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5年で2.5倍!勢いに乗るポーランドのゲーム業界のリアルを現地レポ

5年で2.5倍!勢いに乗るポーランドのゲーム業界のリアルを現地レポ

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CD Projekt REDのブース

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CD Projekt RED、Techland、11 bit studios――

これらの名前を聞いて「ああ、あのゲームの会社ね」とわかった人は、かなりのゲーム通だ。

CD Projekt REDは『サイバーパンク2077』や「The Witcher」シリーズ、Techlandは『Dying Light』、11 bit studiosは『Frostpunk』などを手がけた実績があり、いずれもグローバルで成功したタイトルを輩出。

では、これらのゲーム会社がすべてポーランド発祥の企業であることはご存知だろうか?

ゲーム展示会「Poznań Game Arena」の会場の様子

▲今年9月に発売されたばかりの最新作『Frostpunk 2』。写真は本記事のテーマであるポーランドのゲーム展示会「Poznań Game Arena」の会場の様子。

5年間で規模が2.5倍に急拡大

ポーランドはゲーム産業が急成長している国だ。2022年の市場規模は約12.9億ユーロ(約2139億円/1ユーロ=165.8円換算)。

ポーランド発のゲーム会社の収益は2018年から2022年の5年間で2.5倍にも拡大しており、世界有数のビデオゲーム輸出国にもなっている(※)

ポーランドのゲーム産業レポート

※Polish Agency for Enterprise Development発行の「ポーランドのゲーム産業レポート」より。同書は180ページ以上に及ぶボリューミーな内容でポーランドのゲーム産業が詳細にレポートされている。

CD Projekt REDのブース

▲『サイバーパンク2077』の世界的成功が記憶に新しいCD Projekt REDのブース。同作が発売された2020年、ポーランドのゲーム収益の1/3は同社によるものだった。

ポーランド最大のゲームイベントに参加

今回、GameWithはポーランド投資貿易庁の招待のもと、ポーランド国内で開催された、2つのゲームイベントに参加する機会を得た。

ケルン以東で最大のゲーム展示会となる「Poznań Game Arena(以下、PGA)」と、欧州最大のゲーム開発者会議「Game Industry Conference(以下、GIC)」だ。

本記事では前者のPGAにスポットを当て、現地の空気感をレポートしていこう。といっても堅苦しいものではなく、

ポーランドの美しい街並み

このようなゲームの世界から飛び出したような街並みや、

日本料理店の外観

いかにも!な日本食レストランも飛び出してくるので気軽な気持ちで読んでいただけると幸いだ。

大型タイトルから注目作まで目白押し

PGAは2012年から開催されており、今年の来場者数は約6万1000人(PGA)だという(JETROニュース短信より)。

東京ゲームショウより規模こそ小さいが、熱気はTGSに負けず劣らず。冒頭で挙げたポーランドのゲーム会社に加えて、AAAタイトルや発売を控える注目作やインディーゲームなど、とりどりのブースが並んでいるのが特徴だ。いくつか紹介していこう。

「Star Wars Outlaws(スター・ウォーズ 無法者たち)」のブース

▲ユービーアイソフトの「Star Wars Outlaws(スター・ウォーズ 無法者たち)」のブース。作中に登場する乗り物に乗れる展示があった。

「鉄拳」のブース

▲日本企業では「鉄拳」のブースが見られた。

「Farming Simulator」のブース

▲最新作のローンチを控える大人気農業シミュレーター「Farming Simulator」のブースでは、クラース社のトラクターの実車がディスプレイされていた。

「RENDER CUBE」のブース

▲ポーランドのゲーム会社「RENDER CUBE」のブース。

『Frostpunk 2』はブース

▲『Frostpunk 2』ブースの試遊台は大賑わい。

ポーランドサッカー協会のスペース

▲ポーランドサッカー協会のスペースではちょっとしたサッカーコートが設置されていた。eスポーツ分野でのポーランドサッカーの普及に力を入れているという。

「ROG Zephyrus G16」のブース

▲こちらはASUSのゲーミングブランド「ROG」のゲーミングノートPC「ROG Zephyrus G16」のブース。ダンスゲームを試遊できた。

周辺機器のコーナー

▲周辺機器のコーナーも。

本格的なカーシミュレーター

▲本格的なカーシミュレーターも体験できた。

地元ラジオ局のブース

▲地元ラジオ局のブース。

「マスターカード」もブース

▲メジャースポンサーとして、グローバルブランドの「マスターカード」もブース出展していた。

DR GAMES STUDIOのブース

▲DR GAMES STUDIOのブース。ボードゲームを展示。

インディゲームのサポートが手厚い!

ポーランドはインディゲームスタジオが非常に多いのも特徴。小規模スペースにはインディゲームのブースが立ち並び、様々なタイトルに出会う機会が得られた。

Fundacja Indie Games Polska(ポーランドインディーゲーム財団)のブース

▲Fundacja Indie Games Polska(ポーランドインディーゲーム財団)のブース。

『Who Killed John Malone?』のブース

▲『Who Killed John Malone?』のブース。同作はVRゴーグルを使って遊ぶインディタイトルで注目を集めている。

なお、インディゲーム関連でいえば、ポーランドにはKrakow Technology Parkが運営するDigital Dragonsがある。

これは、カンファレンスやアカデミー、アクセラレーターやワークショップなどから構成される総合的な施策で、2024年のメインスポンサーとしてアクティビジョンが名を連ねるなど、超大手ゲームメーカーからも一目置かれている。

ちなみに、Digital Dragons Awardsはポーランドで最も権威あるアワードのひとつだ。

Digital Dragons

ゲーム業界と開発者や学生をつなぐ機会を提供し、ポーランドのゲーム産業の国際的な知名度向上にも貢献している。ゲーム産業を盛り上げていく構造が幾重にも張り巡られているのだ。

レトロゲームコーナーは垂涎もの

PGAの魅力は最新のゲーム展示だけに留まらない。レトロゲームエリアでは文化財としても貴重なレトロゲーム機たちが、なんと一般開放されており、様々なレトロゲームを遊ぶことができる。

モニターもブラウン管を利用しており、例えば、マリオなどは当時の色味で遊ぶことができる。何ともおじさんキラーのエリアであった。

ファミコン

▲『スーパーマリオブラザーズ』をファミコンでプレイできた。

Atari ST

▲1985年に登場した超希少なホームコンピューター『Atari ST』が普通に置いてあった。

フードトラックがなんかかっこいいんですけど……

イベントでの楽しみといえばグルメ。PGAでもフードトラックやフードコートが充実しているのだが、1つ1つが美味そうだし(実際ウマい)、スタイリッシュ。

会場周辺の日本料理店では、SUSHI TENPURA BURGERというものにも出会えた(なんだそれは)。

ホットドッグのお店

▲ホットドッグのお店もおしゃれ。

ヴィーガンフードのお店

▲ヴィーガンフードのお店も洗練されている。

SUSHI TENPURA BURGER

▲これがSUSHI TENPURA BURGER。ゴム手袋を装着して食べる。

日本料理店の外観

▲日本料理店の外観。「寿司食物」「桜」「TOKYO」などの文字が見える。どこかしらサイバーパンクな雰囲気も感じられる。

街に出てみれば歴史を感じさせる風景が広がる

PGAが開催されたポズナンの街もまた魅力的。それもそのはずで、同地はポーランド最古の都市のひとつであり、歴史ある街並みを堪能することができる。例えば、

ポーランドの美しい街並み
ポーランドの美しい街並み

こんな建物にごく普通に出会えたり、

石畳の美しい風景

石畳の美しい風景が広がっていたり。街の建物を保全する活動もしっかりされているのだろうか。さきほどのレトロゲームエリアが大人気なのも、そういった文化背景が関連しているのかもしれない。

今回、GameWithではPGAに加えてGICにも参加。GICではブースも構えて、ポーランドのゲーム関係者とより深い交流を持つこともできた。

GICのGameWithブース

▲GICのGameWithブース。

若者を中心にゲームで遊ぶことが根付いているのを感じつつ、最も印象的だったのは、ゲームスタジオの多くが「AAAゲームを制作することを目指している」と語っていたことだ。

同時に、彼らの熱量を後押しする取り組みを、国がリードして行っているのも特徴。先述したDigital Dragonsのようなエコシステムに加え、ポーランドには外資系企業を誘致する経済特別区がある。

日本に関連するところでいえば、2025年の大阪・関西万博でポーランドはゲームを主要テーマの1つに組み込んでいる

ポーランド投資・貿易庁の大阪・関西万博の紹介ページ

▲ポーランド投資・貿易庁の大阪・関西万博の紹介ページ。6つの主要項目のひとつに「gaming」がある。

政府や関係団体の支援、高度な技術教育にゲームクリエイターたちの情熱が重なりあうポーランド。今後、グローバルでの注目度はますます上がっていくはずで目が離せない。

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