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御堂筋翔の第一印象は、正直なところ「苦手」だ。
原作をほぼ知らず、アニメを友人の家で横目に見た程度の私にとって、ぎょろりとした目と細い体、関西弁で相手を挑発する姿は強烈だった。
ところが、配信前に試遊の機会をいただいてプレイを始めた『弱虫ペダル レゾナンス・ペダイズム』で御堂筋翔を育てたいま、原作の彼を知りたくなってコミックスを読み始めようとしている。
ゲームを始めたときには想像もしなかった心変わりを、実際のプレイとともに振り返りたい。
※ゲーム画面は開発中のものです。
筆者と『弱虫ぺダル』の遠すぎた距離
私はもともとインドア派で、ゲームに限らずスポーツものにあまり興味がない。『弱虫ペダル』も友人が見ていたアニメの序盤を何となく覚えている程度で、登場人物の顔と名前すらほとんど一致しなかった。
その後『弱虫ペダル』を愛する友人に熱く勧められ、原作に興味を持つことはあったが、いまや単行本は100巻の大台に達していて「いまから追いかけるのは大変そうだ」と尻込みし、そのまま月日が流れてしまった。

長く愛されている作品ほど、途中から入るきっかけをつかめない。そんな食わず嫌いをしていた私にとって、本作が思いがけない入り口になった。
よりによって御堂筋翔だった
『弱虫ペダル レゾナンス・ペダイズム』は、2026年7月23日に配信されたiOS/Android向け育成シミュレーションゲーム。
メインのモード「ROAD to GLORY」では、全国の有力校から選手が集まる合同合宿を舞台に、プレイヤーがトレーナー見習いとして選手を育てていく。
学校の垣根を越えてチームを編成できるため、原作を知らなくても「まずは気になる選手を育ててみよう」と入りやすかった。
「初心者応援ステップガチャ」を見つけ、引いてみる。その無料1回目で現れたのが、☆3[見据えるは勝利]御堂筋翔だった。

☆3は高レアリティであり、初回で引き当てられたのは僥倖といって差し支えない。本来なら素直に喜ぶところだろう。しかしそのとき感じたのは「御堂筋か……」という小さな落胆だった。
さきほど触れた見た目に加え、アニメで聞いた関西弁の話し方も相まって、当時は勝手に悪役のような人物だと思い込んでいたからだ。いま振り返れば、あまりにも一方的な偏見である。
『弱虫ペダル』好きの友人からは、以前「御堂筋は後から株が上がる。読んだら好きになる」と力説されていた。それでも、にわかには信じられない。ならばいい機会だ。自分で育てて確かめよう。
こうして御堂筋と合同合宿へ向かうことになった。

▲学校の垣根を越えて6人を編成。今回は御堂筋を育成選手に選んだ。
育てるほど印象が揺らいでいく
育成では、ターンごとにトレーニングを選び、スタミナ、スピード、テクニック、スプリント、クライムの5項目を伸ばしていく。メニューによって上がる能力が異なり、「サポート選手」によっても上昇量が変わる。
体力が減ったまま無理をすると効果が大きく下がるため、目標レースまでの残りターンを見ながら休ませる判断も必要だ。

▲誰と、何を鍛えるか。限られたターンで育成方針を組み立てる。
数字や制約としばらく格闘しているうちに気になり始めたのは、能力値の上昇よりも御堂筋本人だった。
ターンの終わりには選手同士の短いやり取りが入り、他校の選手が顔を合わせる場面も多い。最初は御堂筋の言葉が何もかも嫌味に聞こえた。それでも会話シーンを重ねるうちに、だんだんと印象が変わってきた。
御堂筋の言葉は厳しくても、相手の実力そのものまで無視しているわけではない。少なくとも、最初に想像していた、ただ周囲を見下すだけの人物とは違って見えた。

▲ターンの合間に描かれる短いやり取りも、選手たちを知るきっかけになる。
とはいえその心情の変化は、ほんのわずか。好きとまではまだいえない。ただ、つぎのターンでトレーニングを選ぶとき、少しでも強くしてやりたいと思っている自分に気づいた。
ガチャで引いたからしかたなく育てていたはずが、いつの間にか「この選手を勝たせたい」と考えている。合間の演出によって人物への理解が深まることで、能力だけにあった関心が広がり、どちらも楽しめるようになっていた。
育てた御堂筋がレースで走った
トレーニングの節目にはレースが待っている。個人ではなくチームで戦うロードレースで、レース自体は自動で進むが、平地や上りなどのセクションを確認し、それぞれと相性のいい選手を先頭に配置するなど、誰をどの順番で走らせるかという準備が勝敗を大きく左右する。
レースが始まると、6人の選手が交代で先頭に立つ。デフォルメされた3Dキャラクターは小さくても、脚を懸命に回し、競り合いでは表情を目まぐるしく変える。
かわいらしい見た目なのに、デッドヒートは思いのほか熱い。とりわけ御堂筋が前傾姿勢でペダルを踏み込む姿を見た瞬間、以前アニメで目にした走りがよみがえった。

▲小さな3Dキャラクターが隊列を組み、セクションごとに先頭を交代する。
競り合いではカットインが入り、レースを盛り上げる。トレーニングで習得したスキルが発動すると、レース展開を有利に運べる。
御堂筋は「絶対勝利する男」や「独壇場の走り」といった、名前からして彼らしいスキルを身につけていた。自分が選んだトレーニングの積み重ねが、目の前の走りとして返ってくる。育成画面で見ていた数字が、ようやくひとりの選手の力になったと実感できた。
育成の途中には、御堂筋が合宿を離れかける一幕があった。それだけに、彼が本気で走るのか気になったが、最終レースでチームの一員として走る姿を見たときは、もう「苦手なキャラクター」として彼を見ていなかった。勝ってほしいと素直に願っていた。
結果は勝利だった。御堂筋の成長に助けられ、どうにか勝つことができた。画面の向こうを走っていたのは、もはや「ガチャでたまたま引いた苦手なやつ」ではない。限られたトレーニングのターンで何を伸ばすか悩み、体力を気遣い、スキルを覚えさせてきた、自分のチームの御堂筋だった。
ひとりでは勝ち抜けない。見えてきたつぎの課題

▲選手ひとりの実力は、チームの力の一角にすぎない。各選手を鍛え、総合力を上げるべし。
勝利の喜びに浸る一方で、つぎの課題もはっきり見えた。御堂筋の育成に夢中になるあまり、ほかの登録選手を十分に育てていなかった。
レースに挑むには、育成を終えて保存した登録選手でチームを組む必要がある。ひとりだけ強くても、その先を勝ち抜けるとは限らない。つぎは御堂筋だけでなく、チーム全体を育てたい。

本作には、特定の選手やサポートカードなどを組み合わせるとスキルが発動する「レゾナンス」(※共鳴、共振という意味)というシステムがある。
レース中に自動発動するスキルやトレーニングの効果を高めるスキル、なかには編成していなくても発動するスキルもある。
誰と誰を組ませて、どのようなチームを作るか。
ひとりを好きになるところから始まり、その周囲へ興味が広がっていく。その体験に、タイトルにもある「レゾナンス」らしさを感じた。
まとめ:ありがとう御堂筋

実際に遊んで感じたのは、空き時間だけで満足できるタイプのゲームではなさそうということだ。
トレーニングとレースを重ね、選手同士のイベントもじっくり楽しむためには、それなりに腰を据えて遊ぶ必要があるだろう。選手や編成を変えて試行錯誤する面白さもある。

育てた選手は合宿後のレース以外の出番もある。登録選手で編成したチームを試す「選抜レース」や、ほかのプレイヤーのチームと競う「ライバルレース」も用意されている。
なお、自動で育成を進めるオートトレーニングはチームランクS以上で解放される。序盤からすぐ使える時短機能ではないが、覚えておこう。

育成を繰り返すゲームが得意ではない人には、ひとりを完成させるまでの道のりが長く感じられるかもしれない。また、原作を知らなくても、人物には興味を持てた一方で、選手同士の関係を最初から理解できるわけではなかった。
それでも、知らないことは不利ではない。先入観しかなかった人物を、自分の手で育てながら知っていく。その過程があったからこそ、御堂筋を見る目は大きく変わったし、楽しめるポイントも増えた。
育成とレースを通じて見えたのは、何よりも勝利に貪欲で、そのために走り続ける御堂筋の姿だった。
私はまだ、彼のことを十分に知らないが、原作ではどのように走り、何を考え、友人がいう「後から株が上がる」に至るのかを確かめたくなった。
いまは素直に「ありがとう御堂筋」と言いたい。
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