角満のゲー漫 第13回更新!今回は角満さんが当時の記憶を思い起こしながら『聖剣伝説3 TRIALS of MANA』を語ってくれます。
忘れられないソフト
俺がファミ通に入ったのは、1994年の6月。
その年の年末にプレイステーションやセガサターンが発売されるという、ゲーム史に残る激動の数年間が始まったタイミングで、誌面の大半は両ハードのニュースと対応ソフトの情報で埋め尽くされていたと思う。
俺も、入社後しばらくしてニュースチームの配属となったので、この頃の記憶をたどって出てくるのはプレイステーションとセガサターンがらみのことばかりなんだけど、ほんの少しだけ、当時ナンバーワンハードだったスーパーファミコン用ソフトのことが脳にこびりついている。
それは、『ダビスタIII』だったり、『タクティクスオウガ』だったり、『クロノ・トリガー』だったり、『ドラゴンクエストVI 幻の大地』だったりするんだけど(けっこうあるなオイ)、その中のひとつが、今回ここに綴らせていただく『聖剣伝説3 TRIALS of MANA』なのである。
真っ新な気持ちで
しかし、スーパーファミコン用の『聖剣伝説3』をやり込んだかと言われると、決してそんなことはない。
ソフトは買って持っていたし、しっかりと最後まで遊んだとは思うのだが……じつは、先に挙げた他のソフトはすべて“仕事で”徹底的にやり込む必要があったためプレイ時間がハンパなく、“趣味で”遊んでいた『聖剣伝説3』の記憶を完全に上書きしてしまっているのだ。
なので今回、購入を前に事務所の同僚と『聖剣伝説3』の思い出話をしようと思ったのだが、
同僚:6人の主人公でいちばん好きなのは、やっぱ“ホークアイ”やな!
角満:……あの!(覚えてない)
同僚:クラスチェンジが楽しかったよね!!
角満:……確かに!(忘れてる)
同僚:……リングコマンドが使いやすかった記憶!
角満:……へえ!(記憶喪失)
同僚:…………“おまかせ厩舎”が登場したよな
角満:そうそう!! ローカル開催もそこからや!
同僚:……それダビスタの話や!!(怒) なんも覚えてないやんけ!!!
こんな感じ……。
でも、ここまで記憶にないってことは、改めて向き合うには好都合かもしれない。
俺はプレイステーション4用の『聖剣伝説3』を手に持ちながらつぶやいた。
「完全新作を遊ぶ気分で、『聖剣伝説3』をやってみよう!」
快適すぎる戦闘
『聖剣伝説』シリーズは、1991年に発売されたシリーズ1作目からアクションRPGの王道を歩んでいる。
RPGの主流だったコマンド選択式に対するアンチテーゼのようにアクションによる戦闘にこだわり、25年の時を経て蘇った『聖剣伝説3 TRIALS of MANA』も、しっかりとそのアイデンティティを受け継いでいる。
俺はまず、プレイステーション4の体験版をプレイしたんだけど、いくつか戦闘をこなしたときに「あ……!」と思ったわ。
「この感じ……めっちゃ覚えてる!!」
って。
快適にして軽快、爽快にして快活なハイテンポのアクションが、脳の底に押し込められていた『聖剣伝説3』の記憶を引っ張り出そうとする。
攻撃ボタンを「ポンポンポン!」と押すだけで躍動する主人公。
面倒なことをせずとも、ゲージさえ溜まればすぐに発動できる軽妙な必殺技。
体力が減ったり、魔法を放ったりしたくなったら、ユーザーフレンドリーな“リングコマンド”を出して好きなモノを選択すればいい。
アクションで戦闘をする上で、もっとも直感的に押せるボタンにすべての行動がアサインされている感じで、立ち回りがとにかく軽い!
戦闘エリアを自由自在に動き回ってボタンを押しているだけで、じつに楽しく、気持ちのいい戦闘を堪能することができるのだ。
かといって、簡単すぎるかと言われたら決してそんなことはなく、ふたりの仲間にしっかりと立ち回りを指示し、互いに支え合わないと簡単に力尽きたりもする。
この、快適さと難度のバランスが抜群で、ついついぶっ続けでのめり込んでしまうのだよ。昨日は……9時間くらいだったかな^^;
古いけど、新しい
ゲームの全体的な雰囲気やシステムは、お世辞にも新しいとは言えない。
そこはやはり、温故知新な“正統派リメイク”ゆえのことだと思う。
「きっとここに……宝が置いてあるぞw」
って思った場所には、ほぼ100%アイテムが落ちているしw
そういう意味では古臭さも感じはするが、それは決して『聖剣伝説3 TRIALS of MANA』の楽しさを阻害するものではない。
むしろ、「こういうの、懐かしいなぁ」と感じることが絶妙なスパイスとなってプレイの背中を押してくれるので、初めて『聖剣伝説3』に触れる人はもちろん、当時を知るベテランプレイヤーにもぜひ遊んでほしいと思ったわ。
ちなみに、俺はいま物語の中盤くらいまでゲームを進めているんだけど、ここにきて完全に記憶を取り戻した(苦笑)。
どうせだったら最後まで真っ新な気持ちで遊びたかったな……と思わないでもないけど、いまも十分に楽しいから気にしないことにしますw
(おおつかかどまん)
20年以上にわたりファミ通で記者、編集長などを務めつつ、自ら著者としてゲームプレイ日記の単行本、『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズなどを上梓。ベストセラーとなる。2019年より独立し、パズドラのストーリーダンジョンのシナリオ担当を務めるなど、活動の幅を広げている。 |