
荷物を梱包する時に使う「プチプチ」。あれの正式名称は「ポリエチレン気泡緩衝材」というらしい。プチプチの愛称があまりにキャッチー過ぎて、なんならもうこっちを正式名称にしたらいいと思う。
筆者はこのプチプチをつぶすのが好き過ぎて、ホームセンターでプチプチをロールで購入して完プチしたことがある。途中、雑巾のように絞って「ブチブチブチッ」とやった時の無双感ったら!
今回紹介する「Heroes of Hammerwatch II」は、そんなプチプチにも似た中毒性でプレイヤーを周回プレイの沼に引きずり込む快作だ。
目次
※当記事のリンクはアフィリエイト広告を含みます。

Heroes of Hammerwatch II
人気を博した前作から8年を経て進化を遂げた正統続編

▲緻密なドット絵が美しい。木々や草花などさまざまなオブジェクトがアニメーションする。
本作は、スウェーデンの制作会社Crackshellが開発したローグライト・アクションRPG。2025年1月15日発売。価格は2000円。いまのところ日本語には対応していないが、筆者が確認したところSteamのワークショップに有志の日本語化modが公開されている。
高評価を得た前作から約8年。街を発展させてキャラクターを育てるユニークなビルドシステムはそのままに、今作では、軸となるハクスラのシステムにローグライトを程よく融合させて、圧倒的なプレイバリューを実現した。

Heroes of Hammerwatch II
ちゃんと狙って、しっかり避ける、骨太アクションRPGの大本命

▲やりごたえのある難易度設定。周囲の環境を見極め、狭い通路に敵を集めて殲滅するなどの戦略が重要。
本作はアーケードの往年の名作『ガントレット』の流れを組む純然たるアクションRPGだ。
美しいドット絵で描かれた小さなキャラクターを操作し、これまた小さなモンスターとガチで殺りあう。超絶ちまちました戦いだが、これが妙に楽しい。ちょうど気泡緩衝材を延々プチプチやっちゃうあの感覚と同じだ。

▲ダンジョン内は光源に彩られ、恐ろしくも幻想的な雰囲気だ。破壊できるオブジェクトも大量に配置されている。
操作はツインスティックシューターを採用。同ジャンルでおなじみのダッシュを駆使して、ちゃんと狙って、しっかり避けるアクション性の高さが光る。筆者は主にゲームパッドでプレイしたが、バシッと決まるアクションが実に小気味よい。
敵の大群を相手取るというと、ここ数年で大ヒットした「サバイバー」系のローグライトを彷彿とさせる。しかし、本作の大群は序盤から歯ごたえ満点だ。
ワラワラと湧いてくる敵をジリジリと後退しつつ倒しながら、時には地形やトラップなどの環境を味方にする戦略性も求められる。大量の敵をいなしつつ、一方で徐々にキャラクターを強化。後半はレベルで敵をぶん殴っていく爽快感は格別だ。

Heroes of Hammerwatch II
同じ冒険は2度とない、ローグライトが融合した狂おしくもスリリングなゲーム展開

▲死ぬと蘇生費用としてゴールドと素材を40%徴収され、街に復活する。しかし、装備品と経験は確実に手元に残る。
「Heroes of Hammerwatch II」では、前作にはなかった装備品を追加して、ハクスラ要素をさらに強化。装備品にはレアリティがあり、より強い装備を求めるトレジャーハントが熱い。
こうしたハクスラ要素を足場に本作は、ローグライトの特徴を生かした緻密なシステムを構築した。ランダム生成のマップ、いやらしい配置の罠や仕掛け、隠し部屋の数々、大量に湧き出るモンスター。プレイヤーの冒険譚は一度たりとも同じにはならない。毎回繰り広げられるスリリングなゲーム展開にプレイヤーはついついリトライしてしまう。

▲うっかりワナを発動させてしまい、大量の敵に囲まれ大ピンチになることも。
その求心力となるのが新アイテムの「Trinkets」だ。これは、インベントリに入れておくだけでパッシブスキルを付与するインスタントアイテムで、その周回の終了時にすべて失われてしまう。
プレイヤーは永続的な装備品やスキル、ステータスをベースに、その場限りのインスタント能力をビルドしながら、ランダムが支配するフィールドをアドリブで駆け抜けていく。
前述したが本作はまあまあ高難易度だ。当然、死にまくる。インスタント能力は毎度失われてしまうが、素材や装備品は確実に手元に残り、キャラクターの強化や街の発展へと昇華する。
そして驚くことに本作は、ローグライトのランダム性とコツコツ積み上げるハクスラの相反する部分が絡み合った結果、なんとここからさらに面白さが加速するのである。

Heroes of Hammerwatch II
やればやるほど面白さが加速する、街の発展とキャラクター育成のシナジー効果

▲街を発展させることで、さまざまな施設(店)がアンロックされる。施設の恩恵を糧にキャラクターは成長していく。
本作攻略の鍵はズバリ街の発展だ。フィールドで入手する各種素材を使って施設をアンロックしていく。施設にはスキルの付与やステータスアップなど、さまざまな恩恵があり、キャラクターの成長には欠かせない。
プレイヤーは街の発展に必要な素材を得るため周回プレイを繰り返し、その都度、ランダム性の高い目くるめく展開を体験する。程よいローグライクの味付けが、周回前提のゲームシステムに絶妙な風味を加えている。

▲街の発展を眺めるのも楽しい。次第に人が増えてにぎやかになっていく。
さらに、街の発展はゲームプレイ全体を通して永続する。そのため、新規キャラクターの作成ハードルが異常に低いのも本作の良い点だ。プレイ中のキャラクターがアンロックした能力を、バフとして他のキャラクターに付与するシナジーまで用意されている。
新規のキャラクターは常に「ちょっと強い」お得な状態でスタートできる。7つあるクラスを気軽に変更できるプレイバリューの高さが魅力的。
要するに本作は、キャラクターの強化は街の発展が鍵>街の発展には素材が必要>素材はフィールドにしかないが強敵がウジャウジャ>キャラクターの強化が不可欠・・・という完璧な「沼」なんですわ。もう笑っちゃうくらい。

Heroes of Hammerwatch II
新しいのにどこか懐かしい。最大4人でとにかく生き残れ!

▲マルチプレイでボスに挑む。本編終了後のエンドコンテンツも豊富な本作。マルチにはうってつけのタイトルだろう。
罠に、宝に、画面を埋めつくす大量の敵に、ときたら協力プレイが楽しくないわけがない!最大4人までのマルチプレイが盛り上がる。野良も捨て難いが、気の知れた仲間同士でわちゃわちゃプレイするのが一番のおすすめ。
昭和のゲームセンターで異彩を放った『ガントレット』は、狭いアップライト筐体に無理やりコントローラを4つぶち込んで、プレイヤーがリアルに肩をぶつけ合うプレイスタイルだった。
本作のマルチは令和に即した洗練されたシステムだが、プレイ中の熱気は『ガントレット』のそれと変わらず激アツなのだ。

Heroes of Hammerwatch II
そこにあるからついやっちゃう!?心理学で裏打ちされた面白さ

▲一度プレイしだすとやめられない。そりゃあ、原稿も進まないってもんだ。
ところでプチプチをつぶす行為には心理学的な名称があって「アフォーダンス」というらしい。見たらついついやってしまう環境やデザインなんだそう。
そう考えると本作はもう完璧なアフォーダンスだ。「そこにあるからついやっちゃう」本作に対する最高のほめ言葉は、これ以外ちょっと思いつかない。
※当記事のリンクはアフィリエイト広告を含みます。

Heroes of Hammerwatch II
その他の新作ゲームもチェック!
発売日など基本情報
発売日 |
2025年1月15日 |
---|---|
会社 |
Crackshell |
ジャンル | RPG |
対応ハード | PC |
価格 |
PC : 1,818円(税抜)
|
公式HP |
今後発売の注目作をピックアップ!

/Xbox
ELDEN RING NIGHTREIGN
5,200円(税抜) 2

Lost Soul Aside
7,254円(税抜) 3

/PC/Xbox
ファンタジーライフi グルグルの竜と時をぬすむ少女
6,980円(税抜)