角満のゲー漫 第25回!ディズニーの悪役(ヴィランズ)たちを新解釈した『ディズニー ツイステッドワンダーランド』を紹介!女子も男子もハマれる『ツイステ』ワールドの魅力を語ってくれます。
総評!「ココ」が凄かった!
豪華な映像やキャラクターボイスに目を奪われがちだが、ゲームとしてもキッチリと作り込まれている良作。男子にも、ぜひ遊んでもらいたい!
映像度 | ★★★★★(5) 枢やな氏のイラストを贅沢極まりなく使った映像は、豪華としか言いようがありません。 |
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物語度 | ★★★★★(5) ディズニー映画の世界観を新規解釈し、新たなストーリーを紡ぎ出している才能に拍手! |
リズム度 | ★★★(3) 反射神経が劣るリズムゲームが苦手なおっさんだと、フルコンボを出すのが難しいっす! |
つい手を出してしまいました
おそらく……ユーザーの9割以上が女性であろうと確信しつつも、どうにも気になって仕方のなかったアプリがある。
最初に「ん?」と思ったのは、5月の始めくらいだったろうか。仲のいいゲームクリエイターさんと他愛のないやり取りをしている中で、
「大塚さん、最近どんなゲームにハマってます?」
と聞かれ、「えーっと……」と考えている間につぎのように畳みかけられたのである。
「もしかして、『ツイステ』とかやっちゃってます?」
このとき、俺がこのゲームについて知っていたことは“ツイステ”という名称と“スマホアプリである”ということくらいで、ゲームジャンルも、内容も、1ミクロンも知らなかった。
それでも、ゲームクリエイターから名称を聞かされたことで、俺の脳内でちょっとだけ『ツイステ』が存在感を増したのである。
つぎは……6月になってからだと思う。
懇意にしている女性イラストレーターさんに、チャットでつぎのように言われたのだ。
「大塚さんの同僚スタッフさん、『ツイステ』にハマってたりしませんか?」
解説が必要だろう。
このイラストレーターさんと俺の同僚は、ともに極めつけのオタク女子ということで意気投合。
と言っても、このご時世なので顔を合わせたことはないんだけど、俺を間に挟んでオタク情報を共有したりしているのだ。その流れでこの質問が飛んできたのだが、言われた同僚は『あつ森』で遊ぶのに手いっぱいで、
「あーw いまのところ、まったく遊ぶ予定はないなあw」
とにべもなかった。しかし俺は、業界人に『ツイステ』の話題を振られたのが2回目だったので、前回にも増して、
「またツイステか……。なんなんだ、いったい……」
脳への刷り込みが強くなった。まったく興味のなかった芸能人だったのに夢で見たとたんに好きになってしまうことがあるけど、それと似たようなものだったのかもしれない。
そして極めつけは……前出の同僚だった。
7月のある日。
「そういや最近、まったくアプリで遊んでいなかったから、何か落としてみるわ」
彼女はそう言い、続けて、
「あ。このあいだイラストレーターさんに言われた『ツイステ』をやってみようかな」
歌うようにそうつぶやいて『ツイステ』をダウンロードしたようなのである。
しばらくはそのまま、おとなしくひとりで遊んでいたようなのだが……2週間ほど経ったある日、いきなり俺にこんなことを言ってきたではないか。
「……おい!! キサマもいますぐ『ツイステ』をやるんや!!! 女子だけ遊んでいるアプリ……なんて思って放置していると、絶対に後悔するで!!」
男子もやろう!
そして俺は同僚に押し切られるように、アニプレックスから配信中のアプリ『ディズニー ツイステッドワンダーランド』をダウンロードした。
このアプリはタイトル通り、ディズニー映画の世界観から生まれた7つの寮を舞台に、魅力的なキャラクターとシナリオが交錯するゲーム。
『黒執事』で知られる枢やな氏が原案・メインシナリオ・キャラクターデザインを務め、美しいアニメーションと豪華な音響をバックに、“ディズニーヴィランズ(悪役たち)”の新たな解釈の物語が展開するのである。
主人公はある日、魔法の鏡に導かれて異世界“ツイステッドワンダーランド”に召喚されてしまう。
そこは名門魔法士養成学校“ナイトレイブンカレッジ”で、魔力を持つ才能豊かな若者たちが日々修行をしていたのだが……肝心の主人公には、魔力がまったくなかった--。
主人公はストーリーを進めながら、魔法を使って戦うバトルパートと、音楽に合わせて画面をタップする、いわゆるリズムアクションゲームのパートをプレイする。
ゲームとしては……決して派手でも、特段目を引くものでもない。
歴史に残るセールスを記録した作品は何かしらの“発明”と呼べる要素があるものだが、俺がいま遊んでいるところまでだと……『ツイステ』には、そういう箇所は見当たらない。
しかしいまやこのゲームは、社会現象となりつつあるほど大ヒットを記録しているのである。
「いったい何が、このゲームをそこまで至らしめているのか……?」
首をかしげながらプロローグを終え、徐々にゲームのルールを覚えながら、第1章の“ハーツラビュル寮”に入っていく。
これは……『ふしぎの国のアリス』の世界観にインスパイアされた物語が展開する章だ!
要所要所に絶妙な匙加減で、『ふしぎの国のアリス』そのままの用語やギミックが散りばめられている!
ここを舞台に始まる、ハーツラビュル寮の生徒たちと主人公をからめた物語。
アプリ全体の雰囲気から、どこかホンワカしたストーリー展開になるんじゃないかと思っていたのに……想像以上に骨太で、つい引き込まれてしまうドラマが始まったのには驚いた。
このあたりから、俺は少しずつ気づき始める。
「『ツイステ』は……ただ豪華で美しいだけのアプリじゃないぞ」
と。
バトルも、一見ただのジャンケンに見えるが、キャラの育成やスキルが絡まってきて思いのほか奥が深い。キチンと戦略を練って戦わないと、ゲームオーバーの憂き目を見ることになる。
どのパートも非常に丁寧に、手を抜かずに作られていて、ただ眺めているだけでも楽しい。
とくに授業のシーンなどはループ(放置でも勝手にゲームを進めてくれる)にして、環境映像としてずっと流していたくなるほどだ。
これ、何かに似てるなぁ……と思って考えていたんだけど、簡単に答えが出たわ。
舞台……とくに、歌舞伎を観劇しているときのような雰囲気なんだよな。
枢やな氏の魅力的なキャラたちがディズニーの世界で躍動する、誰も見たことがなかった異世界の歌舞伎。そんな空気が広がっているのだ。
とはいえ、俺はまだこのゲームの全貌をつかみ切れていない。だからこそ……長く遊んでみようと思った。
世の男子諸君も、食わず嫌いは損するよ。
(おおつかかどまん)
20年以上にわたりファミ通で記者、編集長などを務めつつ、自ら著者としてゲームプレイ日記の単行本、『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズなどを上梓。ベストセラーとなる。2019年より独立し、パズドラのストーリーダンジョンのシナリオ担当を務めるなど、活動の幅を広げている。 |
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Published by Aniplex