待ちに待った「ドラクエ」新作! 『ドラゴンクエスト トレジャーズ』をクリアレビュー!
2022年も、本当にたくさんのゲームが発売された。
そして「2023年は、いったいどんなゲームと出会えるだろう……」と、少しずつ想いをはせ始めている人も居るのではないだろうか。
しかし、そんな想いに「待った」をかけるゲームが現れる。
「2022年はまだ終わっていない!」と言わんばかりに登場した、今年を締めくくるかのようなビッグタイトルがこちら!
2022年12月9日(金)に発売のNintendo Switch対応ソフト『ドラゴンクエスト トレジャーズ 蒼き瞳と大空の羅針盤』(以下、DQトレジャーズ)。
本作は、言わずとしれた国民的RPG「ドラゴンクエスト」シリーズのスピンアウト作品だ。
そしてこの記事では、ナンバリング作品から派生作品までほぼ全ての「ドラゴンクエスト」作品をプレイしてきたと自負する、「ドラクエ」ガチ勢のライターが、本作のクリアレビューを紹介していく。
なお、ストーリーの根幹に関わるネタバレは無いので、本作を購入しようか迷っている人も安心して読んでいただきたい。
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忘れかけていたドラクエとの思い出、このゲームで掘り起こせます。
実は筆者は本作をプレイする前、1つ思い違いをしていた。
というのも、主人公が『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』に登場する盗賊「カミュ」とその妹「マヤ」の2人だったので、
『ドラゴンクエストXI』を遊んだことがある人向けのゲームなのかな……?
と思っていた。
しかし実際にプレイしてみた感想としては、全くそんなことは無い。
むしろ『ドラゴンクエストXI』に限らず、何かしらのドラクエ作品を遊んだことがある人なら誰でも楽しめる要素が無数に散りばめられている、という印象が強い。
そしてその理由は、本作のテーマにもなっている“お宝探し”にある。
数々の「トレジャー」から感じる、ドラクエへの深すぎる”こだわり”
お宝探しは、風土の異なる5つの浮遊島を探索し、各地に埋まった何百種類もの「トレジャー」を発掘していくというもの。
プレイヤーの好きな順番で浮遊島を探索できる自由度の高さと、広大なフィールドを駆け回る気持ち良さは、是非とも実際のプレイで味わってほしいところだ。
そして最も注目したいのは、多彩でユニークなトレジャーの数々。
トレジャーという言葉のイメージから、伝説の装備やアイテムといった希少価値の高いものを想像するかもしれないが、本作のトレジャーは「ドラゴンクエスト」というシリーズの36年に渡る歴史を体現するようなものになっているのが面白いポイント。
以下、ドラクエ好きの筆者の心をグッと掴んだトレジャーを紹介していく。
■懐かしさで筆者がスーパーハイテンションになったトレジャー5選!
■マニアックすぎて思わず笑ってしまったトレジャー5選!
ナンバリング作品に関連したトレジャーだけでなく、『星のドラゴンクエスト』や『ドラゴンクエスト ライバルズ』といった派生作品のトレジャーも用意されており、まさに感動の一言。
全トレジャーの具体的な数については、クリアしてからのお楽しみ。
軽く数百種類は用意されているので、コンプリートを目指すとなると凄まじくやりがいのあるコンテンツとなっている。
ちなみにお気に入りのトレジャーは拠点に飾ることも可能で、自分だけの思い出に浸れる空間づくりが楽しい。
トレジャーを発掘していくことで、まるで自分とドラゴンクエストとの思い出を掘り起こしているような気持ちになれる点は、本作でしか味わえない最高の魅力と感じた。
難しい!と遊びやすい!の共存。お宝探しの快適さも追求したバトルシステム
本作のバトルはナンバリング作品でおなじみのコマンドバトル形式ではなく、3Dアクションだ。
「カミュ」と「マヤ」は短剣を使って自分のモンスターと一緒に戦う事ができるほか、本作では「スリングショット」というアクションにより、臨機応変な戦い方を楽しめるようになっているのが見どころだ。
「スリングショット」の面白い点は、弾丸の種類によって攻撃・回復・援護など様々な役割を果たせるところ。
弾丸はバトル中に切り替えることが可能なので、敵に合わせて有効な弾丸を選ぶことが重要だ。
特に強敵との戦いでは素早い判断が求められるので、かなり操作は忙しい。
何も考えずに攻撃しているだけでは仲間がやられてしまうし、常に戦況を見ながら適切なアクションで立ち回らなければいけない難しさもある。
しかし難しさもある反面、「スリングショット」を使いこなせるようになってくるとバトルは格段に楽しくなる。
上手く立ち回って強敵を倒せたときの達成感もバッチリ。
敵は無視しても大丈夫!? バトルそっちのけでお宝探しに没頭できる遊びやすさ
手ごたえのあるアクションが楽しめる一方で、フィールドで出会うモンスターたちとの戦いはぶっちゃけ無視しても大丈夫なシステムになっている点も面白い。
繰り返しになるが、『DQトレジャーズ』の醍醐味はあくまでも“お宝探し”。
そのため、プレイヤーが存分にお宝探しに没頭できるよう、フィールドでモンスターと出会ったときには仲間モンスターがオートでバトルをしてくれるのだ。
「しっかりバトルを楽しみたいな〜!」
と思ったら自分もバトルに参加すれば良いし、
「今ちょっとお宝探しで忙しいんで……」
というときにはバトルを仲間に任せて、自分はのびのび探索すれば良い。
おかげでレベル上げもストレスフリー。
プレイヤーの気分に合わせてバトルの楽しさと遊びやすさを両方味わえる、快適なシステムだと感じた。
また、仲間モンスターが増えてくるにつれて「手動のプレイヤー+自動行動のモンスターから最適なメンバーを選ぶ」という、パーティ編成における戦略性が増してくる点も見逃せない。
モンスターを攻撃役で固めて「カミュ」「マヤ」は回復・補助に専念するか、逆にモンスターに補助を任せて「カミュ」「マヤ」は攻撃役に徹するか、プレイヤーの好みに合わせた戦闘スタイルを楽しめる。
仲間モンスターの特徴も活かしつつ、これまでにない新しいドラクエの戦い方を味わえるポイントだ。
仲間モンスターと育成要素について紐解く! 「ドラゴンクエストモンスターズ」シリーズとは違う?
最後に本作の重要な要素、モンスターを仲間にできるシステムについても触れておこう。
仲間モンスターといえば、「ドラゴンクエストモンスターズ」シリーズを思い浮かべる人が多いのではないだろうか。
かくいう筆者も、『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド』に青春時代を捧げた人間のひとりだ。
というわけでここからは、仲間モンスターの育成やシステム周りのプレイフィールを紹介していく。
仲間モンスターの育成要素はシンプルな仕上がり
モンスターを仲間にするためには、まずフィールドに居るモンスターを倒してスカウトを成功させる必要がある。
その後、指定のアイテムをスカウトしたモンスターに渡すことで、パーティメンバーに加わるという流れだ。
例えば「ドラゴンクエストモンスターズ」シリーズでは、モンスターを仲間にしたらモンスター同士を配合して強化したり、受け継ぐ特技や呪文を選んだり、育成に関する様々なやり込み要素が楽しめた。
しかし本作ではそういった要素は無く、スカウトしたモンスターを仲間にしてレベルを上げていくのが主で、かなりシンプルなものになっている。
個人的な欲を言えば、モンスターの育成をもっとやり込みたかったという気持ちはある。
しかし、「スリングショット」をはじめとした本作にしかないアクションや戦略性も充分にあるため、“お宝探し”というコンセプトに合わせて洗練されたシステムとして見ることもできるだろう。
また、本作独自の「コイン装備」についても紹介しておきたい。
モンスターを倒した際、ランダムに入手できるコインを装備することで、ステータスを底上げできるシステムだ。
コイン集め自体はやりこみ要素としての楽しさもあり、ハマるプレイヤーも多いだろう。
しかしシリーズファンの筆者としては、いっそのことコインではなくトレジャーで入手した伝説の武器や防具を装備できる方が嬉しかったようにも思う。
もしトレジャーが装備できたとしたら、伝説の装備を発掘できたときの喜びも倍増していたかもしれない。
フィールド探索が楽しくなる「探索れんけい」と、バトルで便利な「ロマン技」
仲間モンスターの力を借りて特別なアクションができる「探索れんけい」のおかげで、フィールド探索がさらに楽しくなる点はとても好印象だった。
例えばフィールドを素早く移動したければ「探索れんけい」のダッシュを使えるモンスターでパーティメンバーを揃えたり、編成にプレイヤーの性格が反映されるところも面白い。
また、バトル中に貯まるロマンゲージを消費して放つ「ロマン技」も便利な要素だ。
基本的に仲間モンスターはオートで戦闘してくれるが、ロマン技を放つタイミングはプレイヤーが決められる。
特に大量のモンスターを一掃したいときに使うと強く、ピンチを切り抜ける手段として重宝した。
評価点・総評
ゲーマー向け評価
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コンテンツ量 4点
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自由度 3点
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ソーシャリティ 3点
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BGM 5点
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グラフィック 3点
-
感情移入 3点
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ゲーム性 3点
カジュアル向け評価
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コンテンツ量 4点
-
自由度 3点
-
ソーシャリティ 3点
-
BGM 5点
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グラフィック 3点
-
感情移入 3点
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敷居の低さ 4点
- ドラクエ愛に満ちたトレジャーの作り込み・こだわり
- 程良い手ごたえと快適さを両立させたバトルシステム
- 数百種類にも及ぶトレジャーを集める超ボリュームのやりこみ要素
- 仲間モンスターとの連携でフィールド探索が楽しい
- 少し大味になったモンスターの育成要素
- 展開が少しシンプル(集めたトレジャーの活用方法があると、なお良かった)
まとめ 〜育成はシンプルに、お宝探しは無限大に〜
仲間モンスターの育成要素はシンプルなシステムに落ち着いた印象だが、「ドラゴンクエスト」シリーズを好きな人であれば懐かしさと感動に浸れること間違いなしのゲームだと感じた。
メインストーリーは20〜30時間でクリアできるが、トレジャーやクエストのコンプリートを目指すと余裕で100時間は遊べるボリュームだろう。
自分だけのドラクエの思い出を掘り起こしたい人は、果てしないお宝探しの大冒険に出かけてみてはいかがだろうか。
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