角満のゲー漫 第39回!今回は秋らしくお米作りに挑戦!?もちろんゲームです。お題は今年いちばんのダークホースと言っても良い『天穂のサクナヒメ』!斬新すぎる“米作りアクション”の楽しさを語ってくれます。
大塚角満の「ココ」が凄かった!!
アクション部分もシミュレーション部分も非常に丁寧に作られている良作! かわいいサクナヒメには感情移入しちゃうこと請け合いで、よりいいお米を食べさせてあげたくなりますよw
アクション度 | ★★★★(4) 伸縮自在の羽衣を操りながら、鬼や野獣(?)と戦うアクションパート。ガチャプレイでも気持ちよくくり出せるコンボは爽快感抜群! |
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シミュレーション度 | ★★★★★(5) かつてこれほどリアルに米作りをシミュレートしたゲームがあっただろうか!? 何事も、こだわることって大事。米作りのたいへんさと楽しさが、完璧に表現されております。 |
斬新度 | ★★★★★(5) ただ斬新なだけだととっ散らかって収拾がつかなくなりそうだけど、世界観からキチンと練られ、何を表現したいのかがしっかりと確立されているので、ゲームの新しさが際立ってる! |
ダークホース
今年の夏から冬にかけては、現行機から新世代機へと代替わりが行われるタイミングということもあって、どのプラットフォームでも良作・佳作が大豊作である。
現行機でのゲーム制作がこなれて、マシンスペックのすべてを使った恐るべきタイトルが出てくることもあれば(『Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)』とかね)、基本無料ながら信じられないくらい遊び込める『原神』のようなゲームも驚異的なヒットを飛ばしている。
一方で、購入希望者が殺到し、ゲームメディアの連中ですらまともに買えないくらい売れまくっているプレイステーション5でも、明らかに時代がひとつ進んだことを見せつけるとてつもないゲームが遊べるようになっている(『スパイダーマン:マイルズ・モラレス』とか『デモンズソウル』とかな)。
そう、ゲーム業界はつねに前に向かって前進しているのだ。
コロナ禍にありながらも、巣ごもり需要のオトモにと意欲的なタイトルが毎日のようにリリースされているのが、その証左なのではあるまいか。
今回は、その中のひとつ。
おそらく多くの人が、
「この秋で最大のダークホースだった……」
と驚いたであろう、マーベラスのプレイステーション4、Nintendo Switch用ソフト……『天穂のサクナヒメ』について書かせてもらおう!!
「ゲーム業界は、前に進んでおりますε=(・ω´・#)」
とかドヤ顔で書いておきながら……思いっきりいにしえの時代が題材の米作りゲームだけどな!!www
米作りのリアル
『天穂のサクナヒメ』、驚くほどよく売れている。
当局の調べによると、多くのゲーム販売店、量販店でパッケージ版が品切れになっていて、 「買いたくても買えない!」と嘆いている人も少なくないという。
なぜ、そんなに人気なのか?
それはズバリ、ゲームが全編を通して非常に丁寧に作られていることと、意固地なまでに“お米作り”にこだわっている、昨今では珍しいゲームデザインにあると思う。
『天穂のサクナヒメ』は、公式サイトに“和風アクションRPG”と書かれている通り、爽快なコンボアクションに多彩な成長要素が絡み合ったアクションRPGに“見える”。
でも実際に遊んでみると、このゲームの神髄は“お米作り”にあり、コレが比喩でも冗談でもないところに多くのゲームファンが食いついたんじゃないかと思うのである。
ゲームの両輪を成しているのは、食料や物資の調達も兼ねて向かう“鬼退治”のアクションパートと、
サクナヒメの成長やステータスに大きく関わってくる“米作り”を行うシミュレーションパートとなっている。
アクションゲームの部分だけを切り取って売っても、たぶん『サクナヒメ』はスマッシュヒットを飛ばしたんじゃないかと思う。グラフィックは抜群にキレイだし、キャラはかわいいし、何より小気味いいコンボアクションがめちゃくちゃよくできているし。
そんなゲームにゴテゴテといろいろな要素を付け足してしまい、最終的には何を見せたいのかよくわからなくなって時代の陰に埋もれていく……なんて作品をたくさん見てきたけど、『天穂のサクナヒメ』はそうはならなかった。
圧倒的なまでの米作りへのこだわりが蛇足感を消し、むしろ、
「『天穂のサクナヒメ』の本体は、明らかに米作りだ」
と、遊んだすべての人(断言)に思わせてしまうほど、シミュレーション部分が作り込まれているから。
主人公のサクナヒメとその一行に与えられたのは、粗末なあばら家と小さな田んぼ……。
7人もの家族のお腹を満たし、厳しい冬も越えなければならないとなると、山野で採ってくる獣肉や植物だけではとてもじゃないけど追いつかない。
そこで、この小さな田んぼを使っての“稲作”が始まるのだ。
ここで実行されるお米作りは、“ガチ”である。
「どれくらい、ガチなの?」
そう問われれば、
「DASH村レベル」
と一瞬たりとも逡巡せずに答えられるくらい、マジのガチなのであるよ。
田植えも、ギクシャクとサクナヒメを操作しながらアナログに行う。
肥料作りも、ウンコの回収から……。
稲刈りも、いちいちアナログw
脱穀も……。
籾摺りも……って、どんだけ律儀にリアルにお米作ってるんだ俺は!!w
そう、『天穂のサクナヒメ』がシミュレートしているのは、いにしえの米作りの“すべて”である。
雑草や害虫の駆除もしなきゃだし、田んぼに張る水の量も自分で徹底管理しないといけない。
そういった細かな努力はすべて稲の育成に反映され、収穫時に“答え合わせ”としてプレイヤーに突き付けられるのだ。
……正直、専門用語だらけで、何がよくて何が悪かったのかよくわからんのだけど(苦笑)、育てゲーの対象がモンスターから“お米”になり、よりデリケートに、慈しみながら育てないといけないゲーム……って考えると、『天穂のサクナヒメ』の楽しさが伝わるだろうか?
そう、楽しいんだよこのゲーム。
失敗しながらも続けることで確実に米がよくなっていくし、それに合わせてサクナヒメも成長していくしで、どちらも愛おしくて仕方なくなるw
「サクナヒメのために、来年はもっとすばらしいお米を作ろう!! そして家族みんなで夕餉を囲むんだ!!」
こんな、昭和のお父さんのような純粋なモチベーションで遊べるゲーム、なかなかないと思ったねw あー楽しいw
(おおつかかどまん)
20年以上にわたりファミ通で記者、編集長などを務めつつ、自ら著者としてゲームプレイ日記の単行本、『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズなどを上梓。ベストセラーとなる。2019年より独立し、パズドラのストーリーダンジョンのシナリオ担当を務めるなど、活動の幅を広げている。 |
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天穂のサクナヒメ の情報はこちら©2020 Edelweiss. Licensed to and published by XSEED Games / Marvelous USA, Inc. and Marvelous, Inc.