『ペルソナ5: The Phantom X』CBTプレイレビュー
11月29日(金)から、ATLUSの「ペルソナ」シリーズ最新作『ペルソナ5: The Phantom X』(以下、P5X)のクローズドβテスト(CBT)が実施された。
本作はスマートフォン/PC向けに配信予定のタイトルで、『ペルソナ5』の世界観を基に、新たな怪盗団が活躍していく様を描いている。
今回、GameWith編集部でも、そんな注目のシリーズ最新作を早速プレイ。『P5X』の魅力や実際に感じた所感などをまるっとお届けしていこう。なお、ストーリー序盤のネタバレを含むため、気になる方は注意されたし。
『ペルソナ5』の世界観で語られる、新たな怪盗団の活躍。失われつつある「欲望」を取り戻せ!
何気ない学校生活を送っていた主人公は、学校帰りの駅のホームで、たまたま女性が飛び降りる瞬間を目撃してしまう。しかし、その場にいた誰もが目の前で起きた悲惨な出来事にあまり関心を寄せようしない。そんな奇妙で“何か”が欠けているような瞬間にどこか違和感を覚え始める。
「自分には何もできないだろう」
そう思いながら結局は帰りの電車に乗り込んだ主人公。だが、突然彼の前に人の言葉を喋る奇妙なフクロウが現れたり、車内に自転車ごと乗車してきた配達員が突っ込んできたりと、信じられない混乱の中、謎のスマートフォンアプリをタップしてしまい、やがて異世界へと行き着くことに...。
そんなこんなで異世界にやって来た主人公はルフェルと出会う。ルフェルは、現実世界に住まう人々の「欲望」が失われつつあり、このままでは人が生きるための欲望すらも失われ、やがて世界が終焉を迎えてしまうのだと明かす。
異世界に跋扈する怪物「シャドウ」たちに襲われペルソナを覚醒させた主人公は、ルフェルの“ビジネスパートナー”として、人々から欲望を搾取する原因を取り除くために、歪んだ欲望を持った大人たちを改心させる怪盗として活動していくことになる。
『P5X』は、『ペルソナ5』と同じ世界観ではあるが、主人公と身の回りの環境、取り巻く人物たちが大きく異なっている。
また、この世界では若者を中心に話題となっている動画サイト「磨我痛神(マガツウシン)」が流行しているなど、『ペルソナ5』では登場していない概念も見受けられる。
磨我痛神では事件として立証するのが難しい、迷惑行為を働く人物を“ファントム”に認定し、世間への注意を促しているようだ。謎も多く、本作のストーリー展開においても重要な要素になるのだろう。
今回のCBTでは、主人公とルフェルの怪盗団で共に活動を行うことになるヒロイン、新井素羽(あらいもとは)と浅からぬ因縁を持つ木内雄之(きうちたけゆき)のパレスを攻略する序盤を体験してきた。
木内は将来有望なプロ野球選手だったが、スランプに陥り問題行動が悪目立ちするようになった。結局、スキャンダルが報道されてしまい、メジャー行きやプロ野球選手としての地位も失うハメに。
やがて木内はサラリーマンとして生計を立てながら、人混みの多い駅で女性だけを狙ったぶつかり行為を続ける、いわゆる“ぶつかり男”にまで落ちぶれる。
そしてついに素羽へとその手を伸ばす木内。だが、素羽の親友である野毛朋子が素羽を庇った結果、怪我を負ってしまい朋子の野球選手の夢が潰えてしまう。素羽は親友の姿に心を痛め、木内の改心を改めて誓うのであった。
物語の枠組みやパレスといった異世界の設定を見るに、細部は違えども、本作は確かに『ペルソナ5』の世界観を基に構築されている。だが正直なところ、『ペルソナ5』をプレイしていなくても完全新作タイトルとして、しっかり楽しむことができそうな印象だ。
『ペルソナ5』の主要キャラクターが登場しない...とは言い切れないところだが、少なくとも現段階で「心の怪盗団」を中心に物語が進むわけでもない。
序盤からストーリーの中核に関わる主要人物たちは皆新キャラクターであり、怪盗として活動するキッカケもそれぞれ描写されている。つまり、イチから世界観を楽しむ土台が用意されているワケだ。
メインストーリーはキャラクターボイスに加えてアニメーションも豊富に挟まれる。クオリティの高い体験を楽しめるのは間違いないだろう。逆に『P5X』から『ペルソナ』シリーズに触れてみるというのも面白い。
新たな怪盗団は今後どのような事件に向き合っていくのか。不穏な展開への伏線も随所に散りばめられている本作だが、CBTの範囲だけでも、『ペルソナ5』の新しい世界の一端を垣間見ることができた。
シリーズのバトルシステムを踏襲。パレスの探索要素もガッツリとある
『P5X』のバトルシステムは、従来のシリーズと同様にターン制のコマンドバトルがベースになっている。
なお、『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』では、特定のキャラクター同士で発動可能な必殺技「SHOW TIME」があったが、本作では「HIGHLIGHT」という新たな必殺技が存在する。一人ひとりが持つ固有の必殺技と表現すればイメージしやすいと思う。
また、敵の弱点属性を突いて追撃する「1MORE」と、別の味方に追撃をさせる「バトンタッチ」も確認している。この辺りは『ペルソナ5』を遊んでいるユーザーであれば、すぐに理解できるシステムだ。
バトルシステム
— 【P5X公式】ペルソナ5: The Phantom X (@P5X_Official_JP) November 2, 2024
『ペルソナ5』同様のターン制コマンドバトル
ハイライトという必殺技など『P5X』独自要素があります。
また、主人公の怪盗団をサポートする
「怪ドル」というキャラクターが登場します!
怪盗団同様にメメントスでの冒険に加わり共に戦うキャラクターです。
#P5XJP pic.twitter.com/a9UAvwzXU3
そして、今作の主人公も歴代シリーズと同様に複数のペルソナを使役する。主人公の固有ペルソナ「ヤノシーク」のほか、仲魔にしたペルソナたちを戦闘中に切り替えて使用し、臨機応変に戦略を練ることができる。
ペルソナはダンジョン探索中のバトル終了後に仲間になる場合もあれば、ベルベットルームの「ペルソナ合体」によって入手するケースもある。さらに運営型タイトルらしいところでいうと、スタミナ消費による素材集め感覚で任意のペルソナと戦い、入手するなんて方法も。
新要素として挙げるべき点で言えば、やはり「怪ドル」と呼ばれる概念に尽きる。怪ドルは、物語の中で登場していなくても、主人公と何らかの形で接点を持ち「認知」された人物など(過去無意識に知り合った場合も含む)が、具現化して異世界で共に活動してくれるというものだ。
彼らはプレイヤーをサポートしてくれるベルベットルームの住人・「メロペ」によって生み出された存在であり、擬似的なペルソナ能力「ペルソナDuo」を扱うことができる。ちなみに自我っぽいものもちゃんとある。
怪ドルは主人公が認知した存在らしいので、現実世界にはその基となった人物がいると考えられる。なので、今後物語が進んでいけば主人公と何らかの形で絡むことがあるかもしれない...。
物語上でターゲットを改心させるにあたって、主人公たちはパレス最深部にある「オタカラ」を盗み出すことになる。『ペルソナ5』では指定された期日以内にそこに至るルートを確保しなければならなかった。
本作ではそうしたカレンダーによる日数のカウントダウンこそないものの、改心させる人物の歪んだ欲望が反映されたパレス攻略の要素はしっかり用意されている。
CBTで体験した木内のパレスには、野球に関するものと部分的にナイトクラブをイメージした光景などが見られた。
謎解きギミック系もふんだんに盛り込まれ、本筋のダンジョン攻略ルートとは関係ない、探索可能な寄り道エリアまで存在するこだわりようである。
ちなみにダンジョンを一定層まで進めると敵が強力になり、プレイヤーレベルを上げるように言われる。プレイヤーレベルはストーリーミッションや異世界の探索、素材獲得系のバトルといったものをこなして上げることができた。
物語の中で徐々に明らかになっていく木内の過去が気になり、筆者もせっせとプレイヤーレベルを上げていくわけだが、目標レベルまでの道のりは遠い。その分キャラクターたちを抜かりなく育成できたので、どのバトルコンテンツも快適な進行を見せてくれた。
シリーズの醍醐味である日常生活を心ゆくまで楽しめる!
『P5X』が運営型のタイトルとして展開されるにあたり、カレンダーの時限要素が存在していないというのは、ファンにとっても新鮮に感じられる部分だ。シリーズの魅力でもある日常生活を、自由に楽しむことができるのは間違いなく大きなポイント。
渋谷から電車を乗り継いで気になる場所へ向かっても良いし、資金調達のためにアルバイトを掛け持ちするのも問題ない。もちろん、異世界の探索を続けたって自由である。
ライブサービスである特性上、ストーリーコンテンツや街中でのサブクエストなどもアップデートで追加されるであろうから、本作はこうした日常生活部分を長く楽しむことができそうだ。
主人公がどんな行動を取ったかで人間力が磨かれる「人間パラメータ」も備わっている。学生なのでマメに勉強をしておいた方が良さそうな気がしてしまうのは、シリーズ経験者あるあるだろうか。
特定のキャラクターとの仲を深めるコープの要素は、本作だと「シナジー」という名称に置き換えられている。
シナジーのランクを上げていくと、ペルソナ合体で生み出せるペルソナが増えたり、ダンジョン探索を有利にする機能などが解放されたりするようだ。
なお、一部キャラクターのシナジーランクを一定の段階まで上げると“恋人”になれるのだとか...?
シナジーとは直接的に関係ないところでも、個性溢れるキャラクターたちとの日常を楽しめる。ちょっとしたサブミッション感覚で始めたイベントが、思いのほか良いものだったりするので、街中をあちこち見て回りながら学生らしい日常生活を謳歌したいところだ。
CBTの範囲で考えると、『P5X』は『ペルソナ5』のスピンオフ作品のように感じる部分もあるが、実質的にはその世界観を使った完全新作といった手応えに近い。
物語が進めば「心の怪盗団」メンバーたちが登場する可能性は高いだろうが、要所的に『ペルソナ5』とは異なる概念が存在している本作が、はたしてどのような展開になっていくのか大変興味深いところだ。
また、今回触れた範囲だけでも遊べるコンテンツが多岐にわたって存在していた。本稿で触れはしなかったが、育てたメンバーでハイスコアを競うバトルやシーズン制のエンドコンテンツも確認している。
本作はモバイルでもプレイできるタイトルだが、決して侮れないゲームボリュームとクオリティが確かに担保されている。あとは、製品版の登場までにどれだけ快適なゲームプレイを実現できるかといったところ。今後のアップデート内容にも期待したい。
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