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大塚角満のゲーム漫遊記 第28回「このFFは、いい!」

大塚角満のゲーム漫遊記 第28回「このFFは、いい!」

最終更新 :

角満のゲー漫 第28回!17年ぶりに復活した『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター』を紹介!発売当時は画期的だったマルチプレイ。そして「いま、なんかいい」と思わせた秘密を解説!

大塚角満のゲーム漫遊記

総評!「ココ」が凄かった!

マルチプレイアクションRPGのお手本のような作り!17年前はひとりで遊んでいたオールドファンも、ぜひリマスターでマルチデビューを!

マルチ度
★★★★★(5)
クロスプレイにより、どの環境にいる人ともいっしょに冒険できるのがすばらしい!オンラインの敷居を確実に下げた!
素朴度
★★★★★(5)
現代風のグラフィックになってはいるが、やはりどこか牧歌的で時代を感じる絵柄に好感。ノスタルジーを感じます。
体験版度
★★★★★(5)
最初の3ダンジョンと、ホストのプレイヤーが製品版を持っていれば最大13ダンジョンをいっしょに冒険できる太っ腹仕様!

17年ぶりのFFCC

8月27日に発売されたプレイステーション4、Nintendo Switch、iPhone、Android用ソフト

『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター』

が、いい。

なんか、いい。

FFCCの画像

この、つい電源を入れてフラフラとダンジョンを彷徨いたくなる気持ちは、一種独特なものがあるわ。

FFCCの画像

これをお読みになる方はご存知かと思うが、オリジナルの『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』(長いので、以下『FFCC』)は、いまから17年も昔の2003年8月に発売されたニンテンドーゲームキューブ用ソフトである。

『FF』のナンバリングシリーズとは違う流れを汲む作品で、ジャンルもバリバリの(?)アクションRPG。

ナンバリングタイトルとは、一線を画す存在だった。

そんな『FFCC』の存在感を際立たせたのが、当時としてはあまりにも斬新だったゲームシステムである。

見た目は純粋無垢なアクションRPGで、ソロで進める分にはとくに奇をてらったような姿は見せないんだけど……いざキモである

「マルチプレイをしよう!」

となったときに、『FFCC』は“化ける”のだ。

マルチプレイで“化ける”『FFCC』

今の時代にマッチするマルチプレイの楽しさを17年前に実現していた『FFCC』。

2003年は、徐々に家庭にブロードバンド(いまやこの言葉自体が死語みたいになってるけどw)が入り込んできたタイミングで、家庭用ゲーム機にも高速通信の環境が整いつつあったころ。

少しずつ、ネット対応のタイトルも増えて来つつあった。

そんな中、『FFCC』もマルチプレイを最大のウリとして鳴り物入りで登場したわけだが……

なんとその方法は、ゲームキューブをハブとし、4台のゲームボーイアドバンスを専用ケーブルで接続して“それぞれが専用の画面を持った状態で遊ぶ”という画期的な手法だったのである!!

ゲームキューブからテレビに映し出される画面を共通のものとし、手元のゲームボーイアドバンスには各自のアイテム情報などが表示されていた。

おのおのが自分だけの情報を抱えて冒険するという“特別な状態”は斬新で画期的であり、

『FFCC』はマニア人気を博してこの年のゲームアワードも数多く受賞したと記憶している。

とはいえ、マルチで遊ぶ環境そのもののハードルが低くなかったことも、また事実であった。

俺は当時、ファミ通のニュースチームにいたのだが、部署の隅っこの机にGBAケーブルをぶら下げたままのゲームキューブが置かれていて、夜な夜な『FFCC』マニアが集まってマルチプレイに興じていた風景をよく覚えている。

そんな環境を構築できると、文字通り唯一無二の楽しさを提供してくれたゲームだったのだが、いかんせんゲームキューブもGBAケーブルも敷居は低くなく、『FFCC』はそのまま静かに“伝説のアクションRPG”へと昇華していった。

そう、その知名度のわりに、あのわちゃわちゃワイワイと楽しいマルチプレイで遊んだことのあるプレイヤーは、思いのほか少なかったのだ。

なので当時から、

「『FFCC』って、いつかすんなりとマルチで遊べるオンラインゲームにならないかなぁ……」

と考えていたんだよな。

で……!!

前置きが長くなってしまったが、そんなことを古参プレイヤーに思わせてやまなかった『FFCC』が現代の環境と技術を得て、完璧なオンラインアクションRPGとして復活を遂げたのである!!

これは……遊ばないわけにはいかないではないか!!

FFCCの画像

クロスプレイのすばらしさ

さて前述の通り、『FFCC リマスター』は4つのハードで同時発売されたので、そのすべてを所有している俺などは

「どれを買えばいいんだ……」

と大いに悩まされるところである。

ここでふつうだったら、

オンラインフレンドの多さでは……PS4か?

自分のモニターで遊ぶなら……スイッチか?

いつでもどこでもとなれば……やっぱりスマホだろうか?

↑こんな感じで思考のドツボにハマり、1ヵ月くらい決められなくて遊びの旬を逃す……なんてことになりかねないんだけど(アホ)、『FFCC リマスター』の場合はこんなところで悩む必要はない。

FFCCの画像

なんと……最初からクロスプレイを実現しているので、どのハードの所有者であっても、オンラインを通じていっしょに冒険することができてしまうのだ!

オリジナル版はマルチプレイをするまでに越えなければならないハードルがたくさんあったけど、このリマスター版は言ってしまえば障害はゼロ!

誰とでも簡単に、マルチで冒険することが可能なのである。

FFCCの画像

これ、単純に技術の進歩にだけ注目が集まってしまいそうだけど、ハード依存を是としない作り手側の気概こそ賞賛すべきことだ思う。

若い子……とくに小中学生なんて手持ちのハードが限定されていることがほとんどだと思うけど、PS4、スイッチ、スマホでのクロスプレイが可能なら友だちの誰とでも遊ぶことができるであろう。

この点においては、惜しみない拍手を贈りたいと思うわ。

そしてゲーム自体も、冒頭で書いた通り、「なんか、いい」のである。

FFCCの画像

全編を通して、決して派手なゲームではない。

当然、17年前と比べてグラフィックもサウンドも豪華になったし、見栄えもいいんだけど、そこだけ切り取ったら同等か、それ以上のアクションRPGもたくさんあると思うのよ。

でも……この、しみじみとにじみ出てくる『FFCC』の旨味は、ちょっと言葉にして表現するのが難しいくらい、

“地味にいい”のだ。

FFCCの画像
FFCCの画像

クリスタルケージをつねに気にしないといけない立ち回りは歯がゆさもあるし、「もっとド派手でもいいのに!」なんて思うこともある。

でも、この歯がゆさや地味さこそが“『FFCC』の素朴な楽しさ”を彩る格好のスパイスで、やればやるほど、

「うん、このゲームは、これくらいがちょうどいいなw」

と思わせられるのである。

FFCCの画像

『FFCC リマスター』は、最初の3ダンジョンが遊べ、かつオンラインマルチプレイもできる豪華な体験版が配信中なので、気になった方はそちらから遊んでみることをお勧めしたい。

……でもけっきょく、体験版を遊んだら素朴な楽しさの虜になって、製品版を買ってしまうと思うけどねw

角満さんの画像
大塚角満
(おおつかかどまん)
20年以上にわたりファミ通で記者、編集長などを務めつつ、自ら著者としてゲームプレイ日記の単行本、『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズなどを上梓。ベストセラーとなる。2019年より独立し、パズドラのストーリーダンジョンのシナリオ担当を務めるなど、活動の幅を広げている。
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