
『BrokenLore』シリーズゲームデザイナー、セバスチァーノ・セラフィニー氏インタビュー
※本記事にはホラーゲームの過激な描写を紹介する箇所がございます。苦手な方はお気をつけください。
SNSを開いた瞬間、誰かの「最高の一枚」が目に飛び込んでくる。
わかっているはずなのに、比べてしまう。追いかけてしまう。数値に縛られてしまう。
PC、PS5、Xbox Series X│S向けのホラーアクション『BrokenLore』シリーズ最新作『BrokenLore: UNFOLLOW』が描くのは、まさにその「逃げられない感覚」だ。
このたびGameWithでは、本作の体験プレイとゲームデザイナー、セバスチァーノ・セラフィニー氏へのインタビューの機会をいただいた。
本作が描くテーマの背景、クリーチャーに込めた意味、シリーズの全体像、そして今作で大きく変わるボリュームや遊びの幅について話を聞いた。

セバスチァーノ・セラフィニー
Serafini ProductionsのCEOを務めるゲームデザイナー。代表作は『BrokenLore』シリーズ。
目次
「SNSからは逃げられない」『UNFOLLOW』が描きたかった「比較の地獄」
ーーまず『UNFOLLOW』で表現したかったこと、描きたかったことを教えてください。
セラフィニー氏:テーマは「SNSが頭や心にどんな影響を与えるのか」です。
InstagramのようなSNSを開くと、どうしても自分を他人と比べてしまいます。
昔も学校とか同じグループの中で比較はありましたけど、今は「どこでも見られる」から逃げられないんです。みんな自分より楽しそうに見える。
でも、頭ではわかっているはずなんです。SNSに載っているのは、その人の人生そのものじゃなくて、選び抜いた写真、編集した写真だって。
それでも、リアルじゃないものと自分の現実を比べてしまう。そこがすごくしんどい。そういう悩みをテーマにしたかったんです。

作る側(インフルエンサー)も追い詰められている
ーーこのテーマを掘り下げるにあたって、専門家の話を聞くなどのリサーチや取材は行いましたか?
セラフィニー氏:はい。ゲーム中に登場するインフルエンサーに話を聞きました。それと私自身、少しインフルエンサー的な仕事をしていたこともありますので、気持ちはよくわかります。
主人公のアンは「見る側」の気持ちに近く、アンが憧れているインフルエンサーが「作る側」として登場します。
ーー成功しているインフルエンサーでも、悩みは深いということでしょうか。
セラフィニー氏:全員ではないですけど、知り合いの中では多いですね。どれぐらいウケるかもわからないし、成功しているように見える人でも、「これを投稿したらどう思われる?」と不安になったり、すごくストレスを抱えたりしています。
見ている人だけじゃなくて、作っている側も大変です。

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「満たされない怪物」は、フォロワーの数字そのもの
ーーゲーム冒頭では大きなミミズ状のクリーチャーや、追いかけてくる存在が印象的でした。彼らにはどんな役割や意図を込めていますか。
セラフィニー氏:メインのクエストに出てくる「ミミズ人間」は、摂食障害、とくに過食のイメージを象徴しています。 いくら食べても満足できない。大きくなっても満たされない。
それってフォロワーと同じなんです。フォロワーが増えたら満足すると思っても、つぎはもっと欲しくなる。どんどん追い立てられて、キリがありません。
ーーゲーム中で行動をすると画面の右下にフォロワー数が表示されて、増えたり減ったりしますよね。
セラフィニー氏:アンはSNSを個人的にもやっていて、ずっと「数字」を考えてしまっています。見ている側が「盛り上がる」と思うと増えるし、「つまらないだろう」と思うと減る。
彼女の頭の中で、ずっとその数字が動いているんです。 その数字が増減しても現実は変わらないのに、頭の中では、それしか考えられなくなる。それが怖さであり問題なのだと思います。
ーー成功していてもフォロワーが増えても不幸と感じている人はいる、ということでしょうか。
セラフィニー氏:楽しい人生である反面、そう感じるときもあると思います。でも、今の時代よくあることではないでしょうか。
ーーいまのセラフィニーさんのSNSとの向き合い方は?
セラフィニー氏:ゲームの情報と、たまに友人のために写真を載せるくらいです。食べたものとか、ジムに来たとか、そういうシンプルなものです。 毎日投稿してアルゴリズムを見て…といったことはしていません。
インフルエンサーの運用やマネジメントもしているのでやり方はわかりますが、自分のペースで、自分と友人のためにやっています。
ーーゲームを通して、プレイヤーにも「向き合い方」を考えてほしいと思いますか。
セラフィニー氏:はい。伝えたいことの一つです。

『UNFOLLOW』は別格のプレイボリューム
ーー過去作では「もっと遊びたい」「ボリュームが欲しい」という声もありました。そこについてはどう考えていますか。
セラフィニー氏:『UNFOLLOW』は全部で7章あります。これまでとはボリュームが全然違って、おそらく5倍ぐらいあります。
デモ版の時点で『DON’T WATCH』や『LOW』と同じぐらいの長さがありますしね。

ーー本作では当初からボリュームアップを考えていたということでしょうか。
セラフィニー氏:「伝えたいストーリー」を書いていたら、結果としてこの長さになった、という感じです。
Steamの仕組み上、「プレイボリュームは2時間以上にした方がいい」と言われることもありますが、ストーリーがそれ以上必要ないなら無理に伸ばす必要はないと考えています。
作品によって、4~5時間かかるものもあれば、もっと短くても成立するものもあると思っています。

ーー過去作と比べて、アクションや操作性、UIや遊びやすさの面で改良した点を教えてください。
セラフィニー氏:『DON’T WATCH』は部屋がすごく小さかったのでミニマルな作りでした。 『UNFOLLOW』はボリューム増と「ゲームらしい」作りを意識して、アクションも増えています。
スマホでモンスターを攻撃できる場面もあるし、ライトや道具、鍵を持ってドアを開けるなど『DON’T WATCH』にはないアクションが数多くありますね。

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2章以降の舞台は「トラウマの場所」へ
ーー今回は2章(学校)まで体験できました。この先の章はどのような展開になっていくのでしょうか。
セラフィニー氏:章ごとに、アンの過去を辿っていくイメージです。その場所は、彼女のトラウマと結びついています。
例えば学校は、いじめの記憶です。ほかにも病院の章があって、美容整形の話も出てきます。母親が「もっとこうすれば可愛くなる」と言って、それがコンプレックスになるような話です。
母親との関係も深く描かれています。ほかにも恋人とのストーリーもあります。
ーーかなり重いテーマが続きますが、ゲームとしてのカタルシス、気持ちよさはどこにあるとお考えでしょうか。
セラフィニー氏:プレイヤーの感受性によって大きく違うと思います。
少し辛いけどストーリーに共感できる人もいれば、ホラーとしてエンタメ的に軽く楽しめる人もいる。いずれにせよ、このゲームにしかない独自の体験ができるはずです。

怖さは1種類じゃない。章ごとに「ホラーのニュアンス」も変わる
ーー本作の怖さの要素は、ジャンプスケア(突然の大きな音や恐ろしい映像で驚かせる演出手法)や追いかけっこが印象的です。こういった要素の作り込みで、注意したことはありますか?
セラフィニー氏:『UNFOLLOW』は、章によってホラーのニュアンスが少し違います。
アクション寄りの章もあれば、家の中みたいに「逃げられない」怖さが強い章もあります。何が怖いかはプレイヤーによって違うと思いますが、いろいろな怖さを混ぜています。
ーー作中のレシピや材料がある場所も衝撃を受けました。
セラフィニー氏:最初はキッチンなど別の場所に置く案もありましたが、食に問題を抱える人のテーマにも繋がりますし、トイレにも配置しました。

マルチエンディングの狙い「シリーズ全体が見えてくるシークレット」も
ーー本作は複数のエンディングがあると聞きましたが狙いを教えてください。
セラフィニー氏:ゲーム中に選択があって、それによって少し変わります。当然、アンの将来も変わりますから、マルチエンディングにしました。
ーーどのような結末があるか、言える範囲で教えてください。
セラフィニー氏:グッド、ベリーグッド、ベリーバッドなどがあります。グッド系を見たあとにポストクレジットでシーンが入るので、そこも見てほしいです。
シークレットエンディングもあって、シリーズ全体がもっと理解できるものになっています。

ーーシリーズに初めて触れる人は、どの作品から遊ぶのがおすすめでしょうか。
セラフィニー氏:気になる作品があったら、どれから遊んでもかまわないと思っています。
日本のプレイヤーなら『DON’T WATCH』がわかりやすいかもしれませんね。日本のアパートが舞台で、ストーリー的にも身近だと思います。
ーー各作品は完全に独立した作品と捉えていいのでしょうか。
セラフィニー氏:明確に一本道で繋がっているわけではありませんが、あとでいろいろなところが「パズルのように組み合わさっていた」ことに気づいてもらえると思います。
『UNFOLLOW』には、これまでの『BrokenLore』の要素や、これから出る作品のヒントもたくさん入っています。
じつは、数年先までの構想がすでにあります。すべて出たあとに、ぜひもう一度遊んでほしいですね。
「社会に近い」ホラーで実感のある恐怖を
ーー最後に、日本のホラーファンへ向けて、メッセージをお願いします。
セラフィニー氏:ほかよりも、もっと「社会に近い」ホラーゲームです。SNSがテーマで、今のところ『UNFOLLOW』のような作品はあまりないと思います。
もし他のゲームが同じテーマを扱っても、インフルエンサー側の実体験をちゃんと聞いて作っている作品は少ないと思います。 有名なYouTuberたちも出ていますし、経験をしっかり聞いて作ったので、「リアルさ」を実感できます。
そして『BrokenLore』は、これで終わりではありません。『UNFOLLOW』で見えるところ以上に、まだまだ物語がありますし、プランはすごく広がっていますから、期待してください。
まとめ:逃げ場のない時代の悪夢
SNSが日常に溶け込み、他人と比べることや「数字」に追い立てられることが当たり前になった今、『BrokenLore: UNFOLLOW』はその息苦しさを、逃げ場のない悪夢として真正面から可視化しようとしている。
セラフィニー氏が語ったのは、見る側だけでなく、発信する側(インフルエンサー)もまた不安と緊張に晒されるという現実と、その圧力が「満たされない怪物」としてゲーム表現へ落とし込まれているという設計思想だった。
本作は7章構成でボリュームも大幅に増しているという。章ごとに恐怖の種類や舞台が変わり、いじめ、外見コンプレックス、家族、恋人関係など、主人公の人生の「トラウマの場所」をたどることで、ホラーでありながら現実に接続する物語が深まっていくはずだ。
さらに複数エンディングやシークレットエンド、収集要素も用意され、シリーズ全体の謎へ踏み込む導線も強化されている。
本作が描くのは、幽霊や怪異だけではなく、私たちのすぐ隣りにある恐怖だ。SNSに疲れたことがある人ほど、この悪夢はきっと刺さるだろう。
怖さに身構える人もいるかもしれないが、『BrokenLore』という長いパズルの最新ピースである『UNFOLLOW』がどこまで物語を押し広げているのか、ぜひ確かめてほしい。
® Serafini Productions. All rights reserved. Licensed to & published by Serafini Productions, Shochiku Co.,Ltd.
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