角満のゲー漫 第53回!今回は「何をしてもいい、何もしなくてもいい」そんなスローライフを満喫できる『牧場物語 オリーブタウンと希望の大地』を紹介!『あつ森』との違いも含めて語ってくれます。
大塚角満の「ココ」が凄かった!!
『あつ森』でスローライフなゲームの楽しさを知った人たちの、格好の受け皿と言っていい佳作! のどかな牧場に身を置いて、自由気ままに生活することのすばらしさよ!!
自由度 | ★★★★(4) 木の伐採や鉱石採取、そしてメインの作業となる農業など、近ごろリアル世界でも流行りになりつつある田舎暮らしのミニチュア版みたいなゲーム。時の流れが早いのでちょっと焦るけど、自分の匙加減で好き勝手に暮らせます! |
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やり込み度 | ★★★★★(5) “牧場”の空気感はもちろんなんだけど、オリーブタウンの街の人や登場キャラクターも総じて“のんびりほのぼの”って感じなので、癒し度は満点だと思います! |
ロー度 | ★★(2) 唯一、「むむ!?」と思ってしまったのが、場面切り替えのたびに短くないローディングが入ること。しかも何度かフリーズしたことがあったので、アップデートで何とかなるなら修正してほしいです! |
『牧場物語』で田舎暮らし
俺は、群馬県の西の端にある小さな都市……というにはあまりにも小規模な下仁田町の出身である。
ネギの王様と言われる“下仁田ネギ”と、全国の生産量のじつに9割以上を占めるコンニャクについては圧倒的、絶対的なプレゼンス(存在感)を誇る町だが、そのほかに目立った産業も乏しく、人口も年々減少しているので、群馬県民以外で訪れたことがある人はあまりいないのではあるまいか。
そう、要するに典型的な田舎町出身なのだよ俺は。
“目立った産業も乏しい”と書いたばかりだけど、生まれ育った者からすれば、必要最低限のものはそろっているこじんまりとした商店街はあるし、映るテレビ番組は東京のソレとまったく変わらんし、なによりも雄大な自然があるしで、なかなかに住みよい場所ではあるのだ。
……なんてことに気が付いたのは、40歳を大きく過ぎて、いろいろな事象を俯瞰で見られるようになった最近なんだけどね。
1日中遊び倒せるようなレジャー施設も、夜通し飲めるような居酒屋もないけど、その“何もない”ってこと自体に大きな価値があるというか……。
歳を取って、こうした境地に達したからこそ、いま手の中にある“このゲーム”にも強く惹かれてしまったのかもしれない。
そう、俺はいま『あつ森』と並行して↓こちらのゲームでもスローライフを満喫してしまっているのだ!
2月25日に発売されたマーベラスのNintendo Switch用ソフト『牧場物語 オリーブタウンと希望の大地』であります!!
何をしてもいい、何もしなくてもいい
『牧場物語』シリーズはいまさら説明するまでもなく、こういった箱庭的スローライフゲームの“草分け”と言っていい存在だ。
1作目である『牧場物語』が発売されたのは、なんといまから25年も昔の1996年8月。
対応ハードがスーパーファミコンということからも、いかに歴史の長いシリーズであることがわかると思う。
当時、俺はすでにファミ通編集部に所属していたが入社2年目のぺーぺーで(正社員ですらなかったな)、先輩編集者が、
「『牧場物語』っていう変わったゲームが出るけど、絶対ヒットするからいろいろ企画考えよう!」
なんて話していたのをナゼかよく覚えているわ。
実際、『牧場物語』の“ありそうでなかった”のんびりライフを堪能するゲーム性は多くのゲームファンに受け入れられ、まもなくヒットシリーズの仲間入り。
この25年間であらゆる年齢層に訴求できる鉄板タイトルに成長したのであった。
そんな『牧場物語』を俺がプレイするのは……おそらく15年ぶりくらい。
あくせくしない非戦闘系のゲームは大好きなんだけど、しばらく遊んでいなかったせいで、
「『牧場物語』の新作が出るみたいだけど……ここんとこやってなかったから、今回もパスかなぁ^^;」
なんて対応が続き、気が付いたときには15年もの月日が流れていたって感じだ(苦笑)。
でも、Nintendo Switchで出る完全新作ってことと、盛んに流れているテレビCMを見て、
「これ、楽しいに決まってるじゃん!!」
と確信。スローライフゲームは『あつ森』も現在進行形で遊んではいたが、
「それはそれ!!w コレはコレってことで!!!w」
そうナットクして15年ぶりの牧場ライフに突入したのであった。
そして現在、プレイを始めてから5日目なのだが、時間も忘れて遊び込んでいくうちにいろいろなことがわかってきたよ。
まず、同じようなスローライフゲームではあっても、『牧場物語』は『あつ森』とは“似て非なるゲーム”ってこと。
いやもちろん、そこはかとないのどかな雰囲気とか、牧歌的な空気感は似ているんだけど、リアルな時間の中でひたすらダラダラ遊ぶ『あつ森』と、早回しで進む時の中であらゆること(農業、採掘、飼育、人付き合い、イベントなどなど)をこなす『牧場物語』では、見える景色がまっっっっったく違うのだ。
おそらく、『あつ森』好きが高じて『牧場物語』に流れてくるユーザーも多いと思うけど、そんな人にはまず、
「ゲームサイクル、まったく違うからね!」
ってことを教えてあげたい。どちらがいい、悪いではなく、時間に追われて作業をするシーンが『牧場物語』のほうが圧倒的に多いので、昼寝気分で遊ぼうと思っていた人は、
「うお。めっちゃやることあるじゃん!!」
と面食らうと思うんだよね。
逆に、より能動的に、自分の行動そのもので世界を作っていきたいと考えているアグレッシブなプレイヤーは、
「こういうゲームこそ待っていた!!w」
と歓喜するに違いない。
「今日は1日、木だけを伐って素材の充実を図ろう!」
と決めたら、ひたすら木を伐っていてもいい。
逆に、
「牧場仕事はお休みだ! オリーブタウンに出て、人とのコミュニケーションに時間を費やそう!」
なんて思ったら街に出ればいい。
やることはたくさんあるけど、何をしてもかまわない。
ゲームゲームしている……と言ってしまえばそれまでなんだけど、のんびりライフの中にあっても仕事が山積みにある……ってのは、ある意味、理想のセカンドライフって気がするw
ゲームとリアル世界をごちゃ混ぜにしちゃってるけどさw
俺はとりあえず、農作業をコツコツと進めて作れる作物を増やし、畑を広げつつ、
街で女子を口説くことに全精力を傾けている(オイ)。
そんなテキトーな毎日でもなかなかに充実していて、
「よーし、明日も農作業がんばるぞ!!」
なんて思える自分がかわいいです。
これ、しばらく遊び込んじゃうなー。
忙しいのに、時間を取られてうれしい悲鳴です^^;
(おおつかかどまん)
20年以上にわたりファミ通で記者、編集長などを務めつつ、自ら著者としてゲームプレイ日記の単行本、『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズなどを上梓。ベストセラーとなる。2019年より独立し、パズドラのストーリーダンジョンのシナリオ担当を務めるなど、活動の幅を広げている。 |
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