角満のゲー漫 第18回!今回はゲームファンを論争に巻き込んでいる『The Last of Us Part II』をプレイ。アクションアドベンチャーの最高峰である本作の魅力をネタバレなしで語ってくれます。
そりゃあ賛否両論だろうな
発売の前後で、これほど議論百出となったタイトルも珍しい。
“そのゲーム”は、誤解を恐れずに10点満点で点数を付けるなら、
前作の評価:10
今作のクオリティー:10
前評判:10
発売後の評価:賛否両論で計測不能
こんな感じになろうか。
6月19日に満を持してリリースされたプレイステーション4用ソフト『The Last of Us Part II』が、いまゲームファンのあいだで論争の火種となっている。
それも日本だけじゃなく、全世界での現象になっていて、賛否の意見のぶつかり合いは想像以上に激しいものになっている印象を受ける。
それは多分に、前作からの熱烈なファンが世界中にいることの証左でもあるのだが、ゲームの出来そのものではなく、“ストーリー”に焦点を当てられているのを見るにつけ、俺はシミジミと、
「やっぱり、そうなるよなぁ……」
と思った。
じつは俺、発売前の段階でレビュー用の『The Last of Us Part II』をプレイする機会があり、冒頭部分をプレイしたときに感じたのである。
「これ……発売されたら、絶対に物議を醸すだろうな」
と。
そして、そこからさらにプレイを進め、ほぼ終盤まで達したときに確信したのだ。
「こいつは……発売されたら、絶対に賛否両論でエラいことになるわ……」
とね……。
そういう意味では、現在の盛り上がり(?)は想定の範囲内のことだったのだが、衝撃的な物語ばかりがクローズアップされ、その驚異のクオリティーが霞んでしまいがちなのはもったいないとも感じる。
『The Last of Us Part II』は間違いなく、プレイステーション4の7年の集大成ともいうべき大作ソフトだ。
その技術と、努力と、歴史が積み重なった上に誕生した“傑作”であることは誰にも否定できないだろう。
そう、『The Last of Us Part II』はスゴいのだ。
CERO Zのため少年少女はプレイできないけど、ゲームファンだったら一度は見て、触ってほしい技術の粋がここにあるのである。
ネタバレにならぬよう
さて、この原稿を書いている段階で『The Last of Us Part II』が発売されてから5日が経過しているので、物語展開も含めて、大いにここで語ってしまいたいと思った。
でも……。
前作の最後、ジャクソンの地で平和を手に入れたはずのジョエルとエリーはどんな人生を歩んでいるのか?
プレイヤーキャラがエリーなのはナゼなのか?
ゲームのテーマが“愛”と“復讐”とされている意味は……?
このへんのことを少しでも書こうものならすべてがネタバレに通じてしまいそうで、さっきから何度、バックスペースとデリートボタンでテキストを消していることやら(苦笑)。
ストーリー重視のアドベンチャーゲームやRPGのレビューを書くとたまにこういうことが起こるけど、『The Last of Us Part II』はゲームの序盤から目にする映像すべてが重要なカギになっているので、どこを摘まんで書いていいのか、怖くて手が震えているというね……。
なのでいまさらだが、この記事で使うスクリーンショットはすべて、プレスキットから拝借してきたものにした。
ヘタに撮影して掲載するとそれすらネタバレになるかもしれないので(こわっ)、万全を期させていただく。
アクションアドベンチャーの最高峰
ストーリーのことを度外視するなら、『The Last of Us Part II』に多くの言葉は必要ないかもしれない。なぜなら、
「触った瞬間にわかる」
から。
グラフィックも、演出も、アクションも、雰囲気も、そして……恐怖も、現在の家庭用ゲーム機用ソフトの到達点であることに疑いの余地はない。
扉の向こうの気配に、どれだけ戦慄させられたことだろう。
迫りくる感染者の群れに、どれほど絶望したことか。
いま遊べるアクションアドベンチャーの最高峰を堪能しながら、登場人物たちの結末を……ぜひ見届けてほしい。
きっと、重要シーンが連続する長編小説を読んでいるかのように、プレイヤーをつかんで離さないと思うけどね。
(おおつかかどまん)
20年以上にわたりファミ通で記者、編集長などを務めつつ、自ら著者としてゲームプレイ日記の単行本、『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズなどを上梓。ベストセラーとなる。2019年より独立し、パズドラのストーリーダンジョンのシナリオ担当を務めるなど、活動の幅を広げている。 |