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大塚角満のゲーム漫遊記 第14回「『FFVII』の読後感」

大塚角満のゲーム漫遊記 第14回「『FFVII』の読後感」

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角満のゲー漫 第14回!今回は角満さんがついに最後までプレイした『ファイナルファンタジーVII リメイク』の“読後感”を語ってくれます。

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はっとさせられた風景

今年の春は、地球全体がいつもの年とはまったく違う雰囲気に包まれていた。

新型コロナウイルスのパンデミックにより自宅待機や休校、休業を余儀なくされ、仕事も多くの人が慣れないリモートワークに。いつ晴れるかもわからない空を家の中から見上げて、

 「あのころに戻ることって、もうできないのかなぁ……」

悲しくつぶやく日々が続いた。ほんの半年前まで、考えてもみなかった現実が広がっていたのである。

そんな、陰陰滅滅とした毎日に、ここにきてようやく一筋の光が射し込んだ気がする。5月25日に発表された緊急事態宣言の解除により、ほんのちょっとだけ景色が明るくなった気がした。

このニュースを聞いていたとき、ふと頭に浮かんだ風景がある。

それが、これ。

FF7Rの画像

当コラムの8回目で書いた、スクウェア・エニックスのプレイステーション4用ソフト『ファイナルファンタジーVII リメイク』のワンシーン。

埃と暴力にまみれたスラムを抜けた先には、息を飲むような美しい空間が待っていたのである。

いや、思わず「はっ」としてしまったのは荒み切ったミッドガルの景色に慣れてしまっていたからであって、このエアリス家のまわりの風景こそ“ふつうの”ものであったはずだ。

それがいつの間にか、ネガティブなことが日常になってしまい、そのこと自体を誰もおかしいと思わなくなっている--。

このときに見たゲーム内の情景は、いま置かれている状況と妙にリンクしている気がした。とくに、微かに差し込んできた希望への光のきらめきが……。

FF7Rの画像

最後まで遊んでみて

この春は自宅にこもっていることがほとんどだったので、過去最高ってくらい多くのゲームのエンディングを見た気がする。

『あつまれ どうぶつの森』を筆頭に、前回のコラムで書いた『聖剣伝説3』、前々回に書いた『十三機兵防衛圏』、インディーズ系のタイトルを入れたら……10本近くになるかもしれない。

そんな中、もっとも印象的な読後感(?)を残してくれたのが、前出の『FFVII リメイク』だ。いろいろな意味で、忘れられない作品になった。

FF7Rの画像

もちろん、言いたいことはたくさんあるのだ。

「せっかく広大なミッドガルがあるんだから、もっと寄り道がしたかったよ!」

とか。

FF7Rの画像
FF7Rの画像

「武器や防具、もっといろいろと付け替えたかった!!」

とかね。要するに、さらなるやり込み要素を求めてしまった、ということだ。

FF7Rの画像

でも、よくよくプレイ時間を見ると、ほぼ一直線で進んだわりに余裕で50時間を超えていたので、ボリューム的には必要十分。むしろ、かなり詰め込まれている印象すらある。それでも、

「もっと!!!」

と思ってしまったのは……それだけ俺が、このゲームに魅せられてしまったからなんだろうな。

インタラクティブ映画

『FFVII リメイク』のエンディングを迎えたときに去来した感情は、長編映画を観終わったあととまったく同じものだった。

しばし席で茫然とした後、

「はっ!!!」

と気が付いたらすぐに映画館を飛び出して、想いを同じくする人間とアレコレとしゃべりたい気分。

「あのシーンには、こんな意味が隠されていたよ!」

とか、

「彼は生きているはず! その理由は……」

なんて、知ったかぶって自分の推論、検証をぶつけ合いたくなる。ゲームをプレイしてこんな気分になったの、もしかしたら初めてかもしれないわ。

思うに『FFVII リメイク』は、ゲームの枠を超えた“インタラクティブ映画”なのではないだろうか。

コントローラーを介してクラウド・ストライフという人物の人生を歩む、文字通りのロールプレイング映画。

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映画の続きをいつ遊べるのか、まったくわからないが、ここは持ち前の想像力で遊びながらのんびりと待ちたいと思う。

エンディングまで遊んで、ホントによかったなー。

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大塚角満
(おおつかかどまん)
20年以上にわたりファミ通で記者、編集長などを務めつつ、自ら著者としてゲームプレイ日記の単行本、『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズなどを上梓。ベストセラーとなる。2019年より独立し、パズドラのストーリーダンジョンのシナリオ担当を務めるなど、活動の幅を広げている。
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