
この記事でわかること
・ローグライトゲームにありがちな「特定の組み合わせが最適になる問題」に対する設計方針
・本作のPvPの仕組み(6人編成・非同期自動戦闘など)
・6月の先行体験テストのプレイヤーの反応と、実際に修正に反映された部分
『デッドアカウント~二つの蒼い炎~』は、講談社「マガジンポケット」で連載中である渡辺静先生の人気作品『デッドアカウント』を原作とした、チームローグライトRPGだ。2026年9月、東京ゲームショウ2026(TGS2026)の会場で、本作の試遊ビルドが一般公開された。
今回、開発を手掛けるIANGAMESのプロデューサー、キム・ビョンギ氏にインタビューを実施。TGSでの来場者の反応から、開発陣が最も実装に苦労したというキャラクター、そして6月に実施された先行体験テストで見えた手応えまで、じっくりとお話を伺った。

▲キム・ビョンギ氏
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※ゲーム内画像は全て開発中の海外版のものです
目次
TGS会場で見えた、ユーザーの「想定外」なプレイ
──TGS2026で、試遊したユーザーの反応の中で印象に残っていることを教えてください。
キム・ビョンギ氏(以下、キム)
今回は試遊に加えて、スコアランキングイベントを用意しました。印象に残っているのは、ランクインしたプレイヤーが、その場でスコアボードと一緒に写真を撮る姿を見たことです。そこまでしてくれると思っていなかったので、嬉しくてそれが一番印象に残りましたね。

また、私たちが考えていなかったキャラクターの組み合わせで、高いスコアを出すプレイヤーがいたことにも驚きました。
──私も、初日の早い時間に試遊したこともあり、ランキング1位を取れました。ただ、1時間後ぐらいに見に行ったら、もう抜かれていました(笑)。
キム
それは惜しい(笑)。

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渡辺静先生の妥協なきフィードバック
──原作者の渡辺静先生から、ゲームに対するフィードバックをいただいたかと思うのですが、その中で印象的なものを教えていただけますか?
キム
渡辺先生は、とても細かくゲームをチェックしてくださっています。たくさんフィードバックをいただいたので、全部記憶に残っているわけではないのですが……。
各キャラクターのディテールへの詳細な指摘、頭身のご調整や霞流のタトゥーの位置だったりと細かく見て頂けました。あとは南蔵是清の霊能設定も先生に絵付きで資料をご用意頂けました。
また、血涙祓い編で描かれていなかった他チームの展開についても話の流れをご提案頂きました。
例えば、漆栖川希詠のセリフや、輪狩実のスキル名、あとは羽住蓮理のスマホケースのデザインですね。また、弥電学園の校章のデザインについても、「15度傾いている」とフィードバックをいただいて修正したことがありました。
フィードバックを通して、渡辺先生が本当に細部にも気を配り、こだわり抜いて作品を創り上げていることを実感しました。
一番開発するのに苦労したキャラクターは「灰島ひより」
──作品で一番思い入れのあるキャラクターを、理由と合わせて伺ってもよろしいでしょうか?
キム
主人公の「縁城蒼吏」には、愛着があります。ただ、ゲーム開発を通して一番思い入れがあるのは、「灰島ひより」ですね。

彼女の人前に出ようとしない性格を、どう戦闘シーンに落とし込むか。どうすれば、作品のファンに納得してもらえるものになるか。私たちは本当に悩みました。
最終的に行き着いたのは、灰島ひよりが段ボール箱に隠れながら戦闘についてきて、「でんみちゃん」を操作するという形でした。この形にたどり着くために、色々と模索したので思い出に残っています。

──キャラクターのスキル演出や動きの部分で、これは特に苦労したというところがあれば教えてください。
キム
プレイヤーがひと目で各キャラクターを見分けられるように、原作を尊重しながらSDキャラクターを作成したことです。
また、キャラクターがスキルを使用した際の演出にも力を入れました。キャラクターのサイズを大きくしたり、スローをかけたり、背景を暗くしたりしています。加えて、表情についても、原作を再現できるように意識しています。

あとは、スキル発動時の操作ですね。最初はスキルを使うとすぐに発動するように開発していたのですが、プレイヤーから「自分が望まない場所や、敵が集まっていない場所にスキルを使ってしまう」というフィードバックが多く届きました。
どうするか考えた結果、スキルボタンを直接タップするだけでなく、スキルボタンを発動したい場所までドラッグすることで、望んだ場所を指定して使えるようにしました。
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弥電学園のコンテンツで印象に残っているのは「ゆもみ君」
──5月にインタビューを行った際に、弥電学園の探索や親密度システムが存在すると伺いました。どんな狙いで作成したのでしょうか。
キム
弥電学園に関するコンテンツを作った理由は、単に戦闘以外のコンテンツをもう1つ作るためではありません。
原作を知っている方々には、キャラクターの新しい一面を見ていただきたかったのです。また、原作を知らない方々には、自分が好きになったキャラクターについて、より詳しく知ってもらえればと思い、制作しました。
──弥電学園の探索中に発生する、ゲームオリジナルのキャラクター同士の掛け合いのようなもので、印象に残っているものを1つ教えていただけますか?
キム
原作では訓練用の「人口電子」として登場する「ゆもみ君」というキャラクターが、すごく印象に残っています。
ボイスでは、「フン」「フンフン」としか言わないのですが、テキストで書かれた内容を見ると「正しい行動をしなさい」「規則を守りなさい」など、生徒を訓戒するようなセリフだとわかり、そのギャップが面白かったです(笑)。
「4属性×5ロール」の設計思想と、縁城蒼吏の複数のバージョンの存在
──本作において、属性数とロール数を「4属性×5ロール」という形に決めた理由を教えてください。
キム
新しいキャラクターと既存のキャラクターとの組み合わせを作るという観点で、最適な数字だと考えたためです。
あとは、あまり複雑にしすぎると覚えられなくなってしまうと思うので、シンプルにしました。

──属性について、作品では「縁城蒼吏」が炎上系、「亜科伴」が凍結系というように、作品の属性とはまた違った属性が出てきます。各キャラの電能を、本作における属性にどのように分類されましたか?

キム
最初は炎上系や凍結系などがとても魅力的で、属性としてそのまま使うのが良さそうだと思いました。しかし、作品を知らない人にとっては、理解するのが難しいかもしれないと考えました。
そのため、キャラクターの電能をゲームの属性と無理に1対1でマッチングさせませんでした。その代わり、電能をスキルとして戦闘で発揮できるようにすることにしました。
例えば、縁城蒼吏には、「ミューチューバーの縁城蒼吏」と「弥電学園入学後の縁城蒼吏」の2つのバージョンが登場します。ミューチューバー版は「煽りんご」と呼ばれていた特徴を具現化しており、スキルを使用するとモンスター同士が互いに攻撃し合います。一方、弥電学園版は、電能「鬼火炎」を具現化しています。

▲TGS2026のデモ版でも選ぶことができた、弥電学園版の縁城蒼吏
──本作では、強化カード選択制のローグライトゲームによくある、「特定の組み合わせが最適解になってしまう問題」にどう対処されていますか?
キム
特定の選択肢が正解になってしまうと、それを引けた時は面白いのですが、引けなかったときにストレスになってしまう、という問題があります。
私たちは、本作を単なるローグライトではなく「チームローグライト」として開発しています。個性のあるキャラクターを様々な組み合わせを試せる設計にしています。

例えば、状態異常「火傷」を付与するキャラクターがいて、火傷状態の敵に追加ダメージを与えるキャラクターもいます。さらに、攻撃回数を増やすキャラクターもいます。それぞれを組み合わせると、シナジーが機能するといった形です。
正解は1つではないので、ぜひいろんなキャラクターの組み合わせを楽しんでいただければと思います。
──本作のPvPは、どのような設計になっていますか。
キム
ストーリーモードでは5人でチームを組んで操作しますが、PvPでは6人でチームを編成できます。TGSのデモ版で体験できるストーリーモードとは、また違ったバトルですね。
PvPは非同期の自動戦闘です。キャラクターは前衛・後衛に分かれており、2×7マスにどう配置するかを考える必要があります。対戦相手のキャラクター編成は見えるのですが、配置までは見えないので、そこで駆け引きが生まれます。
──6人なら、一階乙組や一階甲組の生徒でチームを編成できますね。
キム
たしかにそうですね(笑)。
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6月の先行体験テストで見えた、意外な反響と改善
──6月に開催された先行体験テストに関して、参加者の反応で意外だった声はありますか?
キム
世界観やストーリーの原作再現について、ゲームオリジナルの要素も含めて、大変好評でした。
例えば、物語の序盤に霞流括が除霊をするために縁城蒼吏を訪ねますが、その間「残りの一階乙組のメンバーや痣木先生はどこで何をしていたのか?」という部分は漫画でもアニメでも描かれていません。
私たちはその部分も表現する必要があると思い、オリジナルで作りました。その結果、非常に高い評価をいただけたので、とてもやりがいを感じました。

もう1つ意外だったのが、多くの方がストーリーやたくさんのステージをクリアしてくださっただけでなく、操作が簡単だと評価していただいたことです。
既存のモバイルローグライトゲームの多くは、1人のキャラクターを操作します。そのため、「5人を1チームとして操作するのはちょっと難しいかもしれない」と悩んでいたのですが、想定よりもゲームを理解していただけたようで良かったです。
──先行体験テストでは、様々なフィードバックが届いたと思われます、その中で実際にゲームに反映した部分を教えていただけますか?
キム
ステージが少し長いというご意見があったので、より短くなるように調整しました。さらに、便利機能として、倍速やスキップなどの機能も追加しています。
また、戦闘中に画面に表示される情報が多く、チュートリアルが少し足りなかった部分があると思いました。そこで、各キャラクターのスキルの効果や、レベルアップ時の強化要素などを一目で確認できる「記録室」にも、チュートリアルを追加しました。
──先行体験テストでユーザーから評価が高かったコンテンツを教えてください。
キム
ゲームオリジナルの要素以外だと、ロビーに好きなキャラクターを配置したり、背景を変えたりできるコンテンツの評価が高かったですね。
グローバル同時配信は「ワンビルド」でのサービスへ
──iOS/Android/PC(Stove)でのグローバルでの配信ということですが、日本と他の国、リージョンごとの運営やイベントの設計に違いを持たせる予定はありますか?
キム
iOS/Android版を先にリリースして、その後Stoveを通じてPC版もリリースする予定です。
地域別の違いはありません。どの地域のユーザーでも、同じゲームを楽しんでいただけるように、ワンビルドでサービスを運用予定です。

──現在の開発状況はいかがでしょうか?
キム
ローンチに向けた開発は、ほとんど完了しています。今回のTGSやその他のテストプレイの反応を見ながら、ブラッシュアップして完成度を高められればと思います。
読者へのメッセージ
──正式サービス開始を待つファンに向けて、メッセージをお願いできればと思います。
キム
作品のファンの方々には、自分が好きなキャラクターでバトルを楽しんでいただきたいです。また、作品を知らないプレイヤーには、本作を楽しみながら、作品やキャラクターについて知っていただければ嬉しいです。
ローンチ後もみなさんの声に耳を傾けながら開発を進めていきますので、たくさんフィードバックをいただければと思います。本日はありがとうございました。

──ありがとうございました。
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©渡辺静/講談社 © Smilegate & IAN Games All Rights Reserved.
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GameWith編集者情報

| 小学生のときにゲームボーイを買ってもらったことがきっかけでゲーム好きになる。 「ポケットモンスター」シリーズや「パワプロクンポケット」シリーズ、「逆転裁判」シリーズが好き。 特にハマっているスマホゲームは『ポコロンダンジョンズ』で、8年間プレイし続けている。 休日は、『ポケモンGO』のために、いつもどこかを歩きまわっている。 |
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