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CD Projekt RED、Techland、11 bit studios――
これらの名前を聞いて「ああ、あのゲームの会社ね」とわかった人は、かなりのゲーム通だ。
CD Projekt REDは『サイバーパンク2077』や「The Witcher」シリーズ、Techlandは『Dying Light』、11 bit studiosは『Frostpunk』などを手がけた実績があり、いずれもグローバルで成功したタイトルを輩出。
では、これらのゲーム会社がすべてポーランド発祥の企業であることはご存知だろうか?
5年間で規模が2.5倍に急拡大
ポーランドはゲーム産業が急成長している国だ。2022年の市場規模は約12.9億ユーロ(約2139億円/1ユーロ=165.8円換算)。
ポーランド発のゲーム会社の収益は2018年から2022年の5年間で2.5倍にも拡大しており、世界有数のビデオゲーム輸出国にもなっている(※)。
※Polish Agency for Enterprise Development発行の「ポーランドのゲーム産業レポート」より。同書は180ページ以上に及ぶボリューミーな内容でポーランドのゲーム産業が詳細にレポートされている。
ポーランド最大のゲームイベントに参加
今回、GameWithはポーランド投資貿易庁の招待のもと、ポーランド国内で開催された、2つのゲームイベントに参加する機会を得た。
ケルン以東で最大のゲーム展示会となる「Poznań Game Arena(以下、PGA)」と、欧州最大のゲーム開発者会議「Game Industry Conference(以下、GIC)」だ。
本記事では前者のPGAにスポットを当て、現地の空気感をレポートしていこう。といっても堅苦しいものではなく、
このようなゲームの世界から飛び出したような街並みや、
いかにも!な日本食レストランも飛び出してくるので気軽な気持ちで読んでいただけると幸いだ。
大型タイトルから注目作まで目白押し
PGAは2012年から開催されており、今年の来場者数は約6万1000人(PGA)だという(JETROニュース短信より)。
東京ゲームショウより規模こそ小さいが、熱気はTGSに負けず劣らず。冒頭で挙げたポーランドのゲーム会社に加えて、AAAタイトルや発売を控える注目作やインディーゲームなど、とりどりのブースが並んでいるのが特徴だ。いくつか紹介していこう。
インディゲームのサポートが手厚い!
ポーランドはインディゲームスタジオが非常に多いのも特徴。小規模スペースにはインディゲームのブースが立ち並び、様々なタイトルに出会う機会が得られた。
なお、インディゲーム関連でいえば、ポーランドにはKrakow Technology Parkが運営するDigital Dragonsがある。
これは、カンファレンスやアカデミー、アクセラレーターやワークショップなどから構成される総合的な施策で、2024年のメインスポンサーとしてアクティビジョンが名を連ねるなど、超大手ゲームメーカーからも一目置かれている。
ちなみに、Digital Dragons Awardsはポーランドで最も権威あるアワードのひとつだ。
ゲーム業界と開発者や学生をつなぐ機会を提供し、ポーランドのゲーム産業の国際的な知名度向上にも貢献している。ゲーム産業を盛り上げていく構造が幾重にも張り巡られているのだ。
レトロゲームコーナーは垂涎もの
PGAの魅力は最新のゲーム展示だけに留まらない。レトロゲームエリアでは文化財としても貴重なレトロゲーム機たちが、なんと一般開放されており、様々なレトロゲームを遊ぶことができる。
モニターもブラウン管を利用しており、例えば、マリオなどは当時の色味で遊ぶことができる。何ともおじさんキラーのエリアであった。
フードトラックがなんかかっこいいんですけど……
イベントでの楽しみといえばグルメ。PGAでもフードトラックやフードコートが充実しているのだが、1つ1つが美味そうだし(実際ウマい)、スタイリッシュ。
会場周辺の日本料理店では、SUSHI TENPURA BURGERというものにも出会えた(なんだそれは)。
街に出てみれば歴史を感じさせる風景が広がる
PGAが開催されたポズナンの街もまた魅力的。それもそのはずで、同地はポーランド最古の都市のひとつであり、歴史ある街並みを堪能することができる。例えば、
こんな建物にごく普通に出会えたり、
石畳の美しい風景が広がっていたり。街の建物を保全する活動もしっかりされているのだろうか。さきほどのレトロゲームエリアが大人気なのも、そういった文化背景が関連しているのかもしれない。
今回、GameWithではPGAに加えてGICにも参加。GICではブースも構えて、ポーランドのゲーム関係者とより深い交流を持つこともできた。
若者を中心にゲームで遊ぶことが根付いているのを感じつつ、最も印象的だったのは、ゲームスタジオの多くが「AAAゲームを制作することを目指している」と語っていたことだ。
同時に、彼らの熱量を後押しする取り組みを、国がリードして行っているのも特徴。先述したDigital Dragonsのようなエコシステムに加え、ポーランドには外資系企業を誘致する経済特別区がある。
日本に関連するところでいえば、2025年の大阪・関西万博でポーランドはゲームを主要テーマの1つに組み込んでいる。
政府や関係団体の支援、高度な技術教育にゲームクリエイターたちの情熱が重なりあうポーランド。今後、グローバルでの注目度はますます上がっていくはずで目が離せない。