って出ることができる作りだ。
こういった都市開発シミュレーションはどれもそうだが、その気になればいくらでも、やれることが出てくる。
とくに、『A列車で行こう はじまる観光計画』は“観光”にも手を広げているので、ときに役所に行って観光課の人に相談する……という、あまりにもリアルで人間臭い行動もする必要がある。
そしてその間にも、新たな駅を作ったり、そこまで線路を敷設したりしなければいけない。
当然、都市計画を考えずに施設を作ると、線路を敷くための用地買収(!)に余計なお金がかかったり、鉄道網がうまくつながらなくて修正がめちゃくちゃたいへんになる……なんてことも起こり得る。
これは……一筋縄じゃいかないぞ。
考えなきゃいけないことが、山ほどあるやんけ……!
俺はこの体験版を遊んで初めて、インフラ事業に従事する人たちの苦労を知った気がする。それまで、当たり前のように使っていた電車に対しても違う視線を送るようになった。
以前は1分でもダイヤが乱れようものなら、
「んだよ。こっちは急いでんのによう……!」
なんて毒づいたものだけど、いまでは、
「……そういうこともある!! 電車を走らせるだけでもたいへんなんだよコチトラ!!」
と、妙に感情移入して受け入れるようになったわ(苦笑)。
コツコツと続けていれば、いつか以下のような大発展を遂げた都市を作ることもできるのだ。
この春はNintendo Switchにビッグタイトルがたくさん出るので、時間のやりくりがたいへんなんだけど……!
2台あるハードをフル回転させ、1台は『A列車』の都市発展用に使おうと思いましたw
(おおつかかどまん)
20年以上にわたりファミ通で記者、編集長などを務めつつ、自ら著者としてゲームプレイ日記の単行本、『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズなどを上梓。ベストセラーとなる。2019年より独立し、パズドラのストーリーダンジョンのシナリオ担当を務めるなど、活動の幅を広げている。 |
今回のゲームの情報はこちら
A列車で行こう はじまる観光計画の情報はこちら© 2021 ARTDINK. All Rights Reserved.