いよいよ本格スタート!大塚角満のゲーム漫遊記 第2回。今回は角満さんが『龍が如く7 光と闇の行方』を熱く語ってくれます。
『龍が如く7 光と闇の行方』の第1報を見て、戦闘モードがアクションからコマンド選択式になったと知ったときの俺の反応。
「えええ!?! ななな、なんでアクション捨てちゃうの!? 小気味よくて爽快感抜群なアクションがこのシリーズのアイデンティティでしょ!!? そこを変更するとか!! ナゼ、わざわざ長所を潰すようなテコ入れをするんや!!!(怒)」
なんて言いながらもゲームを購入し、1時間ほど黙々と遊んだ後の俺の感想。
「……これ、『龍が如く』シリーズの最高傑作になり得るわ!!!」
クルクル回りすぎた手のひらはねじ切れて、どっかに飛んでいった。
『龍が如く』と俺
俺は『龍が如く』シリーズに関しては、一家言持っていると思っている。
ナンバリングタイトルをすべて遊んでいるのはもちろん、『龍が如く 見参!』、『龍が如く 維新!』、そして1年ほど前に話題になった『JUDGE EYES:死神の遺言』といったスピンオフの作品も、ほとんど最後までプレイしているからな(もちろん、ゾンビゲーの『龍が如く OF THE END』も)。
シリーズを通してのメイン舞台である“神室町”に関しては地元のさいたま市の地理よりも詳しく、
「あの角を曲がると牛丼屋、コンビニは最近、あっちのほうにできたんだよな^^」
と、不動産屋ができるんじゃないかってくらいこの地に染まっている。馴染みの顔(シリーズの黎明期から登場している名物NPCね)やお店も多く、神室町に帰ってくると本気で、
「いやぁ〜〜〜、帰省したの、ひっさしぶりだなぁ〜!」
なんて思ってしまう。俺が群馬の実家に3年も4年も帰っていないのは、『龍が如く』の新作を遊ぶたびに望郷の念が消し飛んでしまうからで、老いた両親からするとたいそう疎ましいシリーズかもしれない。ま、いいんだけど。
でも、それほど好きな作品であるがゆえに、逆に審美眼は厳しくなってしまうと思う。
過去作と比べて若干でも劣る部分があったらすぐに気づいてしまうし、冒頭の戦闘モードのような大改革した要素がピンと来なかったら、一瞬で“駄作”の烙印を捺してしまうに違いない。
ファンってのは、味方に付いているときは最強のガーディアンになってくれるが、裏返った途端に最凶の敵と化す−−。
そして『龍が如く7』に関しては多分に、俺もそうなる可能性があったと思うのだ。
というのも、実際にプレイするまでに得た情報が、熱狂的信者にしてみたらはなはだネガティブなものだったから……。
その筆頭が、何度も書くが戦闘モードの変更と、主人公がシリーズの象徴である“桐生一馬”から、どこの馬の骨ともわからないアフロの兄ちゃんに変わってしまったことだ。
懸念は消えた
言うなれば『龍が如く7』は、俺にしてみたら“マイナススタート”の作品だった。
実際、遊ぶ前から「えー……。過去作が大好きなので、ちょっと無理かも……」と思ってしまい、なかなか封が開けられなかったし。それでも、
「ずっと遊んできたんだし……コレだけやらないってのもアレだよな」
と、よくわからないことをブツブツと念仏のように唱えつつ、序盤だけ遊んだところ……。
「あー、これこれ……。戦闘モード、コマンド選択式になっちまったんだよな……。残念すぎる」
なんて悪態をついていたものが……。
「お……?」
「こ、これは、これで……」
「悪く……ない……というか……!」
「むしろ……アクションより……!!」
「うおおおおお!!! この戦闘モード、むちゃくちゃ楽しぃぃいいい!!! アクションより、こっちのほうが好きよぉぉぉおおお!!!><」
ってことになりました^^;
そう、『龍が如く7』より導入された、“ライブコマンドRPGバトル”(公式サイトより)っての、非常に考え抜かれたシステムでたまらなく楽しいのよ!!
やってることはコマンド選択式バトルに違いないんだけど、プレイヤーキャラの立ち位置や周囲の状況、敵に有効な属性(!)やら回復技(!!)なんてのが絶妙に絡み合って、じつに戦略性豊かな戦闘モードに昇華しているのである。
それでいて、シリーズ伝統の喧嘩バトルの雰囲気が消えてしまったかと言えばそんなことはまったくなく、目まぐるしく展開するバトルの“匂い”は過去作と比べて遜色なく、ふっっっつーにアクションゲームを遊んでいるかのような気分にさせてくれるからビックリ仰天させられるのだ。
もしも、数ヵ月前の俺のように、
「アクションじゃなくなった『龍が如く』は、ちょっとな……」
と思ってしまっている方がいたら、強く強く訴えたい。
ちょっとでも触ったら、確実に目からウロコがボロボロと落ちますよ!!食わず嫌いせず、ほんの少しでいいから齧ってみてくださいな!!
って。試さずに忌避することがどれほどもったいないか、俺は『龍が如く7』を遊んで強烈に思い知ったのだ。
間違いなく10点満点
そして、もうひとつの懸念材料だった“主人公の変更”についてだが……!
これはもう、
「ぜひ最初から最後までプレイして、“春日一番”という単細胞男の生きざまを追体験してほしい!!」
としか言えない。
途中、何度も、
「こいつ、ホントに単純だな!!!(怒)」
と腹が立つシーンも出てくるかと思うが、いつの間にか主人公の気持ちに溶け込んでしまっている自分に気づき、その事実に大いに驚いて、最終的には、
「なんか……一番って野郎、ほっとけないんだよな」
そんなことをつぶやくハメになると思う。少なくとも、俺はそうなってしまった。つまりまんまと、主人公の春日一番という男に魅せられてしまっているということだ。
魅力的な主人公とサブキャラたち、圧倒的におもしろくなったバトル、重厚なストーリー、そしてあきれるほどのやり込み要素……。
もしも俺がファミ通のクロスレビューを担当していたら、『龍が如く7』には間違いなく10点満点を付ける。そういうゲームなんです。本当に。
(おおつかかどまん)
20年以上にわたりファミ通で記者、編集長などを務めつつ、自ら著者としてゲームプレイ日記の単行本、『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズなどを上梓。ベストセラーとなる。2019年より独立し、パズドラのストーリーダンジョンのシナリオ担当を務めるなど、活動の幅を広げている。 |