
『ゴジラ カードゲーム』先行体験会から見えてきた斬新かつ唯一無二の面白さに迫る

東宝とブシロードが送る最新TCG『ゴジラ カードゲーム』のメディア体験会が2025年4月21日(月)、東京・ブシロード本社にて行われた。

『ゴジラ カードゲーム』は、生誕70周年を迎える「ゴジラ」を題材にした進攻/撃退型のトレーディングカードゲーム。ゴジラをはじめ、モスラやビオランテなど歴代の怪獣たちが登場することはもちろん、ゴジラの映画をリスペクトし世界観をカードゲームに落とし込んだシステムが注目を集めている。
2025年7月5日(土)にスタートデッキ2商品(ゴジラ-1.0、平成・VSシリーズ)と、ブースターパック第1弾「ゴジラVSゴジラ」の発売が予定。今回は発売に先駆けて行われたメディア体験会に参加し、ゲームの試遊から見えてきた本作ならではの斬新な面白さについて迫っていく。
公式サイトはこちら目次
東宝×ブシロード×遊宝洞によって生まれたシリーズ70周年記念作

体験会では、まず東宝株式会社ライツ事業部ゴジラルームの山﨑倫明氏による商品発売までの経緯や、ゲーム概要などが紹介された。

『ゴジラ カードゲーム』は、「ゴジラ」シリーズ70周年を記念した作品。企画・発売を東宝、企画・開発の協力、および販売をブシロード、『ヴァイスシュヴァルツ』や『カードファイト!! ヴァンガード』などを手掛ける遊宝洞が開発協力をそれぞれ担当している。

本作で登場するカードは、大別すると「怪獣カード」「交戦カード」「戦略カード」「怒りカード」の4種類。それぞれにこれまでのゴジラ映画に登場した怪獣や名シーンなどが採用されているのが特徴で、コレクション要素としても魅力的な仕様となっている。
肝心の勝利条件は、なんと2種類。自分の怪獣カードを相手陣地に進攻させる「進攻勝利」と、相手の怪獣カードを合計4回撃退する「撃退勝利」だ。ゴジラらしさがギュッと詰まったこちらについては、のちほど詳しく紹介していこう。

ゲームの大まかな説明後、山﨑氏は『ゴジラ カードゲーム』の今後のロードマップを公開。


まず、2025年7月5日(土)にスタートデッキとして「ゴジラ-1.0」「平成・VSシリーズ」の2種を発売。それぞれカード60枚セット、プレイマニュアル1枚、紙製プレイマット1枚、ブースターパック第1弾1パックが含まれており、2セットあればすぐに対戦が楽しめる仕様だ。
同日はブースターパック第1弾「ゴジラVSゴジラ」も発売。さらに同年10月にはブースターパック第2弾、翌年1月に第3弾、4月に第4弾と、おおよそ3ヶ月に1回のペースで新ブースターパックを発売し、2025年7月から1年間を1stシーズンとして展開していくという。
また、発売に先駆けた体験会も随時行われ、全国ブシロード公認店はもちろん、「カードゲーム祭2025」( 2025年5月3日・4日)、「ゲームマーケット2025春」(2025年5月17日・18日)、「Anime Expo」(2025年7月3日~6日)などの大型イベントでも実施される。
すでに店舗での体験会は東京、大阪、名古屋で行われており、来場者数は250名以上。参加者の反応は良く、「ゴジラの世界観をうまく再現している」とアンケート内容も上々だそうだ。

その後は、株式会社ブシロード代表取締役社長・木谷高明氏が登壇。ゲーム紹介は山﨑氏がすべて話したとし、自身が初めて劇場へ見に行った映画が『三大怪獣 地球最大の決戦』だったという過去のエピソードが明かされた。
そして、映画を見て受けた衝撃、ハラハラドキドキする緊張感を、いかにカードゲームで再現するかが『ゴジラ カードゲーム』最大のテーマだと語り、挨拶を締めた。
公式サイトはこちら進攻か撃退か。2種類の勝利条件が対戦を熱くする

試遊会では、「平成・VSシリーズ」を主体とした青デッキ、2024年公開の映画『ゴジラ-1.0』を主体とした赤デッキという、特別なティーチングデッキ2種類を使用。昭和生まれの本ライターは、迷わず「平成・VSシリーズ」の青デッキを選択した。

▲盤面はこんな感じ。
使用するカードは「怪獣カード」「交戦カード」「戦略カード」「怒りカード」の4種類。それぞれの特徴は以下の通り。
怪獣カード:自陣の1~8を移動し、最終的に相手陣地に進攻させると勝利となるカード。等級がⅠ~Ⅳまであり、撃退されるたびに、より強力な等級の怪獣となって出現する。盤面の怪獣と等級が同じであれば、手持ちの怪獣カードで上書き可能。
交戦カード:主に敵の怪獣カードに対抗するカード。1~8の場に出した交戦カードの合計「撃退力」が、相手の怪獣カードに書かれた「脅威度」以上となれば撃退となる。
戦略カード:特定の条件下で使用できる特殊カード。自陣の怪獣カードを移動させたり、敵陣の交戦カードを破壊したりと、その能力は様々。
怒りカード:手札から捨てた怪獣カードの枚数分得られるカード。1ターンのみ怪獣カードの「脅威度」にバフをかけることが可能。


進攻は完全ターン制。各ターンに「スタートフェイズ」→「メインフェイズ」→「撃退フェイズ」→「エンドフェイズ」を行い、自分の怪獣カードを相手陣地に進攻させる、もしくは相手の怪獣カードを合計4回撃退すると勝利となる。
メインフェイズでは、「怪獣カード」「交戦カード」「戦略カード」の使用や、怪獣を進攻させる、「怒りカード」を得るなどの行動を、好きな順番&回数分、行動できるのが特徴だ。
と、基本的なルールを紹介したところで、ここからは実際に遊んでみて『ゴジラ カードゲーム』の特にココが面白かったという部分をピックアップしていこうと思う。
味方…だよな……? 自陣をどんどん破壊していく怪獣王・ゴジラ

このゲームの主役は、なんといっても「ゴジラ」だ。「怪獣カード」として盤面の1~8エリアを順番、かつ毎ターン1マス以上移動し(イレギュラーもある)、最終的に相手陣地に進攻できれば勝利となる。
ただし、「いけいけ僕らのゴジラー!」と単純に進攻させればいいわけではない。そう、相手はあのゴジラだ。思い通りに動くわけがない。

その最たる例が、「自陣の交戦カードの破壊」だ。盤面の1~8には、敵の怪獣カードと戦う「交戦カード」も設置するのだが、もしもゴジラがそこを通過した場合、それらの「交戦カード」はすべて破壊される。
また、盤面に描かれている各エリアへの矢印にも注目してほしい。基本的に番号順に進んでいくのだが、6→5、7→4、8→3にも矢印がある。

これは、例えば8番エリアにいる「怪獣カード」は、あと1歩で敵陣に攻め込め「進攻勝利」となる状態だが、ここで撃退されてしまうと3番エリアへ大幅に後退してしまうのだ。

つまり「脅威度」が低い等級の「怪獣カード」で攻めても、一気に後退させられる可能性が非常に高い。無駄に周回するハメになるうえ、前述通り盤面に「交戦カード」があるとそれをも破壊してしまうため、攻め込むには万全の準備が必要となるわけだ。
実際に遊んでみると、ここの駆け引きがじつに面白い。自陣をも暴れまわるゴジラ、それを見越して「交戦カード」や「戦略カード」による特殊効果、「怒りカード」による脅威度のバフを駆使して戦っていく。
ゴジラの持つ格好良さや恐ろしさが味わえる、まさに本作の持つ面白さの根幹がそこにあった。
カードは使ったもん勝ち!枚数管理が不要な画期的ドローシステム

TCG経験者ならば何度も頭を悩ませたであろう手札の枚数管理。基本的にTCGでは手札の多さ=戦略の幅につながるので、枯渇させないことが基本となる。
しかし、本作ではそれらの心配は不要。各ターンのエンドフェイズで必ず手札が5枚になるように山札からカードを補充するほか、次のスタートフェイズで、相手ゴジラ(怪獣カード)の等級(Ⅰ~Ⅳ)と同じ枚数を追加で引ける。

ようするに使ったら使った分だけ補充できるので、手札の枚数を気にせずガンガン使用して良い。むしろ使わないとデッキが回らないので、積極的に使うべきなのだ。
特に「交戦カード」は、敵の攻撃に加えて味方のゴジラにもガンガン破壊されるので、とりあえず展開したほうが良い。
こんなにも毎ターンカードを使用・消費するTCGも珍しいのではと思う。なかなかに新感覚だ。
危機こそ勝機!エリアの進攻と合わせたカードの使用条件が面白い

序盤から敵のゴジラが一気に8番エリアまで来てしまった……! という場合でも、簡単に敗北にならないのが本作の面白いところ。
1ターンに何枚でも使用できる「交戦カード」だが、エリアに設置するには「相手のゴジラのエリア以下の等級」であることが条件となる。例えば相手ゴジラが5番エリアにいる場合は、6~8等級の強力な「交戦カード」は使用できない。

逆に言えば、敵ゴジラが8番エリアにいれば、超強力な能力を持つ「交戦カード」が使用可能となる。あえて進攻を泳がせておき、ここぞという場面で強力な一撃を持って撃退。3~5エリアを後退させるという戦術も取れる。
危機をチャンスに変えられるというわけだ。
もちろん進攻する側にもメリットはある。「戦略カード」は「自分のゴジラのエリア以下の等級」が使えるので、強力な効果を得たい場合はガンガン進攻するといい。
このあたりのバランス調整は見事で、良い意味で一筋縄ではいかないゲームの"深さ"が感じられた。
ゴジラらしさを追求し、ボードゲームの要素も含んだ新型TCG!

実際に遊んでみた感想としては、カード効果による殴り合いではなく、ゴジラの進攻、撃退、カードでの支援や攻撃などのギミックを使用する場面に、非常にボードゲームらしさも感じた。
それでいてカードだけで完結するため、スタートデッキを入手すれば簡単に始められるのも嬉しいところだ。

今回の試遊を通して、決して正義の味方ではない「ゴジラ」という唯一無二の存在を際立たせた、まさに"ゴジラのトレーディングカードゲーム"に仕上がっていたことに、大きな感動を覚えた。
もちろんこれは制作側も非常に気を付けた部分のようで、様々な種類、レアリティのあるカードのなかで、いかにゴジラを特別な存在にするかが重要課題だったという。

むしろゴジラが簡単に倒されてしまう姿も想像できない。そんな、それぞれの中にあるゴジラ像を壊さずTCG化した作品が『ゴジラ カードゲーム』だといえる。
戦略性も非常に高く、駆け引きが楽しみたい方、普段のTCGとは少し異なるプレイ体験がしたい方、なによりゴジラファンの方は、ぜひプレイしてみてほしい。
公式サイトはこちらTM & © TOHO CO., LTD. ©Bushiroad
その他おすすめゲーム
