角満のゲー漫 第35回!今回は初代から約20年!『ピクミン3 デラックス』の体験版をプレイ!大ヒットしたCMソングの話から始まり、ピクミンたちの健気さ、そしてゲームシステムの完成度の高さなどを愛情たっぷりにお伝えしてくれます。
総評!「ココ」が凄かった!
便宜的にリアルタイムストラテジーと書いたけど、厳密にはそれにも当てはまらないかもしれない。言ってしまえば“ピクミンというジャンルのゲーム”って感じかも。唯一無二なゲーム性はクセになります。
唯一無二度 | ★★★★★(5) 部下(ピクミン)を増やして的確に指示を出し、惑星を開拓していくというゲームだけど……そのプレイ感覚は絶対に他では味わえない。独創的なゲームを遊びたい人にピッタリ。 |
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ワチャワチャ度 | ★★★★★(5) 数百匹のピクミンを引き連れて歩いているだけで、すでに楽しいというw また本作はロックオン機能で狙いが定められるようになったので、ゴチャつきながらも快適な操作ができます。 |
操作ムズい度 | ★★★(3) これは多分に、筆者がおっさんだから仕方ないのだが、素早くピクミンに指示を出しつつ移動したり、状況判断したり……ってことがなかなかにして難しい。ま、そこがおもしろいところでもあるんだけど! |
当時を思い出しながら
この原稿を書くにあたり、
「そう言えば……コレの第1作目を遊んだのって、いつのことだっけ??」
と、やめときゃいいのに調べてしまい、
「は、はい……??
じゅじゅじゅ、じゅうきゅうねん(19年)まえ……!??
そそそ、そんなに経つの……?? あの歌を聞いてから(((( ;゚Д゚)))」
時の流れの早さにショックを受け、加齢とともにピクミンの如くよく抜けるようになった頭髪を掻きむしりながら、
「ひっこぬか~~~れてぇ~~~……あなただけに~……ついてゆくぅぅぅ……」
寂しく口ずさんで新宿の雑踏に消えていきそうになったわ(苦笑)。
そう、もう19年も経つのだよ……。
現在、ニンテンドーeショップで体験版が好評配信中のNintendo Switch用ソフト『ピクミン3 デラックス』に通じるシリーズ第1作、ニンテンドーゲームキューブ用ソフトの『ピクミン』が発売されてから……。俺の感覚ではなぜか、
「『ピクミン』って、けっこう最近でしょ? ハードはWiiかWii Uだよね??」
こんな感じだったので、余計に驚いたわ……。
そうかあ……。
あれから……2回目の成人式を迎えられるくらい時間が経っちゃったんだなぁ……(シミジミ)。
というわけで今回は、期せずして俺を時間旅行に連れて行ってくれた『ピクミン3 デラックス』の体験版を遊んでみました!!
ピクミンの思い出
『ピクミン』の1作目と出会ったとき、俺はまだ30歳になったばかり。
ゲーム記者としての仕事が俄然楽しくなってきたのと同じタイミングだったと思う。
立場的にはすでに副編集長とかになっていたと記憶しているけど、みずから現場で取材やインタビューをし、テープ起こしから原稿書き、レイアウトのラフデザインまですべて自分でやらないと気が済まなかった俺は、ネタになりそうなものを見つけては電話やメールで取材交渉をし、その場に飛んでいって話を聞く……なんてことを毎日行っていた。
……って、いまもあんま変わらないけどw
そんな俺のもとに飛び込んできたのが、任天堂のレジェンド、宮本茂さんが携わった異色作『ピクミン』と、そのCMソングが変わった売れ方をしている……というニュースだった。
『ピクミン』に関しては、ニンテンドーゲームキューブが発表されたときのデモ映像『スーパーマリオ128』(無数のマリオがわちゃわちゃと走り回る映像だった)の思想を元に作られた“リアルタイムストラテジーのようなゲーム”ということで、発売前からファミ通編集部でも大きな話題になっていた。
俺も当時、『エイジ・オブ・エンパイア』シリーズに代表されるリアルタイムストラテジーにめちゃくちゃハマっていたひとりだったので(このころは「もっとも好きなゲームは?」と聞かれたら『エイジ・オブ・エンパイア』と答えていたほどw)、『ピクミン』には興味津々。
「発売されたら、絶対に遊び込むぞ!!!」
武者震いするレベルで楽しみにし、実際に発売日に手に入れて、家にも帰らずに編集部で遊びまくっていたことを覚えているわw
そんな2001年11月に飛び込んできたのが、「『ピクミン』のCMソングが、ゲームを知らない人のあいだでも話題になっている」というニュースだった。
聞けば、CMで流れる物悲しいメロディーと、それに乗せて歌われる、
「ひっこぬか~~~れてぇ~~~……あなただけに~……ついてゆくぅぅぅ……♪」
という一途で切ない歌詞が、
「会社員の悲哀を歌ったものだ!」
「雇われ人の悲しさよ!!><」
「それでも俺たちは馬車馬のように働かなきゃいけないんだ!!」
と、新橋あたりで毎夜クダを巻いているサラリーマンに大ウケ。なんと、ソフトの販売本数をはるかにしのぐ90万枚(!)を超えるCDセールスを記録したというのである。
この当時はまだ子どもだったウチの事務所のスタッフも、
「『ピクミン』のゲーム内容はまったく知らないけど、「ひっこぬか~れて~……」っていう歌はバッチリ覚えてるでww」
というくらいだから、どれほど社会に浸透していたのかがよくわかる。
まあとにかく、ゲームだけでなくそれを取り巻く事象にも注目が集まっているとなれば、取材するには持って来いの題材だ。
俺は急いで部下たちに指示を出し、CMソングを歌っていた“ストロベリー・フラワー”のインタビューに向かわせ、俺はひとり編集部で『ピクミン』に興じていたのであった(ゲームしてただけじゃねえか)。
体験版を遊んでみて
それくらい、思い出深いゲームなのだよ『ピクミン』は。
しかし、俺が夢中で遊んでいたのはホントの本気で19年前の1作目で、その後リリースされた『ピクミン2』(2004年発売のゲームキューブ用ソフト)や『ピクミン3』(2013年発売のWii U用ソフト)はまったくもってプレイしていない。
なので正直、今回の『ピクミン3 デラックス』体験版のプレイ前は、
「やべえ……。遊び方を1ミリも覚えてないぞ……」
と震え、挙句の果ては、
「俺……ホントに『ピクミン』で遊んだことあったっけ……(((( ;゚Д゚)))」
そんなことまで思った。19年もの空白の期間は、あれだけ夢中になって遊んだゲームの記憶すらあいまいにしてしまうものなのであるよ。
というわけで、ほぼ初見のつもりでゲームに臨むことにした。そういう意味では、序盤が遊べる体験版は誠に都合がよろしい。
画面の導きに従って、ゲームを進めていく。
本作はWii U版の『ピクミン3』を、より豪華に、より遊びやすく、そしてより遊びごたえがあるように作り直した意欲作だ。
初めて『ピクミン』に触れる人はもちろん、俺のような(ほぼすべてを忘れている)回帰ユーザーにもピッタリである。
ゲームの目的は、植物とも動物ともつかない未知の生物“ピクミン”を増やして引っこ抜き、壁を壊したり、モノを動かしたり、道を作ったり、敵と戦ったり……といった作業をさせながら惑星を探索することだ。
ピクミンにはいろいろな種類がいて、たとえば火に強くて戦いに適した“赤ピクミン”や、
頑健な身体で壁もガラスもぶっ壊してくれる“岩ピクミン”、
さらに電気が好きな“黄ピクミン”、空を飛べる“羽ピクミン”、水中での活動ができる“青ピクミン”など何種類も存在するので、シチュエーションによって指示を出すピクミンを素早く切り替え、適材適所の活躍をさせることで惑星探索がスムーズに進むようになっている。
ピクミンたちはひたすら健気にプレイヤーについて回り、どんな指示にもイヤな顔ひとつせずに対応しようとする。見るからにヤバい怪物が現れ、
「かなりの確率で、自分は食われてしまうだろう……><」
と確信したとしても、
「いけええええ!!! 引くことは許さぬ!!! 立ち向かうんだ!!!」
と指示を出せば、
「御意ッ!!!」
と叫んで(叫ばないけど)突入をする……。
このへんまで遊ぶと、メロディーが頭にこびりついている人は間違いなく、無意識のうちに口ずさんでいるはずだ。
「ひっこぬか~~~れてぇ~~~……あなただけに~……ついてゆくぅぅぅ……」
上司(俺のことね)を信じ、明日の発展のために命すら投げうって突入するピクミン。
そんな、一直線な部下(ピクミンね)のことをよく知っているから、
「少しでも効率的に!! 犠牲を出さぬよう!!><」
と、最善を尽くそうとする上司の図……。
……うん、これはまさにサラリーマン社会の縮図かもしれん(苦笑)。
しかし19年ぶりに遊んでみたけど、やっぱり『ピクミン』はリアルタイムストラテジーとしても非常によくできたシステムだなと感心させられた。
的確な状況判断とテキパキとした操作ができるようになると、芸術的なまでに美しいエコサイクルが画面上で展開され、環境ビデオとして見ているだけでも楽しくなってしまう。
「キミたちはこっちで戦って! あ、おまえらは道を作ってな!! ハイ、手が空いた子は集まって! 先に進むよ!!」
大勢の部下に指示を出す姿は、会社の上司というより
戦国時代の将軍そのものだろう。
かわいいピクミンたちに快適に働いてもらうために、チャッチャと指示を出せる操作を身に付けたいと思いましたw
(おおつかかどまん)
20年以上にわたりファミ通で記者、編集長などを務めつつ、自ら著者としてゲームプレイ日記の単行本、『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズなどを上梓。ベストセラーとなる。2019年より独立し、パズドラのストーリーダンジョンのシナリオ担当を務めるなど、活動の幅を広げている。 |
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